🗨️「亡くなった声優の声をAIで使うのは、もう全部ダメになったの?」
全面禁止ではなく「原則禁止」です。日本俳優連合(日俳連)が10月15日に出したガイドラインは、故人の声をAIで再現することを原則として認めず、例外を「生前に出ていたシリーズで、亡くなった時点で制作が始まっていた続編」と「本人が生前に出演を合意していた企画」に絞りました。その場合も、遺族と生前の事務所の書面の同意、生前と同等以上の利用料が条件です。新しい作品や広告に使うことは一切認めていません。
[IT・ネット] この記事の要点
2026年10月17日 発表
- 声優・俳優と、その所属事務所
- アニメ・ゲーム・吹き替えを作る会社と、AI音声サービスを作る会社
| 項目 | ガイドラインの決まり |
|---|---|
| 出した団体 | 日本俳優連合(会員約2,600人) |
| 公表日 | 2026年10月15日(Ver1.0・PDF22ページ) |
| 故人の声 | 原則禁止。例外は生前に決まっていた続編などだけ(第6条) |
| 新作・広告での故人の声 | 一切認めない |
| 存命の人の同意 | 学習・生成・利用の段階ごとに書面で事前に(第8条) |
| 同意の期間 | 原則最長1年。長期のゲーム・アニメは延長あり(第12条) |
| アニメ・吹き替え | 原則としてAIで声優を置き換えない(第14条) |
| 法的な強制力 | なし(業界の自主的な指針) |
出典:日本俳優連合のガイドライン本文。
故人の声 例外の3条件
Xで「原則禁止」がトレンド入りしたのは、亡くなった声優の声をAIでよみがえらせる話に一線が引かれたからです。ただ、本文の第6条を読むと、全面禁止ではありません。
例外になりうるのは2つの場合だけです。故人が生前に出ていたシリーズで、亡くなった時点で続編の制作がすでに具体的に始まっていたとき。もう一つは、本人が生前に出演を合意していた企画です。
そのうえで、次の条件をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 使う範囲 | 人間の声優が代われない最小限(未完成部分の補完など) |
| 同意 | 遺族(法定相続人)と生前の所属事務所の、書面による事前の同意 |
| お金 | 生前と同等以上の利用料を遺族へ払う |
遺族も事務所もいない、または連絡がつかない場合は、続編であっても使えません。生前に関わっていない新しい作品・広告・イベントでの利用は、存命の声優の仕事を奪うおそれが強いとして「一切認められません」と書かれています。
好きなキャラの声が、別の人に変わるのは寂しいけど…。
指針の第5条は「人間の実演家の起用を最優先」と書いています。AIで同じ声を作り続けるより、次の声優に引き継ぐのが基本という考え方です。
存命の声優は1年ごとに同意
生きている声優・俳優についても、ルールは細かく決められました。AIに声を覚えさせる、声を作る、作品で使う、の段階ごとに、本人から書面で事前に同意を取ります。
最初の契約で将来の作品までまとめて許可を取る、いわゆるバイアウト契約は「いかなる場合も」禁止で、契約書に書いてあっても無効として扱います。口頭の同意、暗黙の了解、あとからの承諾も無効です。新シリーズや新シーズンで使うときは、その時点で改めて書面をもらいます。
同意の有効期間は原則として最長1年です。制作が長引くゲームやアニメは、理由があれば1年を超えてもよいとしていますが、期限のない同意は認めません。
アニメと吹き替えは人の声で
第14条は、アニメや海外映画・ドラマの吹き替えのように演技が求められる日本語版の作品について、原則としてAIで声優を置き換えないよう求めています。使う場合は、声優本人、声の権利者、作品の権利者、音声の製作者のすべての許諾が必要です。
日俳連は10月15日、東京・新宿の芸能花伝舎で会見を開き、同じ日にプレスリリースも配信しました。
【日本俳優連合】生成AI時代における声の権利を守り、健全な業界発展を導く「音声に関する生成AI利用ガイドライン… https://t.co/ZcR0CwPYG6
— PR TIMESエンタメ (@PRTIMES_ETM) 2026年10月15日
ガイドラインの前書きでは、著作権法91条の「録音・録画権」は実演そのものの複製が前提で、声の特徴を学んで新しい声を作る技術には十分に対応できていない、と書いています。法律の穴を業界の約束で先に埋めた形です。
声とAIをめぐっては、9月30日に東京地裁が、声優の津田健次郎さんの声を生成AIでまねた動画の裁判で、声も「パブリシティー権」で守られると初めて判断しています。くわしくは津田健次郎 AI声 判決/声にパブリシティー権にまとめています。
生活・仕事にどう効くか
- 亡くなった人の声:新作・広告・イベントへの利用は一切認めない。続編でも、人間が代われない最小限の範囲(未完成部分の補完など)に限ります。
- 存命の人の声:まとめて許可を取る契約(バイアウト)は無効扱い。口頭の同意や後からの承諾も無効で、同意は原則1年ごとに書面で取り直します。
結局どうすればよいか
- AIで声を作るサービスを使うときは、その声の本人と事務所の許諾があるかを提供元の説明で確かめる
- 声優の声に似せた音声を作って公開しない。今回の指針は事業者向けでも、声の無断利用そのものが問題にされている
- 全文はガイドラインのPDF(22ページ)で読める。条文で確かめたいときは第6条(故人)と第12条(期間)から
公式出典
- 日本俳優連合「音声に関する生成AI利用ガイドライン」発表(2026年10月15日発表)
- 日本俳優連合「音声に関する生成AI利用ガイドライン Ver1.0」(PDF)(2026年10月15日発表)
- AI Watch「声優の無断学習・AI問題に歯止め。日俳連『音声生成AIガイドライン』を発表」(2026年10月15日発表)
更新履歴
- 2026年10月17日 初版を公開
※本記事は2026年10月17日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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