🗨️「重ねるハザードマップで液状化を調べました。色を見れば、その土地が危ないかどうか分かりますか」
一枚では決まりません。重ねるハザードマップの液状化は全国版と県別の二枚があって、作り方そのものが違います。同じ住所で見比べると、全国版ではいちばん上の区分なのに県別では上から二番目、逆に全国版が真ん中で県別が最上位、という地点が出てきました。
[不動産] この記事の要点
2026年9月19日 発表
- 土地や中古住宅を探していて、重ねるハザードマップで液状化の色を確かめた人
- 液状化の色が付いていなかった、または隣の区画と色が分かれていて、意味が読み取れなかった人
- 別の県に住む家族の家と色を見比べて、どちらが安全かを判断しようとした人
液状化の地図は、二枚あります
重ねるハザードマップで液状化を調べて、色を確かめて、それで終わりにする。私も最初はそうでした。あのサイトに入っている液状化の図は、一枚ではなく二枚あります。
| 全国版 | 県別 | |
|---|---|---|
| 正式名称 | 地形区分に基づく液状化の発生傾向図 | 都道府県液状化危険度分布図 |
| メニューのどこにあるか | 土地の特徴・成り立ち | 液状化 |
| もとにしているもの | 土地の成り立ち(地形) | 都道府県が実施した地震被害想定調査 |
| 想定する地震 | 特定の地震を想定しない | 県が想定した地震がある |
| 区分 | 5段階(全国共通) | 県ごとに違う |
違うのは名前ではなく、作り方のほうです。片方は土地の成り立ちを並べた図、もう片方は県が想定した地震で計算した図です。同じ住所でも答えが一致するとは限りません。
ややこしいのは置き場所です。全国版は「液状化」のメニューには入っていません。「土地の特徴・成り立ち」のほうに置かれています。液状化を調べに来た人が「液状化」だけを開くと、県別の一枚しか見ずに画面を閉じます。
液状化のところを開いたら、うちには色が付いていませんでした。それで終わりでいいですか
もう一枚あります。「土地の特徴・成り立ち」の中に、全国どこでも塗ってある図が別にあります
地図で調べたあと、家に置いておくもの
色がついていても、白でも、家に置くものは変わりません。自治体の備蓄は数日分が前提なので、最初の3日をしのぐ分は各家庭で持っておくものとされています。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
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全国版は、地形の名前で塗ってあります
全国版の凡例を開くと、たぶんいちばん驚くのはここです。数字が一つも出てきません。
| 色 | 区分の名前 |
|---|---|
| 紫 | 埋立地や旧河道など |
| 赤 | 干拓地や自然堤防など |
| 橙 | 緩勾配の谷底低地、緩勾配の扇状地など |
| 黄 | 急勾配の谷底低地、急勾配の扇状地など |
| 灰 | 山地や丘陵など |
上から順に、液状化の発生傾向が強いとされる並びです。国土交通省はこの図をこう説明しています。
地形が示す一般的な地盤特性に対応した相対的な液状化の発生傾向の強弱を5段階区分で表したものであり、明確な境界線を示したものではありません
国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向図等」
何がどれくらい起きるかを計算した図ではなく、そこがどういう成り立ちの土地かを並べた図です。特定の地震を想定していません。後半の「明確な境界線を示したものではありません」は、あとでもう一度出てきます。
特定の地震を想定しないほうが正直だと、私は考えています。2024年1月の能登半島地震で、宅地の液状化被害は新潟・富山・石川の三県で約1万5千件と推定されました(国土交通省が2024年3月1日に公表した、2月28日時点の推定値)。いちばん多かったのは、震源に近い石川県ではなく新潟県で、約9,500件です。
県別は、県ごとに物差しが違います
もう一枚の都道府県液状化危険度分布図は、国が作った図ではありません。国土交通省の説明は「都道府県が実施した地震被害想定調査等の液状化危険度分布図を収集しました。」。集めたもの、と書いてあります。
そして、集めた側の国が、こう断ってあります。
都道府県ごとに地震環境は異なり、想定する地震の位置・規模や震度、また、液状化危険度の評価手法や凡例(液状化危険度の表示方法)も異なります。
国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向図等」
評価手法も凡例も違う、と国自身が書いています。表に出てくるPL値(ピーエルち)は、液状化のしやすさを計算で点数にしたものです。四県ぶん並べます。
| 県 | 凡例の分け方 |
|---|---|
| 千葉県 | 高い/やや高い/低い/極めて低い/判定対象外(言葉で5区分) |
| 石川県 | 高い/やや高い/やや低い/低い/ほとんどない(言葉で5区分。千葉県と区分名が違う) |
| 東京都 | PL値10以上/7〜10/5〜7/0〜5/0(数字で5区分) |
| 熊本県 | PL>15.0(高い)/5.0<PL≦15.0(ある)/0.0<PL≦5.0(低い)/PL=0(可能性はない)(数字で4区分) |
言葉で分ける県と、数字で分ける県があります。数字のほうを二つ並べると、もっとはっきりします。
点数は大きいほど液状化しやすいという意味です。東京都は10以上がいちばん上の区分、熊本県は15を超えたところがいちばん上。点数が12の土地は、東京都の図ならいちばん上、熊本県の図なら上から二番目になります。
県ごとに想定する地震が違うので、同じ土地の点数が県をまたいで同じ数字になるわけでもありません。要するに県別の図の色は、県をまたいで比べられないということです。別の県に住む親の家と色を見比べる読み方はできません。
PL値って、数字が大きいほど危ないということですか
その向きで合っています。ただ、どこで区切って何色にするかを決めているのは県なので、同じ点数でも県が変われば色が変わります
同じ住所で見比べると、順位が入れ替わります
では実際に、同じ地点で二枚を突き合わせるとどうなるのか。五つの住所で、画面に出た色をそのまま拾いました。
| 地点 | 全国版 | 県別 |
|---|---|---|
| 千葉県浦安市 今川 | 埋立地や旧河道など(いちばん上) | やや高い(上から2番目) |
| 東京都江戸川区 葛西 | 干拓地や自然堤防など(上から2番目) | PL値10以上(いちばん上) |
| 熊本県熊本市南区 | 緩勾配の谷底低地など(上から3番目) | PL値15超=可能性が高い(いちばん上) |
| 石川県金沢市 粟崎 | 埋立地や旧河道など(いちばん上) | やや高い(上から2番目) |
| 石川県内灘町 大根布 | 干拓地や自然堤防など(上から2番目) | 高い(いちばん上) |
割れ方が一方向ではありません。浦安市今川は全国版のほうが上、熊本市南区は県別のほうが上。金沢市粟崎は全国版が最上位で県別は二番目、内灘町大根布は二枚とも上位でした。どちらが厳しめに出る、とは言えません。
片方だけ見て、安心も心配もできません。二枚とも開いて、二枚とも色を確かめる。この記事で伝えたいのはここです。
二枚で違ったら、どちらを信じればいいんですか
どちらも本当です。全国版は「どういう成り立ちの土地か」、県別は「県が想定した地震が来たらどうか」に答えていて、聞いている質問が違います
「可能性大」と「全くなし」が隣同士になる
土地を探している人が、実際にこう聞いています。
可能性大と全くなしの地区が隣になっていたりもするのですが、全くなしの地区はある程度心配は不要ですか?土地探しにあたり、液状化の可能性大のところは できれば避けるべきでしょうか?地盤改良などで変わりますか?
Yahoo!不動産「教えて!住まいの先生」に寄せられた質問
先に一つ確かめておきます。この質問に出てくる「可能性大」「全くなし」という言い方は、全国版の凡例にはありません。全国版は「埋立地や旧河道など」から「山地や丘陵など」までの地形名で分けているからです。この人が見ているのは、県別の図か、市町村が出しているほうの図です。
ただ、隣り合った地区で色が分かれること自体は、全国版でも起きます。町名でも丁目でもないところで色が変わります。気をつけたいのは、その変わり目が境界線ではないことです。全国版の色は250メートル四方のマス目ごとに、その中で面積の大きい地形から決めたもので、国土交通省も「明確な境界線を示したものではありません」と書いています。色が変わった線の上に、地面の性質の切れ目があるわけではありません。
では「全くなし」の側は安心していいのか。県別の図が言っているのは、県が想定した地震ではそう計算された、というところまでです。
最後の「地盤改良などで変わりますか」には、この記事では答えを出しません。工法と地盤の組み合わせで結果が変わるところで、確かめられる一次情報が手元にないからです。
色が付いていない場所もあります
県別の図には、もう一つ引っかかるところがありました。県内のどこでも見られるわけではない、という点です。
47都道府県ぶんの県別の図を、それぞれの県庁所在地で表示してみました。全国版は47すべて、県別は46で表示され、出てこなかったのは山口県です。山口市と下関市では出ず、宇部市・周南市・岩国市では出ました。県別の図は、その県のどこでも見られるわけではありません。県が作っていないという意味かどうかは、この確認からは分かりません。
色そのものが無い場所もあります。熊本県の図では、宇城市(うきし)の三か所と八代市の中心部に色が付いていませんでした。図のデータ自体はあって、周囲には色が付いています。すぐ隣の氷川町には、下から二番目の区分(0.0<PL≦5.0=低い)にあたる水色が入っていました。なぜその範囲だけ色が無いのかは、図の上からは読み取れません。
色が無い場所は、安全だと言われた場所ではなく、まだ何も言われていない場所です。同じことは浸水の地図でも起きていて、「ハザードマップ、気にしすぎでしょうか」——色のない場所から、被害報告の55.7%が届きましたでは、色の付いていない場所から届いた被害報告が半分を超えていました。
うちの県の図が出てこないんですが、作られていないということですか
そこまでは分かりません。重ねるハザードマップに出ていない、というところまでが確かめられたことです。県や市のサイトに別の形で載っていることもあります
住所から出せるのは、色が付いた理由のほうです
ここで一つ、正直に書いておきます。当サイトの災害リスク診断は、液状化の危険度を返しません。出るのは標高、土石流、がけ崩れ、地すべり、洪水と津波の浸水想定、それに地盤の情報です。
ただ、その地盤の情報に、この記事と直接つながるものが入っています。微地形区分(その土地がどういう地形に分類されているか)と、地盤の増幅率、AVS30(エーブイエス30。地表から30メートルまでの平均S波速度で、地盤の硬さの目安)です。
全国版の液状化の図は「地形区分に基づく」図でした。つまり微地形区分は、あの色を決めた材料そのものです。液状化の答えそのものは出ませんが、全国版が何を見てその色を塗ったのかは、住所から出せます。
揺れのほうは別の話で、同じ地盤でも震源との関係で変わります。そちらは活断層Sランク 31と32、数え方で変わるに書きました。数え方が資料によって違う、という点では液状化の二枚と根が同じです。
私はこう読みました
二枚あるのは制度の不備だと、私は思っていません。二つの違う質問に別々に答えているからです。地形の分類は、調査をやり直しても大きくは動きません。県の想定地震は、調査をやり直せば変わります。片方は土地そのものの性質、もう片方は、その県が今どう見積もっているかという時点の話です。
困るのは、その二枚が同じ「液状化」という言葉で呼ばれながら、別のメニューに分かれて置かれていることだと思います。だから読む側でやることは一つです。液状化を開いたら「土地の特徴・成り立ち」にも戻って、全国版も出す。色が違っていたら、それは矛盾ではなく、違う質問への答えが二つ並んでいる状態です。
よくある質問
Q. 全国版と県別で色が違いました。どちらを信じればいいですか。
A. どちらも本当です。全国版は地形から見た土地の性質、県別は県が想定した地震が来たときの計算結果で、答えている質問が違います。五地点で見比べたところ、全国版のほうが上位になる地点と、県別のほうが上位になる地点の両方がありました。
Q. 別の県の図と色を見比べてもいいですか。
A. 比べられません。凡例が県ごとに別物です。東京都はPL値10以上が最上位、熊本県は15を超えたところが最上位で、区切る数字そのものが違います。言葉で分けている県もあります。
Q. 全国版で「埋立地や旧河道など」と出ました。うちが埋立地ということですか。
A. その250メートル四方に当てはめられた地形区分の名前です。敷地を一つずつ調べた結果ではないので、同じマス目の中でも場所によって成り立ちが違うことがあります。
Q. 県別の図が表示されません。
A. 47都道府県の県庁所在地で試したところ46で表示され、山口県では山口市・下関市で表示されませんでした(宇部市・周南市・岩国市では表示)。県や市のサイトに別の形で載っていることがあります。
生活・仕事にどう効くか
- 県をまたいで色を比べたとき:凡例が県ごとに別物。東京都はPL値10以上が最上位、熊本県は15を超えたところが最上位で、区切る数字そのものが違う。言葉で分けている県もある。
- 県別の図が表示されないとき:47都道府県の県庁所在地で表示を試したところ46で表示され、山口県では山口市・下関市で表示されなかった(宇部市・周南市・岩国市では表示)。県内のどこでも見られるわけではない。
- 色が付いていなかったとき:熊本県の図では、宇城市の3か所と八代市の中心部に色が付いていなかった。図のデータ自体はあり、隣の氷川町には色が入っている。なぜ色が無いのかは図の上からは読み取れない。
結局どうすればよいか
- 「液状化」のメニューだけで終わらせず、「土地の特徴・成り立ち」の中にある全国版も開いて、二枚とも色を確かめる
- 県別の図は凡例を先に開いて、その県が何を基準に何段階で分けているかを見る。別の県の色とは比べない
- 全国版で色が付いていた理由を知りたいときは、その土地の微地形区分を住所から確かめる
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 国土交通省 ハザードマップポータルサイト「重ねるハザードマップ」
- 国土交通省「盛土・宅地防災:地形区分に基づく液状化の発生傾向図等」
- 重ねるハザードマップ 表示レイヤ定義ファイル(hazardconfig.txt)
- 新潟日報「能登半島地震による宅地の液状化被害」(国土交通省が2024年3月1日に公表した、2月28日時点の推定値)
- Yahoo!不動産 教えて!住まいの先生「防災ハザードマップで、液状化の可能性が大 の地区の場合、新築時に地盤調査して地盤改良しても液状化するのでしょうか?」
更新履歴
- 2026年9月19日 初版を公開
※本記事は2026年9月19日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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