🗨️「屋根の上の作業って、何メートルから命綱が要るの?」
高さ2メートル以上です。労働安全衛生規則の第518条で、まず作業床を設けることが求められ、それが難しいときに墜落制止用器具(命綱)を使う順番になっています。沖縄県読谷村(よみたんそん)で屋根が崩れて人が亡くなった現場は、高さ3メートルでした。
[事件・事故] この記事の要点
2026年9月21日 発表
- 自分の家の屋根に登って修理や点検をしようと考えている人
- 高所作業のある仕事をしている人・その家族
- 台風のあとに屋根の業者を手配する予定の人
落ちたのではなく、屋根が崩れた
嘉手納警察署が明らかにした内容を、まず事実だけ並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生 | 2026年9月8日 午前9時ごろ |
| 場所 | 沖縄県読谷村の民家 |
| 作業 | トタン屋根の張り替え |
| 高さ | 3メートル |
| 起きたこと | 屋根が崩れて転落 |
| その後 | 搬送された男性が9月20日未明に死亡。別の作業員1人が軽いけが |
足を踏み外したのではなく、屋根そのものが崩れています。ここが今回の事故のかたちです。
屋根の上で働くとき、屋根は足場のかわりになります。その足場が抜けたということになります。原因はまだ発表されていないので、ここから先は書きません。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
※ 本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介している商品は、記事の内容に関連するものを編集方針にもとづいて選んでいます。Amazonのアソシエイトとして、おかあさんのおうちは適格販売により収入を得ています。
2メートル以上は、法律が出てくる高さ
3メートルという高さが、規則の中でどこに当たるのかを見ておきます。労働安全衛生規則の条文です。
| 条文 | 求められていること |
|---|---|
| 第518条 第1項 | 高さ2メートル以上で墜落の危険があるときは、作業床を設ける |
| 第518条 第2項 | 作業床を設けるのが難しいときは、防網を張るか、要求性能墜落制止用器具(命綱)を使わせる |
| 第521条 第1項 | 命綱を使わせるときは、それを取り付ける設備を設ける |
順番が大事だと思います。命綱は「作業床を置けないときの次の手」として書かれています。命綱があれば作業床はいらない、とは書かれていません。
3メートルは、この2メートル以上にしっかり入ります。つまり、法律が対策を求めている高さでした。
フルハーネスか、胴ベルトか
命綱の種類にも目安があります。国のガイドラインは、まずこう書いています。
墜落制止用器具は、フルハーネス型を原則とすること。
そのうえで、高さで線を引いています。
| 高さ | 考え方 |
|---|---|
| 6.75メートル超 | 必ずフルハーネス型(自由落下の最大4メートル+ショックアブソーバの伸び最大1.75メートル+1メートル) |
| 建設作業などの一般的な使用条件 | 胴ベルト型が使える目安高さは5メートル以下とすべき |
6.75メートルという半端な数字は、落ちたときに伸びる長さの足し算から出ています。低ければ安全という話ではなく、低いと地面に届いてしまうので、器具の選び方が変わるという意味です。
屋根から落ちて亡くなる人は、建設業の死亡でいちばん多い型
国と業界団体の統計を並べます。
| 区分 | 令和6年(2024年) |
|---|---|
| 全産業の労働災害による死亡 | 746人(過去最少・前年755人) |
| 型別の最多 | 墜落・転落 188人(25.2%) |
| 業種別の最多 | 建設業 232人(31.1%) |
| 建設業232人のうち墜落・転落 | 77人(33.2%) |
| その77人の起因物 1位 | 屋根・はり・もや・けた・合掌 22人(28.6%) |
| 同 2位 | 足場 12人(15.6%) |
屋根まわりと足場の2つで44.2パーセントです。建設業で人が亡くなる場面として、屋根はいちばん多いということになります。
命綱が効かないのは「移動の瞬間」
厚生労働省が出している屋根上作業のパンフレットに、他ではあまり読まない話が書いてあります。要点を3つだけ。
- 屋根の作業を始める前に垂直親綱(主綱)を1本張ることを「墜落防止対策の要」としている
- 地上から操作棒で綱を通す方法なら、はしごを昇る前から作業が終わるまで墜落を止められる
- 掛け替えは次の安全ブロックをつないでから、前を外す(逆にすると無防備な一瞬ができる)
つまり、危ないのは作業中よりも登るとき・場所を移るときです。「屋根に着いてから命綱をかける」では、いちばん危ない区間が素通しになります。
もう1つ。屋根の勾配が6/10以上など、屋根の面を作業床とみなすのが不適切な場合は、屋根用の足場などの作業床が必要だとも書かれています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
台風のあと、自分の家の屋根に登る前に
ここからは、仕事ではなく自分の家の話です。
台風が過ぎたあと、屋根を見たくなります。飛びそうな板金、ずれた瓦、雨どいの詰まり。どれも気になります。
ただ、台風のあとの屋根は、台風の前より弱くなっています。今回の事故も、踏み抜きではなく屋根が崩れています。傷んだ屋根ほど、見た目では分かりません。
登らずにできることから先にやるほうがいいと思います。下から双眼鏡で見る、脚立から写真を撮る、業者に見てもらう。屋根に上がるのは、いちばん最後の手です。
業者に頼むときも、聞いておくことが1つあります。「屋根に上がる前から命綱をかけますか」です。パンフレットが要と書いているのはそこなので、答えられる業者なら分かっている人です。
生活・仕事にどう効くか
- 高さの基準:高さ2メートル以上の場所で墜落の危険があるときは、まず作業床を設けることが規則で求められている。命綱はその作業床を設けるのが難しいときの次の手にあたる。
- 器具の選び方:国のガイドラインはフルハーネス型を原則としたうえで、建設作業などの一般的な条件では「目安高さは5メートル以下とすべき」と書いている。6.75メートルを超える場所は必ずフルハーネス型。
- 台風のあと:屋根が傷んでいる家は、台風のあとに自分で登りたくなる。ところが傷んでいる屋根ほど、踏んだ場所が抜ける。今回も屋根そのものが崩れている。
結局どうすればよいか
- 台風のあとの屋根の確認は、登らずに下から見る・写真で見る方法を先に試す
- 業者に頼むときは、屋根に上がる前から命綱をかける段取りになっているかを聞く
- 自分で上がるなら、作業を始める前に親綱を張る(登ってから探しても間に合わない)
公式出典
- 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日 基発0622第2号)(2018年6月22日発表)
- 厚生労働省「足場の設置が困難な屋根上作業での墜落防止対策のポイント」(2026-09-21確認発表)
- 厚生労働省「令和6年 労働災害発生状況について」(2025-05-30公表発表)
- 建設業労働災害防止協会「建設業における労働災害の発生状況(令和6年確定値)」(令和6年確定値発表)
- アイキャッチ写真 Pexels(2026-09-21取得発表)
更新履歴
- 2026年9月21日 初版を公開
※本記事は2026年9月21日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。










コメント