滋賀県の水害は、海抜ゼロメートル地帯だけの話ではありません。琵琶湖の湖面は標高約84mにあり、湖岸の安土町下豊浦は87.6m、守山市水保町は86.7mです。それでも1896年の琵琶湖洪水は浸水が237日続き、床上・床下を合わせて58,391戸が浸水しました。野洲川では1953年に3か所が決壊しています。湖岸と川沿いは水害、湖西の高台は斜面と地震へ地図を切り替えます。
この記事でわかること
- ✓ 1896年の琵琶湖洪水は湖水位が基準水位+3.76mとなり、浸水期間は237日、床上35,627戸・床下22,764戸
- ✓ 安土町下豊浦87.6m、水保町86.7m、野洲市井口87.6m。標高の数字だけでなく、湖・河川・排水先との位置を見る
- ✓ 大津市比叡平1丁目は373.6m。洪水想定から離れても、土砂災害警戒区域と琵琶湖西岸断層帯の揺れを確認する
琵琶湖の水害は標高87mでも起きる 安土町下豊浦87.6m

2026年の地価公示の住宅地を国土地理院の標高APIで測ると、滋賀県232地点の中央値は101.7mです。湖東の安土町下豊浦87.6〜87.7m、近江八幡市江頭町86.7m、野洲市井口87.6m、守山市水保町86.7mは、海から見れば高くても琵琶湖面との高低差は数mです。
近江八幡市の「安土町下豊浦」は西の湖に面します。滋賀県の水害履歴には、1896年の琵琶湖洪水でこの地区が浸水した記録と水位標が残ります。「下」や「浦」の一字が危険を決めるのではありません。地名を見たら、西の湖・琵琶湖・水路のどこへ水が出る土地かを地図で確認します。

住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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明治29年の琵琶湖洪水 10日で1,008mm、浸水237日
滋賀県の明治29年琵琶湖洪水水害概要によると、1896年9月3日から12日までの10日間に1,008mm、7日だけで597mmの雨が彦根で降りました。琵琶湖の水位はBSL(ビーエスエル)+3.76mまで上がり、浸水期間は237日です。
| 被害 | 記録 |
|---|---|
| 死者・行方不明 | 死者29人、行方不明5人 |
| 負傷者 | 79人 |
| 住家の全壊・半壊 | 全壊3,000戸、半壊6,136戸 |
| 浸水 | 床上35,627戸、床下22,764戸 |
| 浸水期間 | 237日 |
川なら洪水の山が下流へ移動しますが、琵琶湖は巨大な器です。流れ込む水が増えると湖岸全体の水位が上がり、出口の瀬田川から流せる量にも限りがあります。だから滋賀の湖岸では「最大浸水深」に加え、「浸水継続時間」と排水先を確かめます。
1896年の被害は当時の地形・堤防・家屋で起きた実績です。現在の浸水想定図は別の降雨条件と地形データで計算されています。過去の被害線と現在の想定色を同じものとして扱わないでください。
野洲川は「近江太郎」 1953年は3か所決壊

野洲川は、昔から暴れ川として「近江太郎」と呼ばれてきました。琵琶湖河川事務所の最大規模降雨による浸水想定は、1953年の台風13号型の雨で野洲川が3か所決壊し、3人が亡くなった記録を示しています。
図では野洲川沿いだけでなく、湖岸の水保町や下豊浦にも0.5〜3mなどの色が広がります。これは1953年の実績を塗ったものではなく、想定最大規模の洪水計算です。川名を見つけたら、本川だけでなく支川、旧河道、排水路、堤防のどちら側かを確認します。
読者
滋賀は海がなく、住宅地も標高80m以上です。水害は小さいのでしょうか。
海抜ではなく、周囲の湖・川との高低差で見ます。湖岸の87mは琵琶湖面より数m高いだけです。水害の種類も、河川洪水、琵琶湖の水位上昇、内水に分けて確認します。
比叡平373.6mは洪水より土砂と地震を見る
大津市比叡平1丁目は373.6mで、湖岸より約287m高い住宅地です。標高が上がれば琵琶湖の氾濫から離れますが、安全確認は終わりません。滋賀県の土砂災害警戒区域で斜面と谷筋を、防災情報マップで土砂・洪水・地震を切り替えます。
県の県内で起こりうる地震想定は、琵琶湖西岸断層帯をM7.8、最大震度7としています。被害想定のケース2では全壊38,504棟、半壊83,856棟、死者は季節・時刻などの条件別で最大2,182人です。これは将来の被害を断定する予言ではなく、防災計画のための条件付き想定です。
滋賀の災害をもう一段深く見る
- 徳島の「島」と「浦」川の中州・海辺・山で見る災害を切り替える
- 浸水想定区域とは?色、深さ、想定条件の読み方を整理
- 土砂災害警戒区域の見方湖西の斜面や谷筋を確認する
自分の住所で見る順番
- 琵琶湖岸は洪水浸水深、浸水継続時間、内水を分けて開く
- 野洲川沿いは本川・支川・旧河道、堤防、避難先までの経路を見る
- 湖西や丘陵は洪水の色が切れた後、土砂災害警戒区域と断層の揺れへ切り替える
- 最後に現地で水路、橋、擁壁、斜面、夜間の避難路を歩く
地名は結論ではなく、開く地図を選ぶ索引です。滋賀では「湖」「川」「平」「谷」を手掛かりに、洪水・内水・土砂・地震を住所1点で重ねてください。
この記事の集計条件と出典
標高は国土地理院の標高APIと数値標高モデル(DEM5Aを優先し、欠測部を10mメッシュで補完)による地表の高さです。建物や堤防の高さは含みません。住宅地の集計は国土数値情報「地価公示」2026年の滋賀県232地点を対象にしました。洪水図は国土地理院「重ねるハザードマップ」の配信タイルを使い、2026年9月6日に作成しています。想定や区域は更新されるため、契約・避難計画では市町の最新版も確認してください。
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