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小学校のクラス数は、住む街でどれだけ違う? 「図工室がない、運動場は学年交代で使っている」

「都会に引っ越したら、うちの子はマンモス小学校に入ることになる」。そう思って街の候補を絞ると、たぶん逆になります。学級数が31以上の小学校の割合は、東京23区が2.2%。川崎市は25.2%で、4校に1校です。

ただし、学校が大きいかどうかと、教室に何人座るかは別の数字でした。1校あたりの児童数が5.5倍ちがう2つの市を並べても、1クラスの人数は1.5倍しか変わりません。街によって動くのは、人数ではなくクラスの数のほうです。

先に結論

  • 公立小学校18,291校の平均は、1校あたり11.5学級。国が標準としている「12学級以上18学級以下」に、全国平均が届いていない
  • 1校あたりの児童数は千葉県流山市が749.8人、北海道網走市が137.0人で5.5倍。ところが1クラスの人数は30.5人と20.5人で1.5倍しか違わない
  • 学級数31以上の小学校の割合は川崎市25.2%・さいたま市24.0%に対して、東京23区は2.2%。青森県と鳥取県は0校
目次

全国の公立小学校は、平均が「1学年2クラス」に届いていない

文部科学省の学校基本調査(令和7年度・令和7年5月1日現在)で、公立の小学校は18,291校、児童は5,698,430人です。割ると1校あたり311.5人。学級のほうを、特別支援学級を除いた通常学級だけで数えると、1校あたり11.5学級になります。

国は学校の大きさに数字の線を置いています。学校教育法施行規則第41条です。

小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。

12学級は、6学年で割ると1学年2クラスです。全国の平均が、国の決めた標準の下限に届いていません。

文部科学省自身も、令和8年8月5日に改訂した学校規模の手引に、同じことを書いています。

公立小学校のうちその学級数が標準規模(12から18学級)に満たない学校は平成27年には全体の45.1%であった状況から、令和6年には全体の41.6%に改善しているものの、依然として約4割を占めています。

中学校はさらに多く、標準規模に満たない学校が48.2%。公立小中学校の数そのものが、平成27年の29,939校から令和6年の27,539校へ2,400校減っています。

1クラスの人数のほうは、公立小学校の全国平均で26.1人、公立中学校で31.6人でした。小学校の上限は35人、中学校は1年生だけが35人で2・3年生は40人なので、平均はどちらも上限より1割ほど下にいます。

読者平均が11.5学級なら、うちの子の学校も1学年2クラスくらいということですか?
おかあさんそこがいちばん外れます。全国平均は、1学年1クラスの町と1学年4クラスの市を足して割った数です。実際に住む街の数字は、平均から2倍上にも半分以下にも離れます。次の表がそれです。

この記事の学級数は、通常学級(単式・複式)だけを数えています。特別支援学級は入れていません。特別支援学級を足すと全国平均は11.5学級から14.7学級に変わり、別の話になってしまうためです。対象は公立のみ、基準日は令和7年5月1日です。

児童数は5.5倍ちがうのに、1クラスの人数は1.5倍しか違わない

同じ調査を市区町村ごとに割り直すと、こうなります。

市区町村 1校あたりの児童数 1クラスの人数 1校あたりの学級数
千葉県流山市 749.8人 30.5人 23.5学級
神奈川県川崎市 623.9人 29.9人 20.0学級
北海道札幌市 432.5人 28.3人 14.7学級
全国平均(公立) 311.5人 26.1人 11.5学級
北海道網走市 137.0人 20.5人 6.3学級

流山市は1校あたり749.8人で、全国平均の約2.4倍。川崎市は約2.0倍。網走市は137.0人で、全国平均の約44%です。上と下で5.5倍ひらいています。

ところが1クラスの人数の列だけ見てください。流山市30.5人、網走市20.5人。学校の大きさは5.5倍ちがうのに、教室に座っている人数は10人しか違いません。

街ごとに大きく動くのは、1クラスの人数ではなくクラスの数のほうです。流山市の23.5学級は、6学年で割るとおよそ1学年4クラス。網走市の6.3学級は1学年1クラスで、6年間クラス替えがない学校がふつうにあるという意味になります。川崎市は1学年3クラス強、札幌市は2〜3クラス、全国平均は2クラスに届かない、という並びです。

市区町村別の1校あたり学級数の比較。千葉県流山市23.5学級・神奈川県川崎市20.0学級・北海道札幌市14.7学級・全国平均11.5学級・北海道網走市6.3学級を横棒グラフで示す

網走市のように1学年1クラスの学校がどうなっていくかは、1学年1クラスの小学校は将来なくなる?のほうで、神戸市の実データを使って書いています。

この表の3つの列は、基準がひとつだけ揃っていません。「1校あたりの児童数」は特別支援学級の児童を含む全児童、「1クラスの人数」は1学年だけで作っているクラス(単式学級)、「1校あたりの学級数」は通常学級(単式+複式)です。そのため、児童数を1クラスの人数で割っても学級数にはぴったり一致しません。列ごとに読んでください。

学級数31以上の小学校が多いのは、東京ではなかった

「大きい学校が多いのは大都市」という見当は、数字で確かめると外れます。

全国18,291校のうち、学級数が31以上の小学校は820校=4.5%。25以上は2,312校=12.6%です。31学級は、6学年で割ると必ずどこかの学年が6クラスになる規模です。

都道府県別に率を並べると、上位はこうなりました。

都道府県 学級数31以上の割合
沖縄県 15.1%
神奈川県 11.4%
福岡県 10.1%
佐賀県 9.0%
岡山県 8.1%

割合がいちばん高いのは、東京でも大阪でもなく沖縄県でした。逆に、青森県と鳥取県は1校もありません。

政令指定都市と東京23区で並べると、差はもっと開きます。

都市 学級数31以上の割合
川崎市 25.2%
さいたま市 24.0%
岡山市 19.5%
福岡市 17.0%
堺市 10.9%
東京23区 2.2%

東京23区は2.2%で、全国平均4.5%の半分以下です。川崎市とは10倍以上ひらいています。多摩川をはさんだ隣の市で、これだけ違います。

私は、これを「都会かどうか」ではなく「その街に人が増えた時期がいつか」の差だと考えています。23区の小学校は、児童が今よりずっと多かった時代に建てられて、その後の減少を通り抜けてきました。川崎市やさいたま市や流山市は、既にある街に後から世帯が積み上がった側です。学校を建て増す速さより、入ってくる子どもの数のほうが速い、という状態が今も続いている街があります。

この節の「31学級以上が何校」は、ひとつ前の節で使った「1校あたり11.5学級」とは別の統計表から取っています。表ごとに学級の数え方が同じかどうかを確認できていないため、2つの数字を掛けたり割ったりしないでください。それぞれ単独の割合として読むところまでにしています。

自分の市の学区一覧を見てみる

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「図工室がない、運動場は学年交代で使っている」

学校が大きくなりすぎた街で何が起きているのかは、行政の資料ではなく、住民が市に出した文書のほうがはっきり書いています。

さいたま市が令和8年6月5日に受け取った要請書です。文書名は「子どもたちや市民生活を優先する政策を実現するために、新庁舎整備、義務教育学校建設、食肉市場廃止等についての見直しを求める要請書」。市が受領文書として公開しています。

市立の小学校104校のうち大規模校(19~30学級)が47校、過大規模校(31学級以上)が17校もあり、政令市の中でワーストワンです。

図工室がない、運動場は学年交代で使っている、給食室の能力が限界に来ている〔ママ〕など深刻な問題に局面している〔ママ〕のに

図工室がない。運動場は学年交代。給食室の能力が限界。学校の規模の話は、ふつう「先生の目が届きにくい」「行事で一人あたりの出番が減る」という言い方で語られます。この3つは、そこよりもっと手前の、教室と設備そのものの話です。

読者さいたま市の「19〜30学級で大規模校」は、さっきの31学級とずれていませんか?
おかあさんずれています。国と市で線の引き方が違うんです。次の節がその話です。ここで大事なのは、どちらの線でも同じ学校が「大きすぎる」側に入っていることのほうです。

要請書の104校・47校・17校は、要請書の書き手がさいたま市の区分(19〜30学級=大規模校)で数えた令和8年時点の数字です。ひとつ前の節の24.0%は、文部科学省の令和7年5月1日現在の集計です。基準日も学級の数え方も違うので、同じ表に並べて比べられる数字ではありません。引用は原文どおりで、〔ママ〕は原文の表記です。

「大規模校」「小規模校」の線は、国と市で違う

ここだけ行政の言葉を使います。文部科学省の手引(8文科初第1125号・令和8年8月5日改訂)に、線の引き方が書かれています。

従来から25学級以上の学校を大規模校、31学級以上の学校を過大規模校とした上で、過大規模校については速やかにその解消を図るよう設置者に対して促してきており

整理すると、国の物差しは3本です。12〜18学級が標準、25学級以上が大規模校、31学級以上が過大規模校。

ところが、この線は自治体が独自に引き直せます。さいたま市が19学級以上を大規模校と呼んでいるのがその例で、手引にも「独自に大規模校や過大規模校の目安を設定し、必要な対応を検討している事例も見られます」と書かれています。同じ20学級の学校が、さいたま市では大規模校、国の区分では標準を2学級超えただけ、という扱いになります。

私は、保護者がこの3語で調べようとすると迷子になるのは、そのためだと考えています。「大規模校」「小規模校」「過大規模校」は、行政と教員が計画をつくるための言葉で、線の位置が発行元ごとに動きます。引っ越し先を選ぶ側が知りたいのは分類名ではなく、その学校が1学年何クラスなのかという数字1つのはずです。

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引っ越し先のクラス数を、内見の前に調べる

学校名つきのクラス数一覧は、国の統計には存在しません。学校基本調査の集計は市区町村(政令市は行政区)までで、そこから先は各市区町村が自分で出しています。だから手順が3つに分かれます。

1. 住所から指定校を確定させる

学校は町名では決まりません。同じ町名でも番地で学校が分かれる地域があります。物件を見に行く前に住所で引いておくと、あとの2つが空振りしません。

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調べ方そのものは引っ越し先の学区の調べ方3つにまとめてあります。

2. 教育委員会の「学級数・児童数」の表を探す

指定校が決まったら、その市区町村の教育委員会のページで学級数と児童数の表を探します。「◯◯市 学級数 児童数」で出てくることが多く、形式はPDFかExcelが中心です。市によっては学校要覧の中に入っています。

見るのは3つだけです。その学校の学級数はいくつか。国の標準(12〜18学級)のどちら側にいるか。その数字に特別支援学級が入っているかどうか。3つめを間違えると、11学級の学校が14学級に見えます。

3. 学校全体ではなく、入学する学年のクラス数を見る

学校全体の平均ではなく、入学する学年のクラス数を見ます。同じ学校でも学年によって1クラスから3クラスまで違います。上の学年が3クラスでも、入学する学年が1クラスなら、その子は6年間クラス替えなしになる可能性があります。

1学年の人数がクラス数のどこで割れるかは、引っ越しでクラスが減るのは、35人ちょうどの学年だけですに、35人・70人・105人という線の位置と、その線の上に立っている学年がどれくらいあるかを書いています。

街を変えると、家の予算のほうも動く

学校の規模で候補の市を動かすと、同じ予算で買える広さ・借りられる広さが変わります。流山市と網走市のあいだには、学校の大きさが5.5倍という差だけでなく、土地の値段の差もあります。学校のほうだけで決める前に、その街の相場を先に見ておくと、あとで候補を戻さずに済みます。

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「都会に引っ越したら、うちの子はマンモス小学校に入ることになる」。この見当が当たるかどうかは、都会かどうかでは決まりませんでした。決まるのは、その街に人が増えた時期と、学校が何校あるかです。東京23区で2.2%、川崎市で25.2%。同じ首都圏で、10倍ちがいます。

よくある質問

小学校の1クラスは全国平均で何人ですか

公立小学校で26.1人です(令和7年5月1日現在。1学年だけで作っているクラスの平均で、特別支援学級と、2学年合同のクラスは除いています)。公立中学校は31.6人。法律上の上限は小学校が35人、中学校は2026年度時点で1年生が35人、2・3年生が40人です。市区町村別に見ると、千葉県流山市が30.5人、北海道網走市が20.5人でした。

小学校は1学年に何クラスあるのが普通ですか

国が標準としているのは12学級以上18学級以下、つまり1学年2〜3クラスです(学校教育法施行規則第41条)。ただし公立小学校の実際は、令和6年時点で41.6%がこの標準を下回っています。全国平均は1校あたり11.5学級で、1学年2クラスに届いていません。

マンモス小学校が多いのはどの都道府県ですか

学級数31以上の小学校の割合でみると、沖縄県15.1%、神奈川県11.4%、福岡県10.1%、佐賀県9.0%、岡山県8.1%の順です。全国平均は4.5%。青森県と鳥取県は0校でした。政令市では川崎市25.2%、さいたま市24.0%、東京23区は2.2%です。学校名ごとの全国一覧は国の統計に存在しないため、この記事では市区町村までの数字で書いています。

引っ越し先の小学校のクラス数はどこで調べられますか

その市区町村の教育委員会のページです。「学級数・児童数」「学校基本調査結果」といった名前で、PDFかExcelで公開されていることが多く、学校ごとの学級数と児童数が載っています。先に住所から指定校を確定させてから探すと早いです。

この記事の数字の出どころ

  • 全国・市区町村別の学校数・学級数・児童数:文部科学省「学校基本調査」令和7年度確報(e-Stat(イースタット)の市町村別表)をもとに当サイトが集計。対象は公立小学校のみ、基準日は令和7年5月1日。学級数は通常学級(単式・複式)だけを数え、特別支援学級は含めていません。「1クラスあたりの人数」は単式学級(1学年だけで作るクラス)の児童数を単式学級数で割った値で、2学年合同の複式学級と特別支援学級は分母・分子の両方から外しています → https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tstat=000001011528
  • 学級数31以上・25以上の学校数と割合:同じ学校基本調査の都道府県別・政令指定都市別の「学級数別学校数」表。上の市区町村別集計とは別の表で、学級の数え方が同一かどうかは確認できていないため、両者を掛け合わせた計算はしていません
  • 学校規模の標準と大規模校・過大規模校の定義:文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」(8文科初第1125号/令和8年8月5日改訂)。学校教育法施行規則第41条の条文も同手引からの引用です → https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tekisei/1413885_00007.htm
  • 標準規模に満たない学校の割合(小41.6%/中48.2%)、公立小中学校数(29,939校→27,539校):同手引
  • さいたま市の要請書:さいたま市「市に提出された要請書等」(令和8年6月5日受領) → https://www.city.saitama.lg.jp/006/002/016/004/p131780.html  引用は原文どおりで、〔ママ〕は原文の表記です

学校の規模や学区は毎年動きます。実際の学級数・児童数は、必ずその市区町村の教育委員会の最新の公表資料で確認してください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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