🗨️「AIに仕事を取られて、事務の求人が減ったということでしょうか」
厚生労働省の職業別の統計を2012年3月から173か月ぶん並べると、一般事務の有効求人倍率は一度も1倍に届いていません。いちばん高かった2019年2月でも0.46倍でした。ChatGPTが公開された2022年11月は0.37倍、最新の2026年7月は0.29倍です。
[AI] この記事の要点
2026年9月18日 発表
- 事務の仕事に就いていて、この先どうなるか気になっている人
- これから事務職で就職・転職しようとしている人
- 求人が減ったのはAIのせいだと説明されて、そのまま受け取っている人
「AIのせいで減った」と言う前に、14年ぶんの線を見る
厚生労働省は毎月、ハローワークに出た求人と、そこへ申し込んだ人の数を職業ごとに公表しています。長期時系列表の第21表がそれで、職業別の有効求人倍率が月単位で並んでいます。ここから「一般事務」の行だけを、旧様式のファイルと合わせて2012年3月から2026年7月まで取り出しました。173か月ぶんです。
結論から書くと、この173か月のあいだ、一般事務の有効求人倍率が1倍に届いた月は一度もありません。いちばん高かったのは2019年2月の0.46倍。生成AIが世間の話題になるよりずっと前から、求人より求職者のほうが2倍以上多い職業でした。
| 年月 | 一般事務の有効求人倍率 | その月について |
|---|---|---|
| 2012年3月 | 0.23倍 | この統計表がさかのぼれる最初の月 |
| 2012年5月・6月 | 0.17倍 | 173か月でいちばん低い |
| 2019年2月 | 0.46倍 | 173か月でいちばん高い |
| 2020年8月 | 0.26倍 | 新型コロナウイルスの最初の年 |
| 2022年11月 | 0.37倍 | ChatGPTが公開された月 |
| 2026年7月 | 0.29倍 | いちばん新しい月 |
この表には注意書きが1つ要ります。統計の様式が2022年4月に変わっていて、古いファイルでは「一般事務の職業」、新しいファイルでは「一般事務従事者」と名前が違います。ただし2つのファイルが重なる2022年4月から2023年3月までの12か月は、12か月とも値が一致しました。つなぎ目で数字が飛んでいないことは確かめたうえで並べています。
AIを自分の側に置くなら、最初の1冊
3冊とも入口が違います。手が止まっている場所で選んでください。
最初の1円までがいちばん短い本です。第1章がLINEスタンプ作りから始まるので、何から触ればいいか分からずに止まっている段階なら、ここから手が動きます。巻末の20ジャンル一覧がそのままアイデア帳になります。
自分の経験や知識を有料記事にして売る型を、集客から書き方まで通しで扱っています。AIの章は8章のうち1章だけで、残りは「何を誰に売るか」の設計です。売る場所をnoteに決めた人向け。
AIの話は出てきません。2023年刊で、売るものを決める・商品にする・集客する・売る、という土台だけを会話形式で扱います。AIの手順書を読んでも手が止まる人は、たいていここが空いています。
※ 本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介している商品は、記事の内容に関連するものを編集方針にもとづいて選んでいます。Amazonのアソシエイトとして、おかあさんのおうちは適格販売により収入を得ています。
ハローワークで仕事を探す5人に1人が、事務を希望している
倍率が低い理由は、求人が急に消えたからではありません。希望する人が多いからです。
2026年7月、ハローワークで仕事を探していた人は全部で194万9,781人でした。そのうち一般事務を希望していたのが41万5,773人。職業の中分類でいちばん多い数字で、全体の21.3%にあたります。仕事を探している5人に1人が、同じ職業の窓口に並んでいる計算です。
いっぽう同じ月の一般事務の求人は12万593件。ここから割り算すると、求人1件あたり3.4人になります。

同じ月、建設躯体工事は求職者1人に7.9件
同じ統計の、同じ月の、ほかの職業も並べてみます。数字の桁が変わります。
| 職業 | 有効求人倍率 | 求人1件あたりの求職者 |
|---|---|---|
| 一般事務従事者 | 0.29倍 | 3.4人 |
| 職業計 | 1.05倍 | 1.0人 |
| 介護サービス職業従事者 | 3.82倍 | 0.3人 |
| 保安職業従事者 | 6.54倍 | 0.2人 |
| 建設躯体工事従事者 | 7.94倍 | 0.1人 |
建設躯体工事は、求人1万9,298件に対して求職者が2,432人しかいません。求職者1人あたり7.9件の求人があるということで、一般事務とは27倍の開きがあります。どちらも同じ役所が同じ月に数えた、同じハローワークの数字です。
「就職は今どこも大変だ」という言い方は、この表の前ではあまり意味を持ちません。大変なのは職業によります。
落ちているのは事務だけではない
では、生成AIが広まった2023年以降に一般事務が急に落ちたのかというと、そうも読めませんでした。有効求人倍率には季節の波があるので、7月だけを5年ぶん並べます。
| 7月の値 | 職業計 | 一般事務 |
|---|---|---|
| 2022年 | 1.15倍 | 0.32倍 |
| 2023年 | 1.15倍 | 0.34倍 |
| 2024年 | 1.11倍 | 0.33倍 |
| 2025年 | 1.09倍 | 0.32倍 |
| 2026年 | 1.05倍 | 0.29倍 |
一般事務は0.32倍から0.29倍へ、職業計は1.15倍から1.05倍へ動いています。下がり方の割合はほぼ同じで、事務だけが別の力で押し下げられている形にはなっていません。求人全体が細っている流れのなかに、もともと低い職業がそのまま乗っている、というのがこの5年の形です。
AIが事務の仕事に一切影響していない、と言いたいわけではありません。ただ「AIのせいで事務の求人が減った」を数字で裏づけようとすると、この統計では裏づけられませんでした。
事務職は近い未来になくなると言われていますが そうなった場合働いてる人はどうなりますか? 無期雇用派遣で事務をしています。 雇用形態が正社員のためくびにはならないですよね?
Yahoo!知恵袋の質問より
この質問が心配しているのは「これからなくなること」です。ただ、いま出ている数字が言っているのは、なくなる前の段階ですでに椅子が足りていない、ということでした。心配する順番が1つずれています。
「倍率が高い」の向きが、公務員試験と逆になる
ここでつまずく人が多いので、先に書いておきます。
市役所や特別区の採用試験でいう「一般事務の倍率」は競争倍率で、高いほど入りにくいという意味です。いっぽうハローワークの有効求人倍率は求人を求職者で割った数字なので、低いほど入りにくい。同じ「事務」「倍率」という言葉で、向きが正反対になります。
検索窓に「一般事務 倍率」と打つと公務員試験の話が先に出てくるのはこのためです。求人の話を調べたいときは「事務職 有効求人倍率」と打つと、目当ての統計にたどり着きます。
もう1つ、数字を比べるときの落とし穴があります。同じ第21表のなかに「パートタイムを含む常用」と「パートタイムを除く常用」の2種類があり、2026年7月の一般事務は前者が0.29倍、後者が0.28倍です。この記事はすべて前者でそろえています。よそで見た数字と合わないときは、たいていここが違っています。
私はこう読みました
私は、この173か月の線を見て「AIが来たから事務がなくなる」という話の立て方そのものを変えたほうがいいと考えています。事務の椅子は、AIが話題になる10年前から足りていませんでした。これから起きることではなく、すでに起きて定着していることです。
だとすると、身を守る方向も変わります。「AIに奪われないように事務のスキルを磨く」よりも、「同じ職業に41万人が並んでいる窓口以外にも、自分の手札を1つ増やしておく」ほうが、この数字とはかみ合います。AIはその手札を増やす道具の側に置いたほうが、少なくとも求人票の数とは戦わずに済みます。
職場にAIを入れた会社で、実際に仕事が減ったのかどうかは、また別の統計と事例の話になります。そちらはAIを入れたのに仕事が減らないのはなぜ?にまとめました。
よくある質問
Q. 0.29倍というのは、10人のうち3人しか就職できないという意味ですか。
A. 違います。有効求人倍率は、ある月に有効だった求人数を求職者数で割った数字で、就職できた人の割合ではありません。求人1件あたり何人が申し込んでいるか、という混み具合を表します。
Q. この数字はハローワークだけのものですか。
A. そうです。職業安定業務統計はハローワークで扱った求人と求職を集計したものなので、民間の求人サイトや人材紹介の分は入っていません。事務の求人が民間側に多く出ている可能性は、この統計だけでは分かりません。
Q. 自分が住んでいる県の数字は見られますか。
A. 都道府県別の有効求人倍率は毎月の報道発表資料に載っていますが、その表は職業別に分かれていません。職業別は第21表で全国の値だけが公表されています。
Q. いつ更新されますか。
A. 一般職業紹介状況は毎月末ごろに前月分が公表され、長期時系列表もそのたびに差し替えられます。この記事は2026年8月28日公表・令和8年7月分までの数字です。
生活・仕事にどう効くか
- いま事務で働いている:椅子の数が応募者より少ない状態は、AIが話題になるより10年前から続いている。最近になって始まったことではない。
- これから事務で探す:2026年7月は求人1件あたり3.4人。同じ月の介護サービスは0.3人、建設躯体工事は0.1人で、同じ統計のなかで30倍近い差がある。
- 数字の読み方:公務員試験の「倍率が高い」は競争が激しいという意味だが、有効求人倍率は逆で、低いほど厳しい。同じ言葉が反対の向きに使われている。
結局どうすればよいか
- 自分が探している職業の有効求人倍率を、第21表で最新月まで確かめる
- 「パートタイムを含む常用」と「パートタイムを除く常用」で数字が変わるので、どちらの値かを見てから比べる
- 職業計の動きと並べて見る。全体が落ちている月は、その職業だけの問題ではない
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」長期時系列表 第21表-7 職業別有効求人倍率(パートタイムを含む常用)〜令和8年7月(2026年8月28日発表)
- 同上 第21表-7(〜令和5年3月【旧様式】・平成24年3月からの月次)(2024年3月29日発表)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」(2026年8月28日発表)
- Yahoo!知恵袋「事務職は近い未来になくなると言われていますが…」(2026年9月18日発表)
更新履歴
- 2026年9月18日 初版を公開
※本記事は2026年9月18日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。










コメント