隣の家から火が出て、自分の家まで燃えてしまった。そんなとき「火元の人に弁償してもらえる」と思いがちですが、日本では原則として、火元の人に損害賠償を求めることはできません。
8月に59棟が焼けた三重県伊勢市の明倫商店街では、2か月たった今もがれきが残っています(くわしくは伊勢市 明倫商店街の火災のその後)。この記事では、もらい火にあったとき、だれのお金で家を直すのかをまとめます。
先に結論
- ✓ もらい火は、原則として火元に賠償を求められない(失火責任法)
- ✓ 例外は、火元に「重大な過失」があったときだけ
- ✓ 自分の家と家財は、自分の火災保険で直すのが基本
失火責任法の中身
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 法律 | 失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)。1899年(明治32年)にできて、今も効いている |
| 条文 | 民法709条(不法行為の損害賠償)は、失火の場合には使わない。ただし、失火した人に重大な過失があるときは別 |
| なぜあるのか | 日本は木造の家が隣どうし近くに建ち、燃え移ると損害がとても大きくなるため、火元の人を守る目的でつくられたといわれる |
出典:失火ノ責任ニ関スル法律(e-Gov)、徳島市消防局・鶴岡市消防本部のチラシ。条文は1文だけの短い法律です。

住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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「重大な過失」とは
消防のチラシでは、「少し気をつければ火事になると予測できたのに、ひどく注意を欠いて火事になった場合」と説明しています。過去の裁判で重大な過失とされた例として、次の3つが挙げられています。
- 石油ストーブの火をつけたまま給油し、タンクのふたをきちんと閉めずにしまおうとして、もれた灯油に火がついた
- 寝たばこが危ないとわかっていながら何もせず、たばこを吸い続けて眠ってしまった
- てんぷら油の入った鍋をガスこんろにかけたまま、台所を離れた
ただし、似た火事なら必ず重大な過失になるわけではない、ともチラシに書かれています。重大な過失かどうかは、最後は裁判で決まります。
読者
じゃあ、もらい火で家が焼けたら泣き寝入りなの?
だから自分の火災保険が大事なのよ。もらい火でも、自分の保険で家や家財を直すのが基本。火事を出した人も、自分の家が焼けて賠償どころではないことが多いの。保険に入っているか、家財まで入っているか、一度証券を見てみてね。
借りている家の場合は話が別
| だれに対して | 火元の借り主の責任 |
|---|---|
| 大家さん(借りている部屋・家) | 失火責任法は使われない。借りた物を注意して使う約束を破ったことになり、賠償を求められることがある |
| 隣の部屋・隣の家の人 | 契約の関係がないので失火責任法が使われ、重大な過失がなければ賠償は求められない |
出典:全日本不動産協会 法律相談「借家人の失火による損害」(大審院 明治45年3月23日判決を挙げて説明)。部屋を借りている人は、大家さんへの責任と、自分の家財の両方に備えておく必要があります。
火事のあとに保険や支援の手続きで必要になるり災証明書は、市役所ではなく消防署で出します。手順は火事 り災証明に、全焼・半焼の分け方は鎮圧 鎮火 違い/全焼 半焼の基準にまとめています。
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