🗨️「変動金利が上がると聞いて不安です。これから借りるなら、固定と変動のどちらにすればいいのでしょうか。」
どちらを選ぶべきかは、この記事では決めません。代わりに、2026年8月時点で確定している数字だけを並べます。政策金利は1.0%程度、フラット35の最頻金利は年3.29%、住宅ローン控除で戻るのは年0.7%です。判断に必要なのは見通しではなく、この3つと自分の返済予定表です。
[金利] この記事の要点
日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.0%程度へ引き上げ、7月31日の会合では据え置いた。これを受けて三菱UFJ銀行は2026年8月3日から短期プライムレートを年2.375%に改定。住宅金融支援機構のフラット35は2026年8月適用分で借入期間21年以上35年以下の最頻金利が年3.29%となっている。一方、住宅ローン控除の控除率は年末残高の0.7%のまま据え置かれている。
2026年8月16日 発表
- これから住宅を購入して住宅ローンを借りる人
- 変動金利で返済中で、借り換えを考えている人
- 「住宅ローン控除があるから繰上返済しないほうがよい」と聞いていた人
この記事でわかること
- 「フラット35は年3.29%」の3.29%は範囲の下限で、上は年5.57%まである
- 住宅ローン控除で戻るのは年0.7%。いま借りると払う利息のほうが大きい
- 日銀の統計に載っている短期プライムレートは、実際に適用されている値とずれている
2026年8月に確定している数字は、4つだけです
金利の記事は「これからどうなるか」で埋まっています。ただ、見通しは誰にも分かりません。ここではすでに決まって公表されている数字だけを先に並べます。
| 何の金利か | 2026年8月時点 | いつ決まったか |
|---|---|---|
| 政策金利(無担保コールレート) | 年1.0%程度 | 2026年6月16日に引き上げ、7月31日は据え置き |
| 短期プライムレート(三菱UFJ銀行) | 年2.375% | 2026年8月3日から適用 |
| フラット35(借入期間21年以上35年以下) | 年3.29%〜年5.57%(最頻 年3.29%) | 2026年8月適用分 |
| 住宅ローン控除の控除率 | 年末残高の0.7% | 据え置き |
変動金利のもとになる短期プライムレートは、8月3日にすでに上がっています。「これから上がるかもしれない」ではなく、もう上がったあとだという点が、まず押さえるところです。ただし短期プライムレートの改定が変動金利に反映されるのは10月前後、毎月の引き落とし額が動くのは早くて2027年1月からです。ここは別の記事に詳しく書いています。
「フラット35は3.29%」は、いちばん安い人の数字です
ニュースでも比較サイトでも、フラット35は「年3.29%」と1つの数字で書かれます。ところが住宅金融支援機構の公式ページを開くと、そこにあるのは1つの数字ではありません。
| 借入期間 | 金利の範囲 | 最頻金利 |
|---|---|---|
| 21年以上35年以下 | 年3.29%〜年5.57% | 年3.29% |
| 15年以上20年以下 | 年2.97%〜年5.25% | 年2.97% |
フラット35は機構と民間の金融機関が提携する商品で、金利は取扱金融機関ごとに違います。公式が公表しているのは「範囲」と「最頻金利(最も多くの金融機関が採用した金利)」です。3.29%は範囲のいちばん下と同じ数字、つまり最安のケースです。同じフラット35でも、借りる窓口によっては年5%台になります。
ちなみに「基準金利」という言葉は、フラット35では使われていません。基準金利は民間銀行の変動金利で、優遇を引く前の店頭表示金利を指す言葉です。比較サイトの表を見るときは、それが範囲の下限なのか、自分に適用される金利なのかを分けて読む必要があります。
固定と変動、2026年8月時点で分かっていること
どちらを選ぶべきかは書きません。判断材料になる事実だけを並べます。
| 全期間固定(フラット35など) | 変動 | |
|---|---|---|
| 2026年8月の水準 | 最頻 年3.29%(範囲 3.29〜5.57%) | おおむね年1%台(銀行・優遇幅による) |
| 借りたあとの金利 | 完済まで変わらない | 原則として年2回見直される |
| 今の返済額 | 高い | 低い |
| この先のリスク | 金利が下がっても下がらない | 上がった分だけ利息が増える |
| 返済額が動くタイミング | 動かない | 5年ルールがある契約なら5年ごと、無い契約なら見直しのたび |
| 上限 | なし(最初から固定) | 125%ルールがある契約なら前回の1.25倍まで |
注意したいのは最後の2行です。5年ルールと125%ルールは、すべての住宅ローンに付いているわけではありません。採用していない商品もあり、その場合は金利が上がった月から引き落とし額が動きます。自分の契約がどちらかは、商品概要説明書か返済予定表で確認できます。銀行名で判断せず、契約書類で確かめてください。
なお5年ルールは「守ってくれる仕組み」とも限りません。返済額が据え置かれている間に利息が増えると、その分は未払利息として後ろにずれ込みます。返済額が変わらないことと、返す総額が変わらないことは別の話です。
0.5%と1%上がったら、毎月いくら増えるのか
借入3,000万円・返済35年・元利均等・ボーナス払い無し、全期間その金利が続くと仮定した場合の試算です。変動の出発点を年1.2%(2026年8月に実際に適用されている水準の一例)としています。
| 金利 | 毎月の返済額 | 総返済額 | 年1.2%との差(月) |
|---|---|---|---|
| 年1.2% | 87,511円 | 約3,675万円 | — |
| 年1.7%(+0.5%) | 94,823円 | 約3,983万円 | +7,312円 |
| 年2.2%(+1.0%) | 102,486円 | 約4,304万円 | +14,975円 |
| 年3.29%(フラット35 最頻) | 120,365円 | 約5,055万円 | +32,854円 |
借入額を変えると、同じ1%でも増え方が変わります。0.5%上がったときの月の増加額だけ並べると、3,000万円で7,312円、3,500万円で8,531円、4,000万円で9,749円です。1%なら順に14,975円、17,471円、19,967円になります。
この表の最終行、フラット35の3.29%と変動1.2%の差は月32,854円です。これは損得ではなく、「完済まで金利が動かない」という条件に、いまついている値段だと読めます。高いと見るか、35年分の安心料と見るかは、借りる人の家計次第です。
「控除があるから借りたほうが得」は、もう成り立ちません
ここが今回いちばん変わったところです。長く言われてきた「住宅ローン控除があるから、手元にお金があっても借りたほうが得」という話は、金利が低かったから成り立っていました。数式にすると、比べているのはこの2つだけです。
| 計算式 | 残高3,000万円なら | |
|---|---|---|
| 戻ってくる税金 | 年末残高 × 0.7% | 年 約21万円 |
| 支払う利息(変動1.2%) | 残高 × 契約金利 | 年 約36万円 |
| 支払う利息(フラット35 3.29%) | 残高 × 契約金利 | 年 約98万円 |
控除率0.7%に対して、いま借りられる金利は変動でも1%台、全期間固定なら3%台です。払う利息のほうが戻る税金より大きい状態は、もう例外ではなく既定値になりました。控除額は納めた所得税・住民税が上限なので、実際に戻る額はこれより少なくなることもあります。
私はこれを「借りるのをやめるべき理由」だとは考えていません。家を買うかどうかは金利と税金だけで決まる話ではないからです。ただ、「控除があるから得」という前提だけは、2026年に借りる人には当てはまらなくなりました。借入額や返済年数を決めるときに、この前提を引きずったままだと判断を間違えます。
自分の数字で確かめる方法は簡単です。返済予定表の「利息」欄を1年分足して、年末残高の0.7%と並べてください。それだけで、自分の契約がどちら側にいるか分かります。
公的な統計を見ても、いまの短期プライムレートは分かりません
もうひとつ、確認しておきたいことがあります。日本銀行が公表している「長・短期プライムレート(主要行)の推移」を8月16日に開くと、短期プライムレートの最頻値は令和8年6月10日の2.125%で止まっています。
一方、三菱UFJ銀行の公式ページには「年2.375%(2026年8月3日より適用)」と書かれています。同じ短期プライムレートなのに、公的統計を見に行った人ほど古い数字にたどり着きます。統計の更新が追いついていないだけと考えられますが、読者の側から見れば「上がっていない」と読めてしまうのが実際のところです。
変動金利の基準になる数字を確認するときは、日銀の統計ではなく自分が借りている銀行のページを見てください。そこに書いてある短期プライムレートが、自分の金利の出発点です。
どちらを選んでも、あとから何か言われます
最後に、数字ではない話を少しだけ。Yahoo!知恵袋に2026年4月1日、こんな投稿がありました。
私はフラット35を当時は情弱扱いのように笑われていたので飯うまって感じです。
——Yahoo!知恵袋(2026年4月1日投稿・閲覧1,644回)
低金利の時代に全期間固定を選んで、周りから「損をしている」と言われた人の言葉です。金利が上がったいま、立場は入れ替わりました。逆に言えば、金利が下がる局面が来れば、また逆になります。
だからこの記事では「どちらを選ぶべきか」を書きませんでした。書けるのは、2026年8月時点で確定している数字と、自分の契約書のどこを見れば同じ計算ができるかまでです。焦って決める材料としては、見通しより自分の返済予定表のほうが確かです。
自分の年収と条件で試算する
当サイトの住宅ローン借入可能額シミュレーターは無料で、登録も入力したデータの送信もありません。年収と、車のローンや奨学金など現在の返済額を入れると、住宅ローンに回せる金額と借入可能額の目安が出ます。
使うときのおすすめは、「想定金利」の欄を1回で終わらせないことです。この記事の表と同じ1.2 → 1.7 → 2.2 → 3.29 の順に入れ替えて、借入可能額がどれだけ縮むかを見てください。金利が上がって困るのは返済額だけでなく、そもそも借りられる額が減って、買える家が変わることのほうです。
そのうえで実際の物件価格と突き合わせるなら、土地相場・査定で、検討している市区町村の実際の取引価格を確認できます。
生活・仕事にどう効くか
- 借入3,000万円・35年で金利が0.5%上がったとき:年1.2%で月87,511円だった返済が、年1.7%では月94,823円になります。差は月7,312円、35年で約307万円です。
- 同じ条件で1.0%上がったとき:年2.2%で月102,486円。年1.2%との差は月14,975円、35年で約629万円になります。
- 住宅ローン控除と利息を比べたとき:戻るのは年末残高の0.7%、払うのは残高×契約金利です。残高3,000万円なら控除は年21万円、金利1.2%の利息は年約36万円。差額の約15万円は戻ってきません。
結局どうすればよいか
- 自分の契約が5年ルール・125%ルールの対象かどうかを、商品概要説明書か返済予定表で確認する
- 返済予定表の「利息」欄の年間合計と、年末残高×0.7%を並べて、どちらが大きいか自分の数字で見る
- 借入額と返済年数を決めるときは、いまの金利だけでなく1%高い金利でも成立するかを試算しておく
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
- 住宅ローンの金利が1%上がると、総返済額はいくら増える?3,000万円・35年で試算
- 住宅ローンの変動金利、8月3日に何が変わる?返済額が動くのは早くて2027年1月です
- フラット35、8月の金利が3.290%に上昇。全期間固定を選ぶ意味を金利上昇局面で考える
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公式出典
- 日本銀行「金融政策に関する決定事項等(2026年)」(2026年8月16日発表)
- 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年8月16日発表)
- 三菱UFJ銀行「短期プライムレート」(2026年8月16日発表)
- 住宅金融支援機構【フラット35】借入金利の推移・当月の金利(2026年8月16日発表)
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし住宅借入金等特別控除を受ける場合」(2026年8月16日発表)
- 国土交通省「令和8年度 国土交通省税制改正概要」(2025-12発表)
- 財務省「国債金利情報」(2026年8月16日発表)
更新履歴
- 2026年8月16日 初版を公開
※本記事は2026年8月16日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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