千葉県八街市(やちまたし)で、市の防災メールに名前がいちばん多く出てくる冠水の場所は、小谷流(こやる)591番地付近です。2024年4月以降のバックナンバーで、市が「冠水(大雨)による通行止め」を知らせたのは16日。そのうち場所まで書かれていた4日は、4日ともこの住所でした。
国の「道路冠水注意箇所」に、八街市の道は1か所も載っていません。
この記事でわかること
- ✓ 市長は2019年の議会で「八街市には河川がない」と答え、雨水は周辺の市や町へ流していると説明しています
- ✓ 台風25号のあと、24日7時の時点でも、八街市にかかる県道の2区間が「冠水」で全面通行止めの一覧に残っていました(千葉県の資料)
- ✓ 市の「浸水ハザードマップ」は、2019年10月25日の大雨の冠水・溢水の記録です。水防法にもとづく地図ではありません
雨の日に「今どこが通れないか」を見るところ
市の道路河川課は、通行止めの場所を「八街市内の通行止めマップ(随時更新)」にGoogleマップ(グーグルマップ)で載せています。市は「実際の現地状況と異なる場合があります」と断っています。
- 市の通行止めマップ:市のトップページ→防災情報
- やちまたメール配信サービス:「冠水による通行止めの発生」を配信。過去の分はバックナンバーで読めます
- 市の公式X(旧ツイッター・@city_yachimata):8月13日の夜はXで道路冠水を知らせました
- 県道・国道:千葉県の「県管理道路通行規制情報」と「千葉県防災ポータル」
国の一覧は0か所、市のメールでは小谷流591番地付近が4回
国土交通省 関東地方整備局の「道路冠水注意箇所」は、千葉県で91か所です。載っていないことは、冠水しないことの証明ではありません。
市のメールのバックナンバー(2024年4月1日〜2026年9月24日)で、件名が「冠水による通行止めの発生」か「大雨による通行止めの発生」の配信は16日ありました(当サイトで数えた)。16日のうち12日は場所を書かず、市のホームページを見るよう案内しています。
場所が書かれていたのは、2025年9月5日、2026年5月1日、6月3日、6月27日です。市はどの回も「千葉バーディクラブ付近」と添えています。6月3日は、沖(おき)2305番地2付近も同じ朝に止まりました。

読者
小谷流の道は、対策されていないんですか?
2024年9月の決算審査で、委員が挙げた「小谷流排水ポンプ設備更新工事」について、道路河川課長は、壊れたポンプを替えて出力を上げたが「冠水の解消には至っていない」と答えました。591番地付近と同じ場所かは、資料からは分かりません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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市長の答弁と県の資料に出てくる場所
2021年9月の議会で、市長は「八街バイパス四区地先」について、地域の排水も集まるため「豪雨時には道路冠水が発生」すると答えました。県が整えた暫定の調整池について、建設部長は「雨が止んだ後も調整池に水がたまっているような状況」と述べています。
2023年10月には、大関(おおせき)区の寺下交差点付近の水路を、三区・四区・富山(とやま)地区などからも雨水が集まる「重要な水路」と答えました。2024年12月には、県道22号の沖渡(おきわたし)入口付近の冠水について、令和5年度に県へ対応を要望し、再び要望すると答えています。

地図の番号と同じ順です
1 小谷流(こやる)591番地付近
市の防災メールで、冠水・大雨による通行止めの場所として出てくる住所
八街市小谷流591番地(番地の代表点)。市の配信の表記は「千葉バーディクラブ付近」
※ 2025年9月5日と2026年6月27日の通行止めは「小谷流591番地〜小谷流837番地8付近」の区間。道路の名前は配信に書かれていません
3 県道22号(千葉八街横芝線)の沖渡(おきわたし)入口付近
市長の答弁(2024年12月):令和5年度に千葉県へ冠水の対応を要望、再び要望する
ピンはバス停「沖渡入口」の位置(OpenStreetMap=オープンストリートマップ)
※ 答弁の「沖渡入口付近」と同じ点かどうかは確かめられていません
4 大関(おおせき)
市長の答弁(2023年10月):寺下交差点付近の水路に、三区・四区・富山地区などからも雨水が集まる
八街市大関(大字の代表点)
※ 寺下交差点の位置ではありません。2020年9月の答弁では、大関地区などに「大雨時冠水注意」の看板を置いたとしています
5 国道409号の文違(ひじかい)
千葉県の資料:台風25号で「冠水」による全面通行止め(9月22日7時と14時の時点)
八街市文違(大字の代表点)
※ 国道409号の通行止めの区間の位置ではありません
台風25号では、県道・国道の冠水通行止めが22日朝に7区間
2026年9月21日1時19分、八街市に大雨警報が出ました(千葉県の資料)。TBSの報道(21日6時11分)によると、2時15分ごろ市内の路上で「トラックと乗用車が乗り捨てられている」と通報があり、2台が水没していました。市は16時28分、「市内全域で冠水及び通行止めが多数発生」と配信しました。

千葉県の資料で、八街市にかかる県道・国道の冠水による全面通行止めを数えると(当サイトで数えた)、21日6時30分と13時は3区間、22日7時は7区間でした。確かめた表では13時の次が22日7時で、増えた4区間がそのあいだのいつ止まったかは資料に書かれていません。大雨警報は21日22時17分に解除されています。24日7時の一覧にも、千葉八街横芝線(佐倉市岩富町〜八街市八街い)と成東酒々井線(なるとうしすいせん・市役所のある大字の八街ほ)の2区間が残っていました。
NHKは22日、水につかって動けなくなった車10台余りが22日午前、冠水した道路に残されていたと伝えています。
県の第12報(24日17時30分)で、八街市の家の被害は全壊3棟(岡田・勢田〈せた〉・大谷流〈おおやる〉)と一部破損1棟です。床上浸水・床下浸水の欄に八街市の名前はありません。岡田の1棟は、県の資料の「砂防」の欄に、土砂災害警戒区域内のがけ崩れの家屋被害箇所として「八街市岡田 全壊1戸 人的被害なし」とあります(21日18時30分現在と22日6時現在の資料)。
読者
県の報告に床上浸水がないなら、家は浸からなかったんですか?
県の表だけでは分かりません。NHKは22日、八街市で床上浸水した住宅もあったと伝え、市も「浸水被害等で住宅が被災された方へ」という案内を出しています。県の数字は市町村の報告にもとづく暫定値で、報道と食い違う理由を書いた資料は見つかっていません。
8月13日の千葉豪雨、大雨特別警報の夜に「把握しきれていない」
2026年8月13日21時45分、八街市に大雨特別警報(レベル5)が出ました(千葉県の資料)。22時42分、市の公式Xはこう投稿しています。「市内各地で道路冠水が発生しています。職員が確認・対応中ですが、すべての状況を把握しきれていない状況です」
翌14日0時35分の市の配信は、土砂災害警戒区域に「緊急安全確保」を出したと知らせています。県の第23報(9月3日)で、八街市の家の被害は床上浸水6棟・床下浸水14棟。
8月と9月の市の避難指示は、どちらも土砂災害警戒区域に住む人が対象でした。自分の家が区域に入るかは、住所から調べられます。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
2019年10月25日、市役所の雨量計で1時間75ミリ・冠水91か所
2019年12月の市長の答弁によると、10月25日は4時から17時までの13時間に、市役所の雨量計で251ミリが降り、13時からの1時間は75ミリでした。市が通報とパトロールでつかんだ道路の冠水は91か所。「通常の降雨時ではわからなかった冠水箇所が発生」したとも答えています。
同じ日の答弁で市長は、「八街市には河川がないことから、排水先となる周辺の市や町に放流」していると説明しました。この日の家の被害は床上浸水37棟・床下浸水20棟です(市の集計・2020年2月21日時点)。
市の「八街市浸水ハザードマップ」は、この日の冠水・溢水の場所を、市民と職員の情報からまとめた地図です。市は「水防法に基づき作成したものではありません」と書いています。0.5〜1メートル未満の色で示された場所は11か所(面が9、道に沿った線が2)で、大関と八街ほに3つずつあります(当サイトで数えた。中心の位置の大字)。
市のサイトは掲載物の無断の複製・改変を禁じているため、この範囲は記事の地図に写していません。
自分の家のまわりを調べる3つ
1つ目は、防災課の「八街市浸水ハザードマップ」です。市は「表示されている浸水域外でも浸水が発生する場合があります」と断っています。
2つ目は、上下水道課の「雨水出水浸水想定区域図」です。水防法にもとづく図で、1時間153ミリ(想定最大規模)と75ミリ(既往最大)の雨を想定しています。対象は公共下水道の雨水排水区域だけで、市内全域ではありません。図から読み取ると、八街駅のまわりと北の榎戸(えのきど)のまわりです。
3つ目は、土砂災害警戒区域です。
\土砂災害の区域に入っているかは、住所から出せます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
このツールでは、道路の冠水と内水の想定は出ません。区域のデータに最近の指定が入っていないこともあります。市の土砂災害ハザードマップも2024年11月1日までの指定が元なので、最新の指定は市が案内している千葉県の「ちば情報マップ」で確かめてください。
八街・富里・佐倉の冠水の記事
- 八街市 冠水/なぜ水が引かないのか(同じ八街市を「なぜ水が引かないのか」の切り口で書いた記事)
- 富里 冠水 どこが危ないの?
- 佐倉市 冠水 どこが危ないの?
- 佐倉市 冠水/雨はやんでも通行止めが増えている(佐倉市の9月22日の通行止め)
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」千葉県(2026年9月24日取得)
- やちまたメール配信サービス バックナンバー(2024年4月1日〜2026年9月24日の835件を取得)
- 千葉県八街市(公式)Xの投稿(2026年8月13日22時42分)
- 八街市ホームページ(トップページ以外への直接リンクは控えるよう市が求めているため、ページ名で記載):「八街市内の通行止めマップ(随時更新)」2026年9月23日更新/「八街市浸水ハザードマップ」2024年9月10日更新/「雨水出水浸水想定区域図について」2026年4月1日更新/「八街市土砂災害ハザードマップ」2026年4月15日更新/「令和元年房総半島台風(15号)及び東日本台風(19号)、10月25日大雨による市内の被害状況」令和2年2月21日時点/「【令和8年台風25号】浸水被害等で住宅が被災された方へ」2026年9月22日更新/「リンク・著作権・免責事項」
- 八街市議会 会議録検索システム:令和元年第3回定例会(12月5日)/令和2年第3回定例会(9月9日)/令和3年第3回定例会(9月7日)/令和5年第3回定例会(10月6日)/令和6年第4回定例会(12月4日)/令和6年決算審査特別委員会(9月20日)
- 千葉県「令和8年台風第25号について」第1報・第2報・第4報・第5報(災害対策本部会議資料。第2報・第4報と同じ資料に県土整備部の被害状況「砂防」の欄)、第12報(9月24日17時30分発表・19時訂正、第5回災害対策本部会議資料)
- 千葉県「第8回千葉県災害対策本部会議資料」(令和8年8月千葉豪雨について 第23報・令和8年9月3日17時30分発表)
- 千葉県「県管理道路通行規制情報」
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」内水(雨水出水)浸水想定区域の掲載一覧(八街市・2024年12月16日公開)
- TBS NEWS DIG「千葉・八街市の路上でトラックと乗用車が水没」(Yahoo!ニュース・2026年9月21日6時11分)
- NHK「千葉 八街 道路が冠水 車10台余が取り残される」(2026年9月22日20時35分)・「台風25号 千葉 八街で床上浸水 住民ら片づけに追われる」(同15時22分)
- OpenStreetMap(バス停「沖渡入口」の位置。© OpenStreetMap contributors)
- 国土地理院 住所検索API(番地・大字の位置)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。通行止めは雨のたびに変わり、県の被害の数字は暫定値です。避難や通行の判断は、必ず八街市と千葉県の最新の発表を確認してください。
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