神戸市東灘区で中古マンションを探すとき、区の平均である1㎡あたり45.5万円という数字は、予算づくりにほとんど使えません。同じ東灘区でも、築11〜20年なら1㎡あたり67.5万円、築31〜40年なら34.0万円で、半分近くまで下がるからです。
国土交通省が公表している成約データを見ると、2024年10-12月から2025年10-12月までに東灘区で動いた中古マンションは307件でした。同じ期間の中古戸建ては76件、新築戸建ては39件、宅地は74件。東灘区で家を探すとき、いちばん選択肢が多いのは中古マンションです。
その307件は、築年数と広さで別々の値段のかたまりに分かれています。区の平均ではなく、そのかたまりのどこを見に行くのかを先に決める話をします。
先に結論
- 東灘区の中古マンションは1㎡あたり45.5万円(中央値・307件)
- 築11〜20年は67.5万円、築31〜40年は34.0万円。半分近くまで下がります
- その築31〜40年は1986年から1995年に建った物件です。「築30年」のままでは西暦が分かりません
- 取引の中心は70〜90㎡が142件で1㎡あたり50.7万円、50〜70㎡が107件で40.0万円
- 土地は1区画の面積の中央値が135㎡(40.8坪)。東灘区は戸建てより部屋数の多い区です
東灘区の中古マンションは1㎡あたり45.5万円。築年帯で並べると半分近く違う
2024年10-12月から2025年10-12月までに東灘区で成約した中古マンション307件を、築年数で5つに分けた数字です。1㎡あたりの成約価格の中央値を並べています。
神戸市東灘区の中古マンション成約価格(1㎡あたりの中央値・2024年4Q〜2025年4Q・307件)
先に上の2本を見てください。築0〜10年が66.7万円、築11〜20年が67.5万円。新しいほうがわずかに安く出ています。件数は23件と41件で、どちらも1件の成約で中央値が動く規模です。東灘区では「新しいほど高い」という順番が、そのまま数字に出ているわけではありません。
値段が落ちるのは築21〜30年と築31〜40年のあいだです。50.4万円から34.0万円になります。この2つの帯は件数も134件と89件あって、307件のうちの大半がここに入っています。東灘区で売りに出ている中古マンションの中心は、値段が落ちる位置をまたいで並んでいるということです。
もうひとつ。築31〜40年の34.0万円と、築41年以上の32.3万円はほとんど変わりません。古くなるほど下がり続けるのではなく、東灘区では築30年を越えたあたりで値段が寝ています。築35年の部屋と築45年の部屋を、値段の安さだけを理由に選び分けることはできません。
「築30年」を西暦に直す。1996年より前か後かで見る帯が変わる
この築年帯は、データを作った2026年を基準に数えています。西暦に読み替えるとこうなります。
- 築21〜30年(1㎡あたり50.4万円・134件)=1996年から2005年に建った物件
- 築31〜40年(1㎡あたり34.0万円・89件)=1986年から1995年に建った物件
物件広告に出ているのは「築30年」という表記です。「築30年」のままでは、50.4万円の帯にいるのか34.0万円の帯にいるのか決まりません。
内見のときは、案内してくれた担当者に「新築年月日は西暦で何年ですか」と聞いてください。登記事項証明書の表題部に新築年月日が入っています。パンフレットの「築年数」ではなく、そこに書かれた年を見ます。1995年と1996年では、目安にする1㎡あたりの値段が変わります。
この307件には、元データの側の制約もあります。1982年より前に建ったマンションは集計から除かれています。表のいちばん下にある「築41年以上」の20件も、1982年以降に建った物件だけです。東灘区にはそれより古いマンションも建っていますが、その値段はこの数字からは読めません。築45年、築50年の物件を見に行くなら、32.3万円をそのまま当てはめないでください。
東灘区で動いているのは70〜90㎡。50〜70㎡とは1㎡あたりの値段が違う
同じ307件を専有面積で分けると、値段のつき方が変わります。
| 専有面積 | 1㎡あたりの成約価格 | 件数 |
|---|---|---|
| 30㎡未満 | 43.3万円 | 5件 |
| 30〜50㎡ | 25.6万円 | 12件 |
| 50〜70㎡ | 40.0万円 | 107件 |
| 70〜90㎡ | 50.7万円 | 142件 |
| 90㎡以上 | 45.6万円 | 41件 |
70〜90㎡が142件、50〜70㎡が107件。この2つで東灘区の取引の中心ができています。同じ東灘区でも、70〜90㎡は1㎡あたり50.7万円、50〜70㎡は40.0万円です。広さの帯が違えば、1㎡あたりの単価そのものが違います。同じ築年数の部屋を比べているつもりでも、広さの帯をまたいだ瞬間に比較になっていません。
90㎡以上は45.6万円で、70〜90㎡より下がります。広ければ広いほど1㎡あたりが高くなるわけではありません。30㎡未満の5件と30〜50㎡の12件は件数が少なく、1件の価格で中央値が動く規模なので、傾向として見るだけにしてください。
私は、この形は東灘区で家を探している層がファミリーに寄っていることの表れだと考えています。事実のほうを先に書くと、307件のうち70〜90㎡が142件で最も多く、土地は1区画の面積の中央値が135㎡、坪に直すと40.8坪です。狭い区画で戸建てを建てるより、70〜90㎡のマンションを買うほうが選べる数が多い区になっている、というのが私の読みです。ここは解釈なので、持ち帰るのは142件と40.8坪という数字のほうにしてください。
東灘区の土地は1区画40.8坪。種別ごとに並べるとマンションの厚みが見える
同じ期間・同じ東灘区の成約価格を種別ごとに並べました。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 中古マンション | 45.5万円/㎡ | 307件 |
| 中古戸建て | 175.8万円/坪(延床) | 76件 |
| 新築戸建て | 195.0万円/坪(延床) | 39件 |
| 宅地(土地) | 132.2万円/坪 | 74件 |
| 賃貸 | 2,277円/㎡ | 35,990件 |
土地は坪132.2万円で、1区画の面積の中央値は135㎡、坪にすると40.8坪でした。坪単価の中央値と面積の中央値を掛けると5,400万円になりますが、これは別々に取った2つの中央値の掛け算による概算で、実在する1件の価格ではありません。
土地の坪単価は25.8万円から429.8万円まで開いています。町名でも動きます。取引が5件以上あった町どうしで比べると、本山北町の坪200.0万円と岡本の坪120.7万円で1.7倍。取引3件の町まで含めれば住吉東町の坪211.6万円と森北町の坪95.9万円で2.2倍になりますが、こちらは3件の中央値どうしなので、1件の価格で倍率が動きます。町名で比べるなら前者の1.7倍を目安にしてください。
中古戸建ては76件で坪175.8万円、新築戸建ては39件で坪195.0万円。中古マンションの307件と比べると、東灘区で戸建てを探す人が出会える物件の数はかなり限られます。1区画40.8坪という広さも含めて、東灘区は部屋を買う人のほうが選びやすい区だと私は見ています。
築31〜40年を選ぶなら、工事費を先に出してから比べる
築31〜40年は1㎡あたり34.0万円、築21〜30年は50.4万円。古いほうを選べば、そのぶん手元に予算が残ります。ただし1986年から1995年に建った部屋は、給排水管や水回りが建てられたときのままのことがあります。安いのは、内装に手を入れる前提が価格に入っているからです。物件価格の差だけで決めると、入居前の工事費で順番がひっくり返ります。
工事費が出ると、築21〜30年の部屋と総額で並べられます
東灘区でマンションを見に行く前にやる3つのこと
1. 建築年を西暦で確認する。 帯の境目は1995年と1996年のあいだにあります。「築30年くらい」という言い方のままだと、1㎡あたり50.4万円の側にいるのか34.0万円の側にいるのかが決まりません。登記事項証明書の新築年月日で確かめます。
2. 広さの帯を先に決める。 70〜90㎡なら1㎡あたり50.7万円、50〜70㎡なら40.0万円が目安です。部屋数だけで探すと帯をまたいで比べることになり、割安か割高かの判断ができません。件数も142件と107件なので、どちらの帯にするかで見に行く物件の顔ぶれが変わります。
3. 物件価格と工事費を足した総額で比べる。 築31〜40年の34.0万円と築21〜30年の50.4万円は、そのままでは比べられません。工事の見積もりを先に取って、総額を横に並べてから決めます。
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同じ阪神間で候補を広げて探している人は、町ごとの土地の値段をまとめた西宮は高くて無理と外す前に。市内の土地は坪8.6万円の町もありますもあわせてどうぞ。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。中古マンション307件、中古戸建て76件、新築戸建て39件、宅地74件
- 中古マンションは1982年以降に建てられた物件に限定し、取引総額を専有面積で割った1㎡あたりの価格です。築年数は2026年を基準に数えています
- そのため「築41年以上」の区分は1982年以降に建った20件だけで、それより古い物件はこの集計に入っていません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、取引総額を建物の延床坪数で割った値です。土地の坪単価とは分母が違うので、そのまま引き算はできません
- 宅地74件のうち、坪単価が極端な2件は集計から除いています
- 町別の集計は取引3件以上の町のみ。件数が少ない町の数字は1件の価格で動くので、傾向として読んでください
- 賃貸:不動産情報ライブラリの賃貸募集情報から、1㎡あたりの募集賃料の中央値(35,990件)


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