「立川断層帯」「跡津川断層」…活断層になぜ地名がつくのか?地名だけではわからない直下リスク
「立川断層帯」「跡津川(あとつがわ)断層」「花折断層」など、活断層には地名がついていることがほとんどです。今回は、活断層の名前と地名の関係、そして「地名だけでは活断層の有無はわからない」という重要なポイントを、実際の地震の記録とあわせて紹介します。
1. 活断層の名前は「危険予告」ではなく、単なる目印
活断層の名前の多くは、その断層に沿って流れる川や、断層が通る峠・地域の名前がそのまま使われています。たとえば富山県から岐阜県にかけて延びる「跡津川断層」は、断層に沿って流れる跡津川という川の名前に由来しています。京都市から滋賀県にかけて延びる「花折断層」も、断層が通る花折峠の名前がそのまま使われています。
つまりこれらは、地質学者が調査の際に「どこの断層か分かりやすいように」川や峠の名前を借りて命名したものであり、「跡津」「花折」という文字そのものに危険な意味が込められているわけではありません。これまで紹介してきた「谷」「沢」「窪」のような、土地の性質を示す漢字とは成り立ちが異なります。
2. 東京にも活断層はある「立川断層帯」
活断層と聞くと地方の山あいの話に思えるかもしれませんが、立川断層帯は埼玉県飯能市付近から東京都青梅市・立川市を経て府中市に至る、全長約33kmの活断層帯です。今後30年以内に地震が発生する確率は、日本の活断層の中でもやや高いグループに属するとされています。マグニチュード7.4程度の地震が想定されており、震源に近い地域では大きな被害が生じる可能性があります。
「立川」という地名自体は地形由来ではなく、活断層のすぐ上に広がる市街地は普段は何の変哲もない住宅地です。地名の響きや街の様子から活断層の存在を感じ取ることはまずできません。
3. 濃尾地震では、断層が地表に姿を現した
1891年(明治24年)、岐阜県根尾村(現・本巣市)付近を震源に発生した濃尾地震はマグニチュード8.0、内陸直下型地震としては日本史上最大級の規模でした。この地震を引き起こした根尾谷断層は、日本最大の「地震断層」として知られています。
根尾村の水鳥(みどり)地区では、地震によって地表が上下に約6メートルもずれ動き、断層崖として現在も保存されています。ふだんは地下に隠れている活断層が、大地震の瞬間には目に見える崖として地表に現れることがあるということを、この記録は伝えています。
| 断層名 | 名前の由来 | 特徴 |
|---|---|---|
| 跡津川断層 | 断層沿いを流れる川の名前 | 1858年飛越地震を引き起こしたA級活断層 |
| 立川断層帯 | 通過する地域の名前 | 東京・埼玉の市街地直下を通る |
| 根尾谷断層 | 根尾川流域の地名 | 1891年濃尾地震で最大6mの断層崖が出現 |
4. 地名ではなく、公的な活断層図で確認する
ここまで見てきたように、活断層の名前と地名の関係は「危険を予告する言い伝え」ではなく、単なる地質学上の呼び名です。「〇〇という地名だから活断層がある/ない」と地名だけで判断することはできません。
国が設置する地震調査研究推進本部は、全国の主要な活断層帯の位置・評価をまとめた「活断層データベース」を公開しています。国土地理院の「都市圏活断層図」もあわせて確認すると、住んでいる場所・検討している土地の近くに活断層が通っていないかを客観的なデータで調べることができます。
地名だけでは活断層の有無がわからない以上、備えは「今できること」から進めておくと安心です。ヘルメットや簡易トイレ、食料・水がセットになった防災セット(2人用・ヘルメット付き)を1つ用意しておくだけでも、直下型地震への備えとして心強い一歩になります。
災害リスク診断では、住所を入力するだけで地震・土砂災害・洪水などのリスクをまとめて確認できます。地名の響きだけで判断せず、公的データとあわせてチェックしてみましょう。
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まとめ
1. 活断層の名前の多くは、断層沿いの川や峠など既存の地名をそのまま借りたもので、地名自体に危険の意味が込められているわけではない
2. 東京都・埼玉県の市街地直下にも立川断層帯のような活断層があり、地表の様子から存在を感じ取ることはできない
3. 1891年の濃尾地震では根尾谷断層が地表に最大6mの断層崖として現れた記録が残っており、地震調査研究推進本部や国土地理院の活断層図で位置を確認できる
地名は土地の歴史を知る手がかりになりますが、活断層の有無を判断する材料にはなりません。気になる土地があれば、公的な活断層データと組み合わせて確認しましょう。


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