🗨️「八街市はなぜ、道路の水が引かないの?」
台風25号の大雨で、21日朝までに千葉県八街市の道路上でトラックや乗用車が水没しました。国土地理院の標高データで低地の断面を測ると、1km進んでも65.0センチしか標高が下がらないほど平らな地形でした。集まった雨水が坂を下るように流れ出ていく地形になっていません。
[災害] この記事の要点
2026年9月21日 発表
- 八街市とその周辺に住んでいる人
- 八街市周辺で車を運転する人
- 低地の土地を購入・賃貸で検討している人
八街市の低地は、1km進んでも65センチしか下がらない
台風25号の大雨で、千葉県八街市では21日朝までに道路上でトラックや乗用車が水没した。同じ道をこれから通る人、同じような低地に家を持つ人にとって、「なぜここだけ水が引かないのか」は他人事ではない。国土地理院の標高データで、八街市の住宅地標準地がある低地の断面を測ると、理由が数字で出る。
| 距離 | 標高差 | 勾配 | |
|---|---|---|---|
| 上流(台地) | 10.71km | 26.0m | 1/412 |
| 下流(低地) | 13.23km | 8.6m | 1/1,538(1kmあたり65.0cm) |
上流の台地は10.71kmで26.0m下る。ところが低地に入ると、13.23km進んでも8.6mしか下がらない。1kmあたりに直すと65.0センチ。人が歩く速さより緩やかな下り坂が13kmあまり続いている計算になる。
なぜ水が引かないのか 大網白里より平らな区間もある
同じ千葉県で「水が引かない土地」として先に測った大網白里市と比べると、八街市の低地はさらに平らな数字が出る。
| 下流の勾配 | 1kmあたり | |
|---|---|---|
| 大網白里市 | 1/1,071 | 93.4cm |
| 八街市 | 1/1,538 | 65.0cm |
数字が小さいほど、水が流れ出る速さは遅い。八街市の低地は、大網白里よりも1kmあたりの下がり方が28センチ小さい。雨は台地から比較的速く(1/412)集まってくるのに、集まった先の低地では出ていく坂がほとんど無い。「集まるのは速く、出ていくのは遅い」という同じ形が、八街市でも数字として現れている。
市内のどこが低いのか 住宅地の標準地4地点
2026年の地価公示で、八街市の住宅地の標準地は4地点ある。標高で並べると次のとおり。
| 標高 | 所在 | 価格(円/m²) |
|---|---|---|
| 30.2m | 八街市みどり台2丁目18番5 | 26,900 |
| 37.8m | 八街市八街字榎台は17番86 | 15,900 |
| 44.4m | 八街市八街字柳沢に108番14外 | 23,900 |
| 44.6m | 八街市八街字大池に124番36 | 32,100 |
最も低いみどり台2丁目の標準地は標高30.2m、最も高い八街字大池の標準地は44.6m。標高差は14.4mある。価格差は0.84倍で、低いほど安いとは言い切れない。駅や商業地が低い場所にあることが多いためで、水はけの良し悪しに値段がついているわけではない。
八街市は2019年にも浸水している
国土交通省の水害統計調査によると、八街市では2019年に床上浸水35棟・床下浸水19棟の被害が出ている。被害額は当年価格で約4.3億円。2015年から2023年までの9年間で記録に残っているのはこの1年だけだが、台風シーズンの大雨で建物被害が出た実績がある土地であることは変わらない。
自分の土地を無料で確かめる方法
ここまでの数字は住宅地の標準地という限られた地点で測ったものであり、市内すべての土地の水はけを表すものではない。自分の家や検討中の土地がどちら側かは、次の方法で確認できる。
- 国土地理院地図の「色別標高図」で周辺の高低差を見る
- 八街市の内水(雨水)ハザードマップで、道路冠水の想定箇所を確認する
- 過去の浸水実績(床上・床下の件数)を市区町村単位で確認する
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
集計条件
国土数値情報「地価公示」2026年のうち用途が住宅の標準地を抽出し、各地点の緯度経度を国土地理院の標高API(5mレーザ測量のDEM(数値標高モデル))にかけて標高を取得した。千葉県八街市は4地点。断面は最も標高の低い標準地を起点に、8方位のプローブで最も標高が上がる方向を上流と判定し、その軸上を630m間隔で測った。標準地の位置での値であり、市内すべての土地を表すものではない。浸水実績は国土交通省「水害統計調査」市区町村別水害被害(表-3)の2015〜2023年集計による。測ったのは地形であり、浸水想定そのものではない。
生活・仕事にどう効くか
- これから同じ道を通るとき:低地部分は勾配がほとんど無く、いったん冠水すると水が引くまで時間がかかる地形です。迂回できるなら迂回し、冠水した道路には無理に進入しないでください。
- 低地に住んでいる・検討している場合:今回水没があった八街市の低地は、先に測った大網白里市より1kmあたりの下がり方が小さい区間です。標高だけでなく、過去の浸水実績もあわせて確認する材料になります。
結局どうすればよいか
- 冠水した道路や、過去に冠水した実績のある道路には車で進入しない
- 自分の家や検討中の土地の標高を、国土地理院地図の色別標高図で確認する
- 住所を入れて浸水・土砂・地盤のリスクをまとめて無料で調べる
公式出典
- 国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について(第3報)」(2026年9月21日発表)
- 気象庁 アメダス(2026年9月21日発表)
- 国土交通省 国土数値情報「地価公示」(2026発表)
- 国土交通省「水害統計調査」市区町村別水害被害(e-Stat)(2025発表)
更新履歴
- 2026年9月21日 21日朝の道路冠水と地形の断面計測で初版を公開
※本記事は2026年9月21日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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