「暴風警報が出たら休み。出ていなければ登校」——この覚え方は、住んでいる市によっては間違いです。福岡市は、暴風警報が出ていなくても、台風の暴風域・強風域に入る見込みというだけで市立学校を一斉休校にします。逆に、決まる時刻を知らないまま台風の朝を迎えると、朝7時の休校連絡から出勤までのわずかな時間で、子どもの居場所と仕事の段取りを同時に組み直すことになります。
しかも2026年5月29日、警報の名前の体系そのものが変わりました。去年の台風プリントに書いてある警報名には、もう存在しないものがあります。
2025年9月4日の夜、Yahoo!知恵袋にこんな質問が上がりました。「明日来る台風で学校休校になると思いますか? なりますようにと願ってるんですけど」。翌朝ついたベストアンサーは「公共交通機関を使う学校なら有り得ますね。私は今日休みになりました。頑張って」。質問した子のお礼は「4時間目までで、5.6時間目なくなりました!!!!無事帰宅できました!」でした。
子どもは毎年こうして願っています。親に要るのは願いではなく、どこを見れば・何時に決まるのかを、台風が来る前に知っておくことです。9月は台風の上陸数が年間でいちばん多い月です(平年1.0個。年間3.0個の3分の1がこの月に集中)。
この記事でわかること
- ✓ 休みを決めるのはだれか(公立と私立で違う)
- ✓ 福岡市・大阪市・高知市の基準と「決まる時刻」の実物比較
- ✓ 2026年5月29日の警報改称で、プリントの何が古くなったか
- ✓ 台風の朝に見る場所3つと、前日の夜にやること
決めるのは学校の先生ではなく、市の教育委員会です
公立の小中学校は、市区町村が設置者です。台風のときに休みにするかどうかも、まず市区町村の教育委員会が市内一斉の基準を決めていて、各学校の判断はその外側にあります。だから、担任の先生に聞いても「教育委員会の連絡待ちです」としか答えられない場面があります。
このことは、基準の文書そのものに書いてあります。高知市の判断基準(令和8年5月29日現在)は、高知市校長会と高知市教育委員会の連名で出ていて、適用先を「高知市立小・中・義務教育学校、高知特別支援学校」と区切ったうえで、市立の高校・保育所・認定こども園・私立幼稚園は「別の判断となります」と明記しています。同じ市の中でも、公立小中と、高校・私立・園はルールが別なのです。
読者
上の子は市立中、下の子は私立小です。同じ基準で見ていいですか?
別々に見てください。私立や高校は電車通学の子が多いので、警報より電車が動くかどうかで決まることがあります。知恵袋のベストアンサーの「公共交通機関を使う学校なら有り得ますね」は、まさにこの差の話です。
電車が止まるかどうかは、実は警報より早く分かります。計画運休の見通しは48時間前・24時間前に段階を踏んで発表するよう国が決めているからです。仕組みは「台風で電車が止まるのはいつ分かる?計画運休の48時間前・24時間前」に書きました。
福岡市・大阪市・高知市で、基準も時刻も全部違います
一斉休校の基準を一次資料で確認できた3つの市を並べます。3市とも、基準になる情報も、決まる時刻も違います。
| 市 | 台風のときの基準 | 決まるタイミング |
|---|---|---|
| 福岡市 | 台風が接近しつつ、福岡市が「暴風域」「強風域」に入る見込みの場合に一斉休校(警報を待たない)。レベル5「特別警報(高潮)」でも休校 | 基準の表に時刻の記載なし(「見込み」の段階で判断) |
| 大阪市 | 「暴風警報」「暴風雪警報」または河川氾濫を除く「危険警報」「特別警報」が出たとき | 午前7時の時点で出ていれば休み。授業中に出たら帰宅 |
| 高知市 | 台風接近時は教育委員会が判断して連絡。突発的な悪天候は「特別警報」「暴風警報」「暴風雪警報」のいずれか1つでも出たら休校 | 台風接近時は前日の午後1時までに学校へ連絡。突発時は午前6時の時点で判定 |
読みどころは3つあります。
まず福岡市。休校のスイッチが警報ではありません。「台風が福岡市に接近しつつ、福岡市が『暴風域』『強風域』に入る見込みの場合」と書かれています。テレビで暴風警報の速報を待っていても、この市の休校は分かりません。
次に高知市。台風のように前もって分かる荒天は、前日の午後1時までに決めて学校へ連絡すると時刻まで決めてあります。当日朝6時の判定を使うのは、前日に読めなかった突発的な悪天候のときだけです。
そして大阪市は当日の午前7時判定。同じ「当日判定」の高知市とも1時間ずれています。この1時間は、出勤前の親にとっては預け先を探せるかどうかの1時間です。

読者
朝のうちに警報が解除されたら、何時から登校になるんですか?
そこがいちばん市によって違うところです。「◯時までに解除なら◯時間目から登校」と刻む市もあれば、高知市のように、いったん休校と決めたら天気が回復しても終日休校のままと決めている市もあります。ここだけは、お住まいの市のプリントか教育委員会のページで確認してください。
私は、休校基準を確認するときは「どの警報で休みか」より先に「いつ決まるか」を見るべきだと考えています。警報名は市が向こうから連絡をくれますが、決まる時刻を知らないと、親のほうの段取り(出勤・在宅・預け先)が組めないからです。前日午後1時に決まる高知市なら前の晩に手が打てて、当日朝7時の大阪市なら朝の1時間が勝負になります。
2026年5月29日から、プリントの警報名が変わっています
もう1つ、今年から効いてくる変化があります。2026年5月29日に気象庁の防災気象情報が全面的に改称され、警報の体系に「危険警報」という新しい段階が入りました。「大雨警報(土砂災害)」や「土砂災害警戒情報」といった名前は廃止され、「レベル3土砂災害警報」「レベル4土砂災害危険警報」に置き換わっています。数年前に配られた台風プリントの警報名は、探しても今年の発表には出てきません。
教育委員会の側も、これに合わせて基準を書き換えています。福岡市教育委員会は「防災気象情報の改訂に伴う一斉休校基準の更新について」という文書を出し、大雨の基準を「レベル5『特別警報(河川氾濫・大雨・土砂災害)』」「気象防災速報(線状降水帯発生)」という新しい名前に変更、台風の基準にはレベル5「特別警報(高潮)」を追加しました(運用は令和8年5月29日から)。高知市の判断基準も、改称当日の2026年5月29日付で更新されています。
新しい名前は、もう実際に学校を休みにしています。2026年6月26日の朝、大阪市立の小学校はこう連絡しました。「本日、午前7時の時点で、大阪市にレベル4大雨危険警報及びレベル4氾濫危険警報が発令されているため、児童の安全を最優先に考え、本日は臨時休校といたします」。
なお、この3市の基準を見るかぎり、レベル3の大雨警報だけでは一斉休校になりません。休みの軸は、暴風と、レベル4〜5の情報の側にあります。危険警報がどの段階で、古い名前が何に変わったのかの対応表は「危険警報」って何? 大阪市はこれが出たら学校が休みになりますにまとめています。
保育園・認定こども園・学童は、小中学校とまた別のルールです。高知市の基準も適用先から外しています。園と学童は、それぞれの案内で確認してください。
台風の朝に見る場所は3つ。学校への電話はしません
基準が分かったら、当日見る場所は3つに絞れます。
- 学校・教育委員会の連絡アプリ。休校の決定は向こうから来ます。高知市のように「前日の午後1時までに連絡する」と時刻を約束している市もあるので、通知はオンにしておきます
- 気象庁の「気象警報・注意報」ページで、自分の市を出す。警報は市町村単位で出ます。テレビの「◯◯県に暴風警報」では、自分の市に出ているかどうかは分かりません
- 気象庁の台風情報の経路図。福岡市のように「暴風域・強風域に入る見込み」で決める市は、警報ページではなくここが基準です
やらないことも1つ決まっています。学校に電話をかけて確認しないことです。沖縄県の嘉手納中学校が配る台風時のプリントには、こう書いてあります。
※暴風警報が発令されているときは,学校は休校ですので,学校への問い合わせは,ご遠慮下さい。
わざわざ但し書きになっているのは、台風のたびに問い合わせの電話が学校に集中してきたからです。休みかどうかの答えは電話口の先生ではなく、上の3つの場所に先に出ています。
前日の夜にやっておくこと3つ
台風は地震と違って、前の日から分かっている災害です。前日の夜に3つやっておくと、当日の朝が変わります。
- 夕方に連絡アプリと教育委員会のページを見る。前日に決める市なら、この時点でもう答えが出ています
- 自分の仕事側の段取りを決めておく。子どもが休みでも、親の会社は暴風警報では休みになりません。会社側のルールがどうなっているかは「大雨警報が出たら仕事は休みになる?」に書きました
- 「休校にならなかった場合」の持ち物も見ておく。高知市では、台風前日に決めた対応で給食が止まる日があり、突発的な休校では手配済みの食材が動かせないため給食費は保護者負担と基準に明記されています。休みでもお金の側は動いている、ということです
最後にもう1つ。台風の朝に「学校が休みか」を調べる家は、大雨の日に「この家は大丈夫か」を調べることになる家でもあります。自宅の浸水と土砂災害のリスクは、警報が出てからでは調べる余裕がありません。晴れている日に一度見ておいてください。
子どもは今夜も「休みになりますように」と願っています。親は願わなくて大丈夫です。決まる時刻と見る場所さえ知っていれば、台風の朝は連絡を待つだけの朝になります。
出典
- 福岡市教育委員会「防災気象情報の改訂に伴う一斉休校基準の更新について」(令和8年5月29日運用)https://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku-iinkai/anzenanshin/documents/kyuukoukizyun.pdf
- 高知市校長会・高知市教育委員会「台風等の自然災害時における臨時休業(休校)の判断基準について」(令和8年5月29日現在)https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/life/262788_1128402_misc.pdf
- 大阪市「防災情報(小学校・中学校)」学校が休みになるルール/大阪市立茨田小学校 学校日記「6月26日金曜日 警戒レベル4発令に伴う臨時休校について」(2026年6月26日)
- 嘉手納中学校「台風時の登校について(令和元年度改訂版)」http://www.educ.kadena.okinawa.jp/14-kadena-c/docs/2018070200037/file_contents/R1_taifuu-ji-toukou.pdf
- 気象庁「台風の月別平年値(1991〜2020年)」上陸数:8月0.9個・9月1.0個・年間3.0個
- Yahoo!知恵袋 質問(2025年9月4日投稿)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11319566141
この記事は2026年8月30日時点の公表資料で書いています。休校の基準は自治体ごとに違い、今後変わることがあります。必ずお住まいの市区町村の最新の案内で確認してください。


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