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「年金7万円で月2万円貯金」はなぜ可能? 市営住宅”家賃1万6500円”に見る老後の住居費

🗨️「年金が月7万円しかないのに、どうして毎月2万円も貯金できるの?」

いちばんの理由は、市営住宅の家賃が1万6500円に抑えられていることです。同じ年金額でも、家賃が違えば家計はまったく変わります。ただし、この家賃は市営住宅に住めば誰でも同じというわけではありません。

[不動産] この記事の要点

発表日・更新日

2026年1月27日 発表 (2026年9月3日 更新)

影響を受ける人
  • 年金だけで暮らす一人暮らしの高齢者
  • 老後の住居費をどう抑えるか考えている人
  • 親の住み替え(公営住宅・賃貸)を検討している人
項目内容
年齢・世帯66歳・一人暮らし(群馬県)
収入年金のみ 月約70,000円(住民税非課税世帯)
住まい市営住宅(家賃16,500円)
現預金約500,000円
生活費合計月5万〜6万円
貯金平均して月2万円程度(積立預金・NISA(少額投資非課税制度)を利用)

食費は約2万円、光熱費は3,000〜4,000円、通信費は7,400円、日用品は約1,000円、保険料は1,900〜2,000円、交際費(お中元・お歳暮など)は3,000〜4,000円、被服費は必要なときに3,000円以内。これを単純に合計すると、月によっては5万5,000円を超えることもある。だから「毎月かならず2万円余る」わけではなく、本人が回答したのは「平均して月2万円程度」という数字だ。

年金7万円で暮らす66歳女性の生活費内訳
読者

外食をせず値引き品を選んで、よほど切り詰めているんですよね?

おかあさん

切り詰めているのは事実です。でも支出の内訳を見ると、食費より家賃のほうが変動の余地が小さい固定費だとわかります。節約でどうにかなるのは食費や交際費で、家賃はそもそもの契約額で決まってしまうからです。

目次

最大のポイントは「家賃1万6500円」

一般的な家計では、住居費は最も大きな固定費のひとつになる。総務省統計局の家計調査でも、高齢単身世帯の消費支出のうち住居費は一定の割合を占め続ける項目だ。ところがこのケースでは、住居費が16,500円まで抑えられている。

同じ年金月70,000円でも、家賃が違えば手元に残るお金はまったく変わる。

家賃が違うと年金7万円から残る額はこれだけ違う
  • 家賃16,500円(今回のケース)→ 残り53,500円
  • 家賃40,000円(民間の賃貸で多い水準)→ 残り30,000円
  • 家賃60,000円(民間の賃貸で高めの水準)→ 残り10,000円

私は、このケースの本質は節約テクニックそのものではなく、「住居費をどれだけ低く固定できたか」にあると見ています。同じだけ切り詰めて生活していても、家賃が4万円だったら毎月の貯金額は大きく目減りしていたはずです。

2026年度の基礎年金満額も約7万円

「年金7万円」という金額は、この女性だけの特殊な数字ではない。厚生労働省が2026年1月23日に公表した令和8年度の年金額改定によると、昭和31年4月2日以後生まれの人の老齢基礎年金(満額)は月70,608円だ。66歳のこの女性は、まさにこの区分にあたる。

i 老齢基礎年金の満額は生年月日で区分が分かれ、令和8年度は昭和31年4月1日以前生まれの人は月70,408円になる(厚生労働省発表・2026年1月23日時点)。

つまり「年金7万円」は、国民年金だけで暮らす人にとって珍しい金額ではなく、制度上ごく標準的な水準ということになる。厚生年金の上乗せが無い、または少ない人にとっては、今回のケースは他人事ではない。

高齢単身世帯の平均生活費は約14万8000円

では、高齢の単身世帯は一般にどれくらいの生活費で暮らしているのか。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均」によると、65歳以上の単身無職世帯の月平均は次のとおりだ。

項目65歳以上単身無職世帯の平均今回のケース
実収入131,456円約70,000円
可処分所得118,465円約70,000円
消費支出148,445円5万〜6万円

平均の消費支出148,445円に対して、今回のケースは5万〜6万円。ただし、この統計には持ち家世帯や年金以外の収入がある世帯など、条件の異なる世帯が幅広く含まれている。「平均より9万円も節約できている」というような単純な優劣で語れる比較ではない点には注意したい。あくまで、住居費を含む固定費の水準が家計全体を大きく左右しうる、という目安として見てほしい。

市営住宅なら誰でも家賃1万円台になる?

ここまで読むと、「市営住宅に入れば家賃は1万円台になる」と思うかもしれない。答えは「ならない」。

国土交通省住宅局の資料によると、公営住宅の家賃は全国一律ではなく「応能応益方式」という考え方で決まる。入居者の収入(応能)と、住宅から受ける便益(応益=立地・広さ・築年数・利便性など)の両方を反映して算定される仕組みだ。具体的には、自治体ごとに設定される地域係数(0.7〜1.6の幅)、住戸の床面積を基準にした規模係数、建築からの経過年数による経年係数などを掛け合わせて家賃が決まる。

読者

じゃあ、うちの近くの市営住宅も同じ家賃になるということですか?

おかあさん

そうとは限りません。同じ収入区分でも、都市部で新しく広い住戸なら家賃は高くなります。今回の16,500円は、その女性が入居している住宅の立地・広さ・築年数のもとで決まった金額です。

さらに、公営住宅は自治体ごとに募集の時期・所得基準・単身入居の可否・抽選方法・優先入居制度が異なる。空き住戸が出ない限り新規の入居自体が難しい自治体もある。「市営住宅=一律に格安な家賃」という理解のまま資金計画を立てるのは危険だ。

老後の家計で「住居費」が重要になる理由

年金の受給額は、加入期間や納付状況によってある程度決まってしまい、老後に大きく増やすことは難しい。一方で住居費は、住み替えや制度の利用によって変えられる余地がある数少ない固定費だ。

今回のケースが示しているのは、「年金額そのもの」以上に「住居費をいくらに固定できるか」が、老後の家計の余力を左右するという事実だ。年金70,000円から家賃16,500円を引けば53,500円が残るが、家賃60,000円なら10,000円しか残らない。同じ年金額でも、住居費次第で生活のゆとりはまったくの別物になる。

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公営住宅という選択肢を知っておく

公営住宅には、市が運営する市営住宅のほか、都道府県が運営する県営住宅(都営・道営・府営含む)、町村が運営する町営・村営住宅がある。低所得の住宅困窮者に対し、国と地方公共団体が協力して低廉な家賃で住宅を提供する制度で、いずれも申し込み時点の収入基準や世帯の条件を満たす必要がある。

  • 市営住宅・県営住宅・町営住宅は、運営主体が違うだけで制度の骨格はほぼ同じ
  • 募集時期・所得基準・単身入居の可否は自治体ごとに違う
  • 家賃は収入と住宅の条件(応能応益方式)で決まり、一律ではない

実際に検討する場合は、「〇〇市 市営住宅」「〇〇県 県営住宅」のように、住んでいる(または住みたい)自治体名と合わせて検索し、自治体の公式サイトで最新の募集状況・所得基準・家賃試算を確認するのが確実だ。

! この記事の家賃・年金額はすべて2026年1月時点・2026年度の制度にもとづく。自治体・年度によって条件は変わるため、最新情報は必ず自治体公式サイトで確認してほしい。

生活・仕事にどう効くか

  • 家賃が4万円だった場合:年金7万円から家賃を払うと残りは3万円。今回のケースの53,500円より2万3,500円少ない。
  • 家賃が6万円だった場合:残りは1万円。食費・光熱費・通信費を合わせるだけで赤字になりかねない水準。
  • 親の住み替え相談を受けたとき:公営住宅の家賃は収入だけでなく住宅の立地・広さ・築年数で決まるため、「家賃は1万円台になるはず」と資産計画を立てるのは危険。

結局どうすればよいか

  • 自分や親が将来受け取る年金額を、ねんきん定期便やねんきんネットで確認する
  • 住んでいる自治体の公営住宅(市営・県営・町営)の家賃の目安を、自治体公式サイトの募集案内や試算表で確認する
  • 老後の住居費を試算するときは家賃を一律に見積もらず、収入・住宅の条件ごとに幅を持たせて計算する

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公式出典

更新履歴

  • 2026年1月27日 All Aboutが初出(アンケート回答は2026-01-16)
  • 2026年9月3日 Yahoo!ファイナンス等で再配信され、当サイトで解説記事を公開

※本記事は2026年9月3日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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