昔この土地は何だった?「土地の履歴」を無料で調べる4つの方法
地名の由来やハザードマップと並んで、土地選びで効いてくるのが「その場所が昔どうだったか」です。今は平らな住宅地でも、以前は谷や池、田んぼ、あるいは造成でできた盛土だったというケースは珍しくありません。ここでは、誰でも無料で使える4つの調べ方を紹介します。
方法1:空中写真で「造成前」を見る
最初におすすめなのが、国土地理院の地理院地図です。地図表示を航空写真に切り替えたうえで、過去の空中写真(1940年代以降のものが整備されています)と現在を見比べます。
戦後まもない時期の写真には、まだ造成されていない丘陵や、田畑・池・川の姿が写っています。同じ場所の今と昔を並べると、
- 山あいの谷筋がそのまま住宅地になっていないか
- かつての池や沼、水田が埋め立てられていないか
- 川の流れが今と違う位置を通っていないか
といったことが、専門知識なしでも見て取れます。
方法2:治水地形分類図・土地条件図で地形の成り立ちを知る
同じく地理院地図で重ねられるのが、治水地形分類図や土地条件図です。地形が色分けされており、
| 地形の区分 | 意味と注意点 |
|---|---|
| 旧河道 | かつて川が流れていた跡。周囲より低く、地盤が緩いことがある |
| 後背湿地 | 自然堤防の背後の低湿地。軟弱地盤になりやすい |
| 自然堤防 | 川沿いの微高地。古くから集落が置かれてきた地形 |
| 扇状地・段丘 | 比較的安定するが、扇状地は土石流の通り道になることもある |
といった区分が読み取れます。「昔から人が住んでいた場所」と「近代以降に住宅地になった低地」の違いが見えてくるのが面白いところです。
方法3:明治期の低湿地データ・旧版地形図で「もっと前」を見る
地理院地図には、明治期の低湿地データも収録されています。近代以前に湿地だった範囲が分かるため、都市化の前の土地の姿を知る手がかりになります。
また、新旧の地形図を左右に並べて比較できるウェブサービスもあり、明治・大正期の地形図と現在の地図を同時にスクロールしながら見比べることができます。図書館の郷土資料コーナーで市史や旧版の住宅地図を見ると、旧町名や、地元でどう呼ばれていた土地かも分かります。
方法4:大規模盛土造成地マップで人工的な改変を見る
地形の履歴とあわせて確認したいのが、造成による人工的な改変です。国土交通省と各自治体が公開する大規模盛土造成地マップでは、谷を埋めた「谷埋め型」や斜面に土を盛った「腹付け型」の盛土の位置と規模が分かります。
2004年の新潟県中越地震や2011年の東北地方太平洋沖地震で、こうした造成宅地の盛土が地すべり的に動く「滑動崩落」が起きたことを受け、国は2006年に宅地耐震化推進事業を創設し、自治体によるマップ作成・公表を進めてきました。丘陵地の住宅団地を検討しているなら、ほぼ必須の確認項目です。
調べる順番のおすすめ
1. 重ねるハザードマップで洪水・土砂災害・津波の想定を確認する
2. 地理院地図の空中写真で、造成前の姿と現在を見比べる
3. 治水地形分類図・低湿地データで地形の成り立ちを確認する
4. 大規模盛土造成地マップで盛土の有無を確認する
この4つを見るだけで、同じ価格帯の候補地の見え方がかなり変わります。気になる点が出てきたら、不動産会社に「この場所は造成前どうだったか、資料はありますか」と聞いてみるとよいでしょう。地盤調査の結果や造成時期の記録が残っていることもあります。
地形の見方そのものをもう少し知りたい方には、貝塚爽平『東京の自然史』(講談社学術文庫)が入門書として読みやすい一冊です。東京を題材に、台地と低地がどのようにできたのかを地形の視点から解説しており、同じ見方は他の地域の地図を読むときにも応用できます。
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まとめ
1. 地理院地図の空中写真(1940年代以降)で、造成前の谷・池・田んぼの姿を確認できる
2. 治水地形分類図や明治期の低湿地データを重ねると、旧河道・後背湿地など地形の成り立ちが読める
3. 大規模盛土造成地マップで人工的な改変(谷埋め型・腹付け型)を確認する。この順番なら1か所10分ほどで調べられる


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