「渋谷」はなぜ谷?「日比谷」はなぜ海だった?東京の坂と谷の地形トリビア3選
以前「谷」「沢」「窪」がつく地名と災害リスクの関係を紹介しましたが、今回は少し違う切り口で、東京を代表する「谷」のつく地名の地形トリビアを紹介します。危険を煽る話ではなく、街歩きが楽しくなる雑学編です。
1. 渋谷は「谷が集まる街」だった
渋谷区は武蔵野台地の東端にある淀橋台地に位置し、渋谷川が刻んだ谷とその支谷が集まる地形になっています。約2万年前、海水面が下がって東京湾が陸地化したころ、湧き出した水が台地を削って谷を刻み始め、氷河期が終わって海面が再び上昇した後、3000年前ごろから水面が下がる中で川がさらに地面を浸食していきました。
渋谷のスクランブル交差点周辺が周囲より低く、四方から坂道が集まっているのは、まさにこの「谷底」に駅と繁華街ができたためです。「渋」の字には「平坦な土地が浸食されて凹凸を生じた地形」という意味が込められているという説もあり、「渋谷」という字自体がこの地形を物語っています。
2. 日比谷は江戸時代初期、海の入江だった
江戸時代初期、現在の日比谷公園のあたりは漁民が暮らす村落で、実際に海の入江が入り込んでいました。漁民が海苔をとったり魚を捕らえたりするために海中に立てる竹の小枝を「ひび」と呼び、その「ひび」が立つ入江(谷)であったことから「日比谷」という地名に転じたと伝えられています。徳川家康が江戸に入城した頃には、日比谷のあたりまで海が入り込んでいたことが記録に残っています。
その後の埋め立てで海だった場所は陸地となり、今ではオフィス街・公園として多くの人が行き交う土地になっています。地名だけを見ると気づきませんが、「谷」の字にはかつて水辺だった記憶が刻まれているのです。
3. 「谷」のつく地名の多さは、武蔵野台地の複雑な凹凸を映している
渋谷・四谷・市ヶ谷・日比谷など、東京都心に「谷」のつく地名が多いのは偶然ではありません。東京の街は武蔵野台地を無数の川が削ってできた複雑な凹凸の上に広がっており、台地(山の手)と低地(谷・下町)が入り組んだ独特の地形をしています。坂の多い街として知られる東京ですが、その坂道の一つひとつが、太古の川がつくった谷の縁をたどっていることも少なくありません。
| 地名 | 地形の由来 |
|---|---|
| 渋谷 | 渋谷川が刻んだ谷が集まる「谷底の街」 |
| 日比谷 | 江戸時代初期は海の入江。「ひび」漁に由来 |
| 四谷・市ヶ谷 | 武蔵野台地を刻む多数の谷の一つ |
東京の谷地形の多くは今では上下水道や治水インフラが整備され、日常生活で意識することはほとんどありません。地形の成り立ちを知ることは、街への理解を深める雑学として楽しむのがおすすめです。そのうえで、実際に住まいを選ぶ際は最新のハザードマップも参考にすると安心です。
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まとめ
1. 渋谷は渋谷川が刻んだ谷が集まる「谷底の街」で、スクランブル交差点周辺の低さはこの地形による
2. 日比谷は江戸時代初期には海の入江で、「ひび」漁に由来する地名が今も残っている
3. 東京都心に「谷」のつく地名が多いのは、武蔵野台地を無数の川が削った複雑な地形を反映している
地名から街の成り立ちを読み解くと、いつもの通勤・通学路も少し違って見えてきます。東京の谷と坂の物語を、ぜひ散歩のお供にしてみてください。


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