🗨️「玄関先で売りつけられた。安かったし、その場で払って追い返したんだけど」
その払い方がいちばん取り戻せません。現金でその場で払って総額3,000円未満だと、クーリング・オフの対象から外れます。逆に「今後の勧誘を一切お断りします」と言い切ってしまえば、その先の勧誘は法律違反になります。
[暮らし] この記事の要点
2026年9月10日 発表
- 自宅の玄関先で勧誘を受けたことがある人
- 高齢の親がひとりで留守番している家
- 自宅兼店舗・自宅で仕事をしている人
断る言葉を、自治体が用意している
「帰ってください」と言っても帰らない。この状況で何を言えばいいのかを、三重県の伊勢市が公式ページで具体的に書いています。断り文句の見本を自治体が出しているのは珍しく、しかもこれが法律とつながっています。
今後の勧誘を一切お断りします
お帰りください伊勢市「「断り方」「断りコトバ」<訪問販売・電話勧誘販売>」より
なぜこの言い方なのか。特定商取引法の第3条の2(再勧誘の禁止等)が、契約を結ぶ意思がないと示された事業者に対して、その訪問時にそのまま勧誘を続けることと、その後あらためて勧誘することの両方を禁じているからです。
つまり「いりません」で終わらせず「今後の勧誘を一切お断りします」まで言い切ると、そこから先に相手がすることは法律違反になります。曖昧に濁して帰ってもらうより、はっきり言うほうが自分を守れる、という構造です。
「安いから払って追い返す」がいちばん危ない
ここが今回いちばん知っておく価値のある線です。クーリング・オフには適用除外があって、消費者庁のガイドにこう書かれています。
| 内容 | 条文 | ポイント |
|---|---|---|
| クーリング・オフ | 法第9条 | 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内 |
| その適用除外 | 同上 | 現金取引で、代金の総額が3,000円未満の場合(ほかに消耗品を使ってしまった場合など) |
| 再勧誘の禁止等 | 法第3条の2 | 断られた後の勧誘継続も、後日の再勧誘も禁止 |
| 法全体の適用除外 | 法第26条 | 「営業のため、又は営業として締結するもの」は対象外 |
報道されている国旗の押し売りは、金額でいうと数百円から千円の帯です。その場で現金を出して、総額が3,000円に届かない。クーリング・オフのいちばん外側に、きれいに収まってしまう払い方です。
「安いんだから、払って早く帰ってもらったほうが楽」という判断は、感覚としてはよく分かります。ただ法律の側から見ると、それがあとから取り戻す手段がいちばん少ない選択になります。
8日は「契約した日」から数えない
もうひとつ、勘違いされやすいのが起算日です。8日は契約書にサインした日からではなく、法律で決められた書面を受け取った日から数えます。
裏を返すと、その書面をもらっていなければ、8日のカウントがまだ始まっていないということです。「もう1週間以上たったから無理だ」とあきらめる前に、手元に何を渡されたかを確認する価値があります。
店で起きた話と、自宅の玄関先は同じではない
報道されているケースには、飲食店など事業をしている場所で起きたものが含まれています。ここは分けて考える必要があります。
特定商取引法の第26条は、「営業のため、又は営業として締結するもの」を適用除外にしています。つまり店として買った形になると、この法律の守りに入らないことがある。ニュースを見て「同じことが自分の家で起きたら」と考えるとき、当たる条文がそもそも違う可能性がある、ということです。
自宅の玄関先での勧誘なら、上に並べた第3条の2も第9条もそのまま効きます。守りが厚いのは自宅側です。
どこに言えばいいか
迷ったときの入口は消費者ホットライン 188です。全国どこからでも、最寄りの消費生活相談窓口につながります。相手が帰らずその場で困っているなら、消費生活センターではなく警察の判断になる場面もあります。
そして玄関先の話は、家の作りとも地続きです。相手の顔が見えないまま開けてしまう構造なのか、モニター越しに済ませられるのか。「出なくても断れる」状態を先に作っておくと、断りコトバを言う場面そのものが減ります。
生活・仕事にどう効くか
- その場の判断:現金でその場で払い、総額3,000円未満だとクーリング・オフの対象外。「安いから払って追い返す」がいちばん損な選択になりうる。
- 断ったあと:契約する意思がないと示したあとに、その場で勧誘を続けることも、日を改めて勧誘することも禁止されている(法第3条の2)。
- 自宅か店か:「営業のため、又は営業として締結するもの」は特定商取引法の適用除外(法第26条)。店で起きた話と自宅の玄関先では、当たる法律の守りが変わる。
結局どうすればよいか
- 断るときは「今後の勧誘を一切お断りします」と、はっきり言葉にして残す
- その場で現金を払わない。総額3,000円未満の現金取引はクーリング・オフの対象から外れる
- 困ったら消費者ホットライン188へ。8日の起算は契約日ではなく、法定書面を受け取った日から
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 消費者庁「特定商取引法ガイド」訪問販売(2026年9月10日発表)
- 伊勢市「「断り方」「断りコトバ」<訪問販売・電話勧誘販売>」(2026年9月10日発表)
- 消費者庁 消費者ホットライン(188)(2026年9月10日発表)
更新履歴
- 2026年9月10日 初版を公開
※本記事は2026年9月10日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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