前橋市で土地を探すとき、市全体の相場として出てくる1坪14.2万円をそのまま予算に置くと、六供町では坪24.5万円なので候補が出てこず、上泉町では坪5.6万円なので土地に払いすぎます。同じ市内、同じ1坪で4.4倍の開きです。
前橋市では2024年10-12月から2025年10-12月までに268件の土地が成約しています。成約が3件以上あった町だけを数えても35町。1つの市がここまで分かれると、「前橋市の相場はいくら」という1つの数字は、どの町の資金計画にも使えません。
国土交通省が公表している実際の成約価格を、町ごとに並べ直しました。候補地がどのあたりに立っているのかを先に見てください。
先に結論
- 前橋市の土地は1坪14.2万円(中央値・268件)。1区画は280㎡=84.7坪が中央値です
- 成約5件以上の町どうしで比べると、六供町24.5万円と上泉町5.6万円で4.4倍。市の1つの数字はどの町にも当てはまりません
- 坪1.0万円の鼻毛石町は、農地や市街化調整区域が混ざった数字です。住宅地の相場としては読めません
- 「天川原町」と「天川大島町」、「上小出町」と「下小出町」のように似た町名が別の行で並びます。数字は大きく離れます
- 建物込みなら中古戸建て75.1万円/坪、新築戸建て90.2万円/坪(どちらも延床面積あたり)。2つの価格帯は重なっています
町別に並べると六供町24.5万円と上泉町5.6万円で4.4倍
成約3件以上の町は35あります。35本の棒を並べると読めなくなるので、成約が6件以上あった12町に、倍率の下端になる上泉町(5件)を足した13町を抜き出しました。
前橋市の土地の成約価格(1坪あたりの中央値・2024年4Q〜2025年4Q)。成約3件以上の35町から、成約6件以上の12町と、倍率の下端になる上泉町を抜き出しました。抜き出しの基準は取引件数で、坪単価の高さでは選んでいません。色の薄い1本が下端の上泉町です
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。グラフに載せたのは35町のうち13町だけなので、候補地の住所で確かめてください。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
見出しに出した4.4倍は、成約5件以上の町どうしの比較です。上端が六供町の24.5万円(9件)、下端が上泉町の5.6万円(5件)。件数の少ない町を混ぜずに、住宅地とみられる町だけで取った倍率になります。
35町の端どうしを取れば、千代田町の46.3万円と上泉町の5.6万円で8.2倍まで開きます。ただし千代田町は3件です。3件の中央値は1件の取引で動くので、資金計画の基準にするなら4.4倍のほうを使ってください。
成約数がいちばん多いのは元総社町の12件で19.5万円、次が箱田町の11件で18.2万円です。9件で並ぶ六供町と朝倉町は、24.5万円と15.0万円。取引が集まっている町の中でも、これだけ離れます。
市全体の14.2万円は、35町のどこかを代表している数字ではありません。国領町の3件がちょうど14.2万円で並びましたが、これは市の中央値と同じ値になった町がたまたま1つあった、というだけです。
前橋市の土地は1坪14.2万円。1区画84.7坪で概算1,204万円
2024年第4四半期から2025年第4四半期までに前橋市で成約した土地の坪単価は、中央値で14.2万円でした。坪単価が極端に外れた21件を除いたうえでの268件です。除いたあとでも、幅は1坪1.5万円から52.9万円まで開いています。
1区画の面積の中央値は280㎡、坪にすると84.7坪です。坪単価の中央値をこの広さに当てると、土地代は概算で1,204万円になります。ただし坪単価と面積は別々に取った中央値なので、この金額で売れた1件が実在するわけではありません。予算の当たりをつけるための概算として使ってください。
窓口で「前橋の土地は坪14万円くらいですね」と言われたとします。268件の真ん中を指す言葉としては外れていません。ただし候補地が六供町なのか上泉町なのかで、同じ84.7坪でも土地代はまったく別の金額になります。予算の話をするときは、市名ではなく町名まで下ろしてから計算してください。
坪1.0万円の鼻毛石町を「いちばん安い町」と読まない
35町のうち、坪単価が市の中央値14.2万円の4分の1を下回るのは鼻毛石町の1.0万円(5件)です。町別の表をそのまま眺めると、いちばん下に来ます。
この数字には、農地や山林、市街化調整区域の取引が混ざっている疑いがあります。市街化調整区域は市街化を抑えるための区域で、家を建てるには原則として自治体の許可が要ります。農地であれば転用の手続きが挟まります。
坪1.0万円は安い住宅地の値段ではなく、住宅地として使えない土地が混ざった数字です。
この記事が鼻毛石町を見出しに置かず、倍率の下端に上泉町の5.6万円を使っているのはそのためです。グラフの13本にも鼻毛石町は入れていません。売り出し中の土地でこの水準の坪単価を見かけたら、値段より先に地目と都市計画上の区分を確かめる順番になります。市の窓口か仲介会社に聞けばその場で分かります。
「天川原町」と「天川大島町」が別の町として並んでいる
前橋市の町別集計には、名前のよく似た町が別の行で並びます。同じ地区だと思って読むと、坪単価を丸ごと取り違えます。
| 町 | 件数 | 坪単価の中央値 |
|---|---|---|
| 天川原町 | 4件 | 27.4万円 |
| 天川大島町 | 6件 | 13.1万円 |
| 川原町 | 6件 | 15.7万円 |
| 下小出町 | 5件 | 21.8万円 |
| 上小出町 | 5件 | 19.2万円 |
| 総社町総社 | 4件 | 15.9万円 |
| 総社町植野 | 5件 | 13.9万円 |
天川原町と天川大島町は、頭の3文字が同じで数字が倍以上ちがいます。川原町はさらに別の行です。物件情報に書かれた町名を、記憶にある似た町名で置き換えて読まないでください。天川原町のつもりで天川大島町の坪単価を当てたまま84.7坪の土地代を見積もると、資金計画がまるごとずれます。
件数が3件や4件の行は、1件の取引で中央値が動きます。表町の33.1万円(3件)、文京町の23.8万円(3件)、若宮町の18.8万円(3件)あたりは、幅のある目安として見てください。
公示の18.0万円と成約の14.2万円。これは値下がりではない
前橋市の地価公示は住宅地53地点で、坪単価の中央値は18.0万円です。実際に成約した土地の中央値14.2万円との差は-21.0%でした。
この差を「値下がりした」と読むのは間違いです。公示は住宅地として選ばれた標準地の評価額、成約は実際に売れた土地の価格で、数えている対象が違います。前橋市の268件には、先に見た農地や調整区域が混ざる町の取引も入っています。母集団の違う2つを引き算しても、時間の変化は出てきません。
公示価格は、候補地の周辺に標準地があるときの目安として使う数字です。予算そのものは、候補の町の成約価格で組むことになります。
中古戸建て75.1万円と新築戸建て90.2万円。価格帯は重なっている
建物まで含めて買う場合の前橋市の数字を並べます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 土地 | 14.2万円/坪(土地面積あたり) | 268件 |
| 中古戸建て | 75.1万円/坪(延床面積あたり) | 149件 |
| 新築戸建て | 90.2万円/坪(延床面積あたり) | 75件 |
この3行は、同じ「坪」でも割っている面積が違います。土地は成約総額を土地面積で割った値、戸建ては成約総額を建物の延床面積で割った値です。14.2万円と75.1万円を引き算しても建物代は出てきません。並べて比べられるのは、中古戸建てと新築戸建ての2行だけです。
中古戸建ては下位25%が49.6万円、上位25%が96.2万円。新築戸建ては78.2万円から110.7万円です。中古の上位25%は、新築の下位25%を上回っています。 2つの価格帯は重なっていて、坪単価だけでは新旧が分かれません。中古を買って直す道を選ぶなら、坪単価の低いほうから入って、直す費用の側を自分で決められます。
前橋市で空き家になった実家を売るなら、片づけが先に来る
買う側の話が続いたので、売る側の順番も書いておきます。前橋市では中古戸建てが149件、土地が268件成約しています。土地の268件の中には、建物を解体してから土地として売られたものも入っています。
家を残したまま相続した場合、家財が置きっぱなしだと内覧が組めません。解体して土地で売る道を選んでも、中に物が残っていると解体業者の見積もりが出ないか、処分費を上乗せした金額で出てきます。値段の交渉より先に、家の中を空にする工程が挟まります。
遠方に住んでいて何度も通えないときは、家財の量と間取りを伝えれば見積もりが取れます。片づけの費用が出てはじめて、そのまま中古戸建てとして売る案と、解体して土地として売る案を、手取りで並べられます。
片づけ費用が出てはじめて、売り方を手取りで比べられます
マンションは築年で数字が変わる
前橋市の中古マンションは54件で、中央値は1㎡あたり20.0万円でした。築年帯で分けると景色が変わります。
| 築年帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 11-20年 | 17件 | 32.6万円/㎡ |
| 21-30年 | 11件 | 21.5万円/㎡ |
| 31-40年 | 24件 | 12.4万円/㎡ |
この築年は2026年を基準にした区切りです。築21〜30年は1996年から2005年に建った物件、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。1982年より前に建った物件は元のデータから外してあるので、この表には入っていません。
件数がいちばん集まっているのは築31-40年の24件で、1㎡あたり12.4万円です。 市全体の20.0万円とは別の水準になります。広さで分けると、70〜90㎡が32.4万円/㎡(22件)、90㎡以上が28.1万円/㎡(6件)、50〜70㎡が17.5万円/㎡(10件)、30㎡未満が12.6万円/㎡(12件)でした。新築マンションは1件で60.0万円/㎡ですが、1件では傾向として読めません。借りる側の相場は1㎡あたり1,646円です。
私はこう見ています
「前橋市の相場は坪いくらですか」という質問は、答えを聞いても予算づくりには使えません。六供町と上泉町で4.4倍、天川原町27.4万円のとなりに天川大島町13.1万円、そして鼻毛石町の1.0万円は住宅地の数字として読めない。268件を町別に割ると、そういう形が出てきます。
私は、市の中央値は「自分の候補地がその線の上か下か」を確かめるためだけの数字だと考えています。線そのものを予算にすると、六供町では候補が出てこず、上泉町では土地に払いすぎます。前橋市のように35町ぶんのデータが並ぶ市では、平均像を1つ出すこと自体が判断を鈍らせる方向に働くと見ています。
ここは私の読みなので、根拠にした数字のほうを持ち帰ってください。
予算を決める前にやる3つのこと
- 町名まで決めてから坪単価を当てる。市の14.2万円ではなく、候補の町の数字で計算します。グラフに出した13町以外でも、住所を入れれば周辺の実勢から出ます。
- 似た町名を取り違えていないか確かめる。天川原町と天川大島町、上小出町と下小出町、総社町総社と総社町植野。物件情報の町名を1字ずつ照らし合わせてください。
- 土地から建てる案と、中古を買って直す案を総額で並べる。土地は坪14.2万円(土地面積あたり)、中古戸建ては坪75.1万円、新築戸建ては坪90.2万円(どちらも延床面積あたり)。分母が違うので、比べるのは総額どうしです。
前橋市の学区を町名から調べる
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市全体をならした数字は前橋市の不動産相場にまとめています。同じやり方で町別に並べ直した記事は姫路市の町別の坪単価にもあるので、読み方の手順だけ先に見たい人はどうぞ。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。土地268件、中古戸建て149件、新築戸建て75件、中古マンション54件、新築マンション1件
- 土地の集計では、坪単価が極端に外れた21件を除いています。除いたあとの幅は1坪1.5万円から52.9万円です
- 1区画の面積の中央値280㎡(84.7坪)と坪単価の中央値14.2万円は別々に取った値です。掛け合わせた1,204万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 町別の集計は成約3件以上の町のみで35町。3件の町の中央値は1件の取引に動かされるため、見出しの4.4倍は成約5件以上の六供町(9件)と上泉町(5件)で取っています。端どうしの千代田町(3件)と上泉町では8.2倍になります
- 鼻毛石町(5件・坪1.0万円)は市の中央値の4分の1を下回ります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあるため、グラフからも見出しからも外しました
- グラフに出したのは35町のうち、成約6件以上の12町と下端の上泉町の計13町です。抜き出しの基準は取引件数で、坪単価の高低では選んでいません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。土地の坪単価(土地面積あたり)とは分母が違うため、引き算はできません
- 中古マンションの築年帯は2026年を基準にした区切りです。1982年より前に建った物件は元データから除外されています
- 地価公示:国土交通省の地価公示。前橋市内の住宅地53地点の中央値。成約価格とは母集団が違うため、両者の差は値上がり・値下がりを示すものではありません
- 賃貸:前橋市の35,370件から算出した1㎡あたりの中央値


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