桑名市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は12か所です。
名前を並べると、途中で毛色が変わります。アンダーパス、アンダーパス、と続いたあとに、下深谷交差点、蛎塚交差点、坂の下交差点。3か所は、くぐる道ではなく平らな交差点です。
この記事でわかること
- ✓ 12か所のうち8か所がアンダーパス、3か所は平面の交差点です
- ✓ 堤防や川ぎわを横切る道が3か所あり、これは桑名だけの形です
- ✓ 内水の地図は水防法に基づくもので、重要事項説明の対象です
箇所の数・種別・住所は国土交通省 中部地方整備局「道路冠水注意箇所」三重県239か所と、箇所ごとの説明表12枚から数えました。地図の条件は桑名市上下水道部下水道課のページと市のQ&AのPDF、標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIです。
12か所のうち3か所は、くぐる道ではありません

三重県の一覧は239か所。松阪市27、津市22と続いて、桑名市は12か所で県内10番目です。
12か所のうち8か所に「アンダーパス」が付いています。残りのうち3か所は下深谷交差点、蛎塚交差点、坂の下交差点。掘り下げた道ではなく、平らな交差点です。最後の1か所は国道258号の桑名市安永で、名称の欄にも「桑名市安永」とだけ書かれていて、固有の名前がありません。
くぐる相手も分かれます。鉄道が3か所で、近鉄が1つ、JRと近鉄が重なるところが1つ、養老鉄道が1つ。道路の下が2か所です。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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堤防を横切る道が3か所あります
残る3か所が、この市の特徴です。中堤アンダーパス、揖斐川右岸アンダーパス、大山田川左岸アンダーパス。鉄道でも道路でもなく、堤防や川ぎわを横切る道です。
桑名は木曽三川の河口の市です。堤防が街のあちこちを走っていて、その下を人や車が通るための道が開いています。ほかの市を同じ手順で数えてきましたが、「◯◯川右岸」「◯◯川左岸」という名前が3つ並ぶのは桑名だけでした。この3か所も管理者は分かれていて、中堤は三重県、あとの2つは市です。
標高はマイナス1.4メートルから55メートルまで開きます

12か所の住所を国土地理院の標高データに通すと、いちばん低いのが国道23号アンダーパス(小貝須)のマイナス1.4メートル。いちばん高いのが播磨の55.0メートルでした。
| 管理番号 | 区分 | 名称 | 住所 | 標高 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県-02-005 | 市道 | 国道23号アンダーパス | 小貝須字柳原442番地付近 | -1.4m |
| 三重県-02-006 | 市道 | 揖斐川右岸アンダーパス | 上之輪新田字北三反割872番地1付近 | 0.6m |
| 三重県-02-004 | 県道 | 中堤アンダーパス | 上の輪新田707番地付近 | 1.6m |
| 三重県-02-096 | 県道 | 桑名東員JR・近鉄アンダーパス | 東方618番地付近 | 2.6m |
| 三重県-02-097 | 県道 | 桑名東員養老鉄道アンダーパス | 東方1149番地付近 | 3.7m |
| 三重県-02-002 | 国道258号 | (名称なし) | 安永 | 4.0m |
| 三重県-02-003 | 県道 | 桑名川越近鉄アンダーパス | 東金井1172番地付近 | 6.0m |
| 三重県-02-010 | 市道 | 蛎塚交差点 | 蛎塚新田字助右エ門893番地2付近 | 14.4m |
| 三重県-02-008 | 市道 | 国道258号アンダーパス | 下深谷部字長侭4907番地6付近 | 16.2m |
| 三重県-02-009 | 市道 | 下深谷交差点 | 下深谷部字山之原429番地2付近 | 33.0m |
| 三重県-02-007 | 市道 | 大山田川左岸アンダーパス | 播磨字宮西356番地2付近 | 55.0m |
| 三重県-02-011 | 市道 | 坂の下交差点 | 播磨字西新田1146番地付近 | 55.0m |
住所は説明表のもの。番地まで定まったのは2か所で、ほかは字か町名の代表点です。播磨の2つが同じ値なのはそのためで、「坂の下」の道はこれより低くなります。
標高4メートル以下が6か所、10メートルを超えるのが5か所。同じ市の中で、56メートルの開きがあります。
国と県と市の、3つが管理しています
説明表の管理者の欄を数えると、三重河川国道事務所が1か所、三重県桑名建設事務所が4か所、桑名市が7か所。道路の区分も国道1・県道4・市道7で、同じ配分です。
読む側にとっては小さな話ではありません。冠水している道を通報するとき、かける先が箇所ごとに変わるからです。国道258号の安永なら国、中堤アンダーパスなら県、揖斐川右岸なら市です。警察は12か所とも桑名警察署、消防は桑名市消防本部です。
内水の地図は、重要事項説明の対象です
桑名市の雨水出水浸水想定区域図は、水防法第14条の2第2項に基づいて公表されています。この条文に基づくものは、不動産の売買や賃貸のときに宅地建物取引業者が説明する対象です。
ここが分かりにくいところで、市が出しているQ&Aの1問目がそのまま答えになっています。「内水浸水想定区域図の中で、一定の要件を満たした水防法に基づいたものが雨水出水浸水想定区域図です」。内水のハザードマップがあることと、それが重要事項説明の対象であることは別なのです。
桑名市は対象のほうです。地図は全体図のほかに8枚に分けて置かれています。これとは別に「内水浸水実績マップ」もあって、平成24年度以降に市へ報告のあった道路冠水・床上浸水・床下浸水が載っています。想定の地図と、実際に起きたことの地図の2枚です。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
1時間147ミリの出どころは、2008年の岡崎市です
この地図が想定している雨は1時間147ミリで、およそ1000年に一度の雨とされています。同じ数字を三重県四日市市も静岡県焼津市も使っていて、国が全国を降り方の似た15の地域に分けて決めた値だからです。
桑名市は、その147ミリがどこから来たのかまで書いています。Q&Aの5問目です。「147mm/h、1,000年に1回程度の雨です。近傍では、2008年の岡崎市降雨が時間雨量147mmを記録しました」。
岡崎市の浸水実績図には「岡崎市内で観測史上最大の時間雨量146mmを記録した平成20年8月末豪雨」と書かれています。1ミリ違いますが、指しているのは同じ雨です。1000年に一度として置かれた数字は、隣の県で実際に降った雨でした。
ポンプは止まり、樋門は閉まっている条件で計算しています

Q&Aは全部で29問。この連載で見てきた中ではいちばん細かい説明です。
2問目と3問目。「シミュレーションでは、ポンプは停止している設定となっています」「樋門は閉まっている設定となっています」。雨は降っていて、ポンプは動かず、川へ出る扉は閉じている。いちばん悪い側で計算してあります。一方で堤防からの越水、高潮、津波、1級河川と2級河川はモデルに入っていません。
そして19問目に、この連載が毎回ことわってきたことが、市の言葉で書かれていました。「地盤高データは、作成時点で最新である国土地理院のデータ(2016年)を使用しています。地盤高データはあくまでも平均値となっているため、局地的なくぼ地や盛土などの微細な地形を表現できていない場合があります」。上の表の標高も、同じ性質のものです。
水に入ってしまった車から出るまで


桑名の12か所のうち8か所は、掘り下げた道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。通れているという感覚が、いちばん危ないところです。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。水深がひざ下でも、流れがあれば大人は歩けません。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 四日市市 冠水 どこが危ないの?(三重県) 7つの地区は内水の地図の対象外です
- 津市 冠水 どこが危ないの? 県内239か所の半分は、くぐる道ではありません(三重県)
- 岡崎市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 桑名市が名指しした2008年の雨が降った市です
- 大垣市 冠水 どこが危ないの? 県の一覧は17か所です(岐阜県)
- 津島市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 10か所とも標高がマイナスから0.1メートルの市です
この記事のまとめ
桑名市で道路が冠水しやすい場所は12か所です。8か所がアンダーパスで、下深谷・蛎塚・坂の下の3か所は平面の交差点。中堤・揖斐川右岸・大山田川左岸の3か所は堤防や川ぎわを横切る道で、この形が3つ並ぶのは桑名だけでした。管理者は国1・県4・市7に分かれます。
標高はマイナス1.4メートルから55.0メートルまで。市の雨水出水浸水想定区域図は水防法第14条の2第2項に基づくもので、重要事項説明の対象です。想定する雨は1時間147ミリで、市はその出どころを「2008年の岡崎市降雨」と書いています。
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