「緑ヶ丘」は本当に安心な高台?仙台で起きた谷埋め盛土宅地被害の教訓
「〇〇ヶ丘」「〇〇台」という地名は、高台の住宅地に多く使われています。ただし、丘や台地に見える宅地の中には、山を削った土で谷を埋めて平らに造成した「谷埋め盛土」という土地が少なくありません。今回は、実際にこの谷埋め盛土が原因で被害が出た事例を紹介します。
1. 「丘」に見えても、実は谷を埋めて作られていることがある
昭和30〜40年代の高度経済成長期、都市近郊の丘陵地は住宅地として次々に造成されました。この造成では、山の斜面を削り(切土)、その土を近くの谷や沢に盛る(盛土)ことで、全体を平らな宅地に整える工法がよく使われました。
遠目には同じ「丘の上の住宅地」に見えても、地面の下は「もとからあった地盤(切土部分)」と「後から盛られた土(盛土部分)」が混在していることになります。特に谷を埋めた盛土部分は、地震の際に地盤が不安定になりやすいことが各地の被害調査で指摘されています。
2. 仙台市緑ヶ丘地区で実際に起きたこと
宮城県仙台市太白区の緑ヶ丘地区は、その名の通り緑豊かな高台の住宅地として、昭和30〜40年代にかけて造成されました。しかし2011年の東日本大震災では、仙台駅から概ね5km圏内にある同時期造成の住宅団地を中心に、盛土内の地すべりや法面(のりめん)崩壊、擁壁の崩壊などが広範囲で発生し、仙台市内の宅地被害は5,728件にのぼりました。
緑ヶ丘地区の一部ではその後、仙台市によって「災害危険区域」に指定され、住民の防災集団移転(危険な区域から安全な場所へ集団で住まいを移す制度)が実施されました。地区内の一部道路は地すべりの危険から通行止めとなり、規制が解除されたのは震災から3年以上が経った平成26年12月のことでした。
3. 「丘」「台」の地名だけで盛土か切土かは判断できない
ここで注意したいのは、「緑ヶ丘だから危ない」という話ではないということです。同じ緑ヶ丘地区でも被害の程度は場所によって大きく異なりましたし、全国の「〇〇ヶ丘」「〇〇台」の住宅地の多くは今も問題なく暮らせています。大切なのは、地名の響きではなく、その土地が「切土」なのか「盛土」なのか、盛土だとすればどれくらいの規模なのかを確認することです。
国土交通省・各自治体は「大規模盛土造成地マップ」を公開しており、住所を入力すると谷埋め型・腹付け型といった盛土の位置や規模を確認できます。気になる土地があれば、購入・建築前に一度目を通しておくことをおすすめします。
災害リスク診断もあわせて使うと、洪水・土砂災害・地震などのリスクを住所からまとめて確認できます。
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まとめ
1. 「〇〇ヶ丘」「〇〇台」という地名でも、谷を埋めて造成した「谷埋め盛土」の宅地であることがある
2. 仙台市緑ヶ丘地区では東日本大震災で盛土の地すべり等が発生し、一部地域は災害危険区域に指定され防災集団移転が行われた
3. 地名だけでは盛土か切土かは判断できないため、大規模盛土造成地マップやハザード情報で確認する
高台のニュータウンは名前も景観も魅力的ですが、その下にどんな土地の履歴があるかは別問題です。気になるエリアがあれば、名前の印象だけで判断せず、公的なデータで確認する習慣をつけましょう。


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