山形県長井市で、国の「冠水想定箇所」に載っているのは1か所だけです。フラワー長井線の線路の下をくぐる、市道 野川谷地線の「萩前アンダー」(長井市宮)です。
市が2026年6月の防災マップに新たに載せた内水ハザードマップは、1時間150ミリの雨を想定し、「令和4年8月豪雨の約2.1倍」と書いています。その2022年8月の大雨について、市長は翌年3月の議会で「市内のあらゆる道路が冠水し、交通障害の発生や冠水した道路上での車両の水没なども発生しました」と答えています。
この記事でわかること
- ✓ 2022年8月3日、アメダス長井(長井市平山付近)の雨は1時間72.5ミリ・1日234.0ミリで、どちらも1976年からの1位でした
- ✓ この大雨で、長井市の家の浸水は床上15棟・床下74棟でした(県の最後の報告)
- ✓ 最上川の水位が上がって樋門(ひもん)が閉じられ、市は最上川との合流点2か所で、排水ポンプ車を使って内水をくみ出しました(市の答弁)
雨の日に、長井市で「いま通れない道」と川の水位を見るページ
「長井市 冠水情報」と調べている人は、まず次の公式ページを開いてください。県と国のページに出るのは県道・国道の規制で、萩前アンダーのような市道は載りません。
- 山形県「山形県の通行規制情報」(県が管理する国道・県道の規制)
- 国土交通省 山形河川国道事務所「リアルタイム道路情報」(国が管理する国道とライブカメラ)
- 山形県「河川・砂防情報」(置賜野川などの水位と雨量)
- 国土交通省「川の防災情報」(最上川の水位とカメラ)
- 気象庁 キキクル(浸水害・洪水の危険度)
避難の呼びかけは、防災ラジオ、市内61か所の屋外拡声装置、市の公式LINEで届きます。防災ラジオの内容は電話(0238-83-6021)でも確かめられます(市の防災マップ)。市長は2023年3月の議会で、道路冠水の情報を「ホームページ等で小まめに情報発信」すると答えました。ただ、市のサイトの防災と道路のページに、冠水した場所の一覧は見当たりませんでした。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は1か所、フラワー長井線の下の「萩前アンダー」
国土交通省 東北地方整備局の「冠水想定箇所」は、山形県で78か所あります。
説明表の写真には、錆びた鉄の橋げたの下をくぐる細い道が写っています。道路地図のOpenStreetMap(オープンストリートマップ)で見ると、フラワー長井線が置賜野川(おきたまのがわ)を渡る橋のすぐ北です。市の防災マップも、同じ場所に「アンダーパス」の印を付けています。
山形県は、冠水が想定される箇所に路面から0.5メートルと1.0メートルの水深の線を表示している、と説明しています(萩前アンダーに線があるかは確かめられていません)。水がたまっていたら、無理に通らず回り道をしてください。

地図の記号と同じ順です
A 萩前アンダー(国の一覧)
市道 野川谷地線(説明表の「アンダーパス等名称」の欄は「ながい 1」「萩前アンダー」) 管理番号 山形県-02-468
住所:長井市宮(番地の記載なし)
管理: 長井市役所 / 警察: 長井警察署
※ 説明表の備考欄は空欄です
1 あかしあ橋の南側付近(県道)
2022年9月の議会で、市が「豪雨による冠水が発生する箇所」の例として挙げた場所(県道勧進代舟場線)
ピンは橋の位置です。「南側付近」の正確な範囲は答弁にありません
管理: 山形県(県の管理道路)
5 北の沢川(川原沢)
2022年8月の大雨で溢水。長井市の4本のうち、県の報告で「家屋浸水あり」の印が付くのはこの川だけ
ピンは北の沢川が川原沢に入るあたりの川の上(OpenStreetMap)
Googleマップは、AはOpenStreetMapの鉄道の橋、1は国土地理院の地名の点、3〜5は川の線の上、2は大字の代表点で開きます。県の報告は川の名前と大字までで番地が無いため、2〜5のピンは川があふれた地点そのものではありません(場所の目安です)。Aは点が鉄道の橋の上なので、標高は載せていません。
市の内水ハザードマップは、1時間150ミリの雨を想定
2026年6月の長井市防災マップは、27〜28ページが内水ハザードマップです。内水氾濫とは、降った雨や周りから流れてきた水が、下水管(雨水管)や側溝などで流しきれず、市街地を浸水させることです。
当サイトで計算すると、アメダス長井で2022年8月3日に観測した最大1時間の72.5ミリの2.1倍は約152ミリで、想定の150ミリに近い値です(地図は、何の値の約2.1倍かを書いていません)。

対象の区域は「公共下水道(雨水)全体計画区域」で、置賜野川をはさんだ北の五十川・成田と、南の中心市街地です。浸水の深さは0.3メートル未満から2.0メートル未満までの4段階。市は2026年9月1日に更新したページで、この浸水深の凡例を訂正し、PDFを差し替えています。配られた冊子を使う人は、訂正のお知らせも確かめてください。
市の防災危機管理課長は2025年9月の議会で、この区域図は「令和4年8月豪雨時の浸水区域を基準」に作ったと答えています。地図には水防法の文言がなく、国土地理院の「重ねるハザードマップ」の内水の一覧にも長井市は入っていません(2026年9月時点)。地図の線は写さず、見方だけを案内します。
読者
1時間150ミリなんて、本当に降るんですか?
地図は「1,000年に1回程度の雨」と書き、「あくまで確率的な表現」で周期的に降る雨ではない、と断っています。
2022年8月3日、長井市で起きたこと
山形県の報告(令和5年3月22日17時現在の最後の版)によると、長井市には18時48分と18時56分に記録的短時間大雨情報、19時15分に大雨特別警報が出ました。市は20時に市内全域の10,014世帯25,479人に避難指示を出し、21時10分に緊急安全確保へ切り替えました。避難所は23か所、避難した人は最大994人です。
市の消防主幹は議会で、16時ごろから今泉の弁天池の水位が上がり、「それ以降、市内各地で小さな河川、側溝があふれ、道路冠水、床下浸水、床上浸水が発生」したと答えています。
県の報告では、田沢川(五十川)、三合田川(寺泉)、福田川(時庭)、北の沢川(川原沢)の4本の県の川があふれました。家屋の浸水ありの印が付くのは北の沢川だけです。最上川も長井市伊佐沢(いさざわ)で堤防から水が越えました(8月7日14時の県の報告では「農地浸水有」)。県の報告は、こうした川の溢水・越水を「内水」とは別の行で数えています。どちらも川からあふれた水(外水)で、下水管や側溝で流しきれない内水とは別のものです。
県の報告では、長井市の市道の全面通行止めは9か所でした(理由は報告に書かれていません)。県が管理する道路の通行規制の表には、長井市内で冠水を理由にしたものはありません。
最上川の樋門が閉じると「内水氾濫は必ず発生」(市の答弁)
市の建設課長は2022年9月の議会で、最上川の増水で「木蓮川樋管などを閉じたとの情報」を国の出張所から受け、最上川と準用河川の合流点2か所で排水ポンプ車を動かしたと答えています。8月3日は「ほとんどの水門を閉じたとお聞きした」とも話しています(国の事務所に確かめた内容)。
市の技監は同じ議会で、「全ての水が流入する最上川の水位が上昇し、樋門が閉鎖されれば、内水氾濫は必ず発生いたします」と答えました。
県道については、市の建設参事が「豪雨による冠水が発生する箇所」の例に、あかしあ橋の南側付近を挙げています。
読者
雨が弱まれば、すぐ水は引くんですか?
建設課長の答弁では、翌4日の未明から雨が小康状態になり、最上川の水位が下がって樋門が開けられ、昼過ぎにポンプ車を引き揚げています。
市が災害対策本部を置いた大雨と、家の浸水の数
長井市の地域防災計画の「災害記録」には、市が災害対策本部を置いた大雨の被害が表で載っています。2004年からの6回で、床上と床下を合わせた家の浸水がいちばん多いのは、2022年8月の89棟でした。

アメダス長井の1日の雨の5位は2024年7月25日の160.5ミリ、7位は2026年7月26日の136.5ミリです。この2回の大雨の県の報告(2024年は令和8年2月12日10時現在、2026年は8月19日13時現在の版)には、長井市の家の浸水はありません。雨量計1か所の雨の順位と、家の浸水の数は一致していません。
雨の値は、長井市平山付近にあるアメダス長井1か所のものです。浸水した場所で降った雨の量ではありません。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
住む前・借りる前に見る地図
長井市防災マップは市のページでPDFを読めます。市のウェブ地図「ながeマップ」にも防災マップがあります。
- 内水ハザードマップ(27〜28ページ)で、家と勤め先に色が付いていないかを見る
- 洪水の地図で、最上川・置賜野川と、2022年にあふれた田沢川・三合田川・福田川・北の沢川の近くかを確かめる
- 雨の日に、家の前の側溝があふれていないか、道がどちらへ下っているかを見る
内水の地図は、色が付いていない場所でも「浸水が発生する場合」があると断っています。Aの萩前アンダーのような線路の下の道も、大雨の日は避けてください。
\内水の地図とは別に、川の洪水と土砂の区域も確かめる/
その住所が洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っているかを出します(内水と道路の冠水は出ません)
山形県のほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 山形市 冠水 どこが危ないの?(市のアンダーパス15か所)
公式出典
- 国土交通省 東北地方整備局「道路防災情報Webマップ」冠水想定箇所 山形県(一覧と説明表 yamagataken-02-468)
- 山形県「道路冠水危険個所にご注意!」
- 長井市「長井市防災マップについて」(令和8年6月発行・内水ハザードマップと訂正のお知らせ)/広報ながい 令和8年6月号
- 長井市地域防災計画(令和7年度修正) 第1編 総則「災害記録」
- 長井市議会 会議録(2022年9月5日・6日・7日、2023年3月7日、2025年9月9日)
- 山形県「8月3日からの大雨」(被害状況 令和5年3月22日17時00分現在)/同「令和6年7月25日からの大雨」(令和8年2月12日10時00分現在)/同「7月31日からの大雨」(7月26日からの大雨による被害状況 令和8年8月19日13時00分現在)
- 気象庁「過去の気象データ」長井 観測史上1〜10位の値
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」内水(雨水出水)浸水想定区域 掲載状況一覧
- 国土地理院 地理院タイル(地図)・地名検索・逆ジオコーダ
- 道路・鉄道・川の位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料を集計したものです(2026年9月23〜24日取得)。避難や通行の判断は、必ず長井市と山形県の最新の発表を確認してください。
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