愛媛県大洲市(おおず)は、国が大雨のときに冠水のおそれがあるとして挙げる「道路冠水注意箇所」(愛媛県で27か所)に、1か所も載っていません(当サイトで数えた値)。それでも市は国の実証実験に参加し、西大洲(にしおおず)・柚木(ゆのき)・東大洲(ひがしおおず)の10か所に浸水センサーを22個置いています。22個のうち12個、10か所のうち6か所が西大洲です(国の「浸水センサ表示システム」を2026年9月26日に当サイトで数えた値)。
2025年9月の市議会で市は、その時点で置いていた7か所・15台の場所を「市がポンプ排水を行う箇所やこれまでに頻繁に道路冠水が発生した箇所など」と説明しています。
この記事でわかること
- ✓ 2023年6月2日は3時間に68ミリ(アメダス大洲)。市内の各所で冠水し、市は樋門を閉めた西大洲と東大洲でも一時的に道路冠水が起きたと考えています
- ✓ 東大洲がある都谷川流域で、最も低い地盤は標高8.1メートル。合流先の矢落川(やおちがわ)の計画高水位は14.34メートル(計画の断面図)
- ✓ 市の洪水ハザードマップに内水は入っていません。内水も入った国の地図が2026年3月に出ました
雨の日に「いま」を見るページ
- 浸水センサー:国土交通省「浸水センサ表示システム」。水を検知すると地図の位置が赤くなります(市の答弁)
- 肱川(ひじかわ)の水位・カメラ:大洲河川国道事務所「肱川 防災ポータル」。都谷川樋門のそばを映すカメラもあります
- 国道・県道の通行止め:国土交通省「道路情報提供システム」
- 避難の情報:大洲市ホームページ「大洲市災害情報メール」。防災行政無線の放送は0120-00-8863で聞き直せます(本庁・長浜支所・消防署からの放送だけ。大洲市ホームページ「災害情報の伝達収集方法について」)
センサーの表示は国の実証実験で、予告なく変わったり終わったりすることがあります(大洲市ホームページ「ワンコイン浸水センサ実証実験」)。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は0か所、市が浸水センサーを置いた10か所
愛媛県の27か所は、四国中央市・松山市など8市町にあります。一覧に載っていないことは、冠水しないことを意味しません。

地図の番号と同じです
1〜6 西大洲
センサー6か所・12個。6か所とも県道大洲保内線(OpenStreetMapの道筋)から75メートル以内にあります(当サイトが地図上で測った値)。県道が冠水で止まった区間は、答弁に書かれていません
市の内水対策計画の第1期(2023〜2027年度)の5地区の1つ
1をGoogleマップで開く2をGoogleマップで開く3をGoogleマップで開く4をGoogleマップで開く5をGoogleマップで開く6をGoogleマップで開く
7〜9 柚木
センサー3か所・7個。内水対策計画の第1期の5地区の1つ
2023年3月の答弁では、肱川への合流点に樋門が新しく設置されるため、閉まると内水を出せなくなるとして、水中ポンプで排水する計画としていました
位置は国の浸水センサ表示システムの座標(2026年9月26日取得)、地区名は国土地理院の逆ジオコーダによる大字です。センサーのある所が冠水した所のすべてではありません。
読者
センサーが赤くなっていなければ、その道は通れますか?
赤くなくても、通れるとは限りません。分かるのは置いた10か所の水だけです。市は2025年9月の時点で、設置後に浸水が起きていないため実証実験の結果はまだ出ていないと答えています。
2023年6月2日の道路冠水(アメダス大洲は3時間68ミリ)
市の答弁(2023年6月の市議会)によると、阿蔵(あぞう)にある気象庁の大洲観測所は2日の午前5時から8時の3時間で68ミリを観測し、市内では「各所で道路や畑の冠水などが発生」しました。

議員が挙げた東大洲の旧喜多医師会病院前と西大洲について、市は「矢落川、久米川の水位が上昇したため、都谷川樋門及び西大洲第一樋門を閉め」、排水ポンプ車などで水を出したものの、「内水量の増加に追いつかず、一時的に道路冠水が発生したと考えております」と答えています。
読者
樋門を閉めると、どうして町に水がたまるんですか?
大洲河川国道事務所の説明では、本川の水位が支川より高くなると、逆流を防ぐために樋門などのゲートを閉めます。すると支川の水は本川へ出せなくなり、堤防の内側、つまり住宅地の側であふれます。これが内水氾濫です。
西大洲の冠水 市は2013年度からポンプで水を出してきた

市は2013年度から業者に委託してポンプで水を出してきました。2015年12月の答弁では、委託した5地区のうち実際にポンプで排水したのは西大洲だけでした。
2017年9月17日の台風18号(アメダス大洲の1日の雨179.5ミリ、1976年からの記録で2位。阿蔵の観測所の値)では、市長が「西大洲地区や新谷地区等での内水による浸水被害」があったと答えています。西大洲の内水についての答弁(2023年9月)で市は、6月30日から7月1日の大雨で「県道大洲保内線が冠水により通行止め」になり、「水路から水があふれ住宅地にまで迫る」状態だったと説明しています。
西大洲では内水対策計画の第1期として、排水路の流れを妨げていた使われていない農業用水門の撤去が進み、2023年9月の時点で大部分が終わっていました。ただ市は、撤去とその時点のポンプ排水では、計画が目標にする10年に1度の雨に「十分な対応とはならない」と答えています(2023年9月)。
東大洲(都谷川流域)は、矢落川の計画高水位より土地が低い

愛媛県・大洲市・国の「都谷川流域水害対策計画」(2023年12月)は、この流域を「合流する矢落川のH.W.L.(計画高水位)よりも土地が低く、洪水時には樋門の閉鎖により内水氾濫が発生しやすい」と書いています。断面図では、流域で最も低い地盤が標高8.1メートル、矢落川の計画高水位が14.34メートルです。
計画は平成30年7月豪雨(12時間雨量はおおむね50年に1回程度の規模)と同じ雨を目標にしていて、その雨が2021年度末の川(暫定堤防のかさ上げ後)で降った場合の「都市浸水想定」(川の水位と内水はどちらも平成30年7月豪雨の実績で計算)は、浸水133戸・206ヘクタール、最も深いところで約2.4メートルです。
国は都谷川の下流の端に排水機場をつくる工事を始め、2026年3月7日に起工式が開かれました。完成の時期は、今回読んだ資料には書かれていません。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(内水・道路の冠水は出ません)
北只の冠水 市議会の会議録で見つかったこと
検索では「大洲 北只 冠水」も出てきます。北只(きたただ)の位置は地図の「北」です。
市のサイトにある市議会の会議録(2005年〜2026年6月)を当サイトで検索すると、「北只」の前後に冠水・浸水の話が出てくるのは2か所でした。2009年12月、議員が「柚木北只地区土地区画整理事業」の区域で2004・2005年に浸水被害が続いたと述べ、市は肱川の「本川からの逆流により」冠水したと答えています(川の水が入った外水の話です。市は「柚木地区」として答えていて、北只の中の場所かは書かれていません)。2023年6月2日の大雨では市道北只横野線の路肩が20メートル崩れましたが(市長の説明)、冠水ではありません。
洪水ハザードマップに内水は入っていない
2018年7月の西日本豪雨では、肱川の大洲第2水位観測所が観測最大の8.11メートルに達し、東大洲では二線堤を越えて水が入りました(大洲市復旧・復興報告書)。これは川からあふれた水(外水)です。国と県の堤防工事(激特事業)は2024年5月末に完成しました。
市長は2017年12月、暫定堤防の一部かさ上げで肱川からの越水の可能性は減る一方、「逆に内水被害の頻度が高まる」と予測していました。大洲市ホームページ「ハザードマップ」は、洪水の地図について「どの浸水区域においても、内水による浸水は示していません」と書いています。
内水も入った地図は、大洲河川国道事務所が2026年3月27日に公表した「【内外水統合】多段階の浸水想定図と水害リスクマップ」です。肱川・矢落川の氾濫と、ほかの川や下水道などの内水を合わせて計算し、10年・30年・50年・100年に1度程度の雨ごとに色を分けています。「水防法に基づく図ではありません」とあり、色の付いていない地区でも浸水することがあると書かれています。
家を借りる・買う前に見るのは次の2つです。
- 国の水害リスクマップで、家の場所が何年に1度の雨で色が付くか
- 浸水センサ表示システムで、近くにセンサーがあるか
\家の住所が肱川の洪水の区域に入るか見る/
洪水と土砂の区域に入るかを出します(内水・道路の冠水は出ません。肱川・矢落川の洪水浸水想定区域図は、計画規模の図が2026年8月17日に変わりました。ツールのデータの時点は確かめていません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市ごとの記事のまとめ)
- 松山市 冠水 どこが危ないの? 4か所だけ、そのうち3つはJRか空港の下です
公式出典
- 国土交通省 四国地方整備局「道路冠水注意箇所」愛媛県の一覧(27か所。当サイトで数えた値)
- 国土交通省「浸水センサ表示システム」(大洲市の設置点を2026年9月26日に当サイトで数えた値)/大洲市ホームページ「ワンコイン浸水センサ実証実験」(2025年12月18日更新)
- 大洲市議会 会議録(2009年12月・2013年12月・2015年12月・2017年12月・2023年3月・6月・9月・2025年9月・12月・2026年3月の答弁と説明。2005年〜2006年9月はPDF版)
- 気象庁「過去の気象データ」アメダス大洲(2017年9月17日・2023年6月2日の値と観測史上の順位。観測所の所在地は気象庁「地域気象観測所一覧」)
- 愛媛県・大洲市・国土交通省四国地方整備局「都谷川流域水害対策計画」(2023年12月)/愛媛県「都谷川等における特定都市河川の取組みについて」/大洲市ホームページ「『都谷川流域水害対策計画』が策定・公表されました」
- 大洲河川国道事務所「肱川流域治水 都谷川排水機場起工式を開催します」(2026年2月24日)/「肱川水系の内水と外水のリスクを統合した多段階浸水想定図と水害リスクマップを作成しました」(2026年3月27日)/「【内外水統合】多段階の浸水想定図と水害リスクマップ」のページ/「那賀川水系那賀川及び派川那賀川・桑野川、肱川水系肱川及び矢落川の洪水浸水想定区域図(計画規模)の変更について」(2026年8月17日)・浸水想定区域図のページ/肱川 防災ポータル/肱川のカメラ映像
- 大洲市「大洲市復旧・復興報告書(平成30年7月豪雨災害)」(2023年12月)/大洲市ホームページ「ハザードマップ」/大洲市ホームページ「大洲市災害情報メール」/大洲市ホームページ「災害情報の伝達収集方法について」/大洲市ホームページ(トップページ)
- 国土交通省「道路情報提供システム」/国土地理院 逆ジオコーダ・地理院タイル(地図)/北只の位置・県道大洲保内線の道筋:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月26〜27日取得)。避難や通行の判断は、必ず大洲市と愛媛県、国の最新の発表を確認してください。
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