「金沢市 冠水」と検索窓に入れると、いちばん上に出てくる続きの言葉が「どこ」です。その答えは、石川県が公開している台帳のなかにあります。
石川県内で道路が冠水しやすいとされている場所は127か所。そのうち42か所が金沢市内で、県全体の3分の1が1つの市に集まっています。
そして金沢市が管理する20か所については、1か所ごとに台帳が公開されていて、そこにこういう欄があります。「1m以上の冠水の有無」。20か所のうち13か所が「有」でした。
この記事でわかること
- ✓ 石川県127か所のうち42か所が金沢市内。金沢市が管理する20か所には1か所ずつ台帳がある
- ✓ 台帳の「1m以上の冠水の有無」が「有」なのは20か所中13か所。排水ポンプは19か所にある
- ✓ 施設名が現地に表示されていない箇所が12か所。名前を知らないと調べようがない
箇所数は石川県「道路冠水想定箇所一覧」(道路管理者別)を1行ずつ数えたものです。1か所ごとの内容は、一覧に付いている台帳PDFを20件すべて開いて読み取りました。標高は台帳の地先名を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
石川県の127か所のうち、42か所が金沢市
石川県の一覧は、道路管理者ごとに並んでいます。金沢市内にあるのは次の4つのかたまりです。
| 管理者 | 道路 | 箇所数 |
|---|---|---|
| 金沢市 | 市道・幹線市道 | 20 |
| 金沢河川国道事務所 金沢国道維持出張所 | 国道8号 | 16 |
| 石川県 県央土木総合事務所 | 県道・国道359号 | 5 |
| 金沢河川国道事務所 金沢国道維持出張所 | 国道159号 | 1 |
あわせて42か所。県内でこれに並ぶのは白山市の20か所と小松市の11か所で、金沢市の多さは飛び抜けています。
ただし、国道8号の16か所の台帳は古い様式で、「1m以上の冠水の有無」の欄そのものがありません。以下は金沢市が管理する20か所の話です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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「1メートル以上つかる」と書かれた13か所

台帳には「1m以上の冠水の有無」という欄があります。20か所を数えると、こうなりました。
| 1m以上の冠水の有無 | 箇所数 |
|---|---|
| 有 | 13 |
| 無 | 6 |
| 記載なし(古い様式の台帳) | 1 |
「有」の13か所は、横枕交差地下道、疋田交差地下道、金腐川交差地下道、三池第1・第2交差地下道、千木アンダー、法光寺交差地下道、柳橋交差地下道、神野交差地下道、米泉交差地下道、神田交差地下道、浅野町交差地下道、今町横断地下道です。
いっぽう「無」は6か所。示野南交差地下道、京町交差地下道、福久交差地下道、木越第1・第2交差地下道、千木町交差地下道です。
読者
1メートルというのは、どのくらい危ないんですか
車のドアは水深30センチほどで開けにくくなり、60センチでは車体が浮いて内側からも外側からも開かなくなります。1メートルは、乗ったまま入ったら出られない深さです。歩ける限界も50センチくらいまでといわれています
台帳の「冠水原因」の欄には、どの箇所にも同じ一文が入っています。「周辺レベルより低く、道路外からの雨水の流入」。まわりに降った雨が、掘り下げた一点に集まってくる、という意味です。

排水ポンプは19か所にある。それでも「1メートル以上」
ここが、この台帳を読んでいていちばん引っかかったところです。
「排水ポンプの有無」の欄を見ると、20か所のうち19か所が「有」でした。記載がないのは、古い様式の大和町交差地下道1か所だけです。
つまり、ポンプが付いている場所について、市はそれでも「1メートル以上つかることがある」と書いています。ポンプがあるから安全、ではありません。降り方によっては、汲み出す速さより落ちてくる速さのほうが勝ちます。
注意喚起の方法も台帳に書かれています。20か所のうち17か所には電光表示板と回転灯があり、残る3か所(大和町、京町10-33番先、今町ワ48-2先)は注意看板だけです。
情報をどうやって受け取るかも書いてあります。「センサー自動通報、行政関係者パトロール、委託業者、地域住民 等」。機械だけでなく、人が見に行くことが前提になっています。
12か所は、現地に名前が出ていない

台帳の施設名の横には、かっこ書きで「現地表示 有り」「現地表示 無し」と書かれています。数えると、有りが8か所、無しが12か所でした。
これは地味に効きます。「浅野町交差地下道」も「米泉交差地下道」も「木越第1交差地下道」も、現地に名前が出ていません。ニュースやSNSで「○○アンダーが冠水」と言われても、その名前を現地で見たことがなければ、自分がいつも通る道のことだと気づけません。
逆に、名前が出ている8か所は、横枕・疋田・金腐川・三池第2・法光寺・柳橋・三池第1・神田です。
標高を引くと、「低いところ」だけではない

20か所の地先名を国土地理院の標高データで引いてみました。いちばん低いのは木越町の0.2メートル。福久町2.2メートル、千木町2.6メートル、横枕町2.8メートル、今町2.9メートルと、低い場所が並びます。
ところが「1メートル以上」の13か所を見ると、そこに神谷内町61.6メートルと法光寺町63.1メートルが入っています。金沢城公園のそばの広坂一丁目が24.5メートルですから、その2倍以上の高さです。
標高60メートルを超える場所でも、掘り下げた地下道なら1メートル以上たまる。ここでも「低い土地だから冠水する」という説明は成り立ちませんでした。
標高は地先名の住所検索で得た代表点の値です。同じ町名のなかでも場所によって上下します。⚠️ 国土地理院の住所検索は、入力した地名が見つからないと近い別の場所を黙って返すことがあります。ここでは返ってきた住所が入力と一致したものだけを使っています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
金沢市の浸水実績図は、平成20年で止まっている
では、実際に浸かってきたのはどこか。金沢市は「浸水実績区域図」を公開しています。
対象は12回。平成3年6月29日から平成20年8月28日までで、平成18年4月18日から公開されています。ただしいちばん新しい図が平成20年8月28日で、そこから先がありません。
その代わり、水害ハザードマップのほうのよくある質問に、こう書いてあります。
水害ハザードマップには、平成20年度以降に、市民からの通報等により市で確認した浸水実績を掲載しています
つまり平成20年度までが「浸水実績区域図」、平成20年度以降が「水害ハザードマップ」と、2つの資料で時期を分担しています。片方だけ見ると、自分の町の履歴が抜けます。
そして、この図の読み方には大事な注意書きがあります。
浸水実績図は金沢市を50メートル×50メートルのマス目に区切り、そのマス目の中で道路冠水も含め浸水報告が1件以上あった場合にそのマス目を着色して示しており、着色部が全て浸水被害を受けた事を示すものではありません
マスの色は「1件以上の報告があった」という意味です。家が浸かったのか、道路に水がたまったのかは、この図からは区別できません。

浅野川で床上466戸が浸かった日
浸水実績区域図の12回のなかに、平成20年7月28日が入っています。この日、金沢では浅野川(あさのがわ)があふれました。
国土交通省 北陸地方整備局の資料には、こう書かれています。「浅野川中流部で床上466戸、床下1,410戸の浸水被害が発生した」。上流では土石流も起きて、床下浸水が1戸ありました。
このあと、平成21年度に緊急対策特定区間が設定され、JR橋の下流から浅野川大橋までの河道掘削が行われています。浅野川と支川の源太郎川の流域では、公共施設を使った貯留施設の整備も始まりました。
この住所は浸水しやすい場所ですか
金沢市の場合、浸水実績区域図と水害ハザードマップで時期が分かれていて、洪水と内水でも資料が違います。自分の住所について1枚ずつ確かめるのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。
割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。金沢市の台帳が13か所について「1m以上」と書いているのは、まさにこの深さのことです。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。台帳の書きぶりは県によってまるで違い、深さまで書いてあるのは石川県と新潟市くらいです。
- 新潟市 冠水 どこが危ないの? 288か所のうち、市が人を張り付けているのは31か所
- 久留米市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト9か所は、全部が線路か道路をくぐる道でした
- 磐田市 冠水 どこが危ないの?
- 越谷市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは3か所だけ
この記事のまとめ
- 石川県の道路冠水想定箇所は127か所。うち42か所が金沢市内で、県全体の3分の1
- 金沢市が管理する20か所には1か所ずつ台帳があり、「1m以上の冠水の有無」の欄がある
- 「有」は13か所、「無」は6か所、記載なしが1か所
- 排水ポンプは19か所にある。それでも13か所には「1m以上」と書かれている
- 注意喚起は17か所が電光表示板と回転灯、3か所は注意看板だけ
- 施設名が現地に表示されていないのは12か所
- 「1m以上」の13か所には、標高61.6メートルの神谷内町と63.1メートルの法光寺町が入っている
- 浸水実績区域図は12回分だが平成20年8月28日で止まり、そこから先は水害ハザードマップが引き継いでいる
- 実績図の色は50メートル四方のマスに報告が1件以上あったという意味で、被害の大きさではない
公式出典
- 石川県「道路冠水想定箇所一覧」および1か所ごとの台帳PDF(金沢市管理20か所を全件)
- 金沢市「浸水実績区域図が閲覧できます」「浸水実績区域図」(12回分・平成18年4月18日公開)
- 金沢市「水害ハザードマップに記載されている浸水実績は、いつ発生したものか教えてください」
- 金沢市「水害ハザードマップ アプリ版、PDF版」(2026年3月更新)
- 国土交通省 北陸地方整備局「平成21年度事業計画 参考資料(石川県)」浅野川広域河川改修事業
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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