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いわき市 冠水 どこが危ないの?

先週の9月7日の朝、いわき市鹿島町の地下道で車2台が水没し、60代の女性が亡くなりました。

その場所は、危ない道の名簿にちゃんと載っていました。ただし、どの名簿を見るかで数が7倍ずつ変わります。

いわき市には、道路の冠水について3つの名簿があります。国のものが3か所、県のものが21か所、市のものが140か所です。

この記事でわかること

  •  国3か所・県21か所・市140か所。同じ市の同じ道を、3つの役所が別の基準で数えています
  •  9月7日に人が亡くなった米田アンダーボックスは、県の21か所の6番目・市の140か所の95番でした
  •  あの日のいわき市は、住家の被害が床下浸水1棟。そのいっぽうで市道22路線と県道11路線が通行止めになりました
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数と住所は、国土交通省 東北地方整備局「冠水想定箇所(福島県)」23件、福島県 道路管理課「冠水危険箇所」(令和8年8月時点・2026年9月3日更新)、いわき市「道路冠水注意箇所マップ」(2023年7月5日)から取りました。被害はいわき市の災害報告書 最終報(9月7日15時00分現在)です。
目次

同じ市なのに、危ない道の数が3つあります

いわき市の道路冠水の箇所数を国・県・市の3つの名簿で比べた図
国3か所・県21か所・市140か所。数える相手がそれぞれ違います

いちばん少ないのが国の一覧です。福島県全体で23か所しかなく、いわき市はそのうち3か所。赤井(あかい)ガード、番所下(ばんしょした)ガード、大島(おおしま)ガードで、3つとも県が管理する県道です。

次が県の「冠水危険箇所」。福島県は「アンダー構造にて鉄道等と立体交差する箇所の内、冠水の恐れのある箇所」と定義していて、県内121か所、いわき市は21か所です。内訳は国が管理する道1か所、県が24か所、市町村が96か所でした。

いちばん多いのが市の「道路冠水注意箇所マップ」で140か所。こちらは立体交差に限らず、市民から寄せられた情報をもとに、水がたまりやすい道を数えたものです。

3つの名簿は、数える相手が違います。国と県は「くぐる道」を見ていて、市は「たまる道」も見ています。

緑に囲まれた線路が、道路の橋の下へ吸い込まれていく
緑に囲まれた線路が、道路の橋の下へ吸い込まれていく(写真: Pexels)

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの

JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。

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水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。

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119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。

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鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。

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県が名前を出しているのは21か所です

番号 名称 住所 くぐる相手 管理
8-10 赤井(あかい)ガード 平赤井字深田 JR磐越東線
8-11 番所下(ばんしょした)ガード 植田町番所下 JR常磐線
8-12 大島(おおしま)ガード 錦町大島 JR常磐線
8-20 大工町(だいくまち)ガード 平字禰宜町 JR常磐線
8-21 禰宜町(ねぎまち)ガード 平字禰宜町 JR常磐線
8-22 米田(こもだ)アンダーボックス 鹿島町米田字手倉 県道 江名・常磐線
8-23 南富岡(みなみとみおか)アンダーボックス 小名浜南富岡字小野作 国道6号常磐バイパス
8-24 綾ノ町(あやのまち)ボックス 錦町綾ノ町 国道6号
8-25 落合(おちあい)ガード 常磐西郷町落合 JR常磐線
8-26 銭田(ぜにた)ガード 常磐西郷町銭田 JR常磐線
8-27 新町前(しんまちまえ)ガード 御台境町新町 JR常磐線
8-28 いわき中央インターチェンジアンダー 好間町北好間字小田郷 常磐自動車道
8-29 久ノ浜(ひさのはま)ガード 久之浜町西二丁目 JR常磐線
8-30 大久(おおひさ)バイパス下 大久町大久字石坪 国道6号常磐バイパス
8-31 下川原鉄橋下(しもかわはらてっきょうした) 小川町高萩字下川原 JR磐越東線
8-32 浜田(はまだ)ボックス 勿来町九面浜田 国道6号
8-33 小名田(おなだ)ガード 植田町小名田 記載なし(小名田ちびっこ広場)
8-34 行屋前地下道(ぎょうやまえちかどう) 勿来町関田飯ノ辺 記載なし(なこそさがわ荘)
8-35 八反田(はったんだ)アンダー 内郷高坂町八反田 JR常磐線
8-36 遣水(やりみず)ガード 平中神谷字遣水 JR常磐線
8-37 玉露(たまつゆ)アンダーボックス 泉町滝尻字上原 JR常磐線・福島臨海鉄道

管理者は、県が3か所(いわき建設事務所1・勿来土木事務所2)、残る18か所がいわき市です。困ったときの連絡先は、ほとんどが市役所になります。

21か所の半分は、JR常磐線の下です

いわき市の冠水危険箇所21か所が何の下をくぐっているかを数えた図
JR常磐線が11か所。磐越東線とあわせて鉄道の下が13か所です

くぐる相手で数えると、JR常磐線が11か所。磐越東線が2か所で、鉄道の下だけで13か所、21か所の6割になります。

残りは国道6号と国道6号常磐バイパスが2か所ずつ、常磐自動車道が1か所、県道が1か所。2か所は相手が書かれておらず、「小名田ちびっこ広場」「なこそさがわ荘」という近くの目印だけが入っていました。

名前の付け方にも決まりがあります。鉄道の下は「ガード」、道路の下は「アンダーボックス」か「ボックス」。玉露アンダーボックスだけは、JR常磐線と福島臨海鉄道という2本の鉄道の下をくぐります。

亡くなった場所は、県の6番目・市の95番でした

9月7日午前7時47分ごろ、鹿島町米田(こもだ)の市道アンダーボックスで「車両が浸水している」と119番通報がありました。進入した車2台が水没し、1台に乗っていた60代の女性が亡くなっています。

この場所は、県の一覧では番号8-22。市のマップでは小名浜・鹿島地区の95番として、「鹿島町米田字手倉地内 アンダーパス(主)江名常磐線」と書かれていました。

上を通っているのは県道の江名・常磐線で、くぐっているのが市道の沼田・馬場線です。排水ポンプは8月28日に緊急点検を済ませていて、当日も動いていました。

県の一覧が最後に更新されたのは、事故の4日前にあたる2026年9月3日です。載っていなかったから起きたのではなく、載っていて、ポンプもあって、点検も済んでいて、それでも起きました。

市の140か所は、12の地区に分かれています

いわき市の道路冠水注意箇所140か所を地区別に数えた図
平・内郷地区が28か所で最多。久之浜・大久地区は6か所です

市のマップは全域図1枚と地区別12枚。番号は1番から140番まで、欠番なく並んでいます。

いちばん多いのが平・内郷地区の28か所で、全体の2割。常磐17、平・中央台14、小名浜・鹿島12、植田12と続きます。いちばん少ないのは久之浜・大久地区の6か所です。

地区別の地図には、番号ごとに住所と路線名の表が付いています。たとえば平地区の7か所は、平泉崎字中島・平下神谷字内宿・平中神谷字北鳥沼・平中神谷字遣水・平字六町目・平字大工町・平北白土字上河原。県の21か所と突き合わせると、大工町ガード・禰宜町ガード・遣水ガードの3つが、市の表にも同じ場所として載っていました。

市はマップにこう書き添えています。

降雨状況によっては「道路冠水注意箇所マップ」で示した注意箇所以外でも、道路が冠水する恐れがありますので、冠水している道路は避け、安全な道路への迂回をお願いします。

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市のマップの作成日は2023年7月5日です。9月7日の事故を受けた見直しは、この記事を書いた時点では反映されていません。

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あの日、家の被害は床下浸水1棟でした

いわき市が出した災害報告書の最終報(9月7日15時00分現在)を並べると、被害の形がはっきり出ます。

項目 内容
人的被害 死者1名
住家被害 床下浸水1棟
その他 がけ崩れ3件
通行規制 市道22路線・県道11路線
鉄道 JR常磐線・磐越東線が運転見合わせ

家が浸かったのは床下1棟だけです。ところが道は33路線で止まり、地下道で1人が亡くなりました。水害というより、道路だけが集中して水没した朝でした。

現場からいちばん近い小名浜アメダスの1時間雨量は、7時ちょうどで32.0ミリ。気象庁が「非常に激しい雨」と呼ぶ50ミリにも届いていません。地下道が危ないのは雨の強さではなく地形だ、ということがそのまま出ています。

冠水した道の真ん中で、水に浸かって動けなくなった車が2台止まっている
冠水した道の真ん中で、水に浸かって動けなくなった車が2台止まっている(写真: Pexels)

国が先に閉める6か所に、福島県は入っていません

令和8年8月の全国緊急点検で調べた直轄国道102か所の地方整備局別の内訳
千葉の事案を受けた緊急点検。対象は国が直接管理する国道だけです

2026年8月13日、千葉市中央区の国道16号のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなりました。原因は非常用電源設備の不作動で、停電したときに排水ポンプが動かなかったためです。

これを受けて国土交通省は、翌14日から全国の直轄国道102か所を点検しています。さらに9月4日からは、冠水を待たずに通行止めにする事前通行規制を6か所で始めました。

その6か所は、北海道釧路市の国道44号、山形県酒田市の国道7号、山形県鶴岡市の国道112号、新潟市の国道7号、鳥取県米子市の国道9号、高知県須崎市の国道56号。6か所とも国が直接管理する国道で、福島県は1つも入っていません。

米田アンダーボックスの管理者は、いわき市です。国の網は、そもそも掛かっていない側の道でした。

もし車で水に入ってしまったら

水に入ってしまった車から出るまでの手順
水深30センチほどでドアは開かなくなります。割るのは横の窓です

9月7日に水没した2台も、入るまでは深さが見えなかったはずです。たまった水は上から見ると平らで、底の形がわかりません。

JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。

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水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。

\何センチでドアが開かなくなるのか/

JAFの実験の中身を読む ›

窓を割れたのは脱出用ハンマーだけでした

ほかの市はどうなっているか

同じ手順で、ほかの市区も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。

この記事のまとめ

いわき市で道路が冠水しやすい場所は、国の一覧では3か所、県の一覧では21か所、市のマップでは140か所です。県の21か所は6割が鉄道の下で、うち11か所がJR常磐線。管理しているのは21か所のうち18か所が市です。

9月7日に人が亡くなった米田アンダーボックスは、県の6番目・市の95番として名前も住所も載っていました。載っていなかったから起きたのではありません。

公式出典

  • 福島県 道路管理課「冠水危険箇所」一覧表といわき市の位置図(令和8年8月時点・2026年9月3日更新)
  • いわき市「道路冠水注意箇所マップ」全域図と地区別12枚(2023年7月5日)
  • いわき市「【令和8年9月6日大雨】災害報告書(最終報 9月7日15時00分現在)」
  • 国土交通省 東北地方整備局「冠水想定箇所(福島県)」23件と箇所ごとの説明表
  • 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」(令和8年8月21日)と事前通行規制の開始(9月4日)
  • 気象庁 アメダス小名浜の観測値
  • JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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