高崎市で土地を買うとき、竜見町なら1坪36.4万円、吉井町吉井なら4.0万円です。同じ広さの区画でも、町の名前が変わるだけで土地代は9.2倍ちがいます。どちらも成約が5件ずつあって、たまたま1件が跳ねただけの数字ではありません。
国土交通省が公表している高崎市の土地成約348件を、町ごとに並べ直しました。市全体の坪単価の中央値は14.5万円。この1つの数字で予算を組むと、竜見町では候補が出てこず、吉井町吉井では土地に払いすぎます。
1区画の面積の中央値は300㎡(90.8坪)でした。坪単価の中央値と掛け合わせた概算は1,320万円です。実在する1件の値段ではなく、別々に取った2つの中央値をつないだ目安として読んでください。
先に結論
- 高崎市の土地は1坪14.5万円(中央値・348件)。市の1つの数字は、町ごとの予算づくりには粗すぎます
- 成約5件ずつの町どうしで比べると、竜見町36.4万円と吉井町吉井4.0万円で9.2倍
- 1区画の面積の中央値は300㎡(90.8坪)。坪単価の中央値と掛けた概算は1,320万円
- 坪単価が市の中央値の4分の1を下回る町が4つあります。農地・山林・市街化調整区域が混ざった疑いがあり、住宅地の相場としては読めません
- 建物込みなら中古戸建て82.3万円/坪、新築戸建て94.5万円/坪。どちらも建物の延床坪あたりで、土地の坪単価とは分母が違います
高崎市の土地は1坪14.5万円。1区画90.8坪で概算1,320万円
2024年第4四半期から2025年第4四半期までに高崎市で成約した土地348件の坪単価は、中央値で14.5万円でした。この348件からは、坪単価が極端に離れた27件をあらかじめ除いてあります。
除いたうえでも、坪単価は1坪1.5万円から125.6万円まで開いています。中央値の14.5万円は348件の真ん中に立つ1点であって、この値段の土地が並んでいるという意味ではありません。
1区画の面積の中央値は300㎡、坪にすると90.8坪です。坪単価の中央値をこの広さに当てると、土地代は概算で1,320万円になります。坪単価と面積は別々に取った中央値なので、この金額で成約した1件が実在するわけではありません。予算の当たりをつけるための目安として使ってください。
窓口で「高崎ならだいたい坪14万円台ですね」と言われたとします。348件の真ん中を指す言葉としては外れていません。ただし候補地が竜見町なのか吉井町吉井なのかで、同じ90.8坪でも土地代はまったく別の金額になります。予算の話をするときは、市名ではなく町名まで下ろしてから計算してください。
町別に並べると竜見町36.4万円と吉井町吉井4.0万円で9.2倍
成約3件以上の町は47あります。47本の棒を並べると読めなくなるので、成約が7件以上あった9町を抜き出しました。比較のために市全体の中央値も入れてあります。
高崎市の土地の成約価格(坪単価の中央値・2024年4Q〜2025年4Q)。成約3件以上の47町から、成約7件以上の9町を抜き出しました。抜き出しの基準は取引件数だけで、坪単価の高さは見ていません。「高崎市全体」は市全体の中央値です
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。グラフに載せたのは47町のうち9町だけなので、候補地の住所で確かめてください。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
見出しに出した9.2倍は、成約が5件ずつある竜見町と吉井町吉井の比較です。竜見町は5件で36.4万円、吉井町吉井は5件で4.0万円。どちらもグラフの9本には入っていませんが、倍率の基準にはこちらを使っています。町が変わるだけで、同じ広さの土地代は9.2倍ちがいます。
グラフの先頭に立つ上中居町は9件で36.4万円。竜見町とちょうど同じ値です。取引の数がある町でも、市全体の14.5万円とはまったく別の帯に立ちます。
成約がいちばん多かったのは棟高町・倉賀野町・新町の12件ずつでした。棟高町19.2万円、倉賀野町18.5万円、新町10.6万円。同じ12件でも、坪単価は10.6万円から19.2万円まで散らばります。取引が集まっている町が相場の中心にいるとはかぎりません。
グラフに入れていない町では、上和田町(4件)が14.7万円で市全体の14.5万円のすぐ上に並びました。高崎市の相場を1点で言うならこのあたり、という位置づけの町です。
端どうしの13.7倍を予算の基準に使わない理由
47町の端どうしを取ると、いちばん高い双葉町が51.2万円、住宅地とみられる町でいちばん安い剣崎町が3.8万円で、差は13.7倍まで広がります。数字としては本当ですが、この倍率で予算の話をしないでください。
双葉町の成約は4件、剣崎町も4件です。4件の中央値は、1件の取引が入れ替わるだけで動きます。だからこの記事は、見出しにも結論ボックスにも、5件ずつある竜見町と吉井町吉井の9.2倍のほうを置いています。
低い側に並ぶ町も同じ事情です。井出町は3件で10.9万円、柴崎町は3件で10.6万円、中豊岡町は3件で10.6万円、浜川町は3件で9.9万円。いずれも成約が3件しかなく、この水準が町の相場だと決めるにはデータが足りません。町別の集計そのものが成約3件以上の町に限った数字なので、下の帯ほど件数の壁に近いところにいます。
坪単価が市の4分の1を下回る4つの町を「安い住宅地」と読まない
坪単価が市の中央値14.5万円の4分の1を下回る町が4つあります。吉井町池2.6万円(3件)、乗附町2.4万円(3件)、下佐野町1.7万円(3件)、宮沢町0.3万円(5件)です。
この4町の数字には、農地・山林・市街化調整区域の取引が混ざっている疑いがあります。市街化調整区域は市街化を抑えるための区域で、家を建てるには原則として自治体の許可が要ります。農地であれば転用の手続きが挟まります。
坪0.3万円は安い住宅地の値段ではなく、住宅地として使えない土地が混ざった数字です。
この記事が「高崎市でいちばん安い町」を見出しに置いていないのは、そのためです。売り出し中の土地でこの水準の坪単価を見かけたら、値段より先に地目と都市計画上の区分を確かめる順番になります。市の窓口か仲介会社に聞けばその場で分かります。安い理由が土地の使い道にあるなら、それは相場の話ではありません。
「吉井町」で始まる町が3つ。数字はそれぞれ違います
高崎市の町別集計には、頭に同じ地区名が付く町が別の行で並びます。同じ地区だと思って読むと、坪単価を丸ごと取り違えます。
| 町 | 件数 | 坪単価の中央値 |
|---|---|---|
| 吉井町長根 | 5件 | 4.6万円 |
| 吉井町吉井 | 5件 | 4.0万円 |
| 吉井町池 | 3件 | 2.6万円 |
頭に「上」が付くかどうかで分かれる組も並びます。中居町(5件)29.4万円と上中居町(9件)36.4万円、和田多中町(3件)23.5万円と上和田町(4件)14.7万円、並榎町(3件)17.2万円と上並榎町(6件)21.7万円。上佐野町(4件)12.1万円と下佐野町(3件)1.7万円のように、1字ちがいで桁が変わる組もあります。
物件情報に書かれた町名を、記憶にある似た町名で置き換えて読まないでください。中居町と上中居町を取り違えたまま90.8坪の土地代を見積もると、資金計画がまるごとずれます。件数が3件や4件の行は1件の取引で中央値が動くので、そこも合わせて見てください。
なお下佐野町の1.7万円は、前の章で挙げた4町のうちの1つです。上佐野町と名前が1字ちがうだけですが、数字の性格が違います。
公示の19.5万円に対して成約は25.6%低い。値下がりの話ではありません
高崎市の地価公示(住宅地57地点)の坪単価の中央値は19.5万円です。実際に成約した土地348件の中央値は14.5万円で、公示より25.6%低い水準になります。
ここで「高崎の土地は下がっている」と読むのは、数字の使い方として間違いです。地価公示は住宅地の標準地を鑑定した価格、成約価格は実際に売れた土地の値段で、そもそも数えている対象が違います。成約348件のほうには、坪0.3万円の宮沢町のような取引も同じ袋に入っています。母集団の違う2つを引き算しても、値上がり・値下がりは出てきません。
私はこの25.6%を、高崎の土地が値下がりした証拠ではなく、公示の57地点が拾っていない土地が成約データに入っている結果だと見ています。根拠は、成約の坪単価が1坪1.5万円から125.6万円まで開いていること、そして47町のうち4町が住宅地として読めない水準にあることです。ここは私の読みなので、持ち帰ってほしいのは「公示価格をそのまま予算の基準に使わない」の一点だけにしてください。
中古戸建て82.3万円と新築戸建て94.5万円。買って直すという道
建物まで含めて買う場合の高崎市の数字を並べます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 土地 | 14.5万円/坪(土地面積あたり) | 348件 |
| 中古戸建て | 82.3万円/坪(延床あたり) | 204件 |
| 新築戸建て | 94.5万円/坪(延床あたり) | 113件 |
| 賃貸 | 1,775円/㎡ | 38,030件 |
中古戸建ては下位25%が60.4万円、上位25%が101.1万円。新築戸建ては下位25%が78.7万円、上位25%が110.2万円です。中古の上位25%101.1万円は、新築の下位25%78.7万円を上回っています。2つの価格帯は重なっていて、坪単価だけでは新旧が分かれません。
表の1行目と2行目を引き算しても、建物代は出てきません。戸建ての坪単価は成約総額を建物の延床坪数で割った値、土地の坪単価は成約総額を土地面積の坪数で割った値で、分母が別のものです。土地から買う案と中古を買う案を比べるときは、坪単価どうしではなく総額どうしで並べてください。
中古を買って直す道を選ぶと、坪単価の低いほうから入って、直す費用の側を自分で決められます。ただし工事費は物件ごとに変わるので、成約価格の表からは出てきません。とくに屋根は足場を組む工事です。入居してから外壁と別々の時期にやると、足場代を二度払うことになります。買う前に見積りを取っておけば、土地を買って建てる案と総額で並べられます。
工事費が出てはじめて、中古を買って直す案と土地から建てる案を総額で並べられます
中古マンションは築30年を境に1㎡あたりの値段が変わります
高崎市の中古マンションは55件で、中央値は1㎡あたり30.8万円でした。築年で分けると景色が変わります。
| 築年帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 11-20年 | 12件 | 39.4万円/㎡ |
| 21-30年 | 12件 | 37.7万円/㎡ |
| 31-40年 | 26件 | 16.4万円/㎡ |
築11〜20年の39.4万円と築21〜30年の37.7万円は、ほとんど並んでいます。落ちるのはその次で、築31〜40年は1㎡あたり16.4万円。成約がいちばん集まっているのも、この帯の26件です。市全体の中央値30.8万円は上の2帯と下の1帯のあいだに立つ数字で、どの帯にも当てはまりません。
この築年は2026年を基準にした区切りです。築21〜30年は1996年から2005年に建った物件、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。1982年(新耐震)より前に建った物件は元のデータから外してあるので、この表には入っていません。
広さで分けると、50〜70㎡が30件で31.2万円/㎡、70〜90㎡が18件で38.0万円/㎡でした。高崎市では広い帯のほうが1㎡あたりも高く出ています。新築マンションは1件で80.0万円/㎡ですが、1件では傾向として読めません。
私はこう見ています
「高崎市の相場は坪いくらですか」という質問は、答えを聞いても予算づくりには使えません。竜見町と吉井町吉井で9.2倍、端まで取れば13.7倍、そして47町のうち4町は住宅地の数字として読めない。348件を町別に割ると、そういう形が出てきます。
私は、市の中央値14.5万円は「自分の候補地がその線の上か下か」を確かめるためだけの数字だと考えています。線そのものを予算にすると、上中居町では候補が出てこず、吉井町長根では土地に払いすぎます。47町ぶんのデータが並ぶ市では、平均像を1つ出すこと自体が判断を鈍らせる方向に働くと見ています。
ここは私の読みなので、根拠にした数字のほうを持ち帰ってください。
高崎市で予算を決める前にやる3つのこと
- 町名まで決めてから坪単価を当てる。 市の14.5万円ではなく、候補の町の数字で計算します。グラフに出した9町以外でも、住所を入れれば周辺の実勢から出ます。
- 件数の少ない町の数字を信用しすぎない。 成約3件や4件の町の中央値は、1件の取引で動きます。双葉町と剣崎町の13.7倍ではなく、竜見町と吉井町吉井の9.2倍のほうを資金計画の基準にしてください。
- 土地を買って建てる案と、中古を買って直す案を総額で並べる。 土地は坪14.5万円(土地面積あたり)、中古戸建ては坪82.3万円、新築戸建ては坪94.5万円(どちらも延床あたり)。分母が違うので、比べるのは坪単価ではなく総額です。
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市全体をならした数字は高崎市の不動産相場にまとめています。同じやり方で町別に並べ直した記事は宇都宮市の町別の坪単価にもあるので、読み方の手順だけ先に見たい人はどうぞ。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。土地348件、中古戸建て204件、新築戸建て113件、中古マンション55件、新築マンション1件
- 土地348件は、坪単価が極端に離れた27件を除いた集計です。除いたあとの幅は1坪1.5万円から125.6万円
- 1区画の面積の中央値300㎡(90.8坪)と坪単価の中央値14.5万円は別々に取った値です。掛け合わせた1,320万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 町別の集計は成約3件以上の町のみで47町。3件や4件の町の中央値は1件の取引に動かされるため、見出しの9.2倍は成約5件の竜見町と5件の吉井町吉井で取っています
- グラフに出したのは47町のうち成約7件以上の9町です。抜き出しの基準は取引件数だけで、坪単価の高低では選んでいません
- 吉井町池・乗附町・下佐野町・宮沢町の4町は、坪単価が市の中央値の4分の1を下回ります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあり、住宅地の相場としては読めません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。成約総額を土地面積で割った土地の坪単価とは分母が違うため、そのまま引き算はできません
- 中古マンションの築年帯はデータ作成時(2026年)が基準です。1982年(新耐震)より前に建った物件は元データから除外されています。新築マンションは1件のみのため傾向としては読めません
- 地価公示:国土交通省の地価公示。高崎市内の住宅地57地点の中央値。成約価格とは母集団が違うため、両者の差は値上がり・値下がりを示すものではありません
- 賃貸:高崎市の38,030件から算出した1㎡あたりの中央値


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