🗨️「伊豆大島でそんなに降っているんですか」
9月6日20時30分のアメダスで、大島の3時間降水量は92.5ミリ。この時刻に全国でいちばん多い値です。24時間では292.5ミリになりました。この島で2013年に集落を埋めた土石流は、崩れた深さの多くが1メートルより浅い、薄い層の滑りでした。深く抉れなくても街まで届くのは、島の地面が火山灰とスコリアの積み重なりでできているからです。
[災害] この記事の要点
2026年9月6日 発表
- いま伊豆大島にいる人と、これから船や飛行機で向かう予定の人
- 大島町の斜面や沢の下流に家がある人
- 火山灰やスコリアが積もった斜面のふもとに住んでいる人(本土にもある)
20時30分の大島は、3時間で92.5ミリ
気象庁のアメダスで、9月6日20時30分の大島(東京都大島町)の観測値は3時間降水量92.5ミリ、1時間降水量34.0ミリ、24時間降水量292.5ミリでした。3時間降水量は、この時刻の全国のアメダスでいちばん多い値です。2位も同じ島の大島北ノ山で62.0ミリでした。
| 観測所 | 1時間 | 3時間 | 24時間 |
|---|---|---|---|
| 大島(大島町) | 34.0mm | 92.5mm | 292.5mm |
| 大島北ノ山(大島町) | 22.5mm | 62.0mm | 166.5mm |
| 三宅島(三宅村) | 30.5mm | 57.5mm | 238.0mm |
| 神津島(神津島村) | 15.5mm | 49.5mm | 205.5mm |
同じ島の2地点で24時間の値が292.5ミリと166.5ミリに分かれています。島全体に等しく降っているのではなく、降り方が偏っています。
2013年10月16日は、1時間に122.5ミリ降りました
伊豆大島でいちばん記録に残っている雨は、2013年10月16日です。気象庁の日ごとの値では、大島の降水量は15日が298.5ミリ、16日が525.5ミリ。16日の最大1時間降水量は122.5ミリでした。毎正時の記録を並べると、1時69.5ミリ、2時92.0ミリ、3時118.0ミリ、4時118.5ミリ、5時97.5ミリ。深夜1時から5時までの5時間で495.5ミリです。
ここで数字の扱いに注意が要ります。東京都建設局は「1時間雨量122.5mm、24時間雨量では824.0mmを記録し、いずれも大島町観測史上1位の値を更新しました」と書いています。一方、気象庁の災害時気象資料は824.0ミリを「10月14日から16日にかけての総降水量」としています。気象庁の日ごとの値で15日と16日を足すと298.5+525.5=824.0で、824.0ミリは2日ぶんの合計と一致します。ひとつの数字でも、どの期間で切ったかで意味が変わります。
崩れた深さは、その多くが1メートルより浅い
この雨で元町地区に土石流が流れ込み、東京都の第58報(平成25年11月19日14時現在)では死者36名・行方不明4名、大島町の住家被害は全壊73棟・半壊26棟・一部損壊84棟の計202棟と記録されています。
それだけの被害なら、山がごっそり深いところから崩れたんですよね
逆でした。筑波大学の山岳科学学位プログラムは「その崩壊深は0.5〜2mで、多くが1m以浅でした」と書いています。1メートルに満たない薄い層が、広い面積で同時に滑ったという形です。
なぜ薄い層だけが滑るのか。同じ資料は、伊豆大島の地面がテフラ(火山灰およびスコリアを含む)層と、噴火の休止期に積もったレス層の互層構造になっていて、「ほとんどの場合にレス層の直上をすべり面として崩壊しており」と説明しています。さらに「土層深部まで明確な基岩が存在しません」とあります。
雨水はすき間の多いテフラ層をまっすぐ下に染みこみます。その下のレス層は水を通しにくいので、境目に水がたまり、そこから上だけが浮いて滑る。深く抉れないかわりに、同じ深さで斜面全体が一度に動きます。土砂の量は深さではなく面積で決まるので、薄くても街まで届く量になります。
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