🗨️「皇室典範の改正で、何が変わったの?」
10月24日から、内親王と女王は皇族以外の男性と結婚しても、皇族の身分を離れなくなりました。皇族が、かつて皇族だった男性の男系の子孫を養子に迎える道もできています。ただし、皇位を継ぐのは「男系の男子」とする第1条には手が入っていません。
[政治] この記事の要点
2026年10月24日 発表
- これから結婚する内親王・女王と、その夫になる人(夫は皇族にならず、戸籍は夫と、夫と同じ氏の子でつくる)
- 10月24日の時点で内親王・女王である人(結婚と同時に、自分の意思で皇族を離れることも選べる)
- 皇室典範による皇族男子だった人の男系の子孫で、15歳以上、配偶者と子がいない男性(皇族の養子の対象)
変わる前と後の条文
皇室典範で文言が変わったのは、次の7つの条です。e-Gov(イーガブ)法令検索の改正前の条文と10月24日施行の条文を1条ずつ突き合わせ、条文の言葉をなるべくそのまま使い、長い部分だけ縮めています。
| 条 | 変わる前 | 変わった後 |
|---|---|---|
| 第9条 | 天皇と皇族は、養子をすることができない | 第38条第1項による場合を除き、養子をすることができない |
| 第10条 | 立后と皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経る | 立后と皇族の婚姻は、皇室会議の議を経る(皇族以外から嫁いで夫を亡くした親王妃・王妃が、皇族以外の男性と結婚する場合は除く) |
| 第12条 | 皇族女子は、天皇と皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる | 削除 |
| 第13条 | 皇族の身分を離れる親王・王の妃と子孫は、同時に皇族の身分を離れる(子孫は皇室会議で残せる) | 削除 |
| 第14条 | 皇族以外から親王妃・王妃になった人は、離婚したときに皇族の身分を離れる | 離婚したときのほか、夫が皇族の身分を離れたとき、夫を亡くしたあと皇族以外の男性と結婚したときに離れる |
| 第15条 | 皇族以外の人が皇族になるのは、皇后になるときと皇族男子と結婚するときだけ | 第38条の養子になるときが加わる |
| 第38条 | なし | 皇族の養子の決まりを新しく置く(第6章「養子皇族男子」) |

女性皇族の結婚後の身分
「皇族の女性は、結婚すれば皇族でなくなる」という決まりは、10月24日でなくなりました。根拠だった第12条が削除されたためです。内閣官房の説明でも、内親王と女王は、皇族以外の男性との結婚で皇族の身分を離れることがないとされています。
あわせて、結婚には皇室会議の議が要るようになりました。これまでの第10条が皇室会議にかけていた婚姻は「皇族男子の婚姻」だけで、改正で「男子」の2文字が消えました。皇室会議は、皇族2人、衆議院と参議院の議長・副議長、首相、宮内庁長官、最高裁判所長官と裁判官1人の、計10人でつくる会議です(第28条)。
夫は皇族になりません。第15条は、皇族以外の人が皇族になるのを、皇后になるとき、皇族男子と結婚するとき、養子になるときに限っています。
皇室典範のほかに、次の法律も10月24日に変わりました。
| 法律 | 変わったところ |
|---|---|
| 皇室経済法(第6条) | 独立して暮らす内親王の皇族費を、定額の2分の1(年1,525万円)から定額と同じ額(年3,050万円)へ。女王も王と同じ額(定額の10分の7)になる。定額は皇室経済法施行法第8条 |
| 皇族の戸籍の法律(第3条・第9条) | 夫の戸籍は「その者及びこれと氏を同じくする子ごとに編製する」。婚姻の届出は皇室会議の議を経た後 |
| 住民基本台帳法(第39条) | 皇族以外の男性と結婚した内親王・女王に当てはまる。住民票は「氏名」を「名」と読み替えるなどの特例(政令) |
| 国民投票法(第22条ほか) | 結婚した内親王・女王を、憲法改正の国民投票の投票人名簿に載せる人から除く |
ただし、10月24日の時点で内親王・女王である人は、結婚と同時に、自分の意思で皇族の身分を離れることもできます(附則第2条)。この場合は皇室会議の議を経る必要がなく、その結婚も皇室会議にかけません。
皇族の養子の決まり
もう一つの柱が、新しく置かれた第38条です。これまで第9条は、天皇と皇族が養子をとることを認めていませんでした。改正後は、次の条件にすべて当てはまる場合に限って、皇族が養子を迎えられます。
| 項目 | 第38条の定め |
|---|---|
| 養子を迎えられる皇族 | 親王・親王妃・内親王・王・王妃・女王(皇嗣と皇嗣妃は除く) |
| 養子になれる人 | 皇室典範による皇族男子だった人の、嫡男系嫡出の子孫(父方の血筋で、婚姻から生まれた子孫)で、今は皇族でない男性 |
| 年齢など | 15歳以上で、配偶者と子がいない |
| 手続き | 皇室会議の議を経る |
| 養子になった後 | 縁組の時から皇族になる |
養子で皇族になった男性は、条文では「養子皇族男子」と呼びます。摂政になる順番は、内親王・女王の次に置かれました。本人の意思で皇族を離れる道(第11条第1項)は使えません。養子皇族男子とその子孫の皇族としての地位は、養親ではなく実の親の系統(実方の系統)で決まります。
養子になった男性は、天皇になれるの?
なれないの。内閣官房も、養子で皇族になった男性は「皇位継承資格を有しない」と説明しているわ。
皇位継承と今後の見直し
「女性皇族が結婚後も皇族に残れるなら、女性も皇位を継げるようになった」とは言えません。第1条「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と、継ぐ順番を定めた第2条は、今回の改正で1字も変わっていません。皇位にかかわる新しい定めは第38条にあり、養子皇族男子には第2条を当てはめず(第4項)、その子孫に第2条を当てはめるときは実方の系統によります(第6項)。
この先の見直しは、改正法の附則第6条に書かれています。施行の状況を踏まえて検討し、皇族の数の確保の状況などを見て、必要なら30年ごとに見直すという内容です。衆議院と参議院の委員会は附帯決議で、安定的な皇位継承を確保するための方策について「引き続き、検討する」としました。
成立から施行までの日程
法律の名前は「皇室典範等の一部を改正する法律」(令和8年法律第66号)です。附則で施行日を「公布の日から起算して三月を経過した日」と決めていたため、公布から3か月後の10月24日に施行されました。
内閣官房は改正の目的を、皇族の数が減っているなかで、摂政や皇室会議の議員などの役割を担う皇族の数を確保するためと説明しています。
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 6月30日 | 内閣が法案を国会に提出 |
| 7月10日 | 衆議院の本会議で可決 |
| 7月17日 | 参議院の本会議で可決、成立(241票のうち賛成184票・反対57票) |
| 7月24日 | 公布(令和8年法律第66号) |
| 9月16日 | 皇統譜令を改める政令を公布 |
| 10月24日 | 施行 |
附帯決議は、7月10日に衆議院の議院運営委員会、7月16日に参議院の特別委員会でそれぞれ付けられました。
写真の出典
アイキャッチ:宮内庁庁舎(2025年1月撮影 緑さん・パブリックドメイン・ウィキメディア・コモンズ。上下を切り抜き、文字を重ねています)
結局どうすればよいか
- 改正後の全文は、e-Gov法令検索の「皇室典範」で読める(10月24日施行の内容に更新済み)
- 変わる前と後を並べた新旧対照表は、内閣官房の「皇室典範等の改正」のページに載っている
- 結婚した女性皇族の夫の戸籍は、皇室典範ではなく「皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律」に定めがある
公式出典
- e-Gov法令検索「皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律」(2026年10月24日発表)
更新履歴
- 2026年10月24日 初版を公開(10月24日施行の条文にもとづく)
※本記事は2026年10月24日時点でe-Gov法令検索に載っている皇室典範などの条文と、内閣官房・衆議院・参議院が公表している資料にもとづきます。最新の条文はe-Gov法令検索でご確認ください。
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