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うるう秒は2027年5月20日に止まる?「うるう時間」1時間案とIT障害の正体

地球の自転と原子時計、データセンターをつなぐ連続UTCのイメージ

「うるう秒が廃止され、うるう時間に移る」と聞くと、近い将来、世界の時計がまるご1時間飛ぶように感じるかもしれません。しかし、2026年8月24日時点の正確な状況は少し違います。

先に結論
「秒単位の不連続な調整を終わらせる」方向は国際的に決定済みです。一方、2027年5月20日から連続UTCにすることと、地球自転時UT1とUTCの差を最大3,600秒(1時間)まで許容することは、2026年10月の国際度量衡総会(CGPM)で採決される「決議案」です。まだ最終決定ではありません。
決定済み2035年までにUT1−UTCの許容差を広げ、UTCを少なくとも1世紀連続させる。
現在の案2027年5月20日から連続UTC。許容差は最大1時間。
直近の告示IERSは2026年12月末にうるう秒を入れないと発表済み。
目次

何が決まり、何がまだ決まっていないのか

地球の自転による時間がUT1、原子時計を基礎に世界で共通利用する時間がUTCです。自転速度は一定ではないため、両者の差が0.9秒に近づくと、IERSがうるう秒を告示してきました。1972年以降に実施されたのは、すべて「正のうるう秒」で、合計27回です。

時点 内容 公開日現在の位置づけ
2022年 CGPM決議4で、UT1−UTCの最大値を2035年までに引き上げると決定 決定済み
2026年1月 連続UTCを2027年5月20日に開始し、|UT1−UTC|の上限を3,600秒とする案を公表 決議案
2026年10月13〜15日 ヴェルサイユの第28回CGPMで審議 これから
2026年12月末 IERS Bulletin C 72は「うるう秒なし」と告示 告示済み
正のうるう秒、負のうるう秒、連続UTCの時刻の進み方を比較した図解
負のうるう秒は「時間が過去に戻る」操作ではなく、23時59分59秒を表示せずに飛ばす操作です。

なぜ「たった1秒」がITシステムを止めるのか

人間にとっては1秒でも、コンピュータにとっては「あるはずのない時刻ラベル」です。正のうるう秒では 23:59:60 が現れます。一方、負のうるう秒が実施されると、23:59:58 の次が 00:00:00 になります。

NTPの仕様には「最後の1分が61秒」と「59秒」の両方を通知するビットがあります。つまりプロトコル上は負のうるう秒も想定されています。難しいのは、その通知を受け取ったOS、データベース、ジョブ管理、ログ収集、分散ストレージが同じ方法で処理するとは限らないことです。

時刻源の不連続が時間差計算、データベース、障害へ連鎖する流れの図解
経過時間の計測をUTC時刻に依存させると、時刻補正がタイムアウトや期限判定に入り込みます。

具体的な破綻パターン

  • 負の経過時間end - start が負になり、範囲を前提にした関数が異常終了する。
  • ログの重複・欠落:同じタイムスタンプのイベントが並ぶ、または存在しない時刻に予約されたジョブが飛ぶ。
  • 分散ノード間の不一致:一部がステップ、一部がスミアで処理すると、同じ「UTC」を名乗りながら一時的に時刻が異なる。
  • 一意制約・並び順:タイムスタンプだけを一意キーやイベント順序に使う設計が破綻する。

Metaの技術ブログは、2012年のReddit障害で高分解能タイマーの問題からCPUが過活性化した例、2017年のCloudflare DNS障害で「時間は戻らない」という前提から負の引数を関数に渡して停止した例を紹介しています。ただし、「うるう秒なら必ず障害が起きる」のではありません。問題は、日常のテストではほぼ発生しない例外だからこそ、組み合わせの穴が本番時に見つかることです。

Leap Smearは解決策だが、世界共通ではない

Googleは、うるう秒の1秒を24時間に広げ、時計をわずかに遅くまたは速く進める「Leap Smear」を使っています。正のうるう秒なら急に1秒増やす代わりに、24時間の各秒を約11.6マイクロ秒ずつ長くします。

注意
スミアは「不連続を貸し切りする」実用的な方法ですが、Googleとそれ以外で広げる時間や形が異なる場合があります。Google Public NTPも、スミアしないNTPサーバーと混ぜて設定しないよう注意しています。

地球の自転はなぜ速くなったり遅くなったりするのか

地球は剛体の球ではありません。大気、海洋、地下水、氷床、マントル、液体鉄の外核が動き、角運動量をやり取りしています。短期には風や海流、季節的な気圧変化、数十年単位では外核の流れ、長期には月による潮汐摩擦が日の長さを変えます。

大気と海洋、地球の外核、氷床と地下水、月の潮汐摩擦が地球自転を変える図解
地球自転の変化には、短期、数十年、長期の原因が同時に効いています。

NASAが2024年に紹介した研究では、陸上の氷が溶けて海へ移ると質量が極から低緯度側に移り、フィギュアスケート選手が腕を広げた時のように自転が遅くなると説明されています。

ここで少しややこしいのが「負のうるう秒」の予測です。2024年のNature論文は、地球の外核などの傾向から、現在のUTC定義を続ければ2029年に負のうるう秒が必要になると予測しました。極域の氷の融解が自転を遅くする分、必要時期を従来見通しの2026年から3年後ろにした、という結果です。ただしこれは予測であり、負のうるう秒が2029年に告示されたわけではありません。

「うるう時間」は、100年後に時計を1時間飛ばす話なのか

現在の決議案の中心は「大幅調整の日程」ではなく、UT1とUTCの差の許容上限を0.9秒から3,600秒へ広げることです。BIPMの決議案は、これでUTCを数百年にわたって連続させられるとしています。

言い換えると
「数年ごとに1秒だけ時計を例外動作させる」のをやめ、天文時との差を長期間貯めるということです。将来、夏時間やタイムゾーン変更のように1時間調整する可能性は議論されていますが、その方法と日程はまだ決まっていません。

連続UTCでIT運用はどう変わるか

データベース・ログ秒の追加・削除のたびに行っていた特別運用や実装差のリスクが小さくなる。ただし時刻だけで順序を決める設計リスクは残る。
金融・高精度取引うるう秒向けリハーサル、取引時間の特別対応、複数時刻源の突合といった負担を減らせる。法定のタイムスタンプ要件は別途守る必要がある。
NTP・インフラLeap Smearやステップ適用といった「その日だけ」の例外を減らせる。移行日までは現行仕様とIERS告示を継続して監視する。

エンジニア側が今やるべき5項目

  1. 経過時間、タイムアウト、リトライは「単調増加クロック」で計測する。
  2. UTCのwall clockは「発生した時刻の表示」に使い、順序は連番や論理時計で補う。
  3. 社内のNTP・PTP・GNSSとクラウドのスミア方式を文書化し、異なる方式を混在させない。
  4. 移行日が正式決定するまでは、61秒の1分と59秒の1分をテスト項目から外さない。
  5. 2026年10月のCGPM決議と、半年ごとのIERS Bulletin Cを継続確認する。

視覚的に知りたい人へ

ご提供いただいた動画は、負のうるう秒がなぜ技術者にとって未経験の問題なのかを視覚的に確認するのに役立ちます。なお、タイトルの「From 2026」は当時の予測です。現在はNature論文の2029年予測と、2026年CGPMの連続UTC決議案を併せて読むのが正確です。

動画が表示されない場合はYouTubeで開く

まとめ

  • うるう秒を終わらせる方向は、2022年に国際合意済み。
  • 2027年5月20日から連続UTC、UT1との差を最大1時間まで許容することは、2026年10月に審議される案。
  • 負のうるう秒は時間を過去に戻すのではなく、23時59分59秒を飛ばす。未実施なためシステム実装の不確実性が大きい。
  • 「うるう時間」は定期的な1時間ジャンプの決定ではなく、天文時とUTCの差を長期間蓄積する構想。
  • IT運用では、時刻表示用クロックと経過時間用クロックを分けることが基本。

※本記事は2026年8月24日時点の公式発表と論文にもとづきます。2026年10月のCGPMで決議案が変更・否決される可能性があります。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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