佐賀県鳥栖市(とすし)で、大雨のたびに長く止まってきたのは、久留米市へ向かう県道17号(久留米基山筑紫野線)の真木町(まきまち)交差点を端にする区間です。市の議会答弁を並べると、2018年から2023年までに県道17号は少なくとも8回通行止めになり、区間と時間が分かる7回だけで合わせて約70時間でした(合計は当サイトの計算)。
国の「道路冠水想定箇所」に鳥栖市は6か所あります。当サイトが説明表と道路地図で確かめると、6か所とも鉄道の線路の下をくぐる道でした。
この記事でわかること
- ✓ 県道の通行止めは佐賀県の「県内道路における通行規制情報」、県道17号の真木町付近の様子は市のライブカメラのページで見られます
- ✓ 市の地域防災計画は、1日200ミリの雨なら8路線で深さ20〜30センチの冠水を予想しています
- ✓ 市・県・国の検討会は、駅前・鳥栖地区南部・基里・旭の4地区の内水の被害を扱っています
雨の日に「今どこが通れないか」を見るところ
- 県道:佐賀県の「県内道路における通行規制情報」。冠水や土砂災害で閉めた県道の区間を載せ、位置は「佐賀県道路情報」の地図で見られます
- ライブカメラ:鳥栖市ホームページの「ライブカメラ(河川・道路等の状況)」(記事ID:0063259)。県道17号【真木町ガソリンスタンド付近】など県道3か所と、排水機場の水位のカメラです
- 国道34号・国道3号:国土交通省の「佐賀国道事務所」
- 市道:2019年の大雨では、市は通行止めの情報を「市ホームページ等を通じて適時案内」したと答えています。市の公式X(エックス)は「市ホームページの新着情報など」を知らせています
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は6か所、どれも線路の下をくぐる道
国土交通省 九州地方整備局の「冠水想定箇所」(国の全国のページでは「道路冠水想定箇所」)は、佐賀県に40か所あります(当サイトで数えた)。鳥栖市は佐賀市、唐津市に次ぐ6か所です。一覧に載っていない道が冠水しないわけではありません。
A は国道34号で、説明表の備考に、CCTV(シーシーティーブイ。監視カメラ)・排水ポンプ・流末排水・情報版とあります。佐賀県の40か所の説明表を当サイトで確かめると、備考が埋まっているのはこの1か所だけでした。

地図の記号と同じ順です
A 国道34号(宿町)
国道 国道34号
鳥栖市宿町字原田937番2(説明表の住所)
管理: 国土交通省 佐賀国道事務所 鳥栖維持出張所 / 警察: 鳥栖警察署 / 消防: 鳥栖消防署
※ 説明表の写真は、鉄道の橋の下を通る国道。道路地図(OpenStreetMap〈オープンストリートマップ〉)では、この点でJR長崎本線が国道の上を越えています。説明表の「アンダーパス等名称」の欄は「佐賀県鳥栖市轟木町」(轟木=とどろき)で、住所の欄と食い違っています
B 轟木(とどろき)ガード下
県道 久留米基山筑紫野線(県道17号)
鳥栖市轟木町1214-1(説明表の住所)
管理: 佐賀県 東部土木事務所 / 警察: 鳥栖警察署 / 消防: 鳥栖・三養基地区消防本部
※ 道路地図では、県道がJR鹿児島本線の下をくぐる所。市の地域防災計画の表には、路線名と町名が同じ「鳥栖市轟木町JR鹿児島本線高架下」の行があり、1日200ミリの雨で延長80メートル・深さ20センチ・4時間の冠水を予想しています
C 弥生が丘(やよいがおか)ガード下
県道 九千部山公園線
鳥栖市永吉町817-4(説明表の住所)
管理: 佐賀県 東部土木事務所 / 警察: 鳥栖警察署 / 消防: 鳥栖・三養基地区消防本部
※ 弥生が丘駅のすぐそばで、JR鹿児島本線の下をくぐります(道路地図)。市の計画の表では、九千部山公園線の「鳥栖市弥生が丘(JR鹿児島本線高架下)」が、1日200ミリで延長80メートル・深さ20センチ・4時間の予想です
D 儀徳(ぎとく)ガード下
県道 中原鳥栖線
鳥栖市儀徳町2056-1(説明表の住所)
管理: 佐賀県 東部土木事務所 / 警察: 鳥栖警察署 / 消防: 鳥栖・三養基地区消防本部
※ 道路地図では、JR鹿児島本線と九州新幹線の下をくぐる所で、この県道が線路の下をくぐる所は市内でここだけです。市の計画の表でも、中原鳥栖線は「鳥栖市儀徳町(JR鹿児島本線高架下)」の1行で、1日200ミリで延長50メートル・深さ20センチ・4時間の予想です
E 藤木地下道
市道 今泉・田代大官町線
鳥栖市藤木町937-1地先(説明表の住所)
管理: 鳥栖市 / 警察: 鳥栖警察署 / 消防: 鳥栖・三養基地区消防事務組合消防本部
※ 説明表の位置図では、線路が何本も並ぶ所の下をくぐる道です
F 曽根崎(そねざき)地下道
市道 曽根崎地下道線
鳥栖市本鳥栖町1866地先(説明表の住所)
管理: 鳥栖市 / 警察: 鳥栖警察署 / 消防: 鳥栖・三養基地区消防事務組合消防本部
※ 線路の下をくぐる細い地下道(説明表の写真と位置図)。道路地図では、JR鹿児島本線の下です。市の計画の表では、曽根崎地下道線の「鳥栖市本鳥栖町」が、1日200ミリで延長50メートル・深さ20センチの予想です
ピンと「Googleマップで開く」は、国土交通省の地図データ(KML〈ケーエムエル〉)の点です。線路と道路の位置は道路地図で当サイトが確かめました。
県道17号は、2018年から少なくとも8回止まった
県がこの区間を通行止めにした回数は、2020年9月の答弁では2018〜2020年の5回。2023年9月の答弁では、7月3日に約5時間、7月10日に約15時間でした。2021年8月の大雨でも「県道久留米基山筑紫野線が冠水により通行止め」になったと市は答えています(時間は答弁にありません)。

区間は、2020年と2023年の答弁では赤井手交差点と真木町交差点のあいだです。ただし2019年7月21日は、2020年の答弁ではこの区間に入っていますが、2019年の答弁では「真木町交差点から二本黒木交差点までの区間約2キロメートル」で、答弁によって書き方が違います。
原因について市は2023年9月、「周辺の内水氾濫に起因」と答えました。県と河道掘削などの対策を進めても7月にまた止まったため、8月と9月に県へ「豪雨時においても通行に支障しない冠水対策」を求めました。市長はこの県道を「第一次緊急輸送道路」と呼んでいます。
国の一覧の B(轟木ガード下)も県道17号にあります。答弁の区間にガード下が入るかは、書き方からは確かめられません。
読者
県道17号が止まると、ほかの道はどうなりますか?
市長は2023年9月、県道17号は冠水するたびに長く止まり、「市内各所での渋滞が発生」していると答えています。2021年8月には、市が真木町の生活道路に通行止めの看板を置きました。
アメダス鳥栖の雨の多い10日と、通行止めの日
気象庁のアメダス鳥栖(鳥栖市田代外町)で、1日の雨が多かった上位10日(2010年3月からの記録)を並べると、そのうち6日が、答弁で県道17号が止まった日と重なります(当サイトで照合)。

アメダス鳥栖は真木町交差点から北へ約4キロ(当サイトで計算)の雨量計で、真木町で降った量ではありません。2021年8月の2日は、市が県道17号の通行止めを答えた大雨のさなかですが、日付は答弁にありません。2016年と2014年の2日は、会議録で確かめられなかった日です。
1日200ミリで冠水を予想する道路(市の地域防災計画)
市の地域防災計画は、洪水や冠水で通れなくなると予想する道路に9路線を挙げ、1日の雨の量ごとの冠水を書いています。
| 路線名 | 位置(市の表の書き方) | 1日200ミリのとき |
|---|---|---|
| 久留米基山筑紫野線 | 轟木町JR鹿児島本線高架下 | 延長80m・深さ20cm・4時間 |
| 中原鳥栖線 | 儀徳町(JR鹿児島本線高架下) | 延長50m・深さ20cm・4時間 |
| 九千部山公園線 | 弥生が丘(JR鹿児島本線高架下) | 延長80m・深さ20cm・4時間 |
| 曽根崎地下道線 | 本鳥栖町 | 延長50m・深さ20cm |
| 今泉・安楽寺線 | 今泉町〜真木町 | 延長100m・深さ30cm |
| 村田・西田線 | 村田町 | 延長300m・深さ30cm |
| 石橋川線 | 今泉町〜真木町 | 延長150m・深さ30cm |
| 二本黒木・一本杉線 | 轟木町 | 深さ30cm |
| 轟木・衛生処理場線 | 真木町 | 記載なし |
鳥栖市地域防災計画 資料編(令和7年10月修正版)の「洪水時、冠水等により交通不能が予想される道路」から。空欄の項目は書いていません。
内水の被害が確認されている4地区
市と佐賀県、国の筑後川河川事務所は2024年2月に「鳥栖市浸水対策検討会」をつくり、「内水浸水被害が確認されている鳥栖地区(駅前)、鳥栖地区(南部)、基里地区、旭地区」の状況を共有しています(2026年3月の答弁)。4地区の範囲を示した資料は見つかっていません。答弁で挙がった場所は次のとおりです。
- 鳥栖地区:2023年6月29日〜7月11日の大雨で、市は中心部の東町などで道路冠水を確かめ、「通行止めの規制までには至っておりません」と答えました。2022年6月の答弁では、京町の中央市場周辺の道路(地図の2)も挙がっています(冠水した日は答弁にありません)。真木町では県道17号(1)と轟木川の周り
- 旭地区:県道中原鳥栖線がJRの下をくぐる所(D)、市道村田・西田線(3)、三島町青葉台の県道江口長門石江島線(4)、下野町(5)
- 基里地区:曽根崎町ウグメ田地区の大野川で、護岸を整える対策(6)
市は2022年6月、こうした例のほかにも「市内各所において局所的な道路冠水被害を確認」と答えています。
県道中原鳥栖線のJRの下(道路地図でも市の地域防災計画でも儀徳町の1か所=D)には、県に確かめたところ「量水表や路面表示に加え、冠水センサー、音声通報装置、エアー遮断器」がある、と市は答えました(2022年6月)。
| No. | 場所 | 市の答弁 | 地図の点 | 地図 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 真木町交差点(県道17号) | 県が通行止めにした区間の端(2019〜2023年の答弁) | 道路地図の信号「真木町」 | 地図で開く |
| 2 | 京町 | 中央市場周辺の道路で冠水(2022年6月の答弁) | 町の代表点 | 地図で開く |
| 3 | 村田町 | 市道村田・西田線で道路冠水(2022年6月の答弁) | 町の代表点 | 地図で開く |
| 4 | 三島町(青葉台) | 県道江口長門石江島線の冠水箇所(2022年6月) | 町の代表点 | 地図で開く |
| 5 | 下野排水機場(下野町) | 2021年8月に冠水して運転停止(2022年6月の答弁) | 道路地図の排水機場 | 地図で開く |
| 6 | 曽根崎町 | ウグメ田地区の大野川で護岸の対策(2022年6月) | 町の代表点 | 地図で開く |
地図の1〜6は当サイトが置いた目安で、冠水した地点そのものではありません。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
2021年8月は排水機場のポンプが止まった
2021年8月11日から19日の大雨では、市全体で床上浸水13件・床下浸水4件、道路の被害は市道と林道で45件、通行止めは最大で市道11か所と林道4か所だったと市は答えています(2021年12月。地区ごとの数は答弁にありません)。
西田川の最下流にある県の下野排水機場は「排水機場が冠水したことから、運転停止に至った」と市は答えています(2022年6月)。前川排水機場でも不具合が起き、「鳥栖地区、旭地区など、市南部の広範囲が冠水」しました(2021年12月)。市は、西田川の流域一帯の水位が急に上がって「内水氾濫」したと説明しています。
読者
ポンプが止まったから冠水が広がったんですか?
市は「断定することは難しい」としつつ、「原因の一つであったことは否定できない」と答えています。
内水の想定区域は2026年3月にできた
鳥栖市は2025年度に内水浸水想定区域図をつくり、国の3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」に載せました。前提は想定最大規模の雨で、1時間153ミリ。作成は2026年3月です。国の「Plateau View(プラトービュー)」で佐賀県→鳥栖市と選ぶと見られます。
市は今年度、この区域を示した内水ハザードマップを新たにつくると答えています(2026年6月)。
\川の洪水で色が付く場所かを、住所から見る/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
このツールでは、道路の冠水と内水の想定は出ません。轟木川・西田川・沼川など市内の中小河川の洪水浸水想定区域は、佐賀県が2025年2月5日に指定したもので、ツールのデータに入っていないことがあります。市の洪水・土砂災害ハザードマップ(記事ID:0002926)でも確かめてください。
佐賀市・久留米市の冠水の記事
公式出典
- 国土交通省 九州地方整備局「冠水想定箇所」佐賀県(一覧、説明表 佐賀県-02-028・佐賀県-02-029・佐賀県-02-030・佐賀県-02-031・佐賀県-02-032・佐賀県-02-033、地図データ41_saga_kansui_point.kml。2026年9月26日取得)
- 鳥栖市ホームページ(トップページ。市はトップページへのリンクを求めているため、ほかはページ名と記事IDを書きます):「鳥栖市地域防災計画」(記事ID:0002914・資料編 令和7年10月修正版)/「ライブカメラ(河川・道路等の状況)」(記事ID:0063259)/「防災に役立つ情報の入手方法を確認する」(記事ID:0002913)/「鳥栖市公式SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)アカウントの紹介」(記事ID:0005870)/「鳥栖市の3D都市モデルを整備しました(内水浸水想定区域モデルを追加)」(記事ID:0096137)/「鳥栖市洪水・土砂災害ハザードマップについて」(記事ID:0002926)
- 鳥栖市議会 会議録:令和元年9月定例会(2019年9月9日)/令和2年9月定例会(2020年9月9日)/令和3年9月定例会(2021年9月8日)/令和3年12月定例会(2021年12月13日)/令和4年6月定例会(2022年6月10日)/令和5年9月定例会(2023年9月8日・11日・12日)/令和6年9月定例会(2024年9月11日)/令和8年3月定例会(2026年3月23日)/令和8年6月定例会(2026年6月17日)
- 佐賀県「県内道路における通行規制情報」/佐賀県道路情報/佐賀県「佐賀県の洪水浸水想定区域図」(2025年10月1日更新)
- 気象庁「過去の気象データ」鳥栖:観測史上1〜10位の値/2021年8月の日ごとの値/気象庁「地域気象観測所一覧」(観測所の所在地)
- G空間情報センター「3D都市モデル(Project PLATEAU)鳥栖市(2025年度)」(内水浸水想定の前提・作成年月)
- OpenStreetMap(線路と道路の位置、1・5の点。© OpenStreetMap contributors)/国土地理院 地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。冠水や通行止めは雨のたびに変わります。避難や通行の判断は、必ず鳥栖市と佐賀県、国の最新の発表を確認してください。
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