国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、和歌山県全体で16か所しかありません。そのうち和歌山市が5か所です。
少なすぎて拍子抜けしそうになりますが、その5か所の説明表を開くと話が変わります。5か所とも排水ポンプと水位センサーが入っていて、そのうち4か所には「平成16年度以降に冠水実績あり」と書かれています。
この記事でわかること
- ✓ 和歌山県の道路冠水注意箇所は16か所。京都府113・千葉県95・石川県127・福岡県148と比べると桁が違う
- ✓ 16か所すべてが鉄道か国道の下。JRきのくに線8・JR和歌山線4・南海電鉄本線2・国道2
- ✓ 和歌山市の5か所は標高2.6〜3.1メートル。いちばん高い所と低い所の差が0.5メートルしかない
箇所数は国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【和歌山県】」を1行ずつ数えたものです。設備と冠水実績は、リストの⑦列に付いている個別箇所説明表のPDFを5件すべて開いて読み取りました。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
和歌山県は16か所しかない

| 市町 | 箇所数 |
|---|---|
| 和歌山市 | 5 |
| 那智勝浦町 | 3 |
| 紀の川市 | 2 |
| 橋本市 | 2 |
| 岩出市 | 1 |
| 有田市 | 1 |
| みなべ町 | 1 |
| 海南市 | 1 |
8市町で16か所。道路の区分は市道7・県道6・町道3です。
同じ様式で作られたほかの県と並べると、差がはっきりします。京都府113か所、千葉県95か所、石川県127か所、福岡県148か所、熊本県157か所。この記事のシリーズで数えた県のなかで、和歌山県がいちばん少ないということになります。
読者
16か所しかないなら、和歌山は道路が浸からないということですか
そうは読めません。このリストは鉄道や道路をくぐる道の名簿に近いもので、そういう道が少なければ数も少なくなります。和歌山市の5か所は、5か所とも実際に機械で見張られていて、4か所には冠水した記録が書かれています
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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16か所すべてが「鉄道か国道の下」
この県のリストには、町名だけの箇所が1つもありません。16か所とも、くぐる相手の名前が入っています。
| くぐる相手 | 箇所数 |
|---|---|
| JRきのくに線 | 8 |
| JR和歌山線 | 4 |
| 南海電鉄本線 | 2 |
| 国道(24号・42号) | 2 |
形も3つに割れます。アンダーパス6・地下道5・高架下5。県内のどこであっても、載っているのは「線路か国道の下をくぐる道」だけです。

和歌山市の5か所は、5か所とも機械が見ている

| 場所 | 道路 | 備考に書かれている設備 | 冠水実績 |
|---|---|---|---|
| JRきのくに線 田中町アンダーパス | 県道鳴神木広線 | 排水ポンプ・警報情報板・CCTV(シーシーティーブイ=監視カメラ)・水位センサー | 平成16年度以降にあり |
| JRきのくに線 中島アンダーパス | 県道和歌山海南線 | 排水ポンプ・警報情報板・CCTV・水位センサー | 平成16年度以降にあり |
| 南海電鉄本線 粟アンダーパス | 県道善明寺北島線 | 排水ポンプ・CCTV・水位センサー | 平成16年度以降にあり |
| JRきのくに線 手平地下道 | 市道手平新中島線 | 排水ポンプ・警報情報板・水位センサー | 平成16年度以降にあり |
| 南海電鉄本線 市小路地下道 | 市道市小路栄谷2号線 | 排水ポンプ・水位センサー | 記載なし |
5か所とも排水ポンプと水位センサーが入っています。CCTV(シーシーティーブイ=監視カメラ)が3か所、警報・情報板が3か所。
そのうえで、4か所に「平成16年度以降に冠水実績あり」。ポンプが付いているから浸からない、という順番にはなっていません。付いているのは、実際にたまってきたからです。
説明表には「平成16年度以降」としか書かれていません。何年に何回だったかは書かれていないので、この記事でも回数は書きません。
5か所の標高は2.6メートルから3.1メートル

5か所の住所を国土地理院の標高データで引くと、こうなりました。
| 場所 | 住所 | 参考標高 |
|---|---|---|
| 中島アンダーパス | 中島521 | 2.6m |
| 市小路地下道 | 市小路245番地先 | 2.7m |
| 田中町アンダーパス | 田中町5丁目地先 | 3.1m |
| 手平地下道 | 手平2丁目346番2地先 | 3.1m |
差は0.5メートルしかありません。同じ手順で調べた越谷市が3.5メートル、久留米市が8.1メートル、新潟市が10.7メートル、福岡市が51.6メートル、京都市が339.6メートルですから、和歌山市の5か所はほとんど同じ高さに並んでいることになります。
市の中心部が平らで、そこに線路が通っていて、その下をくぐる道が5本ある。この5本は、市街地の高さそのものです。
粟アンダーパス(粟131-3)は、住所検索が「粟131番地」を返して入力と一致しなかったので、標高の表から外しています。標高は住所検索で得た代表点の値で、地点そのものの標高ではありません。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市の内水ハザードマップは、重要事項説明の対象になった
くぐる道の5か所とは別に、和歌山市は市全体の内水ハザードマップを出しています。ここに大事な変化がありました。
水防法第14条の2第2項の規定に基づき指定・公表した、雨水出水浸水想定区域に対応する内水ハザードマップを作成しました
対象降雨を既往最大降雨(1時間あたり122.5mm)から想定最大規模降雨(1時間あたり147mm)へ引き上げました
想定する雨が1時間122.5ミリから147ミリへ変わりました。そして、この変更でもう1つ効いてくることがあります。
このハザードマップは、水防法第15条第3項に基づく「内水ハザードマップ」となります
宅地建物取引業者は水防法施行規則第11条第1号の規定により、市町村が提供する図面に当該宅地または建物の位置が表示されているときは、重要事項説明として説明しなければなりません
家を買うとき・借りるときに、不動産会社が説明しなければならない図になった、ということです。
ここは市によって扱いが違います。同じシリーズで調べた千葉県松戸市は、想定を1時間71ミリから153ミリへ引き上げていますが「水防法第15条第3項の規定に基づくハザードマップではありません」と市自身が書いています。習志野市は昭和50年の1時間71.0ミリのままで、こちらも法律に基づくものではありません。
この住所は浸水しやすい場所ですか
和歌山市の場合、内水・洪水・高潮・津波とハザードマップが分かれています。自分の住所について1枚ずつ開くのは、けっこうな手間になります。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

和歌山市の5か所は、すべて線路の下です。下り坂から入って上り坂で出る形なので、たまった水は上から見ると平らになります。入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。箇所の数より、市が何を書いているかのほうが差になります。
- 京都市 冠水 どこが危ないの? 44か所のうち34か所は、線路の下をくぐる道です
- 宮崎市 冠水 どこが危ないの? 16か所のうち5か所は、地先名が「ポンプ場」です
- 松戸市 冠水 どこが危ないの? 市の想定が1時間71ミリから153ミリに変わりました
- 越谷市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは3か所だけ
この記事のまとめ
- 国の道路冠水注意箇所で、和歌山県は16か所。和歌山市は5か所
- 16か所すべてが鉄道か国道の下。JRきのくに線8・JR和歌山線4・南海電鉄本線2・国道2
- 形はアンダーパス6・地下道5・高架下5に割れる
- 和歌山市の5か所は、5か所とも排水ポンプと水位センサーが入っている
- そのうち4か所に「平成16年度以降に冠水実績あり」と書かれている
- 住所が一致した4か所の参考標高は2.6〜3.1メートル。差は0.5メートル
- 市の内水ハザードマップは、対象降雨を1時間122.5ミリから147ミリへ引き上げた
- そのうえで水防法第15条第3項に基づくハザードマップになり、宅地建物取引業者の重要事項説明の対象になった
公式出典
- 国土交通省 近畿地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【和歌山県】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表 和歌山県-02-001〜005
- 和歌山市「和歌山市内水ハザードマップ」
- 和歌山市「洪水ハザードマップ」
- 松戸市「松戸市内水ハザードマップ(令和7年4月版)」/習志野市「内水ハザードマップ」
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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