🗨️「退去して2か月たつのに、賃貸の敷金がまだ返ってきません。いつまで待てばいいのか、内容証明を送れば安心なのか知りたいです」
民法には「何日以内に返す」という日数はなく、部屋を明け渡したときから返還の義務が生じます。請求できる期間は通常5年で、内容証明は時効の完成を6か月猶予するだけです。止めるには裁判所への請求が要ります。60万円以下なら少額訴訟があります。
[不動産] この記事の要点
2026年10月8日 発表
- 退去したのに敷金の精算書が届かない人
- 差し引かれた額に納得できず、争うか迷っている人
- 何年も前に退去して、請求できるのか不安な人
返す期限は条文に書いていない
民法622条の2は、貸主が敷金を受け取っているとき、賃貸借が終わり、かつ部屋の返還を受けたときに、敷金から未払いの債務の額を引いた残りを返さなければならないと定めています。「退去から30日以内」のような日数は、この条文にはありません。
つまり返す義務が生じるのは、部屋を明け渡して貸主が受け取ったあとです。契約書に「退去後1か月以内に精算」などの特約があれば、そちらが目安になります。精算書が届かないまま何か月も過ぎているなら、まず契約書の敷金の欄を読み直してください。
売る・継ぐ・片付ける、を決めるときに読むもの
値段が分かったあとにやることは、売る・名義を変える・その前に中の物を片付ける、で人によって違います。相続登記は2024年4月から義務になり、相続を知った日から3年以内に申請しないと過料の対象になるので、放っておける手続きではなくなりました。
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請求できる期間は通常5年
敷金の返還を求める権利は、民法166条の債権にあたります。同条は、権利を行使できると知ったときから5年、行使できるときから10年のどちらかが過ぎると、時効で消えると定めています。
退去してすぐに返還を求められる立場なら、通常は5年のほうが先に来ます。2031年3月に時効が来る例を、数え方ごとに整理します。
| いつ | 起きること |
|---|---|
| 2026年3月31日 | 部屋を明け渡す(鍵の返却日も控える) |
| 契約書の期限、または数週間後 | 精算書が届く。届かなければ書面で請求する |
| 2031年3月ごろ | 5年が近づく。ここまでに裁判所への請求をしておく |
起算の日は、明け渡しの日だけでなく、精算書を受け取った日や契約書の特約で動く場合があります。数え方に自信がないときは、退去日から5年を期限だと思って動くのが安全です。
内容証明を送れば、時効は止まりますよね?
止まりません。内容証明で請求することは「催告」にあたり、時効の完成が6か月先に延びるだけです。その間に訴えなければ、結局時効は来ます。
内容証明は6か月の猶予だけ
民法150条は、催告があったときからの6か月は時効が完成しないと定めています。2項は、猶予されている間にした再度の催告には、同じ効果がないとしています。内容証明を何度送っても、猶予は延びません。
裁判上の請求(訴えの提起)は民法147条の対象で、手続が続いている間は時効が完成しません。時効が近い人は、内容証明で書面の記録を残しつつ、6か月以内に裁判所へ請求する流れになります。
60万円以下なら少額訴訟
裁判所の案内によると、少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める手続で、原則1回の審理で判決まで進みます。敷金の差額を取り戻したい人には合う場面があります。
- 同じ裁判所で使えるのは、1人につき年10回まで
- 判決に不服があるときは、受け取った翌日から2週間以内の異議申立てのみで、控訴はできない
- 相手が通常の裁判を望むと、通常訴訟に移る
敷金の額が60万円を超える場合や、争点が多い場合は、最初から通常訴訟を選ぶほうが向いています。
返ってこないのは珍しくない
国民生活センターに寄せられた、賃貸住宅の原状回復に関する相談件数です。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2023年度 | 13,273件 |
| 2024年度 | 13,312件 |
| 2025年度 | 14,711件 |
| 2026年度(5月31日まで) | 1,846件(前年同期は1,645件) |
差し引かれた項目に納得がいかないときは、国交省のガイドラインを見直します。ガイドラインは、通常の使い方による傷みや経年変化は賃料に含まれ、借主が負担するものではないとしています。壁紙やクッションフロアのように、住んだ年数で借主の負担割合が下がる項目もあります。くわしくは賃貸 結露 カビ 退去費用/住んだ年数で下がると、退去時のハウスクリーニング代は誰の負担?にまとめています。
請求の前にやっておくこと
- 退去日と鍵の返却日を、メールや受領書など日付が残る形で控える
- 退去時の部屋の写真を、壁・床・水まわりごとに撮っておく
- 精算書の明細を項目ごとに見て、経年変化や通常の使用による分が入っていないか確かめる
- 請求は期限を決めた書面で行い、控えを残す(内容証明にすると送った日と中身が証明できる)
引っ越し後の賃貸の初期費用や更新料の相場は、賃貸の更新料の相場は家賃何か月分?で整理しています。
生活・仕事にどう効くか
- 返還の期限:条文に日数の定めはない。部屋を返したときから返還義務が生じ、契約書に支払日があればそれに従う
- 内容証明を送った:催告にあたり、時効の完成が6か月猶予される。猶予中の再度の催告に同じ効果はない
- 60万円以下を争う:少額訴訟は原則1回の審理で終わるが、判決への不服は異議のみで控訴はできない
結局どうすればよいか
- 退去日と鍵を返した日を、日付つきで控えておく
- 精算書が来ないときは、書面で期限を決めて貸主か管理会社に請求する
- 差し引かれた項目は、国交省のガイドラインと経過年数で見直す
- 時効が近いときは、内容証明より先に少額訴訟などの提訴を考える
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 民法 622条の2・166条・147条・150条(e-Gov法令検索)(2026-10-08確認発表)
- 国民生活センター「賃貸住宅の原状回復に関する相談」(PIO-NET)(2026-10-08取得発表)
- 裁判所「少額訴訟」(2026-10-08取得発表)
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(2026-10-08取得発表)
更新履歴
- 2026年10月8日 初版を公開(民法の条文はe-Gov、件数と少額訴訟は各公式ページで確認)
※本記事は2026年10月8日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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