学期の途中で転校すると、子どもは学校を何日休むことになるのか。引っ越しの段取りしだいで1日から2日というのが実際のところですが、その1日か2日は、前の学校でも新しい学校でも欠席日数に入りません。
この記事でわかること
- ✓ 転学の前後にできる空白は、前の学校の授業日数にも新しい学校の授業日数にも入らない(文部科学省の通知・別紙1)
- ✓ 籍のほうは切れない。指導要録に書く転学の年月日は「転学先の学校が受け入れた日の前日」
- ✓ 空白の長さを決めているのは役所の開庁日。神戸市で193日を数えると、金曜に引っ越した27日のうち翌日に窓口が開いた日は0日
「1日も休まずに済んでます」4人が日数を答えて、記録の話をした人がいない
Yahoo!知恵袋に、2012年6月14日の夜に出た質問があります。本文はこの一文だけで、補足はありません。
学期の途中で転校するとき、学校はどのくらい休むのですか?
Yahoo!知恵袋 q1089137015(2012年6月14日)
回答は4件つきました。ベストアンサーは、小学3年生の1月に子どもを転校させた親です。引っ越しの当日に登校させ、そのまま役所と学校を回った手順を時系列で書いたうえで、こう締めています。
長男が小3の1月に転校しましたが
1日も休まずに済んでます
休む日数は、引越しにかかる日にち分で足ります
同・ベストアンサー(2012年6月15日)
ほかの3人も日数で答えました。「せいぜい1~2日あば充分だと思われます。」「一日や二日くらいじゃないですか?」、そして「手続き上の時間はまったくかかりません。」。数え方としては4人とも正しく、経験もそれぞれ具体的です。
ただ、4件を並べても、その1日か2日が子どもの記録にどう残るのかを書いた人が1人もいません。3人目にいたっては、最後にこう釘を刺しています。
ただ、ダラダラと休んでいることはいけませんので気をつけてくださいね。
同・回答3件目
休む=よくないこと、という前提で話が進んでいます。日数を数えている親がほんとうに気にしているのは、たぶん日数そのものではありません。休んだぶんが欠席として残るのかどうかです。
読者
引っ越しで2日休んだら、欠席2日になりますよね?
なりません。その2日は、どちらの学校の授業日数にも入っていないんです。
前の学校の授業日数は、学校を去った日で切れる
出欠の数え方は、法令には書いてありません。学校教育法施行規則の全文を検索すると「授業日数」も「出欠」も0回で、指導要録を作るのは校長だと定めた第24条があるだけです。数え方を決めているのは、文部科学省が2019年3月29日に出した通知(30文科初第1845号)の別紙のほうです。
小学校ぶんの別紙1は、出欠の記録の「(1) 授業日数」をこう書いています。
この授業日数は,原則として,同一学年のすべての児童につき同日数とすることが適当である。ただし,転学又は退学等をした児童については,転学のため学校を去った日又は退学等をした日までの授業日数を記入し,転入学又は編入学等をした児童については,転入学又は編入学等をした日以後の授業日数を記入する。
文部科学省〔別紙1〕小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等
前の学校は「学校を去った日まで」、新しい学校は「転入学又は編入学等をした日以後」。その間の日は、どちらにも入りません。
欠席日数の定義は、同じ節の少し下にあります。「(3) 出席しなければならない日数」は「授業日数から出席停止・忌引等の日数を差し引いた日数」、「(4) 欠席日数」は「出席しなければならない日数のうち病気又はその他の事故で児童が欠席した日数」。母数が授業日数です。授業日数に入っていない日は、欠席日数の計算にそもそも登場しません。

中学校ぶんの別紙2も原文を読みました。「児童」が「生徒」に変わるだけで、この2か所の文言は同じです。小学校と中学校で扱いは分かれません。
これは通知であって法令ではありません。通知の本文にも「各設置者による指導要録の様式の決定や各学校における指導要録の作成の参考となるよう」とあり、様式そのものを決めるのは学校を設置している市区町村です。
ここまでは、転校したあとの記録の話です。そもそも引っ越し先が同じ学区に入るなら、転校そのものが起きません。町名まで入れれば、通う小学校と中学校がその場で出ます。
籍のほうは、1日も空いていない
授業日数の線は切れますが、籍の線は切れません。同じ別紙1の〔1〕学籍に関する記録のほうに、こう書いてあります。
他の小学校等に転学する場合には,転学先の学校が受け入れた日の前日に当たる年月日,転学先の学校名,所在地,転入学年及びその事由等を記入する。また,学校を去った年月日についても併記する。
同〔1〕6 転学・退学等
転学の年月日は、荷物を運んだ日でも、最後に登校した日でもありません。新しい学校が受け入れた日の、その前日です。だから前の学校の在籍と新しい学校の在籍は、すき間なくつながります。
そして「学校を去った年月日」は、それとは別に併記されます。ひとつの出来事に日付が2つ置いてあって、片方が籍を、もう片方が授業日数を動かしている。空白が見えるのは授業日数の側だけで、籍の側には空白がありません。
書類の運び手も、思われているのとは違います。学校教育法施行規則24条3項は、指導要録の写しを作って転学先の校長へ送るのは校長だと書いています。親が手で運ぶのは在学証明書と教科用図書給与証明書で、指導要録そのものではありません。
読者
じゃあ、何日休んでも同じですか?
同じではありません。まだ前の学校に籍がある日に休めば、そちらは欠席として数えられます。
線が切れるのは「学校を去った日」からです。引っ越しの前に荷造りで休めば、その日はまだ前の学校の授業日数の中にあります。去ったあとの日は、最初から数えられていません。効いてくるのは休んだ日数ではなく、どこで籍を抜くかのほうです。

空白の長さを決めているのは、学校ではなく役所の窓口
では、その空白は何で決まるのか。転出届と転入届の書かれ方が、対称になっていません。
住民基本台帳法24条の転出届は「転出をする者は、あらかじめ」で、引っ越す前に出せます。22条の転入届は「転入をした日から十四日以内」で、引っ越す前には出せません。新しい学校に通うために要る転入学通知書が出るのは、その転入届のあとです。空白は、引っ越した日から次に窓口が開く日までの距離でできています。
神戸市の窓口は「受付時間:(月曜~金曜)9時00分~17時00分」「休業日:土曜・日曜・祝日及び年末年始(12月29日~1月3日)」。毎月第2・4木曜だけ、平日夜間特別窓口として18時45分まで受け付けます。
内閣府が公表している祝日のCSVと突き合わせて、2026年9月20日から2027年3月31日までの193日を1日ずつ数えました。区役所が開いているのは124日で、64.2%。3日に1日は閉まっています。

曜日で差が出ました。金曜に引っ越した27日のうち、翌日に窓口が開いていた日は0日。23日は月曜まで開きません。木曜なら27日のうち26日、翌日に行けます。引っ越し業者の日程は週末に寄りがちですが、その週末がいちばん窓口から遠い曜日です。1日ずらすだけで、空白が2日縮みます。
これは窓口が開く日の話で、学校に通い始める日そのものではありません。転入学の日を決めるのは教育委員会と学校です。
書類をもらう順番で往復が1回増える話は、引っ越しで小学校を転校する手続きに書きました。ここで足したいのは順番ではなく、曜日です。

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転校そのものを避ける手は、校区によって幅が30倍ちがう
同じ小学校区の中で次の家を探せば、空白はそもそも生まれません。ただ、この手が使えるかどうかは校区で違います。
学区検索ツールの元にしている神戸市の校区一覧から、1,178の町丁を小学校区164区分に割って数えました。

1校区あたりの町丁数は、中央値で5.5。いちばん多い湊小学校(兵庫区)は30町丁、次いでこうべ小学校(中央区)が27、明親小学校(兵庫区)が26あります。いっぽうで町丁が1つしかない校区が24区分、3つ以下が58区分(35.4%)ありました。同じ市の中でも、転校を避ける引っ越し先の数が30倍ちがいます。
同じ校区で探す進め方そのものは、子どもを転校させたくない引っ越しにまとめてあります。住民票だけを動かして通わせられるかを考えている人は、学区外の中学 住民票だけ移せば通える?のほうが近い話です。
私はこう見ています|日数の相談に日数で答えたのが、惜しかった
4人の回答は、数え方としてどれも正確でした。私が惜しいと思うのは、答える場所を1つだけ外していることです。親が「どのくらい休むのか」と数えているとき、その数字の先にあるのは段取りの都合ではなく、子どもの記録です。そこに答えていれば、1日でも2日でも同じだと言えました。
同じことが、親が窓口へ持っていく書類にも起きていると見ています。学校教育法施行規則の全文で「在学証明」が出てくるのは1回だけで、それは第92条、高等学校の転学の条文です。小中学校の転校について在学証明書を求める条文は、施行規則にありません。要るのは自治体が運用でそう決めているからで、神戸市の案内も書きぶりが違います。
小・中学校に通っているお子さんがいる場合、学校の手続きも一緒に行いますので、受付の職員に申し出てください。前の学校の在学証明書などがあれば、提示してください
神戸市「神戸市外からの転入手続き」
「あれば」です。持っていくのが無駄だという話ではありません。法令で全国そろえてある部分と、住む市が自分で決めている部分が混ざっているので、転校の不安を人の体験談だけで埋めると、その市では起きないことまで心配することになります。前の学校で証明書をもらう段取りは、そのまま進めてください。
読者
結局、何日休ませればいいんでしょう。
荷物と窓口の都合で決めて大丈夫です。記録のほうは、去った日で切れています。
引っ越す日を決める前に、校区と相場を並べておく
同じ校区の中で探すと決めた瞬間から、選べる物件は町丁の数ぶんに絞られます。中央値5.5町丁という幅の中で家賃や価格が折り合うかどうかは、先に見ておいたほうが早いです。
転校の時期そのもので迷っているなら、小5で転校させるのはかわいそう?も同じ校区データから書いています。
出典
- 文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」30文科初第1845号(平成31年3月29日)〔別紙1〕/〔別紙2〕
- 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第24条・第25条・第92条、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第22条〜第24条(e-Gov法令検索で全文を取得)
- 神戸市「神戸市外からの転入手続き」「区役所などの所在地・受付時間」
- 内閣府「国民の祝日について」の祝日CSV
- 開庁日と曜日の集計は2026年9月20日〜2027年3月31日の193日。校区の集計は神戸市の小学校区一覧(2025年12月時点で採取)の1,178町丁。いずれも当サイトで集計
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