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家族信託 費用/神戸の実家なら登記の税は約4万円

親が元気なうちに実家を子へ信託すると、名義を移す登記に国の税はかからず、かかるのは信託の登記の税で、土地は評価額の0.3%、建物は0.4%です。神戸で売れた戸建ての中央値で試算すると約4万3,000円で、子に売買で名義を移す場合の約21万6,000円の5分の1ですが、信託が終わるときにもう一度かかります。

先に結論

  • ✓ 親から子へ名義を移す登記は非課税。税がかかるのは信託の登記で、土地0.3%(2029年3月末まで)・建物0.4%
  • ✓ 神戸の戸建ての中央値で約4万3,000円。区別では長田区の約1万3,000円から東灘区の約8万5,000円まで
  • ✓ 信託が終わって子が受け取るときに、条件に当たれば相続と同じ0.4%がもう一度かかる
目次

「お金がかかる」の中身

Yahoo!知恵袋に、母を委託者と受益者、自分を受託者にした家族信託の質問があります。2024年12月の投稿で、閲覧は1,250回です。母が認知症になって施設に入ったら、介護費用のために自宅を売れるのか。質問者は「受託者である私は単独で勝手に母名義の不動産を売却してもいいのでしょうか?」と書いています。

ついた回答は1件でした。「家族信託を保険屋に勧められて契約しようと思っていましたが、すごくお金がかかるし、とても面倒な制度でした。」と書き、任意後見の契約をすすめています。何にいくらかかるのかは、どこにも書かれていません。

家族信託の費用は、大きく分けて3つです。国に払う登録免許税、登記や契約書を頼む司法書士への報酬、契約書を公正証書にするなら公証役場の手数料。このうち法律で金額が決まっているのは登録免許税だけで、報酬は事務所ごとに違います。この記事では、法律で決まっている税を、神戸の実家で数えます。

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読者

実家を信託すると、名義が子に変わるんですよね。売ったときと同じくらい税がかかるんですか?

おかあさん

名義を移す登記そのものは税がかかりません。かかるのは、信託した財産だと示す信託の登記のほうです。

登記の税は土地0.3%・建物0.4%

登録免許税法の第7条は、信託で財産が移る登記のうち「委託者から受託者に信託のために財産を移す場合における財産権の移転の登記又は登録」には税を課さないと定めています。親から子への名義の移転は、この非課税にあたります。

残るのは信託の登記です。同じ法律の別表第一は、所有権の信託の登記を不動産の価額の千分の四、つまり0.4%としています。ただし土地は、租税特別措置法第72条で令和11年3月31日まで千分の三、0.3%に下がっています。実家なら、土地に0.3%、建物に0.4%がかかります。

計算のもとになる不動産の価額は、成約価格ではありません。登録免許税法の附則は、当分のあいだ固定資産課税台帳に登録された価格を基礎にできるとしています。毎年春に届く固定資産税の納税通知書の、課税明細書にある「価格」の欄です。

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総務省によると、宅地の固定資産税の評価は「地価公示価格等の7割を目途に評価」しています。家屋は、同じ家を建て直す費用から、建ってからの年数で減らして評価します。古い木造の家は評価額が低く出ます。
年配の人の手が、書類にペンで署名している
信託の契約は、親が自分で判断して署名できるうちにしか結べません(写真はイメージ/Pexels)

神戸の実家で試算すると

国土交通省の不動産取引価格情報から、2024年10月〜2026年3月に神戸市9区の住宅地で売れた戸建て1,655件を取り出しました。成約価格の中央値は2,500万円、土地の面積の中央値は130㎡です。同じ期間に土地だけで売れた571件の㎡単価の中央値は12.9万円でした。

130㎡に12.9万円を掛けると、土地の時価の目安は1,677万円。その7割の1,174万円を評価額と置くと、土地の信託の登記の税は約3万5,000円です。建物の評価額を200万円と置けば0.4%で8,000円。合わせて約4万3,000円です。

同じ評価額で、子に売買で名義を移すと、土地は1.5%で17万6,000円、建物は2%で4万円、合わせて約21万6,000円かかります。相続で移すなら0.4%で約5万5,000円です。

区ごとに、戸建ての土地面積の中央値と土地の㎡単価の中央値で同じ計算をすると、土地の税は東灘区の約8万5,000円が一番高く、中央区と灘区が約7万9,000円、須磨区が約4万2,000円、西区が約3万4,000円、垂水区が約3万2,000円、北区が約2万7,000円、兵庫区が約2万3,000円、長田区が約1万3,000円でした。

神戸市9区で実家の土地を信託したときの登録免許税の目安を比べた横棒グラフ。東灘区8万5000円、中央区7万9000円、灘区7万9000円、須磨区4万2000円、西区3万4000円、垂水区3万2000円、北区2万7000円、兵庫区2万3000円、長田区1万3000円。神戸全体の戸建て中央値なら土地で約3万5000円、建物の評価額200万円なら8000円、合わせて約4万3000円で、売買で移すと約21万6000円

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区の数字は、成約価格を時価とみなして7割を掛けた目安です。中央区は土地だけの取引が16件しかなく、ぶれが大きく出ます。実際の税は、納税通知書の価格で計算してください。
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読者

4万円台なら、「すごくお金がかかる」ほどではないような…

おかあさん

税だけならそうです。費用の大きな部分は司法書士の報酬のほうで、こちらは事務所ごとに違います。見積もりを取るときは、税と報酬を分けて書いてもらうと比べやすくなります。

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受託者の子は1人で売れるか

冒頭の質問に戻ります。信託法第26条は「受託者は、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する。」と定めています。売ることは処分にあたるので、母が認知症になったあとでも、受託者の子が売主になって売れます。

ただし同じ条には「ただし、信託行為によりその権限に制限を加えることを妨げない。」とあります。契約書に「売ってはいけない」「誰々の同意が要る」と書けば、そのとおりに縛られます。売れるかどうかは、契約書の書き方で決まります。

父と母の両方と信託を結んでいた別の質問者も、父が認知症になったあとに土地を売れるかを尋ねていました。回答は「受託者として子単独で不動産を処分することが可能です。」。質問者は「相続が発生し、私が半分を相続する権利を持たないと売れないのかと心配しておりました。」と返しています。

売ったお金の行き先も決まっています。信託法第34条は、受託者に、信託の財産を自分の財産と分けて管理するよう求めています。この質問者は「もちろん売却できたら、現金は半分が父の信託専用口座に、もう半分は母の信託専用口座に入れます。」と書いていました。子の普段の口座に入れて混ぜてはいけない、ということです。

家族信託で実家にかかる登記の税を3段階で示した図。始めるときは、親から子への名義の移転の登記は税がかからず、信託の登記に土地0.3パーセント・建物0.4パーセントがかかり、神戸の戸建て中央値で約4万3000円。売るときは受託者の子が1人で売れて、代金は子の口座と分けて信託口の口座で管理する。終わるときは条件に当たれば相続と同じ0.4パーセントで約5万5000円。子に売買で移すと約21万6000円、相続だけで移すと約5万5000円

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読者

母が亡くなったら、信託した家はどうなるんですか?

おかあさん

契約で決めた人が受け取ります。そのときの登記にも税がかかります。条件に当たれば相続と同じ0.4%です。

信託が終わるときの税

登録免許税法第7条の2項は、信託が始まったときから委託者だけが元本の受益者で、受け取るのが委託者の相続人であれば、受託者からの移転を相続による移転とみなす、としています。神戸の戸建ての中央値なら約5万5,000円です。条件から外れる作りの契約だと税率が上がることがあるので、終わり方の条項は作る段階で確かめておくところです。

私は、税だけを見れば、家族信託は安い制度ではなく、登記の税を2回払う制度だと見ています。神戸の戸建ての中央値なら、始めるときの約4万3,000円と終わるときの約5万5,000円で約9万8,000円。何もしないで相続するだけなら約5万5,000円で済みます。差の4万円ほどで買っているのは、親の判断する力が落ちたあとも、子が実家を売ったり貸したりできることです。回答者が「すごくお金がかかる」と感じた中身は、税よりも報酬のほうだったはずです。

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読者

じゃあ、何を先に確かめればいいですか?

おかあさん

納税通知書の課税明細書です。土地と建物の価格が分かれば、税はその場で計算できます。

  • 固定資産税の課税明細書で、土地と建物の価格をそれぞれ確かめる
  • 土地の価格×0.3%と建物の価格×0.4%を足して、始めるときの税を出す
  • 契約書に、売るときに誰かの同意が要る条項がないか確かめる
  • 信託口の口座を、使う金融機関で作れるか確かめる
  • 終わるときに誰が受け取るかの条項が、相続扱いの条件に当たるか確かめる

親の判断する力が落ちたあとに、信託をしないまま実家を売る場合の手続きは認知症の親の家は売れる?、生前に名義を移すか相続を待つかの比べ方は実家の名義は生前と相続どっちが得?にまとめています。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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