🗨️「中古マンションは値上がりしているって聞くけど、うちも高く売れるの?」
値上がりしているのは「売りに出ている値段」のほうです。首都圏では2026年7月、売り出し中の平均が6,866万円なのに対し、実際に売れた平均は5,267万円でした。成約価格は3か月連続で前年を下回っています。
[地価・住宅市場] この記事の要点
公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が2026年8月10日、首都圏の2026年7月度の不動産流通市場の動向を公表した。中古マンションの成約件数は3,638件で前年同月比8.6%減と4か月連続の減少、在庫件数は47,151件で5.5%増と5か月連続の増加となった。
2026年8月10日 発表 (2026年8月28日 更新)
- 首都圏で中古マンションの売却を考えている人
- 相続した実家のマンションを売るか貸すか迷っている人
- 中古マンションの購入を検討している人
同じ表のなかで、値段が反対を向いている
東日本レインズが2026年8月10日に公表した7月度の集計です。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の中古マンションについて、3つの値段が並んで載っています。
| 平均価格 | m²単価 | 前年同月比 | |
|---|---|---|---|
| 成約(実際に売れた) | 5,267万円 | 84.17万円 | -0.7%(3か月連続下落) |
| 新規登録(今月出された) | 6,834万円 | 117.86万円 | +20.5%(27か月連続上昇) |
| 在庫(売りに出ている) | 6,866万円 | 118.30万円 | +29.0%(24か月連続上昇) |
売りに出ている平均が6,866万円、実際に売れた平均が5,267万円。差は1,599万円あります。m²単価でみると118.30万円に対して84.17万円で、1.41倍です。
大事なのは差そのものより、向きが逆になっていることです。成約価格は3か月連続で前年を下回り、成約m²単価も3か月連続で下がっています。その同じ月に、新規登録の単価は27か月連続、在庫の単価は24か月連続で上がり続けています。売り手が付けたい値段と、買い手が払った値段が、2年ちかく反対方向へ離れ続けているということです。
ニュースでは中古マンションが値上がりしていると聞いたのですが。
値上がりしているのは売り出しの値段です。売れた値段のほうは3か月続けて下がっています。同じ表に両方載っているので、どちらの話かを確かめてください。
1,599万円を「値引きできる額」と読んではいけない
ここは先に釘を刺しておきます。この1,599万円は、そのまま値引き幅ではありません。成約と在庫は、比べている中身が違うからです。
| 平均専有面積 | 平均築年数 | |
|---|---|---|
| 成約 | 62.57m² | 27.70年 |
| 在庫 | 58.04m² | 29.24年 |
在庫のほうが4.53平方メートル狭く、1.54年古い。それでいて単価が1.41倍という並びです。面積と築年数の違いを差し引いてもなお開きが残る、という読み方までにしておくのが正確です。
売れる本数が減り、売り物だけが積み上がっている
件数のほうも並べます。
| 2026年7月 | 前年同月比 | |
|---|---|---|
| 成約件数 | 3,638件 | -8.6%(4か月連続減) |
| 新規登録件数 | 16,474件 | +5.7%(2か月連続増) |
| 在庫件数 | 47,151件 | +5.5%(5か月連続増) |
7月に新しく売りに出されたのが16,474件、売れたのが3,638件。出た数のうち売れたのは4.5件に1件です。差が在庫に積み上がって、47,151件になっています。増加率は拡大傾向にある、とレポートは書いています。
売る側から見ると、これは「同じ棟の別の部屋と並べられる」ということです。買う側にとっては選べる数が増えます。私はこの数字を、売り手が価格を決めるときの前提が変わった局面だと見ています。2年前なら出せば決まった値段が、いま出しても在庫の列に加わるだけになりつつある、という読み方です。
相場が下がる前に、急いで売ったほうがいいということですか。
そこは事情によります。ただ「高い値段で出しておけば、そのうち誰か買う」という前提だけは、この数字では成り立ちにくくなっています。
戸建ては逆を向いている
同じレポートの中古戸建住宅は、マンションと向きが違います。
- 成約件数 1,738件(前年比 -1.9%・4か月ぶりの減少)
- 成約価格 3,933万円(+0.6%・7か月連続の上昇)
- 在庫件数 23,197件(-1.2%・6か月連続の減少)
- 土地面積 143.96平方メートル(-4.7%)/建物面積 102.74平方メートル(-1.6%)
マンションが「在庫5か月連続増・成約価格3か月連続下落」なのに対し、戸建ては「在庫6か月連続減・成約価格7か月連続上昇」です。同じ首都圏の同じ月で、まったく逆になっています。
ただし戸建ては土地が4.7%、建物が1.6%それぞれ小さくなっています。値段が上がっているのに広さは縮んでいるので、1棟あたりの単価の上がり方は価格の伸び以上ということになります。住み替えでマンションを売って戸建てを買う人は、売るほうが不利で買うほうも不利、という組み合わせに当たっている月です。
このエリアの相場はいくらですか?
住所を入れるだけ。全国175,666件の実際の成約(国土交通省)から、土地・戸建て・マンションの坪単価の目安が5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
成約単価は1990年10月を超えている
もうひとつ、レポートが明記している数字があります。7月の成約m²単価84.17万円は、前年比では下がっているものの、1990年10月の83.50万円を上回りました。前月比では1.9%の上昇です。
3か月連続で前年割れしていることと、水準としては約36年ぶりの高さにあることは、どちらも同時に本当です。下がっているといっても、下がり始めた場所がとても高いところだった、という話になります。売却を考えている人にとっては、この2つを分けて聞くのが実務的だと思います。「相場は下がっていますか」ではなく「このマンションの直近の成約はいくらでしたか」と聞くほうが、答えが具体的になります。
生活・仕事にどう効くか
- 売る側:売り出し中の平均が6,866万円、成約の平均が5,267万円で、差は1,599万円。強気の価格で出しても、売れる値段はそこに追いついていない。成約件数は4か月連続で前年を下回っている。
- 買う側:在庫件数は47,151件で5か月連続の増加。選べる物件は増えている。ただし在庫の平均専有面積は58.04平方メートルと、成約の62.57平方メートルより狭い。
- 戸建て:中古戸建住宅は在庫が23,197件で6か月連続の減少、成約価格は3,933万円で7か月連続の上昇。マンションとは在庫の向きが逆になっている。
結局どうすればよいか
- 売却を考えているなら、査定額ではなく「同じマンションで直近に成約した値段」を聞く。売り出し価格と成約価格は別ものだと分けて聞く
- 売り出してから3か月動かないなら、価格の見直しか、売り出す時期の見直しかを担当者と決める
- 買う側は、売り出し価格からいくら下がったかではなく、近隣の成約価格と比べる
- 戸建てとマンションで市況の向きが違うので、住み替えのときはどちらを先に動かすかを決めてから動く
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公式出典
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年7月度」(2026年8月10日発表)
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)(2026年8月10日発表)
更新履歴
- 2026年8月28日 初版を公開
※本記事は2026年8月28日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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