🗨️「明日6日、奈良と和歌山の雨はどこが強いのですか。山のほうは大丈夫でしょうか。」
強く降るのは南部です。和歌山県南部は朝から、奈良県南部は夕方からで、時間がずれています。その山の中には、2011年の紀伊半島大水害でできた天然ダム(河道閉塞)が残っていて、国が状態を公表している奈良県内の4か所のうち、いまも水が溜まったままなのは十津川村の長殿(ながとの)1か所です。今夜のうちにやることは、自分の家が土砂災害警戒区域に入っているかを見ておくことです。
[災害] この記事の要点
2026年9月5日 発表
- 奈良県南部(十津川村・野迫川村・五條市南部など)に住んでいる人
- 和歌山県南部(田辺市・新宮市・那智勝浦町など)に住んでいる人
- 6日から7日にかけて国道168号・169号・311号で紀伊半島を横断する予定の人
先に結論
- ✓ 6日に強く降るのは南部。和歌山県南部は朝から、奈良県南部は夕方からで半日ずれる
- ✓ 2011年の紀伊半島大水害でできた天然ダムは、国が状態を出している奈良県内の4か所のうち3か所が埋め立て済み。長殿だけ「現在も湛水池を形成しています」
- ✓ 国の工事が終わって県に引き渡されたのは、五條市の赤谷1か所だけ(令和7年3月)
6日の雨 和歌山南部は朝から、奈良南部は夕方から
9月5日16時32分に出た府県天気予報を、奈良と和歌山で並べて読むと、強く降る時間がずれています。
| 発表 | 6日の予報文 |
|---|---|
| 和歌山地方気象台 | 南部を中心に雨や雷雨。南部では朝から非常に激しい雨や激しい雨の降る所がある |
| 奈良地方気象台 | 南部を中心に雨。南部では夕方から雷を伴い激しい雨の降る所がある |
「非常に激しい雨」は1時間に50ミリ以上80ミリ未満、「激しい雨」は30ミリ以上50ミリ未満を指す気象庁の言い方です。和歌山県南部のほうが一段強い表現になっています。
奈良県南部の降水確率は、6日の0時から6時が50%、6時から12時が60%、12時から18時が70%、18時から24時が80%。夜に向かって上がっていきます。奈良地方気象台が気温を出している南部の地点は「風屋(かぜや)」で、これは十津川村です。
南部といっても広いですよね。うちは大丈夫でしょうか。
予報は市町村より広い単位でしか出ません。ただし、この一帯には「前に一度崩れた斜面」がはっきり分かっている場所があります。そこがどうなっているかは、国が場所ごとに公表しています。
15年前、この山で何が起きたか
気象庁が災害をもたらした気象事例としてまとめている平成23年台風第12号は、期間が2011年の8月30日から9月5日です。きょう9月5日は、その最終日からちょうど15年にあたります。
気象庁の記載によると、紀伊半島の一部の地域では解析雨量で2000ミリを超えました。人的被害は死者82名、行方不明者16名、負傷者113名。住家は全壊379棟、半壊3,159棟、一部損壊470棟です。
同じ記載の中に、この記事の主題そのものが書かれています。和歌山県や奈良県内では豪雨に伴う山崩れにより河道閉塞(天然ダム)が生じたため、警戒区域が設定され住民の立ち入りが規制されるなど、警戒が続けられている——2011年当時の文章です。
4か所のいま 埋め立てが終わったのは3か所
国土交通省の紀伊山系砂防事務所は、地区ごとに事業ページを持っていて、崩壊の大きさと現在の状態を書いています。奈良県内で河道閉塞と明記されている4か所を並べます。
| 地区 | 市町村 | 崩壊土砂 | 湛水池のいま |
|---|---|---|---|
| 栗平 | 十津川村 | 約2,385万m3 | 埋立てが完了 |
| 赤谷 | 五條市 | 約1,138万m3 | 埋立てにより越流・決壊等のおそれは低下 |
| 長殿 | 十津川村 | 約595万m3 | 現在も湛水池を形成しています |
| 北股 | 野迫川村 | 約117万m3 | 埋立てが完了 |
土砂の量がいちばん多いのは栗平で、約2,385万立方メートル。幅600メートル、高さ450メートル、長さ650メートルの斜面がまるごと落ちた計算です。それでも湛水池の埋め立ては終わっていて、いまは崩壊地の中に残る不安定な土砂を下流へ流さないための工事が続いています。
長殿だけ、まだ水が溜まっている
長殿は十津川村にあります。幅340メートル、高さ400メートル、長さ650メートルの崩壊で、土砂は約595万立方メートル。4か所のうち面積では中くらいですが、事業ページの書き方が1か所だけ違います。
「現在も湛水池を形成しています」。令和8年4月時点の記載です。2号砂防堰堤と仮排水路工は完成と書かれていますが、工事全体がいつ終わるのかは、ページのどこにも書かれていません。
15年たって、まだ水があるということですか。
そう読めます。ただし「危ない状態のまま放置されている」という意味ではありません。仮排水路が完成しているので、水は抜ける道が付いています。ここで言えるのは、長殿だけは地形が15年前と同じ形に戻っていないということです。
もう一つ、4か所で扱いが分かれたところがあります。赤谷は、堆積した土砂の流出を防ぐ工事も令和6年度に完了し、令和7年3月に管理が奈良県へ移りました。国の直轄事業として手を離れたのは、この1か所だけです。残る3か所は、令和8年4月の時点でまだ国が工事を続けています。
今夜やること 「うちは区域に入っているか」を見る
山が崩れた場所と、崩れやすい場所は、行政が線を引いて公表しています。土砂災害警戒区域(イエロー)と特別警戒区域(レッド)です。区域に入っているかどうかで、避難のタイミングが変わります。
避難指示が出てから動けばいいのでは。
区域に入っている家は、その前の段階で動く前提で線が引かれています。奈良県南部は夕方から強まる予想なので、暗くなってから確認するのがいちばん遅い動き方になります。
住所を入れれば、その場所にどの災害のリスクがあるかをまとめて見られるようにしてあります。5日の夜のうちに一度開いて、自分の家がどの色の中にあるかだけ確かめておいてください。
6日に山を越える予定があるなら
紀伊半島を南北に抜ける国道168号(十津川村を通る)と国道169号(上北山村・下北山村を通る)は、どちらも大雨のときに規制がかかりやすい道です。峠に入ってから引き返すと、細い道でのUターンになります。
和歌山県南部は朝から、奈良県南部は夕方から。半日ずれているので、紀伊半島を南下する人と北上する人では、避けるべき時間帯が逆になります。出発前に規制の有無を確かめてから動いてください。
生活・仕事にどう効くか
- 降る時間:和歌山県南部は6日の朝から、奈良県南部は6日の夕方から。同じ「南部」でも半日ずれる。
- 山の状態:15年前に崩れた斜面の一部は、いまも国が土砂の流出を止める工事を続けている途中。
- 住まい:土砂災害警戒区域に入っているかどうかで、避難のタイミングが変わる。
結局どうすればよいか
- 自分の住所が土砂災害警戒区域・特別警戒区域に入っているかを、今夜のうちに見ておく
- 奈良県南部は夕方から強まる予想なので、動くなら6日の午前中に済ませる
- 十津川村・野迫川村・五條市の山あいを車で通る予定があるなら、出発前に道路の規制を確認する
公式出典
- 気象庁 奈良県 府県天気予報(奈良地方気象台 2026年9月5日16時32分発表)(2026年9月5日発表)
- 気象庁 和歌山県 府県天気予報(和歌山地方気象台 2026年9月5日16時32分発表)(2026年9月5日発表)
- 気象庁 災害をもたらした気象事例「平成23年台風第12号」(2026年9月5日発表)
- 国土交通省 近畿地方整備局 紀伊山系砂防事務所 長殿地区(2026年9月5日発表)
- 国土交通省 近畿地方整備局 紀伊山系砂防事務所 赤谷地区(2026年9月5日発表)
- 国土交通省 近畿地方整備局 紀伊山系砂防事務所 栗平地区(2026年9月5日発表)
- 国土交通省 近畿地方整備局 紀伊山系砂防事務所 北股地区(2026年9月5日発表)
更新履歴
- 2026年9月5日 初版を公開
※本記事は2026年9月5日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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