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賃貸 結露 カビ 退去費用/住んだ年数で下がる

🗨️「賃貸で結露のカビを生やしたら、退去費用はいくら取られる?」

結露のカビは、それだけでは借主の負担になりません。負担になっても壁紙の張り替え代は住んだ年数で割り引かれ、入居時に張り替えてあった壁紙なら6年で価値1円まで下がります。国のガイドラインが借主負担の例に挙げるのは、大家や管理会社に知らせず、拭き取るなどの手入れもせず、壁などを腐食させた場合です。ただし下地などの費用は、年数がたっても請求されることがあります。

[不動産] この記事の要点

発表日・更新日

2026年10月2日 発表

影響を受ける人
  • 冬に窓の結露とカビが出る部屋に住んでいる人
  • 退去の精算書で、カビのついた壁紙の張り替え代を請求された人
  • 6年以上住んだ部屋を、これから退去する人
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📖 敷金はいくら返ってくる

目次

借主負担は3つが重なった時

「届かないので結露は放置していました」。2025年1月、6年住んだアパートの角部屋について、知恵袋にこう書いた人がいます。食器棚の後ろの細長い窓の下で、壁紙が剥がれてカビだらけになっていたそうです。

相談の締めくくりは「将来退去する時にいくら修理代を支払わないといけませんか?」。4件ついた回答の1つは「壁紙は退去のとき張り替え費用は請求されると思います。」でした。

この回答は、結露のカビは借りた人が払うもの、という前提に立っています。けれども国土交通省のガイドラインは、結露そのものを「建物の構造上の問題であることが多い」と書いています。

結露は建物の構造上の問題であることが多いが、賃借人が結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。

結露した窓ガラスの表面に、水滴が筋になって流れ落ちている
冬の朝の窓は、拭いても次の朝にはまた濡れています。ガイドラインはこの結露を建物の構造の問題であることが多いとしています(写真はイメージ)(写真: Pexels)

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」18ページ 別表1「結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ」の考え方

借りた人の負担になる場面として書かれているのは、次の3つがそろった場合です。

  • 大家(賃貸人)や管理会社に知らせていない
  • 拭き取るなどの手入れをしていない
  • その結果、壁などを腐食させた

この項目の区分も「賃借人のその後の手入れ等管理が悪く発生、拡大したと考えられるもの」です。結露が出ること自体は借りた人の責任とされておらず、問われているのは出たあとの扱い方です。

なおQ&A(Q10)は、結露を放置するなどして物件にシミ等を生じさせた場合も、善管注意義務に違反すると考えられる、としています。3つそろわなければ必ず負担ゼロ、という意味ではありません。

判決にも同じ考え方があります。名古屋地方裁判所は平成2年、「結露は一般に建物の構造により発生の基本的条件が与えられるものであるから、特別の事情が存しない限り結露による汚損を賃借人の責に帰することはできない」と述べています。退去費用ぜんたいで誰が何を払うかは賃貸の退去費用は誰が払う?経年劣化・傷・汚れの負担を具体例で解説にまとめました。

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読者

冒頭の相談の人みたいに、手が届かなくて放置していたら?

おかあさん

「拭き取るなどの手入れを怠り」の側に寄ります。それでも、このあと書く年数の計算は効きます。払う側に入っても、張り替え代の全額になるとは限りません

判決は2割負担と全額返還

ガイドラインには、結露やカビで争った裁判例も載っています。結論が分かれた2件を並べます。

横浜地方裁判所
平成8年3月25日
枚方簡易裁判所
平成17年10月14日
部屋横浜市内の新築マンション賃料月7万8000円の住宅
住んだ期間約4年9か月約8か月半
カビの様子洋間の壁とカーペット、洗面所・トイレ・玄関の天井と壁に、相当の程度・範囲目に見えるところにはカビが残っていなかった
裁判所の見方新築でカビが出やすかったことを考えても、カビが出た後の手入れにも問題があった結露は建物の構造上の問題。気づくたびに拭いていたので過失なし
借主の負担修繕費15万5200円のうち3万円(2割程度)なし
敷金21万4000円のうち18万4000円が返還25万円が全額返還

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第3章 事例9(69〜70ページ)・事例23(89ページ)

横浜の件は、一審の保土ヶ谷簡易裁判所では敷金が全額返る判決でした。控訴審が重く見たのは、同じ建物のほかの部屋には、ここまでのカビが出ていなかったことです。

枚方の判決は、目に見えるところにカビが残っていないことから、借主は結露に気づくたびに拭いていたと認めました。そのうえで、共働き家庭の日常生活を送っていた借主に過失はないとしています。2件を分けたのは、カビが出たあとにどう手を入れたかでした。

i 枚方の判決は、敷金から一定額を差し引く特約(敷引特約)も消費者契約法10条で無効としています。25万円の全額返還は、カビの判断だけで決まったものではありません。

私は、拭き取りと同じくらい、大家や管理会社への1本の連絡が効くと考えています。3つの条件のうち、知らせたかどうかだけは、あとから日付で示せるからです。

ガイドラインのQ&Aは、修繕が必要になった場合に直す義務は賃貸人にあり、借りた人はそのとき賃貸人に通知する必要がある、と書いています。東京簡易裁判所は平成21年、庭の松が枯れていったのに、その変化を大家に知らせなかった借主に善管注意義務違反を認めました。

ガイドラインは知らせ方までは決めていません。Q&Aは、入居時と退去時に写真を撮って部屋の状態を残すよう勧めています。結露の窓とカビの写真も、知らせた日付と一緒に残しておけます。

住んだ年数で負担は下がる

借りた人の負担と決まっても、張り替え代をそのまま払うわけではありません。ガイドラインは壁紙(クロス)を、6年で残存価値1円になるように年数で割り引くとしています。

理由は、古くなった分や普通に使って傷んだ分は、借りた人が家賃の中で払ってきたからです。1年で傷めた人と10年で傷めた人の負担が同じでは公平を欠く、とガイドラインは書いています。

住んだ年数借主の負担割合張り替え代10万円なら
1年約83%8万3333円
2年約67%6万6667円
3年50%5万円
4年約33%3万3333円
5年約17%1万6667円
6年以上最終残存価値1円

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」12ページ・23ページ(壁〔クロス〕は6年で残存価値1円となる直線を想定)。入居時に張り替えてあった壁紙を前提に、直線(定額法)で当サイトが計算。10万円は計算のための仮の金額で、相場ではありません

実際の判決でも、この割り引きが使われています。東京簡易裁判所は平成14年、入居の直前に張り替えられ、2年余りたった壁紙の残存価値を約60%としました。1㎡あたり1,700円、5㎡分の60%にあたる5,100円が借主の負担です。

冒頭の相談の人は6年住んでいます。入居時に張り替えてあった壁紙なら、6年住んだ時点で、ガイドラインの計算では価値1円まで下がっています。

入居したときに壁紙が新品でなかったら、出発点は100%より下になります。ガイドラインは、入居の直前に張り替えていなければ、建物の築年数や傷み具合を見てグラフを下にずらすとしています。この場合、6年より早く1円に届きます。

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読者

じゃあ6年住んでいれば、壁紙のカビは払わなくていいの?

おかあさん

壁紙そのものの価値は1円まで下がります。ただ、次の見出しのとおり、年数では消えない費用が残ります

6年過ぎてもゼロではない

ガイドラインは、年数の計算を書いた同じページで、こう念を押しています。

経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。

例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものである。

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」12ページ

落書きは故意の例です。カビを争った判決にも、18年以上住んだ部屋で壁紙以外の費用が残ったものがあります。川口簡易裁判所の平成19年の判決です。

裁判所は各部屋のカビを、「部屋の管理及びカビが発生した後の手入れに問題があった結果でもある」と認めました。そのうえで、壁紙については経過年数を考えると借りた人が負担する原状回復費はない、としています。

白い面に黒いカビの点が大小まばらに広がっている
壁紙の表面だけでなく、下地のボードまで黒くなると、張り替えだけでは済まない工事になります(写真はイメージ)(写真: Pexels)

一方で、壁紙の下地のボード、天井の塗装、玄関扉のサビは別扱いでした。どれも費用の20%を残存価値として、借りた人の負担としています。敷金13万8000円のうち、返ってきたのは11万1330円です。

年数で消えるのは壁紙の価値で、下地のボードなどの費用まで消えるとは限りません。

張り替える範囲にも上限があります。ガイドラインは、傷めたのが一部なら、そこを含む一面分までを借りた人の負担としてよいとしています。部屋全体の張り替えは「原状回復以上の利益を賃貸人が得ることとなり、妥当ではない」という書き方です。壁紙以外の部位が年数で下がるかどうかは敷金はいくら返ってくるに一覧があります。

部位別によくある質問

Q. フローリングにカビが出た場合も、年数で下がりますか。
A. 部分補修なら下がりません。ガイドラインはフローリングの部分補修を「経過年数は考慮しない」としています。床全体を張り替えた場合だけ、建物の耐用年数で割り引きます。カーペットとクッションフロアは、壁紙と同じく6年で1円です(22ページ)。

Q. 浴室やトイレのカビも、結露と同じ扱いですか。
A. 別の項目です。ガイドラインは風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビを、清掃や手入れを怠った結果なら借主負担になることが多い、としています(21ページ)。退去のときの掃除の範囲は退去時のハウスクリーニング代は誰の負担? 掃除をして出た人はどうなるかで扱っています。

Q. 退去の立ち会いで、カビがあるという確認書にサインしてしまいました。
A. ガイドラインのQ&Aは、傷があることを確認しただけなら、費用の負担まで了承したことにはならないと考えられる、としています。負担することまで了承していても、原状回復の特約がなければ、故意・過失によらない傷みの分まで払う理由はない、とも書いています(43〜44ページ)。

Q. 請求書に、壁紙の張り替え代の合計しか書いていません。
A. 大家には敷金から差し引く原状回復費用を説明する義務があり、借りた人は明細を求められる、とQ&Aは書いています(45ページ)。何年分を割り引いたのかを聞けば、上の表と照らし合わせられます。

Q. 次の部屋では同じことを繰り返したくありません。
A. 内見で結露のあとを見る場所は中古マンションの室内はどこを見る?結露・床の傾き・水回りの内見チェックに、日本の家が冷えやすく窓が結露しやすい理由は日本の家はなぜ寒い?北欧・スウェーデン住宅と断熱・窓・暖房を図解比較にまとめています。

6年住んで、届かないまま放置していた窓の下の壁紙は、計算の上では1円です。それでも下地まで傷んでいれば、その費用は残ります。気づいた今、大家か管理会社に伝え、その日から拭き取りを続ければ、退去の精算で説明できる材料が残ります。

生活・仕事にどう効くか

  • いま窓まわりの壁紙にカビを見つけた人:大家か管理会社に知らせ、見つけるたびに拭き取れば、ガイドラインが挙げる3つの条件のうち「知らせていない」「手入れをしていない」の2つに当たらなくなります。知らせた日付とカビの写真を残しておくと、退去の精算で説明できます
  • 退去の精算書でカビの張り替え代を請求された人:入居した年と、入居時に壁紙が新しかったかを確かめ、張り替え代が住んだ年数で割り引かれているか、範囲が一面分を超えていないかを明細で確認します

結局どうすればよいか

  • 窓や壁の結露・カビを見つけたら、写真を撮って大家か管理会社に知らせ、その日付を控えておく
  • 結露は見つけるたびに拭き取る。家具の裏で手が届かない窓は、家具を動かして拭ける隙間を作る
  • 精算書が来たら明細を求め、壁紙の張り替え代が住んだ年数で割り引かれているか、張り替え範囲が一面分を超えていないかを確かめる

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公式出典

更新履歴

  • 2026年10月2日 初版を公開(ガイドライン第1章・Q&A・第3章の原本PDFと、知恵袋の相談を同日に確認したもの)

※本記事は2026年10月2日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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