「鎮圧」と「鎮火」は、消えかたの段階が違う言葉です。鎮圧は、火の勢いが消防隊の制御下に入り、燃え広がる危険がなくなった状態。鎮火は、そこからさらに、再び燃えるおそれもなくなった状態です。どちらも現場の最高指揮者が認定し、順番は鎮圧が先、鎮火があとです。
「全焼」「半焼」は、これとは別の物差しです。消え方ではなく、建物がどれだけ損害を受けたかを表す区分で、定義の基準は燃えた面積ではなく、建物の評価額に対する損害額です。
先に結論
- ✓ 鎮圧は「延焼の危険が去った」、鎮火は「再燃の心配もない」。鎮圧が先で、鎮火があと
- ✓ 全焼は、損害額が火災前の評価額の70%以上。半焼は20%以上、部分焼は20%未満
- ✓ 報道の「ほぼ消し止め」は、確認した消防庁・自治体の資料に定義がなく、鎮圧にあたるかは報道だけでは分からない
鎮圧と鎮火の違い
| 言葉 | 消防での意味 | 決める人 |
|---|---|---|
| 鎮圧 | 火勢が消防隊の制御下に入り、拡大の危険がなくなった状態 | 現場の最高指揮者 |
| 鎮火 | 再燃のおそれがないと認定した状態 | 現場の最高指揮者 |
山梨県の発表資料(2026年2月12日)の注記と、川崎市の再燃火災防止要綱にもとづき作成。2026年10月14日に確認しました。
川崎市の要綱では、鎮圧のあとに残った火を点検して処理する「残火処理」があり、現場の最高指揮者が焼け跡を見分して、再燃のおそれがないと認定した時点が鎮火です。消防庁の統計では、火災を知ってから鎮火と決めるまでを「鎮火所要時間」と呼びます(消防白書の備考)。放水が終わるまでの時間ではなく、再燃のおそれがないと決めるまでの時間を数えます。
ニュースになった火事でも、この時間はまちまちです。岡谷市では、午後10時半ごろに出火して、鎮火は翌朝7時ごろでした。鳥羽ロイヤルホテルの火災は、鎮火まで約12時間かかっています。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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全焼・半焼・部分焼・ぼや
この4つは、建物の火災に使う焼損の程度の区分です。消防庁は、損害額が火災前の建物の評価額の何%になるかで分けています。
| 区分 | 消防庁の定義 |
|---|---|
| 全焼 | 建物の焼損部分の損害額が、火災前の建物の評価額の70%以上のもの。70%未満でも、残った部分を補修して再使用できないもの |
| 半焼 | 損害額が評価額の20%以上のもので、全焼にあたらないもの |
| 部分焼 | 損害額が評価額の20%未満のもので、ぼやにあたらないもの |
| ぼや | 損害額が評価額の10%未満で、焼損床面積が1平方メートル未満のもの。損害額が10%未満で、焼損表面積が1平方メートル未満のもの。収容物だけが焼けたもの |
総務省消防庁「消防白書」(平成26年版)第1章の備考をもとに作成。2026年10月14日に確認しました。

つまり、「2階部分が激しく焼けた」と「半焼」は同じ意味ではありません。損害額が評価額のどれだけにあたるかで決まるからです。札幌市北区の火事では、報道は「2階部分が激しく焼損した」と伝えましたが、全焼か半焼かは報じていません。
「ほぼ消し止め」は何か
報道では、鎮圧・鎮火のほかに、「ほぼ消し止められた」「消し止められた」という言い方がよく出ます。同じ札幌の火事でも、北海道テレビ放送と北海道放送は「約1時間後にほぼ消し止め」、北海道文化放送と札幌テレビ放送は「約2時間半後に消し止め」と書いていました。
消防庁の白書や自治体の資料で、この言い回しの定義は確認できていません。「ほぼ消し止め」が鎮圧、「消し止め」が鎮火にそのまま当たるかは、報道だけでは判断できないということです。消防の発表に「鎮圧」「鎮火」の語が出たときに、時刻を読み取るのが確実です。
自分の家の火事に備える
火事の言葉が分かると、ニュースで「どこまで広がったのか」を読み取れます。自分の家で先にできるのは、住宅用火災警報器が鳴るかの確認です。隣の家から火が移っても、出火元に重大な過失がなければ弁償は求められないのが原則なので、備えは自分の側でそろえておく必要があります。
この記事は、2026年10月14日に確認した消防庁の消防白書と山梨県の発表資料にもとづきます。区分の定義は改正されることがあるため、最新の内容は消防庁の公表資料でご確認ください。
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