🗨️「フェスの音が15キロ先まで聞こえたって、そんなことある?」
あります。9月6日に栃木県真岡市の井頭公園で開かれたベリテンライブ2026Specialで、約15キロ離れた宇都宮市内などから60件の苦情が寄せられました。主催のエフエム栃木は9月10日に「当日の気象等の影響により想定以上に広範囲に音が拡散し」とお詫びを出しています。環境省のマニュアルにも、風向と気温の条件しだいで音圧レベルが20〜30デシベル変わると書かれています。
[科学] この記事の要点
2026年9月12日 発表
- 大きな音が出るイベント会場の近くに住んでいる人
- 自宅にどこからか重低音が届いて原因が分からない人
- 屋外イベントを企画する側の人
会場から北西へ15キロ、苦情は60件
数字を先に並べます。前日の5日は苦情が1件、当日の6日は60件。差は59件です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日にち | 2026年9月6日(日) |
| 会場 | 井頭公園運動広場(栃木県真岡市) |
| 苦情 | 60件(前日の5日は1件) |
| 時間帯 | 午後0時半ごろ〜午後7時ごろ |
| 届いた距離 | 約15キロ(北西方向) |
| 音量 | 主催者は「100デシベル以下」で開催したと説明 |
主催のエフエム栃木は9月10日、公式サイトに「当日の気象等の影響により想定以上に広範囲に音が拡散し、多くの皆様にご迷惑をおかけする結果となってしまいましたことを心よりお詫び申し上げます」と掲載しました。
単純に計算すると、15キロ先には届かないはずです
音は広がるほど弱くなります。日本建設業連合会の解説によると、点音源なら距離が2倍になるごとに音圧レベルは6デシベル下がります。
1メートルの地点で100デシベルだったとすると、2メートルで94、4メートルで88……と落ちていきます。15キロ=15,000メートルは1メートルの約2の13.9乗倍なので、単純計算では80デシベル以上減る計算になります。空気や地面に吸われるぶんも加わるので、本来なら聞こえません。
それでも届いた。ここに気象が入ってきます。
環境省の資料に「20〜30デシベル変わる」と書いてあります
環境省の「低周波音の測定方法に関するマニュアル」は、発生源から数キロ以上離れた地点について、こう書いています。
「風向きや風速の違いで20〜30dBも音圧レベルが異なる場合がある」。さらに「若干の逆転(地表より上空の温度が高い)の条件で音が伝わりやすい」「そのため朝晩や夜間、日中でも曇天の場合にしばしば大きな音が観測される」。
今回は日曜の昼から夜にかけての出来事です。「日中でも曇天なら起きる」という一文が、そのまま当てはまります。
なぜ音が「下に戻ってくる」のか
農林水産省の騒音に関する資料に、仕組みが書かれています。音の速さは気温で変わり、毎秒331.5+0.61×気温(℃)メートル。つまり暖かい空気の中ほど、音は速く進みます。
ふだんは上空ほど気温が低いので、音は上へ逃げていきます。ところが上空に暖かい空気がとどまる「接地逆転層」ができると、上のほうが速く進むぶん音の進行方向が下向きに曲がり、遠くの地面に届きやすくなります。
もうひとつ。同じ資料は「周波数が高い方が回折による減衰量は大きく、逆に超低周波音は回折減衰量が小さい」としています。低い音は建物で遮りにくい、ということです。遠くで聞こえるのが決まって「ドンドン」という重低音なのは、これが理由です。

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