北海道函館市(はこだて)は、国が大雨のときに冠水するおそれがあるとしている「冠水想定箇所」(北海道開発局の一覧・北海道全体で47か所)に、1か所も載っていません(当サイトで数えた値)。それでも市は2026年3月の議会で、美原の亀田中学校付近で起きる道路冠水について、産業道路(道道函館上磯線)の北側などから集められた雨水が流れ込み、地形的にも周辺より低いことが要因と答えています。
2025年8月19〜20日の大雨で、市が本庁管内の道路の「主な被害状況」として挙げた道路冠水は、「道道函館上磯線など」で17件でした(2025年9月の市議会の答弁)。
この記事でわかること
- ✓ 下水道の雨の計画は1時間40ミリ(市の答弁)。市内のアメダス4地点は、どれも1時間の最大記録がこれを超えています(最大は戸井泊の102.0ミリ・2025年9月1日)
- ✓ 1974年以降に分流式で整備を始めた区域は、雨水管の整備率が約38%です(2024年6月の答弁)
- ✓ 内水で浸かる深さを示す市の区域図は2026年6月9日の指定で、1時間130ミリを想定しています
雨の日に「いま通れない道」を見るページ
- 国道・道道:国土交通省「道路情報提供システム」。道路カメラの画像も「道路画像」から見られます
- 市道:函館市ホームページ「函館市ANSIN(アンシン)メール」の「緊急市政情報」(市道通行止め情報など)。X(旧Twitter)の市のアカウントでも見られると市は案内しています
- 避難の情報:函館市防災X、函館市「災害緊急情報の履歴」
- 雨の強さ:気象庁「キキクル」(浸水害の危険度)
問い合わせは、国道が函館開発建設部 函館道路事務所 0138-49-2631、道道が渡島総合振興局 函館建設管理部 0138-45-6500、市道が函館市土木部 道路管理課 0138-21-3410です(函館市ホームページの通行止めのページ)。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は0か所、市が名前を挙げた場所と国道が閉まった場所
北海道開発局の一覧47か所は、札幌市の12か所をはじめ25市町にあり、北斗市や七飯町など渡島・檜山の市町にも1つもありません(当サイトで数えた値)。一覧に載っていないことは、冠水しないことを意味しません。

地図の記号と同じ順です
A 亀田中学校付近(美原)
市が議会で「亀田中学校付近で発生する道路冠水」と答えた場所(2026年3月)。北海道は産業道路の路肩にU字側溝と集水ますを2026年度までに置く予定(答弁の時点の予定)
点はオープンストリートマップ(OpenStreetMap)の亀田中学校の敷地の中心。冠水する道路の位置ではありません
B 本通4丁目 鮫川と寺の沢川の合流部周辺
2012年度・2013年度・2022年度の大雨で道路や民有地の浸水を確認(市の答弁)。個人所有の道路が多く、雨水管は2028年度から整備する予定
点は2つの川の合流点(OpenStreetMap)
C 谷地頭(やちがしら)電停付近
2008年7月23日に床下浸水と道路の冠水、一時通行止め(市の答弁)。2022年8月8日は道路冠水は無く、店舗などへの雨水の流入と下水の逆流が4件ずつ
点は市電の谷地頭停留場(OpenStreetMap)
D 榎本町
2022年8月8日23時3分、車が通れないほどの道路冠水を市が確認し、湯の川沿いの地域に避難指示。一部では湯の川(北海道管理の二級河川)の溢水も被害を大きくした要因(市の答弁)
点は榎本町の代表点(国土地理院の住所検索)。冠水した道の位置ではありません
E 国道278号 浜町
2025年9月1日17時16分から2日17時まで、約1.7キロを「路面冠水のため」通行止め(函館開発建設部)
点は浜町の代表点(国土地理院の住所検索)。通行止め区間そのものの位置ではありません
F 国道278号 古部町(ふるべちょう)〜木直町(きなおしちょう)
2021年8月10日午前1時ごろに道路が冠水し、約1.6キロを通行止め。要因は「白糸の滝」の水量と函館開発建設部が説明。迂回路は約128.8キロ
点は古部町の代表点(国土地理院の住所検索)。通行止め区間そのものの位置ではありません
A〜Dは答弁に名前が出た場所で、冠水した場所の全部ではありません。どの点も施設や町の代表点などで、冠水した道そのものの位置ではありません。
読者
谷地頭は昔から水が出る場所なんですか?
市は2008年の議会で、谷地頭は電停を中心に「地形的にすり鉢状態」で、たびたび浸水被害があったと答えています。
美原の亀田中学校付近と産業道路、工事の予定
亀田中学校の敷地は産業道路に面しています(当サイトが地理院地図とOpenStreetMapの位置で確かめました)。市の答弁では、北海道が2026年度までに産業道路の路肩にU字側溝と集水ますを置く予定で、2026年3月の時点で一部を工事中。市の企業局も、雨水管の新設工事などに2026年度の早い時期に着手する予定と答えています。
市は同じ議会で、雨水管の整備率が特に低いのは「産業道路北側地域など」の分流区域だと答えています。2024年6月の答弁では、雨水と汚水を1本の管で流す合流式の区域は整備率約99%、1974年以降に分流式で整備を始めた区域は約38%でした。市は、公共下水道の雨水管のほかに「道路排水管や既存の排水路も敷設されている」と答えています。
読者
工事が終われば、亀田中学校の前は冠水しなくなりますか?
市の答弁は「現状よりも集水や排水の能力が向上する」までです。何ミリの雨まで冠水しなくなるかは示されていません。
2022年8月8日、アメダス函館(美原)で1時間64ミリ
アメダス函館(美原3丁目の函館地方気象台)は1時間64.0ミリで、1889年からの記録の1位。市の下水道の計画は1時間40ミリで、市は「下水道管などで排水し切れずに、道路の冠水など浸水被害が発生したものと考えております」と答えています。

市には建物の浸水や道路冠水などの通報が478件あり、8〜9日の大雨などによる被害は市内各所で床上浸水37件、床下浸水82件でした(2022年9月の答弁)。榎本町(地図のD)の一部では、湯の川(北海道管理の二級河川)の溢水も要因となり、市道に土砂が堆積するなど被害が大きくなったと市は答えています。
当時の市長は議会で「これだけ広範囲に道路冠水が起きたというのも、なかなかあまり想定していなかった」と述べています。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(道路の冠水・内水は出ません)
2025年8〜9月の大雨、道路冠水と国道278号の通行止め
市は2025年9月の議会で、8〜9月の大雨の道路被害を答えています。本庁管内の道路の「主な被害状況」として市が挙げた道路冠水は、8月19〜20日が17件、9月1〜2日が2件です(「本庁管内」がどこまでかは答弁に書かれていません)。

市は「非常に激しい雨が断続的に降ったことなどにより」、一部の道路で雨水が道路の排水施設の処理能力を超えたと説明しています。8月19日の大雨について、市は別の答弁で「市内各所において道路冠水が発生した」と述べ、床上浸水3件・床下浸水4件を確認したと答えています。北海道の被害報(第2報・8月20日8時時点)では、住宅の床下浸水4件と住宅以外の建物の床上浸水3件です。
9月1日は戸井泊のアメダスで1時間102.0ミリ(2003年からの記録の1位)。国道278号は浜町の約1.7キロが「路面冠水のため」17時16分から翌日17時まで通行止めになりました(函館開発建設部)。市は、9月1〜2日の大雨で戸井・恵山地区の各所に道路冠水などがあり、家屋の床上浸水6件・床下浸水10件を確認したと答えています(9月9日現在。浸水した家屋がどの地区かは答弁に書かれていません)。
国道278号は2021年8月10日にも、古部町で道路が冠水し、木直町までの約1.6キロが通行止めになりました。函館開発建設部は冠水の要因を「白糸の滝」の水量と説明し、迂回路は約128.8キロでした。
内水で浸かる深さは、市の区域図で見る
市は2026年6月9日、下水道で流しきれない雨水(内水)で浸かる範囲と深さを示す「雨水出水浸水想定区域図」を指定し、函館市ホームページ「雨水出水浸水想定区域図について」でPDFを公開しています。想定は1時間130ミリ(おおむね1,000年に1度)。色の付いた場所が浸水の想定で、深さは0.3メートル未満から3メートル以上まで5段階、黒い枠は公共下水道の排水区域です。
読者
区域図で色が付いていなければ安心ですか?
図の説明に「着色されていない区域においても浸水が起こる可能性があります」とあります。川の氾濫による浸水も、この計算には入っていません。
市は2026年3月の議会で、この図をもとにした内水ハザードマップを2026年度中に作り、函館市防災ハザードマップ Web(ウェブ)版でも区域を確かめられるようにする予定と答えています。函館市ホームページ「函館市洪水ハザードマップ」(2024年10月発行)の対象は松倉川・鮫川・常盤川・石川・久根別川の5つで、湯の川は入っていません。
この記事では区域図を写さず、見方だけを案内しています(図の下地は国土地理院の承認を受けて市が使っている地図です)。
\家の住所が川の洪水の区域か確かめる/
洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを出します(2026年6月9日指定の内水の区域と道路の冠水は出ません。湯の川など小さな川の想定が入っているかは確かめていません)
大雨の日に家でできること(市の案内)
函館市ホームページ「家庭で出来る大雨対策」は、大雨で下水道管が満水になると排水が流れにくくなったり逆流したりするとして、洗濯や浴槽の排水を一時的に控えるよう呼びかけています。トイレや風呂場の排水口から「ゴボゴボ」と空気が出たら、水のうを置くと逆流を抑えられるとしています。
雨水ますの点検と掃除も頼んでいます。市議会で取り上げられた冠水センサーや止水板の助成は、市の答弁が「調査・研究を進めてまいりたい」までで、まだ決まっていません(2026年3月)。
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市ごとの記事のまとめ)
- 札幌市 冠水 どこが危ないの?(北海道の国の一覧で最も多い12か所)
- 苫小牧 冠水 どこが危ないの?(国の一覧に2か所のアンダーパス)
公式出典
- 国土交通省 北海道開発局「冠水想定箇所」(北海道47か所。当サイトで数えた値)
- 函館市議会 会議録(2008年12月12日、2022年9月14日・15日・16日、2024年6月12日、2025年9月12日、2026年3月17日)
- 気象庁「過去の気象データ」(函館・高松・戸井泊・川汲の日ごとの値と観測史上の順位)
- 北海道「8月8日からの大雨等による被害状況等」(第3報・2022年8月10日15時時点の速報値。函館市は住家の床上浸水8件・床下浸水54件で、本文の市の答弁(2022年9月)の床上37件・床下82件とは数が違います。違う理由を書いた資料は見つかっていません)/「令和7年8月19日の大雨等による被害状況等」(第2報・2025年8月20日8時時点)/「令和7年9月1日からの大雨等による被害状況等」(第1報・2025年9月1日20時時点)
- 函館開発建設部「緊急災害情報」(国道278号の通行止め:2021年8月10日・11日、2025年9月2日・3日)/函館開発建設部「函館新外環状道路 空港道路」(「道道函館上磯線(通称:産業道路)」)
- 函館市ホームページ「雨水出水浸水想定区域図について」「函館市洪水ハザードマップ」「家庭で出来る大雨対策」「国道,道道,および北海道開発局が管理する高速道路の通行止情報について」「函館市ANSINメール」/災害緊急情報の履歴/函館市ホームページ(トップページ)
- 国土交通省「道路情報提供システム」/国土地理院 住所検索API/地理院タイル(地図)/施設・川・産業道路の位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月25日取得)。避難や通行の判断は、必ず函館市と北海道の最新の発表を確認してください。
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