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みなし仮設住宅の家賃、上限は住んでいる県でいくらまで?

「上限を超えた分は自分で足せばいい」と考えて部屋を探すと、契約できません。災害で家に住めなくなった人が民間の賃貸住宅に無償で入れる制度(賃貸型応急住宅、みなし仮設住宅)には世帯人数ごとの家賃上限があり、超えた分を自己負担することも認められていないからです。

そのうえ、上限額そのものが住んでいる県で違います。令和8年8月千葉豪雨(千葉県)の単身は月80,000円、令和8年熊本地震(熊本県)の単身は月55,000円。同じ年に起きた災害で、同じ災害救助法にもとづく制度なのに、単身の枠は1.45倍ちがいます。

この記事でわかること

  •  5人以上の世帯は千葉県165,000円・熊本県130,000円で、月35,000円ちがう
  •  部屋は自治体が用意するのではなく自分で探す。しかも仲介業者が斡旋した物件でないと対象外になりうる
  •  「2年」は全員ではない。石川県は元から借家住まいだと1年、千葉県は応急修理と併用すると原則6か月
川沿いに建つ日本の集合住宅。同じ形の住戸が並んでいる
借り上げの対象になるのは、こうしたふつうの民間賃貸です(写真: Pexels)
目次

令和8年8月千葉豪雨で、いま受け付けている上限額

千葉市は2026年9月1日に受付を始めました。千葉県の報道発表に載っている上限は次の4段で、市川市・松戸市・柏市・鎌ケ谷市・白井市のページも同じ額を出しています。

入居する世帯の人数 月額家賃の上限
1人 80,000円
2人 100,000円
3〜4人 130,000円
5人以上 165,000円
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この額は県が負担する上限であって、家賃の目安ではありません。敷金・礼金・仲介手数料などを誰が払うかは、後半の表にまとめています。駐車場代は入居者の負担です。

停電や断水が続いて自宅に戻れない集合住宅の住民も、条件に当てはまれば対象になります。千葉市内のマンションについては千葉市で停電が続くマンションはどこ?で、公表されている範囲と受付の条件をまとめています。

千葉・熊本・石川の上限額一覧 単身の枠は1.45倍ちがう

いま国内で並行して動いている賃貸型応急住宅の上限を、世帯人数別に並べます。金額は県・市町の公式ページに載っている額です。

県(災害) 1人 2人 3〜4人 5人以上
千葉県(令和8年8月千葉豪雨) 80,000円 100,000円 130,000円 165,000円
熊本県(令和8年熊本地震) 55,000円 65,000円 95,000円 130,000円
石川県(金沢市・野々市市を除く) 60,000円(区分は「2人以下」) 60,000円 80,000円 110,000円
石川県(金沢市・野々市市) 60,000円 80,000円 100,000円 120,000円
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熊本県と石川県のページの原文は「5.5万円」「6万円」などの万円表記です。この記事では比較のため円に統一しました。額は各ページの数字と同じです。

単身で見ると千葉県80,000円と熊本県55,000円で、月25,000円の差。2年住めば600,000円ちがいます。5人以上の世帯でも、千葉県165,000円と熊本県130,000円で月35,000円の差があります。

石川県(令和6年能登半島地震ほか)は、県内で表を2つ持っています。金沢市と野々市市は1人と2人が分かれていて、それ以外の市町は「2人以下」でひとくくり。単身はどちらも60,000円ですが、2人世帯だと金沢市・野々市市が80,000円、それ以外が60,000円で、同じ県の中で月20,000円ちがいます。

読者

同じ国の同じ制度なのに、どうして県で額が違うんですか。

おかあさん

自治体のページは金額を出すだけで、どう決めたかは書いていません。ただ、その県の平均家賃と並べると、額の並び方には説明が付きます。

上限を1円超えた部屋は、差額を足しても借りられない

熊本県・宇城市・宇土市・益城町、そして千葉豪雨の白井市。県も市町も違うのに、ページには同じ言い回しの一文が載っています。「超過分を個人負担することも不可」。熊本市だけ表現が違い、「家賃の限度額を超える住宅は対象となりません」と書いています。

上限が55,000円のとき、家賃56,000円の部屋は対象外です。1,000円を自分で足すという契約の形が、そもそも認められていません。

部屋探しで最初に踏むのがここです。間取りや駅からの距離より先に、世帯人数と上限額を不動産会社に伝える必要があります。上限を伝えないまま内見まで進むと、気に入った部屋が最後に条件で落ちます。

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見るのは家賃欄だけではありません。共益費・管理費は「社会通念上必要と認められる額」までが県負担と書かれているだけで、いくらまでかは示されていません(白井市)。管理費込みの総額で候補を並べ、窓口で確かめてから申し込む必要があります。

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上限額は、その県の平均家賃の1.2〜1.3倍に収まっている

県ごとの平均家賃と並べます。

単身の上限 県の平均家賃 上限は平均の何倍か
千葉県 80,000円 62,187円 約1.29倍
石川県 60,000円 46,929円 約1.28倍
熊本県 55,000円 45,610円 約1.21倍

金額はバラバラでも、単身の上限はどの県も平均家賃の1.2〜1.3倍という同じ位置にあります。私は、「上限が低すぎる」という批判はこの数字では成り立たないと考えています。上限額の内側は、単身向けなら相場の真ん中よりむしろ上です。問題は枠の広さではなく、その額で空いている部屋が被災地とその周辺に実際にあるかどうかだと見ています。

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集計の条件。家賃は総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(専用住宅、家賃が0円の住宅を含まない)で、ワンルームから3LDKまで、世帯人数も間取りも区別しない全借家の平均です。市区町村ごとの差も均されています。
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この数字の読み違い方。並べてよいのは単身の上限までです。3〜4人・5人以上の上限は「相場の何倍」と読めません。分母に単身向けの狭い部屋が入っている平均で、家族向けの部屋の相場とは比べられないからです。

物件は誰が探すのか 自治体は割り当ててくれない

熊本市のページには「物件は被災者の方で探していただきます」と書かれています。熊本県・宇城市・益城町は「不動産仲介業者が斡旋した住宅であること」、石川県は「不動産事業者(仲介業者)が斡旋した住宅であること」を条件に挙げています。大家さんと直接話をつけた部屋は、この条件から外れることがあります。

契約は三者契約です。益城町・宇土市のページには「被災者・貸主・県の三者契約が必要です。県が借主となります」と書かれています。石川県は市町長が借主になると書いています。珠洲市はその契約の形を「定期賃貸借契約」と明記しています。定期賃貸借は期間が来たら更新されずに終わる契約なので、普通の賃貸と同じつもりでいると出口で戸惑います。

書類を手にして三人で内容を確かめている場面
部屋を探すのは自治体ではなく被災者本人で、契約は自治体を交えて結びます(写真: Pexels)

読者

上限内の部屋が見つかりました。そのまま申し込んでいいですか。

おかあさん

先に市役所・役場の窓口です。自分と大家さんの二者で先に契約すると、手続きが別の扱いになります。すでに自費で契約した場合の案内も出ていて、熊本県では三者契約に結び直す形が示されています。

家賃以外に、誰が何を払うか

家賃だけが論点ではありません。初期費用と毎月の実費が、行政と入居者に分かれています。額まで書いているのは熊本市で、ほかの自治体は「社会通念上必要と認められる額」という書き方です。

費用 誰が払うか ページに書かれていること
家賃 行政 世帯人数ごとの上限まで
敷金(退去修繕負担金) 行政 熊本市では家賃の2か月分以内
礼金 行政 熊本市では家賃の1か月分以内
仲介手数料 行政 熊本市では家賃の0.55か月分以内。白井市は額を示さず「社会通念上必要と認められる額」
火災保険料 行政 宇土市は県が一括加入して負担
共益費・管理費 行政(限定つき) 熊本市は「不可欠なもののみ」
駐車場代 入居者 熊本市・白井市とも入居者の負担
ペットの飼育で加算される費用 入居者 熊本市

ここまでは制度の建前です。実際には、行政が負担するはずの家賃を入居者が立て替えていた例が報じられています。東京新聞と北陸中日新聞は2024年4月22日、能登半島地震のみなし仮設について「県によると、本来は市町が負担する家賃を被災者が立て替えている事例が7割超に上る」と伝えました。記事には入居者の言葉が載っています。

「家賃を立て替えているが、いつごろ支払われるのか?」

「子どもの教育費もあり、すぐに動かせるお金を用意するのが難しい。これなら2次避難先のホテルにいた方が良かったのかも」

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「7割超」は石川県の説明として報じられた数字で、記事には分母となる世帯数も時点も書かれていません。立て替えが起きた理由も記事からは読み取れないので、ほかの災害でも同じとは書けません。ただ、家賃がいつ支払われるのかを窓口で確かめておく理由にはなります。

「2年住める」が当てはまらないケース

供与期間は、確認できた自治体のページではどこも「入居日から2年以内」と書かれています。ただし、その2年に届かない条件が別に添えられていることがあります。

  • 石川県の珠洲市は、災害時に借家や公営住宅に住んでいた人は「入居日から1年以内」
  • 千葉県の白井市は、住宅の応急修理制度を併用する場合は「原則6か月」
  • 新潟県は「入居日から最長2年間 ※1年を超えない範囲で延長可」

逆に、2年を大きく超えて続いている県もあります。富山県は令和6年能登半島地震について、高岡市・氷見市・小矢部市・射水市を延長の対象とし、令和9年12月31日までとしています。供与期間は入居日から数えますが、入居が始まったのは2024年のうちなので、実際には4年近い長さになります。「2年」は上限でも保証でもなく、そのときの判断で動く数字です。

「仮設が2年なのは建築基準法85条だから」は、みなし仮設には当てはまらない

2011年7月15日、Yahoo!知恵袋に「仮設住宅が2年で撤去とする理由を教えてください」という質問が投稿されました。ベストアンサーは建築基準法第85条の「安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、2年以内の期間を限って…」を引いていました。同じ説明はいまも見かけます。

内閣府の「災害救助法の概要」の改正履歴も、昭和42年の「完成の日から建築基準法第85条第3項による期限内(最高2年以内)とすること」まで建築基準法をたどっています。

ただし、この条文が数えているのは「完成の日から」です。建てた仮設建築物の話であって、みなし仮設はもともと建っている民間の賃貸住宅を借り上げる形なので、何も建てていません。建築基準法85条の2年と、みなし仮設の2年は別の話です。

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賃貸型応急住宅の供与期間を直接定めた国の条文は、この記事を書く時点では特定できていません。ここで書いた「2年」は、各自治体のページにそう書かれているという事実までです。自分の期間は、入居する自治体のページと三者契約の契約書で確かめてください。

自分の市の上限額を調べる手順

上限額は災害ごと・県ごとに決まり、同じ県でも市によって表が分かれることがあります。正しいのは自分の自治体のページだけなので、次の順で開きます。

  1. 「市区町村名+賃貸型応急住宅」で検索する。行政の見出し語は「みなし仮設」ではなく「賃貸型応急住宅」で、こちらの方が正しいページに届きます
  2. 県のページも開く。市のページに額が無く、県のページにだけ4段の表が載っていることがあります(富山県のように、県のページにも額が無い例もあります)
  3. 「家賃の上限」「対象となる住宅」「供与期間」の3か所を読む。額・仲介業者を通す条件・期間はこの3か所に固まっています
  4. 罹災証明書の区分を確認する。全壊だけではありません

4つ目は自治体で差が出ます。「半壊だから無理」と自分で判断して問い合わせないのが、いちばんもったいない読み方です。

罹災証明書の区分は、この制度だけでなく支援金の額も分けます。区分ごとの差は全壊と半壊で最大300万円ちがうにまとめています。

書類にペンで署名している手元
上限額は家賃の欄だけの話で、ほかに誰が何を払うかは別に決まっています(写真: Pexels)

よくある質問

半壊だと入れませんか

自治体によります。熊本県は半壊でも解体する場合、石川県はライフラインの途絶などで長期間住めない場合、白井市は「住み続けることが困難な程度」の半壊を、それぞれ対象になりうると書いています。共通しているのは「自らの資力をもってしては住宅を確保できない」という条件で、これはどの自治体にも入っています。ただし所得の具体的な線を示した自治体は見つかりませんでした。

上限に収まる部屋が見つからないときは

上限を超える物件は、差額を負担しても対象外です。自治体によっては市営住宅・県営住宅の一時提供が並行して案内されます(令和8年熊本地震では8月から受付)。窓口で同時に確かめてください。

期間が終わったら必ず出ないといけませんか

熊本市は、そのまま住み続ける場合は貸主と入居者の二者で新たに契約を結ぶ必要があると書いています。そのとき敷金や礼金をもう一度払うのかまでは書かれていません。また富山県のように、災害によっては期間が延長されている例もあります。

出典

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この記事の金額と期間は2026年9月7日に各公式ページで確認したものです。受付の開始・終了や上限額は災害ごとに変わるため、申し込む前に自分の自治体のページで最新の内容を確認してください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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