荒川区は、平成16年度からの道路の冠水の記録を、年度ごとの地図にして公開しています。平成16年度から令和7年度までの22年度分を重ねた概要版の地図で、いちばん多くの年度の印が付いている場所は1つです。
南千住駅の西で、常磐線や貨物線の下をくぐる道。平成22年度から令和7年度までの8つの年度で冠水していて、令和4・5・7年度は区内の冠水の記録がここ1か所だけでした。
国の「道路冠水注意箇所」を見ると、荒川区の7か所のうち5か所が南千住にあります。国と区の記録は、この町では同じ方向を指しています。ただ、区の記録を最後まで読むと、南千住とは別の顔も出てきます。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」に荒川区は7か所。5か所が南千住、2か所が西日暮里五丁目です
- ✓ 道路の冠水がいちばん多いのは南千住駅の西の線路下で8年度。国の一覧にあるスーパー堤防の2本のトンネルには、区の記録の印がありません
- ✓ 建物の浸水は荒川三丁目に集中し、2000年以降5回。内水のハザードマップは区が「作成中」です
箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都の一覧と説明表、道路の冠水は荒川区「道路冠水履歴図」(平成16年度〜令和7年度の16本)のラベルを目で数え、建物の浸水は東京都「浸水実績箇所の住所検索」の元データ(荒川区77行)を数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
国の一覧に、荒川区は7か所あります
国土交通省の関東地方整備局は、大雨のときに水がたまるおそれがある道を「道路冠水注意箇所」として挙げています。東京都の一覧は153か所で、荒川区は7か所。区の面積は23区で22番目です。
南千住に5か所。南千住四丁目の南千住アンダーパスと南千住北架道橋、南千住二丁目の第2南千住架道橋は、どれも常磐線や貨物線の下をくぐる道です。南千住八丁目の胡録トンネルと瑞光トンネルは、隅田川のスーパー堤防の下を通ります。残る2か所は西日暮里五丁目の道灌山アンダーパスと西日暮里アンダーパスです。
区は地勢の説明で、区の大部分は「ほとんど起伏がなく平ら」だが、南西部には「諏訪台」「道灌山」と呼ばれる高台がある、と書いています。国の一覧の「道灌山アンダーパス」は、その高台の名前が付いた場所です。

地図の番号と同じ順です
A 道灌山アンダーパス
都道 58号
東京都荒川区西日暮里5丁目 / 標高4.6メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 荒川警察署 / 消防: 荒川消防署
B 西日暮里アンダーパス
都道 58号
東京都荒川区西日暮里5丁目 / 標高4.6メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 荒川警察署 / 消防: 荒川消防署
E 南千住アンダーパス
都道 特例都道 464号
東京都荒川区南千住4丁目 / 標高1.2メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 南千住警察署 / 消防: 荒川消防署
F 南千住北架道橋
区道 特別区道荒298号線(補助第331号線)
東京都荒川区南千住4丁目 / 標高1.2メートル
管理: 荒川区 / 警察: 南千住警察署 / 消防: 荒川消防署
Googleマップのリンクは、説明表の住所と構造物の名前から道路地図(OpenStreetMap)で位置を合わせた緯度経度で開きます。合わせられなかった箇所は町丁目の代表点なので、数百メートルずれることがあります。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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区の冠水履歴図は、南千住駅の西が最多です
荒川区の「道路冠水履歴図」は、道路が冠水した場所を年度ごとの地図に描いたものです。平成16年度から令和7年度まで、冠水が無かった年度も含めて公開されています。平成18〜20年度、24年度、30年度、令和元年度、3年度の7年度は「道路冠水履歴なし」です。

全部の年度を重ねた概要版には、64の印があります。そのうち41は1つの年度だけ。8つの年度にまたがる印は、南千住駅の西の線路下ただ1つでした。次が5年度で、荒川三丁目、町屋五・六丁目、町屋三丁目、荒川六丁目付近の4か所です。
一方で、国の一覧にある南千住八丁目の胡録トンネル・瑞光トンネルには、22年度分の区の図に印が1つもありません。
| No. | 場所 | 冠水の年度 | 標高 | 地図 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 南千住四丁目(南千住駅の西、線路の下をくぐる道) | 8 | 1.2m | 地図で開く |
| 2 | 荒川三丁目(荒川郵便局から前沼付近への南北の道) | 5 | 1.7m | 地図で開く |
| 3 | 町屋五・六丁目 | 5 | 0.9m | 地図で開く |
| 4 | 町屋三丁目 | 5 | 1.3m | 地図で開く |
| 5 | 荒川六丁目・東尾久二丁目付近 | 5 | 2m | 地図で開く |
| 6 | 西日暮里一丁目(三河島駅の西) | 4 | 3.2m | 地図で開く |
| 7 | 町屋四丁目〜東尾久 | 4 | 1.8m | 地図で開く |
| 8 | 東尾久七丁目(熊野前付近) | 4 | 2.6m | 地図で開く |
| 9 | 南千住一・二・五丁目の境(常磐線沿い) | 3 | 2.1m | 地図で開く |
| 10 | 町屋二丁目 | 3 | 2.3m | 地図で開く |
| 11 | 東尾久五丁目 | 3 | 1.9m | 地図で開く |
| 12 | 西尾久二丁目 | 3 | 1.9m | 地図で開く |
| 13 | 西尾久六丁目 | 3 | 1.6m | 地図で開く |
年度の数は区の概要版のラベルを目で数えたものです。区の図には道路名が書かれていないため、1番の場所が国の一覧の南千住アンダーパスと南千住北架道橋のどちらに当たるかは照合できていません。標高は町丁目の代表点1点の値です。
読者
令和6年は、南千住以外でも冠水したんですか?
令和6年7月31日の集中豪雨では、町屋・東尾久・荒川六丁目のあたりで6か所です。区は、側溝の上に置かれた植木鉢や車を乗り入れるためのブロックで雨水がたまった、と書いています。
家が浸かるのは、荒川三丁目です
道路ではなく建物の浸水を見るなら、東京都の「浸水実績箇所の住所検索」です。荒川区の記録は77行、1981年から2016年まで。原因はすべて「内水」でした。
いちばん大きいのは1981年7月22日で、区内で約2,435棟。東尾久・西尾久の一帯だけで1,377棟が浸かっています。2000年以降になると、名前が何度も出てくる町は1つに絞られます。荒川三丁目で、2004年から2009年までに5回、合わせて316棟。2005年9月4日には120棟(うち床上83棟)でした。
荒川三丁目は、国の一覧に1か所も入っていません。区の道路冠水履歴図では、荒川郵便局から前沼付近へ向かう南北の道に5年度の印があります。国の一覧が「線路やトンネルをくぐる道」を指すのに対し、区と都の記録は「家が浸かる町」を指している、ということです。
都の記録は、古い年ほど複数の町丁目をまとめた数字が各行に重ねて入っているため、重複を除いた概数です。荒川区の行は2016年が最後ですが、浸水が無かったという意味ではありません。
内水のハザードマップは「作成中」です
不動産の重要事項説明では、水防法にもとづくハザードマップで物件の位置を示すことになっています。荒川区の宅地建物取引業者向けのページ(2026年9月1日更新)では、洪水(荒川・石神井川)と高潮の図は「あり」、雨水出水(内水)は「作成中」です。
区は「令和8年3月に東京都下水道局から…雨水出水浸水想定区域図が公表されました。ただ今ハザードマップを作成中です」と書いています。荒川区にかかるのは、都が指定した神田川流域と隅田川及び新河岸川流域の2つで、想定している雨は1時間最大153ミリ、24時間690ミリです。
区の図ができるまでは、都の2つの図と、区の道路冠水履歴図がいちばん具体的な資料になります。区も水害ハザードマップのページで、冠水履歴を「避難経路の確認にご利用ください」と案内しています。
止水板は、費用の2分の1・上限150万円
荒川区の止水板設置の助成は、1件あたり150万円を限度に、工事費の2分の1までです。区内のマンション・住宅・店舗・事業所の所有者か使用者が対象で、工事を伴わない簡易型止水板の購入も含まれます。分譲マンションの防災対策工事の支援を受ける場合は3分の2まで上がります。
土のうは、区内10か所の土のうステーションからいつでも持ち出せます。天王公園(南千住6丁目)、瑞光橋公園(南千住8丁目)、原公園(町屋5丁目)など。荒川五丁目公園は令和8年8月17日から工事で使えず、荒川五丁目グリーンスポットに移っています。
自分の家の前が危ないかを調べる3つ
- 区の「道路冠水履歴図」の概要版で、家の前の道に印があるかと、何年度の印かを見る
- 東京都の「浸水実績箇所の住所検索」で、自分の町丁目に建物の浸水の記録があるかを見る
- 雨の日に、側溝の上に物が置かれていないか、家の前の道のいちばん低いところはどこかを確かめる
令和6年の冠水は、側溝の上の植木鉢やブロックが原因でした。3つ目は、自分で直せる冠水を見つける作業でもあります。
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土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
よくある質問
国の一覧に載っていない町なら安全ですか
いいえ。2000年以降に建物の浸水がいちばん多い荒川三丁目は、国の一覧に入っていません。国の一覧は線路やトンネルをくぐる道が中心です。
南千住の線路下は、どのくらいの雨で冠水しますか
区の図は冠水した年度と原因(集中豪雨・台風など)を示すだけで、雨量までは書いていません。令和4年度は台風14号、令和5年度は台風2号、令和7年度は5月2日の集中豪雨でした。
荒川が氾濫したらどうなりますか
区のハザードマップでは、荒川が氾濫すると「荒川区内のほぼ全域が浸水想定地域」で、最大約5メートル以上の浸水が想定されています。これは内水とは別の、洪水の想定です。
ほかの区はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 墨田区 冠水 どこが危ないの?
- 足立区 冠水 どこが危ないの?
- 葛飾区 冠水 どこが危ないの?
- 板橋区 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都(一覧と1か所ごとの説明表。2026年9月23日取得)
- 荒川区「道路の冠水履歴を公開しています」(道路冠水履歴図・令和7年8月18日追加)
- 荒川区「大雨に備えましょう」
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」(元データ)
- 荒川区「宅地建物取引業者の方へ(水防法に基づくハザードマップ等)」(2026年9月1日更新)
- 東京都下水道局「雨水出水浸水想定区域図」神田川流域・隅田川及び新河岸川流域(令和8年3月25日指定)
- 荒川区「止水板設置の助成」/「荒川区の地勢」
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず区と東京都の最新の発表を確認してください。
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