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営業電話ゼロで家の売却相場は調べられるの?

家の売却相場は、電話番号を1度も入力せずに、実際に売買が成立した価格(成約価格)ベースで、無料で調べ終えられます。ただし「隣のあの家、いくらで売れたんだろう」というピンポイントの金額だけは、どの方法でも分かりません。国が、個別の家を特定できないように制度を設計しているからです。

売る気はないのに、いくらになるのか興味本位で無料一括査定を試してしまい、直後に不動産会社から電話が来た——ほかの会社からも来るのではと投稿サイトで助けを求めている相談が、実際に残っています(出典は記事末尾)。値段を知りたかっただけの人が、営業対応に追われる。この記事はその順番を逆にします。電話が1本も鳴らないまま、成約価格ベースの相場を無料で調べ終える経路を3つ紹介します。

この記事でわかること

  •  成約価格を無料・登録不要で見る方法2つ(国のデータとレインズ)
  •  住所を入れて1分で相場の中央値を出す方法(連絡先の入力欄なし)
  •  「隣の家の売却額」がどこにも載っていない制度上の理由
  •  無料一括査定で営業電話が来る仕組み
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この記事の件数・数値は2026年8月27日時点で確認したものです
隣り合って建つ2軒の家の屋根
隣の家の売値は、いちばん知りたいのに、どこにも載っていません(Photo: Pexels)
目次

「隣の家がいくらで売れたか」だけは、どうやっても調べられない

「同じ分譲地の隣の家が最近売れた。あれが一番の参考になるはず」——その感覚は正しいのに、制度がそれを許していません。理由は3つです。

  • 国の成約価格データは、所在地が「町・大字まで」しか公開されない
  • 価格は有効数字2桁に丸められる(4,780万円は「4,800万円」と表示される)
  • 登記簿(登記事項証明書)にも売買価格は載らない

国土交通省は平成18年4月から、不動産を売買した当事者へのアンケートで成約価格を集めて公開しています。ただし公開するときには、個別の物件が特定できないように加工されます。所在地は町・大字レベルまで。価格は有効数字2桁まで。番地は最初から載りません。4,780万円で売れた家は「4,800万円」としか表示されない、ということです。

「それなら登記簿を取れば分かるでしょ」と案内している解説も見かけますが、誤りです。不動産登記法59条が定める登記事項に、売買代金は含まれていません。登記簿から分かるのは「売買」があった事実とその日付まで。いくらで売られたかは、法務局に行っても分からないのです。

読者

隣とうちは同じ分譲地なんです。隣の売値が一番の参考になると思うんですが…

おかあさん

ピンポイントの金額は、制度上たどれません。代わりに同じ町名の成約実例までは無料で見られます。次の方法です。

成約価格の調べ方① 国の「不動産情報ライブラリ」で町名まで見る

1つめは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」です。無料・登録不要で、当事者アンケート由来の成約価格データを、市区町村から町名までしぼって一覧できます。土地・戸建て・マンションのいずれも対象です。分かるのは次の3点です。

  • 所在地(町・大字まで)
  • 取引時期
  • 取引価格(有効数字2桁)

国の収録は取引から数か月遅れで追加されていくため、直近の時期は件数が少なめに見えます。町名でしぼって件数が心細ければ、期間を広げて件数を確保してください。

1つ、入口のつまずきどころがあります。このデータの公開先は令和6年4月に「不動産情報ライブラリ」へ移行し、それまでの「土地総合情報システム」は令和6年3月末で終了しました。ところが検索結果には、今も旧システムを案内したままの解説記事が残っています。旧名で探すとたどり着けません。「不動産情報ライブラリ」の名前で探してください。

不動産情報ライブラリの検索条件画面。地域・価格情報区分・種類・時期を選ぶ欄が並ぶ
不動産情報ライブラリ(国土交通省)の検索画面。無料・登録不要で取引価格を検索できます(2026年8月27日撮影)

読者

うちの町名で検索したら、1件も出てきませんでした。

おかあさん

アンケートに回答のあった取引だけが載る仕組みなので、すべての売買が載っているわけではありません。町名で出なければ、市区町村単位に広げて見てください。

成約価格の調べ方② レインズで戸建て・マンションの成約を見る

2つめは、不動産会社どうしが物件情報をやり取りするネットワーク「レインズ」の一般公開版、レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)です。正式には「不動産取引情報提供サイト」という名前で、無料・登録不要。こちらも成約価格ベースの取引事例を検索できます。今月の検索対象は約72万9,000件、データの直近更新は2026年8月6日です。

国のデータとの違いは3つあります。

  • 対象はマンションと戸建住宅のみ。土地(更地)は検索できない
  • 結果が10件未満にしぼられる条件では、原則として表示されない
  • 番地・建物名は出ない(ここは国のデータと同じ)
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土地(更地)の相場はレインズ・マーケット・インフォメーションでは調べられません。土地は①の不動産情報ライブラリか、この後の無料ツールで調べてください

もう1つ、入口で止まる罠があります。このサイトはアドレスが「http://」で始まる形式にしか対応しておらず、「https://」で開こうとすると表示されないまま待たされます。

読者

ページがいつまでも開きません。閉鎖されたんでしょうか?

おかあさん

稼働中です。アドレスが「https://」に書き換わっていると開けません。「http://www.contract.reins.or.jp/」と、httpから打ち直してみてください。

不動産取引情報提供サイトの検索画面。マンションと戸建の2種類の検索枠が並ぶ
不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)。検索できるのはマンションと戸建だけで、土地の枠はありません(2026年8月27日撮影)

土地価格・坪単価の調べ方 公示地価だけを見ると売値を外す

「土地価格 調べ方」「坪単価 調べ方」で検索すると、公示地価(地価公示)を案内する記事が並びます。公示地価は国が毎年公表する公的な土地の値段で、無料で調べられるのは確かです。ただし、公示地価は「売買が成立した値段」ではありません。実際の成約価格とは水準がずれます。

どれだけずれるか、当サイトが国の成約データと突き合わせた集計があります。

伊丹市を例にすると、梅ノ木4丁目には1平方メートルあたり27万5,000円という公示地価の地点があります。一方、市内の土地の成約はその公示価格より33%高い水準で動いていました。公示地価の数字をそのまま売値の目安にすると、その差のぶん安く手放す値付けになります。

公示地価・路線価・基準地価という3つの公的価格の使い分けは、同じ土地なのに、公的な値段は3つあります 公示地価・路線価・基準地価の違いで整理しています。売値の目安にするなら、公的価格ではなく、成約データから出した坪単価を見てください。

このエリアの相場はいくらですか?

住所を入れるだけ。全国175,666件の実際の成約(国土交通省)から、土地・戸建て・マンションの坪単価の目安が5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。



住所を入れて1分で終わる方法 電話番号もメールも入力しない

ここまでの2つは「一覧から自分で読み取る」方法でした。もっと短い経路もあります。当サイトの無料相場ツールは、住所を入れると、国の実取引データから算出した相場の中央値をその場で表示します。全国1,525市区町村・5種別に対応し、元データは①と同じ成約価格ベースです。

名前・電話番号・メールアドレスの入力欄は、そもそもありません。だから営業の電話も郵便も来ません。

怪しいから自分の家ではなく近所の住所を入れて試そうか、と書き込んでいる相談も投稿サイトにありました。住所を入れる無料サービスの正体が営業への入口だった、という経験がそれだけ積み重なっているのでしょう。連絡先を渡す欄がないツールには、その自衛は要りません。

読者

住所を入れたら、あとから電話や郵便が来ませんか?

おかあさん

来ません。連絡先を入力する欄自体がないので、こちらからあなたに連絡する手段がないんです。

どこまで分かるかの実例も出しておきます。神戸市では、直近1年に売れた中古戸建て747件の成約中央値は3,600万円でした。この集計の中身は神戸市の中古戸建ては実際いくらで売れたか|747件の成約中央値は3,600万円【定点観測 第1回】で、9区すべて公開しています。

かんたん相場検索に兵庫県伊丹市と入力した結果画面。坪単価の目安と直近2年の成約中央値が表示されている
「兵庫県伊丹市」と入れた結果。連絡先の入力欄はなく、直近2年97件の成約中央値まで出ます(2026年8月27日撮影)

「査定だけ匿名でしたい」への答え 一括査定に電話番号を渡す前に

「不動産 査定 匿名」「一括査定 電話なし」という検索が、実際に打たれ続けています。査定を受けたいのではなく、値段だけ知りたい。その裏には「無料一括査定に申し込むと営業電話が続く」という経験談の蓄積があります。

なぜ電話が来るのか。無料一括査定の「無料」の原資は、不動産会社が査定サイトに支払う紹介料です。会社側は払った紹介料を回収するために、紹介された見込み客へ連絡します。つまり電話が来るのは事故ではなく、仕組みの必然です。冒頭の相談(興味本位で試して電話が来た人)に回答した不動産コンサルタントも、この種のサービスを査定サイトへ誘導するための広告だと説明していました。

匿名をうたう査定サービスも実在します。ただ、査定は「売る」前提の道具です。私は、値段を知りたいだけの段階で一括査定に入るのは順序が逆だと考えています。先に公的データで相場観を持っておけば、売ると決めて査定を受けたとき、提示された金額が相場より高いのか安いのかを自分で判定できます。相場観ゼロで査定を受けると、その判定ができません。

電話0本で調べ終える手順まとめ

  • 手順1 当サイトの無料相場ツールに住所を入れて、地域の中央値を1分でつかむ
  • 手順2 不動産情報ライブラリで、自分の町名の成約実例を見る
  • 手順3 マンション・戸建てなら、レインズ・マーケット・インフォメーションで事例を足す

ここまで、電話番号は1度も入力していません。それでも「地域の中央値」と「町名までの成約実例」が手元に揃います。隣の家のピンポイントの金額は誰にも調べられない以上、これが個人がたどり着ける相場情報の実質的な上限です。売ると決めたら、この数字を持って査定に進んでください。

出典

  • 国土交通省「不動産取引価格情報の提供制度」(当事者アンケート由来・所在地は町/大字レベル・価格は有効数字2桁)
  • 不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)http://www.contract.reins.or.jp/(2026年8月27日閲覧。検索対象約729,000件・データ更新2026年8月6日時点。httpのみ対応)
  • 不動産登記法59条(e-Gov法令検索・権利に関する登記の登記事項)
  • Yahoo!知恵袋の相談2本(2019年8月投稿2024年2月投稿
  • 当サイト集計:不動産情報ライブラリの取引価格データより(神戸市の中古戸建て747件、伊丹市・神戸市西区・枚方市の公示価格と成約価格の差)
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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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