🗨️「暴力団がいなくなると、街は本当に変わるの?」
数字は変わっています。警察庁のまとめでは、2025年の銃器発砲事件は全国で1件。しかも暴力団構成員等によるものはゼロでした。事業者襲撃等の事件は2年連続で0件、対立抗争事件は2016年の42件から1件へ。構成員等の人数はピークだった1991年の91,000人から17,600人まで減っています。住まいの側でも、賃貸も分譲も契約書に排除条項が最初から入る形になりました。
[事件・事故] この記事の要点
2026年9月12日 発表
- 賃貸や分譲マンションに住んでいる人
- 部屋を貸している大家・管理組合の役員
- 街の治安を気にして住む場所を選んでいる人
2025年の銃器発砲事件は、全国で1件です
「街が変わった」という話は感覚で語られがちなので、警察庁がまとめている数字のほうを先に置きます。
| 項目 | 2016年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 銃器発砲事件(全国) | 27件 | 1件 |
| うち暴力団構成員等によるもの | — | 0件 |
| 対立抗争事件 | 42件 | 1件(死者0・負傷者0) |
| 事業者襲撃等事件 | 3件 | 0件(2024年も0件) |
| 構成員等が総検挙人員に占める割合 | 6.9% | 2.9% |
2025年の発砲1件は平成以降で最少で、しかもその1件は暴力団構成員等によるものではありませんでした。事業者を襲う事件は2年続けて0件です。
街の側から見ると、「事務所が減った」より、この3つのほうが体感に近いところだと思います。撃つ音がしない、店が狙われない、抗争が起きない。
地図で調べたあと、家に置いておくもの
色がついていても、白でも、家に置くものは変わりません。自治体の備蓄は数日分が前提なので、最初の3日をしのぐ分は各家庭で持っておくものとされています。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
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人数は、ピークの5分の1以下になりました
| 年 | 構成員及び準構成員等 |
|---|---|
| 1991年(ピーク) | 91,000人 |
| 2016年末 | 39,100人 |
| 2019年末 | 28,200人 |
| 2022年末 | 22,400人 |
| 2024年末 | 18,800人 |
| 2025年末 | 17,600人 |
1991年は暴力団対策法が制定された年で、そのときの91,000人がピークです。2025年末は17,600人。構成員だけで見ると18,100人(2016年末)から9,400人へ、9年でほぼ半分になりました。
2025年中に離脱できた人は約230人。離脱者を雇う意志があると登録している協賛企業は1,726社あります。
事務所の数は、公表されていません
ここで正直に書いておきます。全国に暴力団事務所がいくつあるか、これまでに何か所撤去されたか——この数字は、警察庁の資料にも警察白書にも載っていません。探しましたが、集計した公的統計が見当たりませんでした。
分かっているのは仕組みのほうです。2012年の暴対法改正で、都道府県の暴力追放運動推進センターが住民に代わって事務所の使用差止めを求められる制度ができました(第32条の4第1項)。2014年7月までに全都道府県のセンターが適格認定を受けています。
全国初の提訴は2014年2月、広島県のセンターによるもので、翌2015年1月に「今後その場所を暴力団事務所として使用しない」という和解が成立しました。2025年中にも宮崎と東京で申立てがあり、どちらも使用差止めの仮処分が決定しています。
損害賠償請求訴訟(第31条の2)のほうは、2025年末までに累計77件が提起され、係争中18件、和解などで解決したものが59件です。
条例は、福岡から始まって1年で全国に広がりました
暴力団排除条例を最初に施行したのは福岡県で、2010年4月1日です。翌2011年4月までに46都道府県が制定し、東京都は同年10月1日に施行しました。
条例に基づく2025年中の措置は、勧告36件・指導2件・中止命令2件・再発防止命令2件・検挙26件でした。
自分の契約書に、もう入っています
ここからが住まいの話です。借りる側・買う側にとって、この30年でいちばん大きく変わったのは契約書の中身かもしれません。
賃貸。国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、2012年2月10日の改訂で第7条(反社会的勢力の排除)が新設されました。貸主と借主がお互いに、自分が暴力団・暴力団関係企業・総会屋などではないこと、役員もそうでないこと、名義を利用させていないこと、脅迫的な言動や威力による業務妨害をしないことを確約する条文です。
確約に反する事実が判明した場合は、第10条第3項で「何らの催告も要せずして」契約を解除できます。さらに第13条で、解除されたら直ちに明け渡さなければなりません。暴力団員であることを隠して借りていた、というのは第7条の確約違反にあたるので、催告なしで解除できる形になっています。
現行の平成30年3月版では、第7条に第2項が追加されました。「甲の承諾の有無にかかわらず」反社会的勢力に賃借権を譲渡したり転貸したりしてはならない、というものです。貸主が知らずに承諾してしまった場合でも禁止されていることを、はっきりさせるための追加だと解説に書かれています。
分譲。マンション標準管理規約は2016年3月14日の改正で第19条の2(暴力団員の排除)が入りました。専有部分を第三者に貸すときは、契約に「相手が暴力団員でないこと、契約後も暴力団員にならないこと」を確約させる条項と、判明したら催告なしで解約できる条項を必ず入れる。そして、区分所有者が解約権を使わないときは、管理組合が区分所有者に代わって解約権を行使できる——ここまで書いてあります。
役員の欠格条項にも「暴力団員等(暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)」が入っています(第36条の2第三号)。
売買と媒介のほうは、不動産流通4団体が2011年6月以降、売買契約書・媒介契約書・賃貸住宅契約書にモデル条項を順次導入しています。
数字で言えないことも、はっきりさせておきます
事務所が撤去されたあとに、その周辺の地価や取引がどうなったか。これを示す公的なデータは見つかりませんでした。地価公示にも都道府県地価調査にも、そうした分析は入っていません。
撤去の事例そのものは各地にありますが、「撤去後に地価が何%上がった」という形の数字は公的には出ていない、というのが今の状況です。ここは推測で埋めずに、空けておきます。
生活・仕事にどう効くか
- 街で起きる事件:2025年の銃器発砲事件は全国で1件、暴力団によるものは0件。事業者襲撃等は2年連続0件。対立抗争は2016年の42件から1件へ。
- 人数:構成員及び準構成員等は1991年の91,000人から2025年末17,600人へ。直近9年でも21,500人減っている。
- 自分の契約書:賃貸住宅標準契約書は第7条で反社会的勢力でないことを確約させ、違反なら第10条第3項で無催告解除できる。マンション標準管理規約は第19条の2で同じ仕組みを置いている。
結局どうすればよいか
- 賃貸の契約書に第7条にあたる反社会的勢力の排除条項が入っているか見る。2012年2月の標準契約書改訂以降のものには入っている
- 分譲マンションの管理規約は第19条の2にあたる条文を確認する。2016年3月の標準管理規約改正で入った
- 部屋を貸すときは、借主だけでなく「転貸・賃借権の譲渡」も禁止対象。現行の標準契約書は第7条第2項でそこまで書いている
公式出典
- 警察庁組織犯罪対策部「令和7年における組織犯罪の情勢【確定値版】」(2026-04発表)
- 警察庁「令和8年版警察白書」第4章 組織犯罪対策(2026発表)
- 国土交通省「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版)(2018-03発表)
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正)(2025年10月17日発表)
- 福岡県警察「【全国初】暴力団排除条例制定」(2026年9月12日発表)
更新履歴
- 2026年9月12日 初版を公開。人数・事件件数は警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」および令和8年版警察白書、契約条項は国土交通省の標準契約書・標準管理規約による。
※本記事は2026年9月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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