岩手県一関市で、国の「冠水想定箇所」に載っているのは3か所です。一ノ関駅の北で線路の下をくぐる県道の前堀アンダーパスと市道のJR東北本線アンダーパス、それに花泉(はないずみ)の深沢橋梁です。
岩手県の災害の報告(2016年度から)で、一関市の道の冠水としていちばん多く出てくるのは、舞川(まいかわ)と川崎町を結ぶ県道薄衣舞川線(うすぎぬまいかわせん)です。全面通行止めは7回あり、そのうち6回は理由に「冠水」(おそれを含む)と書かれていました。
この記事でわかること
- ✓ 2026年8月1〜2日は、市内の県道6区間が冠水(おそれを含む)で止まりました。2016年度からの県の報告で、1回の大雨ではいちばん多い数です
- ✓ 大雨のときに冠水するおそれがある線路の下の道は、市道だけで12か所あると市長が答えています(2022年の議会)
- ✓ 2026年8月2〜3日は、国の排水ポンプ車が川崎町で内水をくみ出しました
雨の日に「いま通れない道」と北上川の水位を見るページ
雨の日は、まず次のページを開いてください。市も「防災気象情報などを確認してください」のページで同じものを案内しています。
- 岩手県「道路情報提供サービス」(災害による通行止めとカメラの地図)
- 国土交通省「道路情報提供システム」(国道・県道の規制)
- 岩手河川国道事務所「北上川のリアルタイム情報」(狐禅寺(こぜんじ)などの水位)
- 岩手県「河川情報システム」(磐井川・千厩川(せんまやがわ)など市内の川の水位と雨量)
- 気象庁 キキクル(浸水害・洪水の危険度)
市の公式X・フェイスブック・LINEには、警報や避難情報、避難所の情報が自動で流れる仕組みです(市の2026年3月のお知らせ)。2026年8月1日には、北上川の増水で市道の路面が冠水する恐れがあるとして、市道の一部が通行止めになりました。コミュニティFMの「FMあすも」が、市道路管理課からの情報としてXで伝えています。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は3か所。AとBは一ノ関駅の北
国土交通省 東北地方整備局の「冠水想定箇所」は、岩手県で80か所。一関市は3か所で、県道が1か所、市道が2か所です。
A の前堀アンダーパス(県道一関大東線)と、B のJR東北本線アンダーパス(市道 地主町(じしゅまち)狐禅寺線、五十人町(ごじゅうにんまち))は、道路地図のOpenStreetMap(オープンストリートマップ)で見ると、どちらもJR東北本線の下をくぐる道です。市の建設部長は2010年の議会で、ポンプはAの路線が毎分9.3立方メートル、Bの路線が毎分3.4立方メートルで、どちらも3台と答えています。今も同じかは確かめていません。
C は、花泉駅のすぐ北西で、市道がJR東北本線の深沢橋梁の下をくぐる所です。説明表の備考には「排水路整備後は冠水解消。以降冠水実績なし」とあります。

地図の記号と同じ順です
A 前堀アンダーパス(国の一覧)
県道(主要地方道)一関大東線 管理番号 岩手県-02-006
住所:一関市 中里字上日照(かみひでり)89地先。OpenStreetMapでは、JR東北本線の下をくぐる所
管理: 岩手県 0191-26-1418 / 警察: 一関警察署
※ 2010年の議会で市の建設部長は、一関大東線のアンダーパスに毎分9.3立方メートルのポンプが3台あると答えています
B JR東北本線アンダーパス(国の一覧)
市道 地主町(じしゅまち)狐禅寺線 管理番号 岩手県-02-047
住所:一関市 五十人町(番地の記載なし)。一ノ関駅の北、約440メートル
管理: 一関市道路管理課 0191-21-8523 / 警察: 一関警察署
※ 2010年の建設部長の答弁では、毎分3.4立方メートルのポンプが3台
C 深沢橋梁(国の一覧)
市道 深井沢境線が、JR東北本線の深沢橋梁の下をくぐる所 管理番号 岩手県-02-048
住所:一関市 花泉町深井沢(番地の記載なし)。花泉駅のすぐ北西
管理: 一関市道路管理課 0191-21-8523 / 警察: 一関警察署
※ 説明表の備考は「排水路整備後は冠水解消。以降冠水実績なし」
1 県道 薄衣舞川線(舞川の側)
2018年3月9日・5月19日、2020年7月28日(舞川字荷掛場〜一関大東線交差点)、2026年8月1日(荷掛場〜小和巻)に冠水で全面通行止め(県の報告)
ピンは舞川の区間の途中の県道の上(区間の目安)
管理: 岩手県
2 県道 薄衣舞川線(川崎町門崎(かんざき)の側)
2020年7月28日(門崎〜布佐)と2026年8月2日(門崎字銚子〜舞川境)に冠水で全面通行止め。2019年10月と2024年9月は門崎から舞川までの区間が「冠水の恐れ」などで止まった(県の報告)
ピンは川崎町門崎と舞川の間の県道の上(区間の目安)
管理: 岩手県
3 主要地方道 一関北上線(山目(やまのめ)〜舞川)
2020年7月28日に「路面冠水」(浦〜舞川字谷起田)、2026年8月2日に「冠水の恐れ」(山目町二丁目〜舞川字西平)で全面通行止め(県の報告)
ピンは山目と舞川の間の県道の上(区間の目安)
管理: 岩手県
4 県道 白崖弥栄線(花泉町日形(ひかた))
2026年8月2日、日形下清水と、日形中神〜弥栄(やさかえ)内ノ目の2区間が冠水で全面通行止め(県の報告)
ピンは花泉町日形の県道の上(区間の目安)
管理: 岩手県
5 県道 東和薄衣線(藤沢町黄海(きのみ))
2026年8月2日16時から、黄海字小日形〜下曲田が冠水で全面通行止め(県の報告)。2022年7月15日からの大雨では、黄海字曲田の冠水した道路で車が水没(県の報告。路線名の記載はなく、この県道かは分かりません)
ピンは藤沢町黄海の県道の上(区間の目安)
管理: 岩手県
6 千代田町の市道(線路下アンダーパス)
2016年8月2日、冠水で通行止め。15時29分に通行可能(県の報告)
ピンは千代田町の住所の代表点で、アンダーパスの場所そのものではありません
8 川崎町薄衣(加妻川(かづまがわ)のまわり)
内水が発生しやすい地域だと市長が答えた所(2018年)。2020年7月27日からの大雨で、薄衣地区の家4棟が床下浸水(県の報告)
ピンは川崎町薄衣の住所の代表点
Googleマップのリンクは、A〜Cは説明表の位置図に合わせたOpenStreetMapの線路の下の道、1〜5は県道の上の点、6〜8は住所の代表点で開きます。県の報告には区間の番地が無いため、1〜5は区間の目安です。標高は載せていません。
冠水のおそれがある線路の下の道(市長の答弁)
市長は2022年12月の議会で、線路の下を通り「周辺の地盤より低くなっている部分がある」道のうち、大雨のときに冠水するおそれがある場所は市道が12か所、県が管理する道が2か所と答えました。国の一覧の3か所より多く、12か所の名前は答弁に出てきません。
同じ答弁で市長は、ポンプなどは通常の雨なら排水できるとしたうえで、「排水能力を超えるような大雨が降った場合には冠水に至ることもあります」と話しました。大雨の日はパトロールをして、事前に通行止めにすることがあるといいます。
2016年8月2日には、千代田町の市道の「線路下アンダーパス」が冠水で通行止めになり、15時29分に通れるようになりました(県の報告)。国の一覧のBとは別の町です。
読者
国の一覧に載っていない線路の下の道なら、大雨でも通れますか?
一覧に無いことは、冠水しない証明になりません。線路の下で水がたまっていたら入らず、別の道を選んでください。
県道薄衣舞川線は7回止まり、5回は「北上川水位上昇」
県の報告に出てくる、薄衣舞川線の全面通行止めです。理由は報告の書き方のままです。2019年は途中の報告で理由が「倒木等の恐れ」に変わるため、回数は14日の報告の理由で数えています。
| 日付 | 止まった区間 | 理由(県の報告) |
|---|---|---|
| 2018年3月9日 | 舞川字荷掛場〜一関大東線交差点 | 冠水のため(9日夕方から) |
| 2018年5月19日 | 同じ区間 | 北上川水位上昇による県道の冠水 |
| 2019年10月13日(台風19号) | 川崎町門崎〜舞川字荷掛場 | 14日の報告は「北上川水位上昇による冠水の恐れ」、18日の報告は「倒木等の恐れ」 |
| 2020年7月12日 | 川崎町門崎〜一関大東線交差点 | 記載なし(翌8時に解消) |
| 2020年7月28日 | 川崎町門崎〜布佐、舞川字荷掛場〜一関大東線交差点 | 北上川水位上昇による冠水のため |
| 2024年9月21日 | 川崎町門崎字銚子〜舞川字小和巻 | 北上川水位上昇に伴う路面冠水のおそれのため |
| 2026年8月1〜2日 | 舞川字荷掛場〜小和巻(1日20時30分から)、川崎町門崎字銚子〜舞川境(2日6時30分から) | 北上川水位上昇による冠水のため |

2026年8月2日は、薄衣舞川線のほか、花泉町日形(ひかた)の県道白崖弥栄線の2区間、藤沢町黄海(きのみ)の県道東和薄衣線、山目(やまのめ)〜舞川の主要地方道一関北上線も止まりました。一関北上線だけは理由が「冠水の恐れ」です。
北上川の水位と一関遊水地(川の氾濫の話)
ここからは、北上川の水位と川の氾濫(外水)の話です。
一関遊水地は、洪水のときに一時的に水をためて、下流に流れる水の量を減らす国の施設で、広さは約1,450ヘクタール。中小洪水では小堤が遊水地の中への氾濫を防ぎ、大洪水では周囲堤が市街地を守ります。小堤を水が越え始めるのは、狐禅寺で毎秒4,000立方メートル(10年に1度程度の洪水)と国は説明しています。
岩手日日新聞の8月2日の記事によると、7月に供用が始まったこの遊水地で、2日午前10時すぎに北上川の水が小堤を越え、第2遊水地に流れ込みました。供用開始と越流について、国の発表資料は見つかっていません(9月24日時点)。国の水位の発表では、同じ10時の狐禅寺観測所は11.23メートルで、まだ上がっていました。
舞川の薄衣舞川線が止まったのは、その前日の20時30分です。30分後の21時、狐禅寺の観測所は7.49メートル(舞川の道の水位ではなく、観測所1か所の値です)。氾濫注意水位の7.00メートルを少し超えたところで、氾濫危険水位の17.10メートルまでは9メートル以上ありました。

同じ8月2日10時、諏訪前観測所(一関市)は9.12メートルで、氾濫危険水位の8.80メートルを超えていました。この大雨での一関市の家の被害は床下浸水1棟です(県の最新の報告、8月20日15時現在)。浸水の原因(川の氾濫か内水か)は報告に書かれていません。
遊水地のはじまりは、1947年のカスリン台風と1948年のアイオン台風です。国のパンフレットによると、カスリン台風では狐禅寺の水位が16.89メートルに達し、アイオン台風では磐井川の堤防が切れて一関の市街地が泥水に沈みました。死者は岩手県全体で、カスリン台風が130人、アイオン台風が393人です。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
川崎町の加妻川のまわりは「内水が発生しやすい」(市長の答弁)
市長は2018年6月の議会で、川崎町の加妻川(かづまがわ)は千厩川と北上川が合流する所にあり、「北上川や千厩川の増水に伴って内水が発生しやすい地域」だと答えました。家が浸かるおそれがある内水では、国に排水ポンプ車の派遣を頼むとしています。
国の説明では、内水は北上川の水位が上がって樋門を閉めたとき、川へ水を流せなくなって起きる現象です。2026年8月2日から3日にかけて、岩手河川国道事務所は排水ポンプ車1台を川崎町に送り、内水をくみ出しました。
2020年7月27日からの大雨では、川崎町薄衣の地区で家4棟が床下浸水しています(県の報告。原因の記載はありません)。
読者
北上川から離れた町なかでも、水は出ますか?
県の報告では、2020年7月1日からの大雨で、一ノ関駅に近い上大槻街の飲食店1棟が床上浸水しています(原因は報告に書かれていません)。赤荻(あこおぎ)地区について市の建設部長は2009年、「集中豪雨の際に浸水被害がたびたび発生」と答えています。
住む前・借りる前に見る地図
市の防災マップ(2024年1月に更新。地域ごとのPDFとウェブ版)には、砂鉄川・千厩川などの洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域が載っています。内水だけの地図は、市の防災マップのページに見当たりません。国土地理院の「重ねるハザードマップ」の内水の一覧にも、岩手県の市町村はありませんでした。
- 防災マップで、家と避難所までの道に洪水の色が付いていないかを見る
- 家や通勤の道が、舞川・川崎町・花泉町日形など、北上川の水位で止まった県道の近くかを確かめる
- 線路の下をくぐる道を使うなら、雨の日に通る別の道を決めておく
\借りる前に、洪水と土砂の区域を住所で確かめる/
洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に、その住所が入っているかを出します
ほかの市の冠水記事
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 盛岡市 冠水 どこが危ないの?(岩手県の国の一覧80か所)
公式出典
- 国土交通省 東北地方整備局「冠水想定箇所」岩手県(一覧と説明表 岩手県-02-006・047・048)
- いわて防災情報ポータル「災害対応状況」(平成28年度〜令和8年度の各報告。令和8年8月1日のレベル4土砂災害危険警報に伴う対応状況は第9報兼最終報と8月20日15時現在の版)
- 岩手河川国道事務所「最近の防災情報」(大雨による防災情報(河川)第1〜7報、災害対策支援情報 第1・2報。2026年8月1〜3日)
- 岩手河川国道事務所「一関遊水地事業概要」「一関遊水地の施設概要」・パンフレット「一関遊水地事業」
- 一関市議会 会議録(2009年8月25日、2010年9月2日、2018年6月14日、2022年12月9日)
- 一関市「防災気象情報などを確認してください」「防災マップをリニューアルしました」「SNSへの情報発信が変わります」
- 岩手日日新聞「北上川上流 氾濫危険レベル4 一関遊水地 供用開始後初の越流」(2026年8月2日・Yahoo!ニュース掲載)
- FMあすものXの投稿(2026年8月1日)
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」内水(雨水出水)浸水想定区域の掲載一覧/地理院タイル(地図)
- 道路・構造物の位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料を集計したものです(2026年9月23〜24日取得)。避難や通行の判断は、必ず一関市と岩手県の最新の発表を確認してください。
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