札幌市の液状化危険度図は4段階で、その色だけでは盛土かどうかが分かりません。2018年の北海道胆振東部地震で、清田区里塚は2メートルを超える地盤沈下が起き、街区の半数以上の家屋が全半壊しました。
市の復旧記録は、里塚で液状化が起きたのは、谷を埋めた盛土の中の層だったと推定しています。
公式資料の確認日:2026年10月13日。札幌市の地震防災マップの案内ページと10区の区版ページ、第4次地震被害想定、里塚地区の復旧の記録を確認しました。本文の地図は国土地理院が配信する大規模盛土造成地マップで、液状化の危険度の図ではありません。
市のマップは区ごと4段階
札幌市の地震防災マップは、第4次地震被害想定(令和3年8月)で想定した揺れの強さ、液状化の危険度、家屋全壊率を、区ごとに図にしたものです。液状化は、発生の可能性が「極めて低い」「低い」「ある」「高い」の4段階で表します。
市の各区版のページ(修正履歴・令和8年5月29日)は、避難場所の情報を令和8年3月版に更新した一方で、ハザード情報は令和4年3月版から変更がないとしています。
想定する地震は、野幌丘陵断層帯、月寒背斜に関連する断層(月寒断層)、西札幌背斜に関連する断層(西札幌断層)、石狩低地東縁断層帯、苫小牧沖の5つです。100m四方(山間部は250m四方)のメッシュで、ボーリングデータ等をもとに地盤モデルを作っています。
市は、揺れの強さの図について、5つの地震の最大震度を重ねたものと説明しています。液状化の図がどの地震を使っているかは、確認した案内ページや区版のページには書かれていません。
液状化危険度図は、札幌市地図情報サービスでも確認できます。市のリンク規約は、トップページ以外のURLを貼るときは担当課に問い合わせるよう求めています。そのためこのページでは、市のトップページだけを案内します。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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北区・東区に広がる高い想定
第4次想定は、伏在活断層の3つの地震(野幌丘陵断層帯・月寒断層・西札幌断層)で、液状化危険度の高いエリアが北区・東区を中心に広がるとしています。特に月寒断層の地震では、市街地の約3分の1で、液状化発生の可能性が高くなります。
冬18時に地震が起きた場合の想定で、液状化で半壊する建物(大規模半壊を含む)は、月寒断層の地震で17,799棟、野幌丘陵断層帯の地震で14,417棟、西札幌断層の地震で14,261棟です。全壊は月寒断層で478棟。苫小牧沖と石狩低地東縁断層の地震は、半壊が2,270棟と1,333棟です。

札幌市の耐震化に関する資料は、札幌の地形を南西部山地、南東部台地・丘陵地、中央部扇状地、北部低地に分けています。北部低地は、軟弱地盤で揺れが増幅しやすく、表層付近に緩い砂質地盤があって地下水が浅い場所では、液状化が発生しやすいと説明されています。
版も確認します。市の想定は、第3次(平成20年度)から第4次(令和3年8月)に変わりました。令和3年1月7日の検討委員会で、委員は、液状化の危険性が高いエリアの面積が減ったことを「精度が上がった結果」と述べています。市の説明ではなく、委員の発言です。
北海道の想定(平成30年2月公表)は、中央防災会議などの手法で算定した概数で、具体的な被害の発生箇所を特定するものではないとされています。札幌市内の細かい液状化は、市の第4次を使います。
里塚は盛土が流れた
2018年9月6日午前3時7分の北海道胆振東部地震で、札幌市の東区は観測史上最大の震度6弱を記録しました。里塚地区の震度は5強でした。清田区里塚(里塚一条一丁目・二丁目の一部)では、液状化に伴う大規模な土砂の流動で、2メートルを超える地盤沈下が起き、街区内の半数以上の家屋が全半壊しました。
約140宅地のうち、全壊は約40戸、大規模半壊・半壊を含めると80戸以上です。市の資料は、宅地・道路・公園にわたる沈下とともに、土砂が傾斜地の下方へ流れて堆積した、過去の液状化被害と比べても非常に珍しい様相だったと書いています。
市の復旧記録は、被災のしくみをこう推定しています。緩い火山灰質砂の盛土のうち、地下水位より下の層で液状化が起き、傾斜地のため、液状化した土砂が地中で下流側へ流れた、というものです。盛土の材料は、試験で液状化しやすい土質と分かりました。
里塚の周辺にある大規模盛土造成地を示したのが、この図です。液状化の危険度ではなく、盛土で造った土地の目安です。国は、図に示す箇所がすべて地震時に危険というわけではなく、すべての盛土が抽出されているわけでもないとしています。里塚のような谷を埋めた盛土は緑、傾斜地に盛った盛土は紫で表示されます。

市の大規模盛土造成地のページには、盛土に含まれる土地の取引で特別な手続きは要らず、建築にも特別な規制はないとあります。私は、この仕組みでは、盛土かどうかを買う側が自分で確かめる必要があると見ています。
復旧は、道路・公園の地盤改良と、宅地の薬液注入による地盤改良を一体で行い、発災から3年後の令和3年9月に地区内の全工事が完了しました。
市全体の住家被害は、全壊101棟、半壊818棟、一部損壊36,251棟(2020年1月15日現在)でした。原因別の内訳は資料に書かれておらず、液状化だけの件数ではありません。
液状化が出やすい2つの場所
札幌で液状化が出やすい場所は、市の地形の説明から2つ読み取れます。1つは、北部低地の、緩い砂質地盤で地下水が浅い場所。もう1つは、南東部の丘陵地で、谷を埋めた人工地盤です。里塚は、丘陵の盛土造成地でした。
検討委員会(令和3年1月7日)の議事要旨には、委員が「胆振東部地震で被災した箇所は、ハザードマップで危険性が高いエリアだった」と述べた記録があります。里塚を名指しした発言ではなく、どの版のマップかも書かれていません。
読者
里塚のような盛土は、マップの「高い」の色で分かりますか?
被災した箇所は高いエリアだったと委員は述べていますが、盛土かどうかは液状化の図の色だけでは分かりません。市の大規模盛土造成地マップを別に開いて確かめます。
今回確認した市の資料の範囲では、2018年以外で町名と件数がそろう液状化の記録は見つけられませんでした。
住まいを選ぶ前の確認
市は、予備調査の結果、追加調査が必要と判断した盛土を、令和5年度から順に詳しく調べています。大規模盛土造成地マップは、必ずしも地震時に危険な範囲を表すものではなく、安定性が確認された盛土にも地震のリスクがないわけではないと、市は書いています。
閲覧・複製できるのは、市が調査で実施した地盤調査のデータです。申請書は窓口で出します。調べるときは、札幌市のサイトで「大規模盛土造成地について」のページを探し、重ねるハザードマップでも「大規模盛土造成地」を重ねて確かめます。
個人の宅地向けの液状化対策の補助は、札幌市の公式サイトで探した範囲では見つけられませんでした。里塚の復旧は、市が国の補助事業(公共土木施設災害復旧事業と宅地耐震化推進事業)を使って進めた、と復旧の記録に書かれています。
災害リスク診断は、住所から洪水・津波の浸水想定や、地盤の揺れやすさ(約250mメッシュ)などを調べる入口です。液状化の判定や、地盤改良の効果は返しません。市のマップと宅地の地盤調査を置き換えずに使います。
私は、札幌の液状化は「低地の液状化」と「盛土の液状化」を分けて、自分の土地を確かめるのが現実的だと考えています。前者は市の液状化危険度図、後者は大規模盛土造成地マップと造成の記録。どちらか片方だけでは、里塚のような場所を見落とします。
札幌市の液状化は、市のマップの版、5つの想定地震、2018年の里塚という3つを、別々の条件として読みます。図の色だけで住所の安全を決めず、土地の成り立ちと造成の記録まで進んでください。
出典・原資料
- 札幌市「地震防災マップ」と10区の区版のページ(修正履歴・令和8年5月29日)
- 札幌市「第4次地震被害想定」(令和3年8月)/地震被害想定検討委員会(令和2年度第2回)議事要旨
- 札幌市「平成30年北海道胆振東部地震 清田区里塚地区市街地復旧のあゆみ」
- 札幌市の耐震化に関する資料(地形・地質の概要、胆振東部地震の被害)
- 札幌市「大規模盛土造成地について」(2026年6月5日更新)/「リンク・著作権・免責事項」
- 北海道「全道の地震被害想定調査結果」(平成30年2月公表)
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」大規模盛土造成地マップ
札幌市のサイトはトップページ以外へのリンクに担当課への問い合わせが必要なため、資料名だけで示しています。
アイキャッチの航空写真:国土地理院・地理院タイル「全国最新写真」を加工。地震被害を撮影した写真ではありません。本文の図の作成:おかあさんのおうち。
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