🗨️「南太平洋の火山が噴火したって、日本に津波は来るの? もう夜中だけど寝ていい?」
26日5時00分の気象庁発表で、この噴火による日本への津波の影響はないと確定しました。心配はなくなりました。25日の夜から続いていた調査はここで終わり、続報の予定もありません。
[災害] この記事の要点
2026年8月25日18時40分ごろ(日本時間)、南太平洋バヌアツのアンバエ火山で大規模な噴火が発生した。噴煙は海抜約1万5000mに達したとウェリントン航空路火山灰情報センター(VAAC)が推定している。気象庁は同日20時35分に「遠地地震に関する情報」を発表し、日本への津波の有無を調査してきた。26日2時30分発表の第3号までは海外・国内の観測点とも有意な潮位変化は観測されず、26日5時00分発表の第4号で「この地震による日本への津波の影響はありません」として調査を終えた。
2026年8月26日 発表
- 伊豆・小笠原諸島や太平洋沿岸で、いま海の近くにいる人
- 海沿いの家・土地に住んでいる人、これから買おうとしている人
- 南太平洋を通る国際線に乗る予定がある人
この記事でわかること
- 気象庁が津波を確認していないのに「到達予想時刻」を先に出した理由
- 地震が起きていないのに、遠くの火山の噴火で日本の潮位が変わる仕組み
- 「到達予想時刻を過ぎたから安全」と読んではいけない理由
「地震が起きていないなら、津波の心配もない」——今回の噴火では、そうとは限りません。海底が動かなくても、日本の海面が動くことがあるからです。
いま分かっていること(8月26日5時時点)
推測を混ぜずに、気象庁が実際に発表した内容だけを時系列で並べます。
| 日本時間 | 発表・観測された内容 |
|---|---|
| 8月25日 18時40分ごろ | アンバエ火山で大規模な噴火。噴煙は海抜約1万5000mに達したとウェリントン航空路火山灰情報センター(VAAC)が推定 |
| 8月25日 20時35分 | 気象庁が「遠地地震に関する情報」第1号を発表。「日本への津波の有無については現在調査中です」 |
| 8月25日 22時10分 | 海外の検潮所で、この噴火によるとみられる有意な潮位変化は観測されず。気象衛星「ひまわり」の画像にも、気圧波を示すような明瞭な変化は見られず |
| 8月25日 22時30分ごろ | 気象庁が想定した、伊豆・小笠原諸島への到達予想時刻 |
| 8月26日 0時00分 | 第2号を発表。「現在、海外および国内の観測点で有意な潮位変化は観測されていません」 |
| 8月26日 0時30分ごろ | 気象庁が想定した、地震に伴う通常の津波の到達予想時刻(伊豆・小笠原諸島) |
| 8月26日 2時30分 | 第3号を発表。海外・国内とも有意な潮位変化は観測されず、引き続き「調査中」 |
| 8月26日 5時00分 | 第4号を発表。「この地震による日本への津波の影響はありません」。調査終了、続報の予定なし |
地震は起きていない。それでも到達予想時刻が出た
気象庁のこの情報を開くと、冒頭にこう書かれています。「25日18時40分ころ、海外で規模の大きな地震がありました。」
ところが同じ文書の末尾で、気象庁自身がそれを打ち消しています。
本情報の冒頭に「海外で規模の大きな地震がありました。」や「震源地」とありますが、これは「遠地地震に関する情報」を作成する際に自動的に付与される文言です。実際には、規模の大きな地震は発生していない点に留意してください。
今回、大きな地震は起きていません。動いたのは海底ではなく、空気です。
地震が起きていないのに、どうして津波の話になるんですか?
大きな噴火は、爆発で空気の圧力の波を作ります。それが大気の中を走って、通り道の海面を上から押していく。海底が動いていなくても、押された海面のほうが動くんです。
この仕組みで日本の潮位が実際に変わったのが、2022年1月のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火でした。だから気象庁は、南太平洋で大規模噴火が起きるたびに日本の潮位を確認します。
気象庁が「22時30分」と「0時30分」の2つを出した理由
報道で紹介されているのは、伊豆・小笠原諸島への到達予想「25日22時30分ごろ」だけです。ただ、気象庁の原文にはもう1つの時刻が書かれています。
| 何を想定した時刻か | 伊豆・小笠原諸島への到達予想 |
|---|---|
| 噴火の気圧波が秒速310mで伝わって津波が発生した場合 | 25日22時30分ごろ |
| 地震に伴う通常の津波が到達する場合 | 26日0時30分ごろ |
気圧波のほうが、約2時間早く着きます。秒速310mは音が空気を伝わる速さに近く、海の中を進む津波を追い越して先に日本へ届くからです。
だから気象庁は、津波が起きたかどうかを確認する前に、先に到達予想時刻を出す必要がありました。同じ紙面に「調査中です」と「22時30分ごろです」が同居しているのは、順序を逆にすると間に合わないからです。
気象庁は、国外の大規模噴火を把握した場合のこの情報を、噴火からおおむね1時間半〜2時間で出すと説明しています。今回は18時40分の噴火に対して20時35分の発表、1時間55分後でした。設計どおりの速さです。
2022年のトンガでは、海外の潮位計が静かなまま日本で134cmが出た
「海外で潮位変化が観測されていない、なら日本も大丈夫」——2022年1月のトンガでは、そうはなりませんでした。ここが今回いちばん大事なところです。
フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山が噴火した1月15日、気象庁は19時03分の時点で「日本への伝播経路上の海外の潮位観測点では大きな変化は観測されなかった」として、津波予報(若干の海面変動)にとどめていました。
ところが実際に日本の沿岸で観測されたのは、次の値です。
| 観測点・予報区 | 潮位変化 |
|---|---|
| 鹿児島県・奄美市小湊 | 134cm |
| 岩手県・久慈港 | 107cm |
| 北海道太平洋沿岸東部/高知県 | 各100cm |
津波の高さの測定方法で測った値。気象庁「令和4年1月 地震・火山月報(防災編)」より。
気象庁は日付が変わった16日0時15分に奄美群島・トカラ列島へ津波警報を、2時54分には岩手県へも津波警報を発表しました。全国の津波注意報が解除されたのは、同じ日の14時です。
火山の周りの潮位計が静かなことは、日本が安全だという意味になりませんでした。今回の第2号・第3号にあった「有意な潮位変化は観測されていません」も、その時点での途中経過でした。気象庁が影響なしと言い切ったのは、そこからさらに2時間半あとの第4号です。
アンバエ火山はどんな火山か
アンバエ火山は、バヌアツのアンバエ島そのものを形づくっている火山です。標高は約1496m。山頂のカルデラの中に火口湖がいくつかあり、活動が続いているのはブイ湖(Lake Voui)の中の火口です。
突然目を覚ました火山ではありません。バヌアツ気象・地質災害局(VMGD)の火山警戒レベルは、2026年2月23日にレベル2からレベル3へ引き上げられ、そのまま続いてきました。レベルは0から5までの6段階で、3は「小規模な噴火」の段階。危険区域も、ブイ湖の活動火口から半径およそ3kmとされてきました。
噴煙も出ていました。8月13〜18日には、火山灰と火山ガスを含む噴煙が連日、海抜1.5〜4.6kmまで上がっているのが衛星画像とウェブカメラで確認されています。
ここで数字を取り違えないでください。8月17日の記録は「15,000」ですが、これはフィートで約4600mです。今回の「1万5000」はメートル。同じ15,000でも、3倍以上ちがいます。
そして、住民が島ごと逃げたことのある島でもあります。2017年10月には全島民およそ1万1000人が3週間にわたって島を離れ、2018年8月にも全島避難が命じられました。
なお、バヌアツ気象・地質災害局は今回の噴火のあと、26日0時40分の時点でまだ新しい火山速報を出していません。警戒レベルは3のままです。現地の被害や避難の情報も、同じ時点では確認できていません。
火山灰は空の便にも効く
灰の話は、津波とは別の経路で人の予定を壊します。火山灰を航空機のジェットエンジンが吸い込むと、灰が高温で溶けて内部に付着し、出力の低下やエンジン停止につながるからです。
旅客機が飛ぶ高さはおおむね海抜1万m前後です。今回の噴煙は、その上を通り越しています。今後の風向きと灰の広がり方によっては、南太平洋を通る国際線で航路の変更や遅延が出る可能性があります。
そもそも「噴煙は海抜約1万5000m」という数字を出したVAAC(航空路火山灰情報センター)は、灰がどこへ流れるかを航空会社に伝えるための機関です。南太平洋はニュージーランドのウェリントンが担当しています。今回いちばん最初に出てきた数字が航空向けのものだったのは、そういう理由です。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れると、ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さをまとめて表示します。無料です。
到達予想時刻を過ぎたから安全、ではない
26日5時00分、気象庁はこの噴火による日本への津波の影響はないと発表しました。25日18時40分の噴火から10時間20分後です。第4号の予報文は、一行だけでした。
この地震による日本への津波の影響はありません。
結論が出るまでに10時間かかったことが、この記事でいちばん残しておきたい点です。「予想時刻を過ぎたのに何も起きなかった」——決着が出るまでは、それは終わったという意味になりません。気象庁は調査中だった第2号に、こう書いていました。
到達予想時刻は、日本のなかで最も早く津波が到達する時刻です。場所によっては、この時刻よりもかなり遅れて津波が襲ってくることがあります。
私は、今回の発表でいちばん読み落とされやすいのがこの一文だと考えています。「早いところで22時30分」という数字だけが独り歩きすると、その時刻に何も起きなかったことが「もう大丈夫」の合図に見えてしまう。実際には、日本のなかで最も早い場所の時刻だと書いてあるだけです。
じゃあ、もう気にしなくていいんですね?
今回の噴火については、それで大丈夫です。26日5時の発表で影響なしと出ました。ただ、はっきりするまで10時間かかりましたから、次のときは決着が出るまで待ってくださいね。
そして、これは今回に限った話ではありません。潮位変化の情報が出てから自分の家の高さを調べ始めるのでは遅すぎます。海沿いにお住まいなら、落ち着いているうちに住所で確認しておいてください。
生活・仕事にどう効くか
- 今夜、海のそばにいる人:気象庁が出した到達予想は伊豆・小笠原諸島で25日22時30分ごろ。ただしこれは「日本のなかで最も早い場所」の時刻で、場所によってはかなり遅れて到達することがあると気象庁自身が注記している。
- 海沿いの家と土地:火山噴火に伴う潮位変化は、地震の津波とは伝わり方が違う。自分の家の住所で浸水想定と避難先を確認しておくのは、警報が出てからでは間に合わない。
- 航空便:火山灰は航空機のエンジンに吸い込まれると出力低下や停止につながる。海抜約1万5000mは旅客機の巡航高度を超える高さで、南太平洋を通る便は航路変更や遅延の可能性がある。
結局どうすればよいか
- 今回の噴火については、26日5時00分に気象庁が「日本への津波の影響はありません」と発表済み。待機や警戒は不要
- 次に南太平洋で大規模噴火が起きたときは、気象庁の続報が出るまで海岸・河口・港に近づかない
- 自分の家の住所で、浸水の想定と避難先を今のうちに確認しておく
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
ほかに使える無料ツール
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 気象庁「遠地地震に関する情報」第4号(2026年8月26日5時00分発表・日本への津波の影響なし)(2026年8月26日発表)
- 気象庁「遠地地震に関する情報」第3号(2026年8月26日2時30分発表)(2026年8月26日発表)
- 気象庁「遠地地震に関する情報」第2号(2026年8月26日0時00分発表)(2026年8月26日発表)
- 気象庁「遠地地震に関する情報」第1号(2026年8月25日20時35分発表)(2026年8月25日発表)
- 気象庁「遠地地震に関する情報」の解説(国外の大規模噴火でも発表する旨の記載あり)(2026年8月26日発表)
- 気象庁「令和4年1月 地震・火山月報(防災編)」特集(2022年トンガ噴火の国内潮位変化)(2022-01発表)
- 気象庁「2022年1月15日のトンガ諸島付近の噴火に伴う津波警報・注意報の評価」(2022-01発表)
- ウェリントン航空路火山灰情報センター(VAAC)(2026年8月26日発表)
- バヌアツ気象・地質災害局(VMGD)火山警報のページ(2026年8月26日発表)
- ウェザーニュース「バヌアツ・アンバエ火山で大規模な噴火 噴煙高度約1万5000mと報告」(2026年8月25日発表)
- スミソニアン協会 世界火山活動計画 週間火山活動報告(8月13〜18日のアンバエの噴煙高度)(2026-08発表)
- 国際赤十字・赤新月社連盟 アンバエ火山噴火(2018年)最終報告(2017年・2018年の全島避難)(2018発表)
更新履歴
- 2026年8月26日 初版を公開(気象庁 第2号・26日0時00分発表までを反映)
- 2026年8月26日 2022年トンガ噴火のとき日本で観測された潮位変化の実数を追記
- 2026年8月26日 警戒レベルの段階数を「5段階」から「0〜5の6段階」に訂正。噴火前の噴煙高度と過去の全島避難を追記
- 2026年8月26日 第3号(26日2時30分発表)と第4号(26日5時00分発表)を反映。気象庁が「日本への津波の影響はありません」と発表し、調査は終了
※本記事は2026年8月26日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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