富良野市・美瑛町・上富良野町・南富良野町・新得町への影響
今回の警報で、入山規制などの警戒が必要とされたのは北海道の5市町(富良野市・美瑛町・上富良野町・南富良野町・新得町)です。9月11日までの噴火警報(レベル2)の対象は美瑛町・上富良野町・新得町の3町でしたが、警戒範囲が3kmに広がったことで富良野市と南富良野町が新たに加わりました。
上富良野町は「十勝岳火山避難計画」に沿って、火口に最も近い吹上温泉周辺の一部に避難指示を出しました。十勝岳温泉地区は高齢者等避難の対象です。市街地そのものは火口から離れており、生活圏への直接の影響は今のところ報告されていません。
登山・観光への影響と立入規制
登山道は、火口周辺で入山規制の対象になります。望岳台をはじめとする登山口からのルートは、火口から概ね3km以内に入る区間が通行できません。地元の観光協会や町の公式サイトでは、規制の範囲や登山道の開閉状況を随時更新しています。出発前に必ず最新情報を確認してください。
十勝岳温泉・吹上温泉・白金温泉といった温泉地区は、火口から離れた位置にありますが、上に書いたとおり吹上温泉周辺の一部には避難指示が出ています。宿泊や日帰り入浴の予定がある場合は、施設や自治体の発表を予約前に確認したほうが確実です。
火山灰や噴石が降ったときの注意点
車で十勝岳周辺を通行する人が特に注意すべきなのは、噴火が起きた場合の火山灰です。火山灰が積もった路面はスリップしやすくなり、視界も悪化します。フロントガラスに灰が積もった状態でワイパーを動かすと、灰の粒がガラスを傷つけることがあるため、水で洗い流してから拭き取るのが基本です。窓を閉め、エアコンは外気導入ではなく内気循環に切り替えると、車内に灰が入りにくくなります。
屋外にいる場合は、マスクやタオルで口や鼻を覆い、目に灰が入らないようゴーグルや眼鏡を使うと安全です。小さな噴石も風下側では遠くまで飛ぶことがあるため、屋根のある場所に避難することが基本になります。
十勝岳はどんな火山なのか
十勝岳は北海道のほぼ中央、大雪山国立公園の南に位置する標高2,077mの活火山です。気象庁が24時間体制で観測する「常時観測火山」の1つで、複数の火口が並ぶ複成火山です。現在警戒されている62-2火口は、後で触れる1962年の噴火でできた火口の1つで、その後も熱活動の中心になっています。

過去の噴火を振り返る
十勝岳は約35〜40年おきに大きな噴火を繰り返してきたとされる火山です。記録に残る主な噴火を挙げます。
最も被害が大きかったのは1926年(大正15年)5月24日の噴火です。中央火口丘の北西部が崩壊し、積雪を巻き込んだ大規模な泥流(岩屑なだれ)が平均時速およそ60kmで流れ下り、上富良野・美瑛の2集落を襲いました。死者144人(行方が分からなくなった人を含む、気象庁の記録)、負傷者約200人、建物372棟が被害を受けています。作家・三浦綾子の小説『泥流地帯』はこの災害を題材にしたものです。

次に大きかったのが1962年6月29日〜30日の噴火です。噴石で火口縁の硫黄鉱山事務所が壊され、死者5人・負傷者11人が出ました。噴煙は高さ約12,000mまで上がり、この噴火で新しくできた火口群の1つが、現在警戒の中心になっている62-2火口です。
1988年12月〜1989年3月には、火砕流や火砕サージを伴う噴火が計28回発生し、周辺の住民が避難しました(死者・負傷者の記録はありません)。直近では2004年2月にごく小規模な噴火があり、そこから約22年間噴火が確認されていませんでしたが、2026年6月18日に噴火警戒レベルが1から2へ引き上げられ、同年7月22日と8月6日に62-2火口でごく小規模な噴火が発生しています。今回のレベル3への引き上げは、この7月・8月の小規模噴火からさらに活動が活発化した結果です。
次に警戒を強めるべきタイミングと確認先
気象庁は「次の解説情報は9月12日16時頃に発表予定」としており、火山活動の状況に変化があれば随時発表するとしています。今後、より規模の大きな噴火が切迫していると判断されれば、レベル4(高齢者等避難)やレベル5(避難)への引き上げもありえます。読者が気にすべき変化は、①火山性地震がさらに増える、②62-2火口の噴煙・噴気に新たな変化が確認される、③気象庁や自治体が新たな避難情報を出す、の3点です。
最新情報は、気象庁の噴火警報・噴火速報のページと、各自治体の公式サイトで確認できます。テレビやSNSの速報だけでなく、発表元の一次情報にあたることをおすすめします。
生活・仕事にどう効くか
- 登山・観光の予定:望岳台などからの登山道は、火口から概ね3km以内の区間が入山規制の対象。出発前に地元自治体・観光協会の最新情報を確認する必要がある。
- 周辺の住まい:上富良野町は吹上温泉地区(一部)に避難指示、十勝岳温泉地区は高齢者等避難の対象(同町「十勝岳火山避難計画」)。
- 車での通行:風下側では火山灰や小さな噴石が降るおそれがある。フロントガラスは乾いたままワイパーを使うと灰でガラスが傷つくため、水で流してから拭き取る。
結局どうすればよいか
- 出発前に気象庁「噴火警報・噴火速報」で十勝岳の最新の警戒レベルを確認する
- 美瑛町・上富良野町・富良野市・南富良野町・新得町の公式サイトで登山道・避難情報を確認する
- 火口から概ね3km以内には近づかず、風下側にいるときは火山灰・降灰情報にも注意する
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 気象庁「噴火警報・噴火速報」十勝岳(2026年9月12日発表)
- 気象庁「火山の状況に関する解説情報(十勝岳第21号)」(2026年9月12日発表)
- 気象庁「火山の状況に関する解説情報(十勝岳第20号)」(2026年9月11日発表)
- 気象庁「十勝岳 有史以降の火山活動」(2026年9月12日発表)
- 北海道美瑛町「十勝岳について」(2026年9月12日発表)
更新履歴
- 2026年9月12日 初版を公開(噴火警戒レベル3への引き上げを受けて)
※本記事は2026年9月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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