🗨️「20代の4割が家を買っているって本当? うちも急いだほうがいい?」
40.7%は結婚などで二人以上の世帯を構えた29歳以下だけの数字です。一人暮らしを含めた同じ年代の持家率は7.9%で、24年前とほとんど変わっていません。
[金利] この記事の要点
2026年9月5日 発表
- これから家を買うか迷っている20代・30代
- 40年・50年の超長期住宅ローンを検討している人
- ペアローンで借りようとしている共働きの夫婦
20代以下の持ち家率が40.7% 2000年の2倍を超えた
産経新聞が2026年9月5日、総務省の家計調査をもとに「20代以下が世帯主の2人以上世帯の持ち家率が昨年40.7%と、比較可能な2000年以降で最高となった」と報じました。2000年は19.7%でしたから、25年で2倍を超えたことになります。
買う側の条件は、この25年でむしろ悪くなっています。不動産経済研究所によると、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は2026年上半期に1億135万円。上半期としてはじめて1億円を超え、前年同期から1,177万円(13.1%)上がりました。近畿圏も5,453万円で5.7%の上昇です。金利も動きました。日本銀行は2026年6月17日から政策金利を1.0%程度へ引き上げ、7月31日の会合でも同じ水準に据え置いています。
値段が上がって、金利も上がって、それでもいちばん貯金の少ない年代で持ち家が増えている。数字だけ見ると、つじつまが合いません。
やっぱり、値上がりする前に買ったほうがいいということですか?
その前に、40.7%が誰を数えた数字なのかを見てください。ここを外すと、判断ごと外れます。
この40.7%に、一人暮らしの20代は1人も入っていません
家計調査の持家率は、数える世帯の範囲を変えると別の数字になります。40.7%は「二人以上の世帯」だけを集計したものです。同じ2025年の家計調査で、一人暮らしを含めた「総世帯」の29歳以下を見ると、持家率は7.9%でした。

総世帯の公表が始まった2002年は7.7%。24年たっても7〜8%台のままで、上に伸びているのは二人以上の世帯だけです。29歳以下の総世帯は平均世帯人員1.24人で、ほとんどが一人暮らし。家賃や地代を払っている世帯が77.7%を占めます。
つまり「20代の10人に4人が家を持っている」と読むと、実態から5倍ずれます。正確には「29歳以下で夫婦などの二人以上世帯を構えた人のうち、4割が持ち家」です。
もうひとつ落とせないのが、その母集団が縮んでいることです。二人以上の世帯のうち世帯主が29歳以下の割合は、2000年の1万分の385から2025年は1万分の120へ減りました。2025年の集計世帯数は99世帯です。若くして家族を持つ人自体が3分の1近くまで減り、残った層で持ち家率が上がっている——数字の形はそうなっています。
値段も金利も上がっているのに、なぜ20代が買うのか

理由は「20代が豊かになったから」ではありません。買い方が変わりました。家計調査と各社の商品条件から見えるのは、次の5つです。
- 共働きが前提になった
- 夫婦で別々に借りるペアローンが広がった
- 40年・50年の超長期ローンが選べるようになった
- 家賃を払い続けることへの割り切りが変わった
- 「今買わないと買えなくなる」という焦り
1つめは数字で確かめられます。2025年の家計調査で29歳以下の勤労者世帯(二人以上)を見ると、世帯主の配偶者のうち女性の有業率は53.2%。全年齢の平均42.3%より10ポイント以上高い水準です。世帯の実収入は月53万9,023円あり、2人で返す前提なら借入額はひとりの年収からは想像しにくい額まで伸びます。
3つめの超長期ローンは、売る側もはっきり若い世代へ向けています。
🏠本日より、住宅ローン変動金利(半年型)の借入期間について最長50年まで取り扱い開始!
— SBI新生銀行 (@shinseibank_jp) 2025年11月17日
月々の返済負担を軽減し、20〜30代の住宅取得を応援します!
▼詳しくはこちらhttps://t.co/rJJknyGORP#住宅ローン #50年ローン #SBI新生銀行 pic.twitter.com/s4AyZe8OTg
4つめは、賃貸から離れた分がそのまま持ち家に移ったことを示す数字があります。29歳以下の二人以上世帯で家賃・地代を払っている割合は、2000年の71.3%から2025年は49.6%へ下がりました。半分は、もう家賃を払っていません。
そして5つめの焦りは、報道の側がはっきり書いています。
20代の持ち家率が最高 「今、購入しなければ、もっと値上がりする」
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) 2026年4月6日
20代夫婦らは「早く買わないと家を持てなくなる」との一種の恐怖心をもっているようにみえるとの指摘があります。https://t.co/LMcgFhmuCG
経済紙が「恐怖心」という言葉を使うのは、なかなかのことです。ここは記事を読む側も落ち着いて見たいところです。
50年ローンとは 35年ローンと何が違うのか
50年ローン(超長期住宅ローン)は、返済期間を最長50年程度まで延ばせる住宅ローンです。住宅金融支援機構の【フラット50】のほか、民間の銀行も取り扱いを増やしています。仕組みそのものは35年ローンと同じで、変わるのは返済期間だけです。
ただし【フラット50】には、35年のフラット35には無い条件があります。
- 長期優良住宅・予備認定マンション・管理計画認定マンションのいずれかであること
- 借入額は建設費または購入価額の9割まで(フラット35との併用で価格までは可能)
- 申込時の年齢が満44歳未満(親子リレー返済なら44歳以上も可)
- 返済中に売るとき、買主にローンごと引き継げる金利引継特約がある
最後の金利引継特約は、金利が上がっていく局面ではむしろ強みです。低い固定金利のローンが付いたまま売れるなら、買う側にとっては価値になります。ここを書いていない解説が多いので、機構の商品ページを直接見るだけの価値はあります。
逆に、機構は自分の注意事項として「【フラット35】と比べて完済時年齢が高くなり、総返済額が増加する可能性があります」と書いています。売る側が先に書いている注意書きを、借りる側が読まない理由はありません。
50年ローンは何歳まで組める?
今35歳ですが、50年で組めば毎月がぐっと楽になりますよね?
35歳だと45年までです。50年をフルで選べるのは30歳までなので、この商品はほぼ20代向けと考えてください。
【フラット50】の返済期間は「36年以上で、かつ『80歳』−『申込時の年齢』と50年のうち短いほう」が上限と決まっています。ここから逆算すると、50年をまるごと選べるのは申込時30歳まで。それを過ぎると1歳ごとに1年ずつ短くなります。

民間の銀行も似た設計です。完済時年齢を満80歳未満とする商品が多いため、住宅ローンアナリストからも同じ指摘が出ています。
50年ローンのよくある誤解3つ。
— モゲチェック塩澤|住宅ローンアナリスト|皆さんが気になる疑問にズバリ答えます💁 (@takashishiozawa) 2025年10月27日
✕40歳で組んだら完済は90歳
◯40歳で組んだら完済は80歳。50年組めるのは20代まで。団信の商品設計上、完済時年齢は80歳までとなっている銀行がほとんどです
✕50年間借金を背負い続けるのは負担が重い
◯期限の利益という返済猶予メリットを勉強しましょう…
「40歳で50年ローンを組んで、90歳まで返す」という話は、そもそも成立しません。50年という期間は、20代のためだけに用意されています。
35年と50年で、返済額はどれくらい違う?
借入5,000万円を元利均等・ボーナス返済なしで借りたとして、2026年9月の金利で計算しました。比べているのは別々の商品です。【フラット35】(21年以上35年以下・融資率9割以下)の最頻金利は年3.460%、【フラット50】(36年以上50年以下・融資率9割以下)は年3.700%で、期間だけでなく金利も0.240ポイント違います。

毎月は2万2,461円軽くなります。ここだけを見れば、50年は魅力的です。いっぽうで総返済額は8,631万円から1億982万円へ、2,351万円ふえます。利息は3,631万円が5,982万円になり、1.6倍です。
ただ、私がいちばん重いと思うのは総額ではありません。10年たった時点で減っている元金が、878万円から418万円へ半分以下になることです。10年間で浮く返済は270万円ですが、そのとき残っている借金は460万円多い。転勤・出産・離婚などで売って住み替えたくなったとき、差し引き190万円ぶん不利な位置に立ちます。
この差は金利差のせいだけではありません。仮に50年でも年3.460%で借りられたとしても、10年で減る元金は446万円です。期間を延ばすこと自体が、元金の減りを遅らせます。数字で並べると次のとおりです。
| 借入5,000万円 | 【フラット35】 35年・年3.460% | 【フラット50】 50年・年3.700% | 参考 50年・年3.460% |
|---|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 20万5,488円 | 18万3,027円 | 17万5,327円 |
| 総返済額 | 8,631万円 | 1億982万円 | 1億520万円 |
| 利息の合計 | 3,631万円 | 5,982万円 | 5,520万円 |
| 10年後の残高 | 4,122万円 | 4,582万円 | 4,554万円 |
計算条件:借入5,000万円/元利均等返済/ボーナス返済なし/金利は完済まで変わらないものとして計算。【フラット35】と【フラット50】は金利の異なる別々の商品です。いちばん右の「参考」は、期間だけを延ばした場合の効果を見るために金利をそろえた仮の計算です。金利は住宅金融支援機構が公表した2026年9月・融資率9割以下の最頻金利。
金利が上がると何が起きるか 金融庁が監視に入った
全期間固定で借りていれば、借りたあとに金利が上がっても返済額は動きません。変動金利で借りていれば動きます。ここは35年でも50年でも同じですが、期間が長いほど「金利が変わらない前提」で置いた計算が現実とずれる時間も長くなります。
そして2026年8月末から、当局の動きが表に出てきました。
金融庁が「50年住宅ローン」に懸念、個人向け融資の監視強化-関係者 https://t.co/eq6DOo1BXX
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) 2026年8月28日
共同通信は2026年9月4日、金融庁が返済期間40年・50年の超長期住宅ローンを扱う銀行の審査体制の監視を強化する方針を固めた、と報じました。大手銀行・地方銀行・ネット銀行が対象で、早ければ今秋にも実態把握に乗り出します。理由は「返済能力を超えて過大に融資している恐れがある」から。金利上昇のリスクに加え、収入減少や資産価値低下といった懸念点をどう説明しているかが点検されます。
私はこれを、借りる側にとってはむしろ良い知らせだと見ています。スマートフォンだけで完結する申込みは速いぶん、説明を読み飛ばしても審査が通ってしまいます。当局が説明のしかたを点検するなら、次に借りる人が受け取る情報は今より厚くなるはずです。
「借りられる額」と「返せる額」は、同じではありません

住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査(35,553件)では、総返済負担率の平均は22.8%でした。年収の2割強しかローンに使っていない、と読めます。ところがこの総返済負担率の分子に入るのは、住宅ローンとほかの借入れだけです。
入っていないものを並べると、こうなります。
- 固定資産税・都市計画税
- マンションの管理費と修繕積立金(国土交通省の令和5年度マンション総合調査で月あたり平均3万481円)
- 戸建てでも必要になる将来の修繕費
- 駐車場代
- 教育費・車・老後の資金
修繕積立金は上がる前提の物件も多く、同じ調査では段階増額方式のマンションが47.1%、計画に対して積立不足のマンションが36.6%ありました。買ったときの月3万円が、20年後に同じとは限りません。
審査に通った額をそのまま借りると、この差額ぶんだけ毎月の家計が想定より苦しくなります。年収の何倍まで借りられるのか、審査が何を数えていないのかは、別の記事で数字を並べています。
住宅ローンは年収の何倍まで? 審査が数えていない住居費を見てみる参考までに、2025年度のフラット35利用者は年収倍率が全国6.6倍・首都圏7.1倍、平均世帯年収715.9万円で所要資金4,202.9万円でした。年収倍率は借入額ではなく、物件価格に諸費用を足した「所要資金」を世帯年収で割った数字です。
買うと決める前に確認したい5つのこと
- 完済時の年齢を先に出します。25歳で50年なら75歳、30歳なら80歳です。何歳まで働くつもりかと突き合わせます
- 毎月のローン返済ではなく、管理費・修繕積立金・固定資産税を足した「毎月の住居費」で借入額を決めます
- 期間を1年ずつ短くしたときの返済額を並べます。50年か35年かではなく、45年・40年という選び方もできます
- 金利タイプを確認します。変動なら、返済額の見直しルール(5年ルール・125%ルール)が契約にあるかを金融機関に聞きます
- 10年後・15年後に売った場合の残高を、契約前に出してもらいます。住み替えできるかどうかはここで決まります
結局、50年ローンは危ないということですか?
50年ローンそのものが危ないのではありません。危ないのは、50年間ずっと返せる前提だけで資金計画を組むことです。
若いうちに買うことには、はっきりした利点もあります。完済年齢を早められる、返済期間を長く取れる、家賃を払い続ける代わりに資産が手元に残る、物価が上がる局面では固定金利の借金が実質的に軽くなる。どれも本当です。住宅の価格がこの先も上がり続けるとは誰にも言えませんが、上がるか下がるかを当てなくても、返済計画は組めます。
50年で借りるなら、50年のうちに起きることを先に紙に書いておく。転職も、出産も、病気も、収入が減る年も、そのときに売る選択肢が残っているかどうか。返せる前提が崩れた日にどうするかまで決めてあれば、50年という期間は道具として使えます。
生活・仕事にどう効くか
- 毎月の返済:5,000万円を50年(年3.700%)で借りると月18万3,027円。35年(年3.460%)の20万5,488円より2万2,461円軽いが、総返済額は2,351万円ふえる。
- 住み替え:50年で組むと10年後の残高は4,582万円。35年より460万円多く残る。浮いた返済270万円を差し引いても190万円不利になる。
- 審査:金融庁が40年・50年ローンの審査体制の監視に入る。金利上昇・収入減少・資産価値低下を利用者にどう説明しているかが点検される。
結局どうすればよいか
- 借りる期間を決める前に、完済時の年齢を紙に書き出す
- 管理費・修繕積立金・固定資産税を足した「毎月の住居費」で借入額を決める
- 返済期間を45年・40年・35年と1本ずつ短くした返済額を並べて比べる
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
ほかに使える無料ツール
公式出典
- 総務省統計局「家計調査(家計収支編)」2025年 詳細結果表(2026年2月6日発表)
- 住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利水準(2026年9月)」(2026年9月1日発表)
- 住宅金融支援機構「【フラット50】ご利用条件」(2026年4月1日発表)
- 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」(2026年7月24日発表)
- 日本銀行「当面の金融政策運営について」(2026年7月31日発表)
- 不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期」(2026年7月21日発表)
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」(2024年6月21日発表)
- 産経新聞「金利上昇、住宅購入急ぐ若者…20代以下持ち家率が過去最高」(Yahoo!ニュース)(2026年9月5日発表)
- 共同通信「【独自】40、50年住宅ローンを監視へ 金融庁、過大融資恐れ」(西日本新聞)(2026年9月4日発表)
更新履歴
- 2026年9月5日 初版を公開
※本記事は2026年9月5日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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