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トイレ 引き戸 工務店に「やめたほうがいいですよ」と止められるのはなぜ? 音の漏れやすさを測る国の等級は室内のドアに用意されていません 数字が決まっているのは幅のほうです

🗨️「トイレを引き戸にしたいと言ったら、工務店に「やめたほうがいいですよ」と言われました。そんなに悪いものなんですか?」

止める理由としてまず出てくるのは音とにおいです。ところが、住宅性能表示制度で遮音を測る「透過損失等級」の対象は、共同住宅の界壁と、外壁の開口部だけ。室内のドアを評価する等級は制度にありません。数字で比べる物差しが無いので、そこはどうしても経験の話になります。いっぽう国が数字を決めているのは幅のほうで、日常生活空間の出入口は等級4で750ミリ以上、等級5で800ミリ以上。しかも、その測り方がトイレと玄関・浴室では違います。

[不動産] この記事の要点

発表日・更新日

2026年9月9日 発表

影響を受ける人
  • 新築やリフォームで、トイレの扉をどちらにするか決めている人
  • 親と同居する予定がある、または将来の介助を考えて間取りを見ている人
  • 中古住宅を買って水回りを直そうとしている人
目次

「音が漏れる」を数字で比べる方法は、制度の側にありません

住宅性能表示制度には遮音を測る等級があります。ただし対象が決まっていて、次の2つだけです。

等級何を測るか
透過損失等級(界壁)共同住宅などの、住戸と住戸を隔てる壁
透過損失等級(外壁開口部)外壁にある窓などの開口部

室内のドアを評価する等級はありません。つまり「引き戸のほうが開き戸より何デシベル漏れやすい」を、制度の数字で言うことはできないということです。工務店の説明が経験談の形になるのは、比べる物差しが用意されていないからでもあります。

実際に検索して出てくる解説も、そろって「すき間」を理由に挙げています。引き戸は戸と枠が接していないぶん、上下と左右にすき間が残る、という説明です。ここは筋が通っていますが、どのくらい残るかは製品と納まりで変わるので、一般論として「引き戸はダメ」とまでは言えません。

国が数字を決めているのは、幅のほうです

評価方法基準の「高齢者等配慮対策等級」には、通路と出入口の幅がミリ単位で書かれています。日常生活空間(毎日使う玄関・便所・浴室・食事室・脱衣室・洗面所と、それをつなぐ通路)が対象です。

等級通路の有効な幅員出入口の幅員
等級5850ミリ以上(柱等の箇所は800ミリ)800ミリ以上
等級4780ミリ以上(柱等の箇所は750ミリ)750ミリ以上(浴室の出入口は650ミリ以上)

車いすを使う想定まで含めて考えるなら、見るのは扉の種類ではなく、この数字に届いているかどうかです。冒頭の夫婦が引き戸を選んだ理由も、将来の車いす・杖・歩行器でした。

ところが、トイレは玄関や浴室と測り方が違います

同じ「出入口の幅員」でも、告示の書き方が場所によって分かれています。原文はこうです。

日常生活空間内の出入口の幅員(玄関及び浴室の出入口については、開き戸にあっては建具の厚み、引き戸にあっては引き残しを勘案した通行上有効な幅員とし、玄関及び浴室以外の出入口については、工事を伴わない撤去等により確保できる部分の長さを含む。)

評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号・最終改正 令和6年国土交通省告示第1000号)9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分)

引き戸の「引き残し」を差し引いて数えなさい、と名指しされているのは玄関と浴室です。トイレは「玄関及び浴室以外」に入るので、こちらは工事を伴わない撤去等で確保できる長さを含めて数えます。同じ800ミリという表示でも、どこの寸法を指しているのかが場所によって変わる、ということです。

引き残しというのは、引き戸を開ききったときに戸が枠の内側に残る部分のことです。図にするとこうなります。

同じ寸法でも通れる幅は変わります枠の内のり図面の寸法はこちら開けきった状態引き残し実際に通れる幅

図:引き残しの分だけ、通れる幅は枠の内のりより狭くなる

だから打ち合わせで聞くことは1つです。その800ミリは枠の内のりですか、通れる幅ですか。ここが食い違ったまま進むと、できあがってから「思ったより狭い」になります。

トイレの広さにも数字があります

扉より先に決まってしまうのが、便所そのものの寸法です。等級ごとにこう書かれています。

等級便所に求められる寸法
等級5短辺が内のり1,300ミリ以上、または便器後方の壁から便器の先端までの距離に500ミリを足した値以上。便器は腰掛け式
等級4短辺1,100ミリ以上かつ長辺1,300ミリ以上、または便器の前方・側方で便器と壁の距離が500ミリ以上(ドアの開放により確保できる部分を含む)

等級4のほうに「ドアの開放により確保できる部分を含む」と書かれているのが要点です。扉を開けた状態で確保できる寸法を数えてよい、という意味なので、扉の種類と部屋の広さは切り離して考えられません。狭いトイレほど、この計算に扉が絡んできます。

戸袋にした壁は、あとから使えません

同じ等級には、便所の手すりについて「立ち座りのためのものが設けられていること」という要件があります。立ち座りの手すりは便器の横に付けるものなので、そこが引き戸の入る壁と重なると、置き場所が無くなります。

紙巻器・タオル掛け・スイッチ・コンセントも同じです。引き戸を壁の中に引き込む造りにすると、その1面はほぼ使えない壁になります。扉を決めるときに、この4つの行き先を同時に決めておくと、後戻りしません。

逆に、壁の外側を走らせる造りにすると引き込みの壁は要りませんが、戸と壁のすき間は大きくなります。音の話に戻ってくるのはここです。

それでも迷うなら

音は建具では決まりきりません。トイレを居室やリビングと壁1枚で接しさせない、という配置のほうが効きます。間取りの段階でしか動かせないので、扉の種類より先に決める話です。

そして、扉そのものは後から替えられます。要件に当てはまれば、介護保険の住宅改修の対象にもなります。

生活・仕事にどう効くか

  • 音の比べ方:住宅性能表示制度の透過損失等級は、界壁(共同住宅等)と外壁開口部だけが対象。室内のドアに等級は無いので、引き戸と開き戸を公的な数字で比較することはできない。
  • 幅の数字:日常生活空間内の出入口の幅員は、等級5で800ミリ以上、等級4で750ミリ以上(浴室は650ミリ以上)。通路は等級5で850ミリ、等級4で780ミリ以上。
  • 測り方の違い:玄関と浴室の出入口は「引き戸にあっては引き残しを勘案した通行上有効な幅員」。それ以外の出入口(トイレを含む)は「工事を伴わない撤去等により確保できる部分の長さを含む」。同じ800ミリでも数え方が別。

結局どうすればよいか

  • 図面の寸法が「枠の内のり」か「引き残しを引いた通れる幅」かを、その場で聞く
  • トイレの短辺を確かめる。等級5は内のり1,300ミリ、等級4は短辺1,100ミリかつ長辺1,300ミリが目安
  • 戸袋にする壁に、紙巻器・手すり・スイッチを付けられるかを扉より先に決める
  • 音が気になるなら、遮音は建具ではなく壁と配置(トイレを居室に接しさせない)で考える

公式出典

更新履歴

  • 2026年9月9日 初版を公開

※本記事は2026年9月9日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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