🗨️「大雨で車が水没したら、車両保険はいくら出るの?」
去年8月の大雨では、車両保険の支払が17,779件・約264億7千万円。1件あたり約149万円でした。ただし出るのは契約時に決めた車両保険金額までで、残っているローンはそれとは別に払い続けることになります。そもそも車両保険を付けているのは全国で47.4%です。
[災害] この記事の要点
2026年9月6日 発表
- 6日から9日ごろの大雨で、車を屋外や地下駐車場に置いている人
- ローンが残っている車に乗っている人
- 車両保険を付けているか自分で分かっていない人
- 冠水した道を通って帰る予定がある人
去年8月の大雨で、車に払われた保険金は17,779件・264億円
水害の被害と聞くと家を思い浮かべますが、去年の大雨では件数で車が上回りました。日本損害保険協会が公表している支払保険金の調査(2026年3月31日現在)から、令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨の分を並べます。
| 保険の種類 | 支払件数 | 支払保険金 | 1件あたり |
|---|---|---|---|
| 車両保険(商用車を含む) | 17,779件 | 約264億7千万円 | 約149万円 |
| 火災保険 | 14,371件 | 約389億9千万円 | 約271万円 |
| 新種保険(傷害を含む) | 1,271件 | 約23億8千万円 | — |
| 合計 | 33,421件 | 約678億4千万円 | — |
県別に見ると、車両保険は熊本県だけで12,923件・約196億円(1件あたり約152万円)。次いで鹿児島県2,325件、福岡県1,763件、山口県203件、石川県196件と続きます。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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同じ「台風」でも、1台あたりが3.8倍ちがう
金額は災害の種類でまったく変わります。同じ協会の調査から3つ並べます。
| 災害 | 車両保険の支払 | 支払保険金 | 1台(1件)あたり |
|---|---|---|---|
| 平成30年(2018年)台風24号 | 29,322台 | 約114億6千万円 | 約39万円 |
| 令和元年(2019年)台風19号 | 48,038台 | 約645億2千万円 | 約134万円 |
| 令和7年(2025年)8月の大雨 | 17,779件 | 約264億7千万円 | 約149万円 |
平成30年の台風24号は強い風が主役で、飛来物によるへこみやガラスの割れが中心でした。風の災害は1台39万円、水の災害は1台149万円で、3.8倍の開きがあります。水に浸かった車は部分的な修理では済まず、全損として扱われることが多いからだと私は見ています。
その車両保険に入っているのは、全国で47.4%
ここで前提が1つ崩れます。損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況」(2025年3月末)に、都道府県別の加入率が載っています。
| 区分 | 車両保険の加入率 |
|---|---|
| 全国 | 47.4% |
| 愛知(全国1位) | 59.3% |
| 大阪 | 51.6% |
| 京都 | 49.0% |
| 兵庫・滋賀 | 47.8% |
| 奈良 | 47.4% |
| 和歌山 | 40.2% |
| 沖縄(全国最下位) | 30.6% |
同じ表で対物賠償は全国75.6%、対人賠償は75.4%です。他人に与えた損害には4台に3台が備えているのに、自分の車には2台に1台しか備えていません。和歌山県は40.2%で、10台のうち6台は水没しても保険金が出ないことになります。
いまから車両保険を付ければ、今回の雨に間に合いますか。
すでに起きた損害には使えません。付けるかどうかは次の雨のための判断になります。いま確認できるのは、自分の証券に車両保険が付いているかどうかだけです。
保険金が出ても、ローンは1円も減らない
2026年8月14日、千葉の豪雨の直後にこんな質問が投稿されています。「今回の千葉の豪雨で車やら水に沈没してますが、あれって壊れた場合ローンはどうなるんですか?保険はきく?」。
回答は、車が壊れてもローンは消えない、というものでした。車両保険から支払われるのは事故時の時価額や契約した保険金額までなので、残債100万円に対して評価額が80万円なら、差額の20万円は自分で払い続けることになります。さらに所有権がローン会社に留保されている場合は、勝手に廃車にすることもできません。
つまり保険金は「車が戻ってくるお金」であって、「借金が消えるお金」ではありません。ここを取り違えると、次の車を買う原資が丸ごと足りなくなります。
出るのは「証券に書いた金額」で、いまの相場ではない
もう1つ、よくずれるところがあります。2025年9月に投稿された質問はこうでした。「大雨で車が水没して廃車になった場合 任意保険(車両保険)でいくらぐらい出ますか? 30系アルファード(下取り価格150万円)の場合」。
回答は、出るのは契約時に決めた車両保険金額で、下取り価格や買取相場は関係ない、というものです。買取相場が500万円でも、保険金額を200万円で契約していれば200万円までです。読者は「今の車の値段」で考えていますが、保険は「証券に書いた金額」で決まります。
日本損害保険協会は、台風や洪水などで自動車が損害を受けた場合に保険金が支払われるとしたうえで、「契約タイプによっては保険金が支払われないことがあります」とも書いています。一般型か、いわゆるエコノミー型かで扱いが違う可能性があるので、証券の「車両保険の種類」の欄を見て、分からなければ保険会社に聞くのが確実です。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
保険の外で戻るお金には、期限がある
保険に入っていなかった場合でも、税の側で戻るものがあります。ただしどちらも期限付きです。
- 自動車重量税の還付——国税庁のNo.8016によると、対象は自然災害で被害を受けて廃車になった自動車。ただし被災者生活再建支援法の適用を受ける災害に限られ、車検の残りが1か月以上あることが条件。申請は災害の発生日から5年以内
- 自動車税(種別割)の減免——熊本県の案内では、被害を受けた日または賦課処分を知った日から2か月以内。必要書類は永久抹消登録証明書などと、自動車の被災証明書(またはり災証明書、被災現認書、被災申立書)
減免の期限も様式も都道府県ごとに違うので、上は熊本県の例です。近畿で被害が出た場合は、各府県の自動車税事務所のページで期限を確かめてください。
罹災証明書をもらえば、車の分も証明できますか。
多くの自治体では、罹災証明書は住まいの被害、車は被災証明書という分け方をしています。名称も運用も自治体で違うので、まず市区町村の窓口で聞いてください。
なお日本損害保険協会は、契約先が分からなくなった人のために「自然災害等損保契約照会センター」を設けていて、調査結果が出そろうまでの目安を2週間程度としています。あわせて「損害保険会社では、お客様に調査費用を直接請求することはしておりません」とも明記しています。災害のあとに調査費用を求めてくる相手がいたら、その時点でおかしいと考えてください。
水につかった車をどう扱うかは、国土交通省の答えをまとめた記事があります。冠水した道に入るとどうなるかは、実験の数字を載せた記事のほうに書いています。
生活・仕事にどう効くか
- 支払われる額:令和7年8月の大雨は1件あたり約149万円。熊本県だけで12,923件・約196億円で、1件あたり約152万円だった。
- 災害の種類で変わる:風が主役だった平成30年(2018年)の台風24号は1台あたり約39万円。水が主役だった令和7年8月の大雨は約149万円。3.8倍の差がある。
- 残るお金:保険金は時価額や契約した保険金額が上限。残債がそれを上回れば、差額は自分で払うことになる。
結局どうすればよいか
- 自分の保険証券で、車両保険が付いているか・保険金額がいくらかを見る
- 付いている場合は、契約タイプで水災の扱いが違うことがあるので保険会社に確認する
- 水没したら自分でエンジンをかけず、写真を撮ってから保険会社に連絡する
- 廃車にするなら、自動車税の減免と重量税の還付の期限を自治体と国税庁のページで確かめる
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
ほかに使える無料ツール
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 日本損害保険協会「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨」支払保険金調査(2026年3月31日現在・見込みを含む)(2026年3月31日発表)
- 日本損害保険協会「近年の風水害等による支払保険金」(一覧)(2026年3月31日発表)
- 日本損害保険協会「自動車保険 都道府県別加入率」(2025年3月末・損害保険料率算出機構 自動車保険の概況)(2025年3月31日発表)
- 日本損害保険協会「風水雪災等による損害を補償する損害保険」(2026年9月6日発表)
- 国税庁 No.8016「自然災害により自動車に被害を受けた場合の自動車重量税の還付制度」(2026年9月6日発表)
- 熊本県「自動車が水没された方への税の減免のご案内」(2026年7月31日発表)
更新履歴
- 2026年9月6日 初版を公開
※本記事は2026年9月6日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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